近鉄線移設-平城宮跡横断区間

 奈良県は18日、世界遺産の平城宮跡(奈良市)を横断する近鉄奈良線の移設に向けた調査を始めたことを明らかにした。移設先については近鉄奈良線の南側を東西に走る「大宮通り」を想定している。移設した場合の課題を整理し、実際に移設が可能かどうか調べる。

情報源: 奈良県、近鉄線移設で調査開始 平城宮跡横断の区間  :日本経済新聞

近鉄の大和西大寺駅と近鉄奈良駅(新大宮)の間は平城宮跡の一部をかすめている.線路を造った際にはそんなものがあることはつゆ知らず,ということだろうが,移設するようである.ついでに大和西大寺駅の改良もする模様.

どこを通すのかはこれから決めるらしいが,すでに国道369号の地下を油阪-近鉄奈良の間で走行しているので,そのまま国道369号-県道1号(要するに阪奈道路)の地下を走るのかな?

大和西大寺駅は現位置だと北西-南東方向になっており,近鉄京都線-橿原線の線形が悪いので,北北西-南南東方向に回転させるとともにやや南側に移すと大阪方向,京都方向ともに進入しやすく,移設後の奈良方面と橿原神宮方向ともに進出しやすくなりそう.

よく見ると,そのへんは空き地が多い模様.既に構想しているかも.

結構難題は,大和西大寺駅南東に隣接する結構大きな電車の車庫だな.でもこれって,この位置にある必然性あるのかな?

なお,リニア新幹線奈良駅を奈良市内につくるのなら,奈良県か全体に対する影響を考えると大和西大寺駅併設がベストと折に触れて言っているが,移設したとしても奈良盆地をほぼ東西に横切ることになるであろうリニアの線路を大和西大寺駅経由にすると,リニアの線路工事がかなり難しくなりそう.

正確に言うと,奈良盆地での工事自体はさほど難しくは無いと思うが,「宝探し」の大当たりを引き当てると,路線自体を地図の上で引き直しになりかねないので,やっぱりチャレンジャーかも.

#そもそも,リニア以前に大宮通の地下は大丈夫か? 高架であっても,基礎工事のために地下工事があるんだが.

リニア延伸前倒し「体力や資金力は無い」

 新大阪まで最速2037年に延伸するリニア中央新幹線について、JR東海の柘植(つげ)康英社長は8日、「品川―名古屋間と並行して大阪の工事をやる体力や資金力は無い」と述べ、さらなる前倒しは難しいとの考えを改めて示した。在阪の報道各社などでつくる関西プレスクラブの定例会で講演した。

情報源: リニア延伸前倒し「体力や資金力は無い」 JR東海社長:朝日新聞デジタル

…うーん,,,,,,,こっちもアレだなぁ.

さすがに厳しいと思ったので,ほぼ同時開業できるように3兆円投入してもらったんだけど,このままだと単に資金の余裕ができてほくほくになるだけじゃん.

(資金準備は必要だが)用地買収は自前でなくとも(現工事区間でもそうだが)並行して自治体等にしてもらえるし,さほど難工事区間は無いので,トンネル等の工期が長引く箇所については先行して外注発注すればいいだけなんだが,相変わらず「会社ファースト」なんだなぁ.自らの図体が大きくて,影響甚大だという自覚はない模様.

 

北陸新幹線-テレビ画面と地図を重ねてみた

京都駅と新大阪駅について,テレビのニュース画面とGooleMapとで位置合わせして,テレビ画面上の北陸新幹線の中心付近をたどってみた.京都市内はどの程度正確なのかは怪しいが…

ほぅ.なるほど.松井山手駅を通りますねぇ.やっぱりそこにつくりますか.そこから南側は,生駒山系というか交野断層の断層崖に沿って南下して,やっぱりそこから新大阪目指すワケね.

ということは,リニア奈良市付近駅は,あそこなわけかな.ほぅ.

“雑魚な客数のために面倒なことできるかよ!” と返答してJR東海が失ったかもしれないこと(その4)

やっちまったかもしれないお話の(その4)である.

今回は,輸出への影響についてである.日本の新幹線については,海外から見れば「新幹線」のワンブランドのはずだが,その実,細かなシステムがJR東系とJR海系とで異なっており,そのまま両方を直通で走れる列車は現存しない.

かつて国鉄末期には(アナログATC時代だが)両方走れる車両も試験車として開発され,試験走行もされていたかと思うが,今や昔の話.

さて,米原で北陸新幹線と東海道新幹線が直通運転を行っていたとすると,その車両はJR東系とJR海系とのシステムの差異を克服できる車両ということになったはずだった.

ところが,それを実現させる機会が失われてしまったがために,新幹線を海外販売する際に「オタクの国のシンカンセン,保安装置が統一されなくて面倒なんだってナア」と突っ込まれた際に「いえいえ,両方ちゃんと走れる方法も準備してあります」と返答する術を失ってしまった.

欧州系の高速鉄道が各種のシステムを規格化し,統一して,いわゆるインターオペラビリティを向上させてきているのに対し,日本のシンカンセンはガラパゴス化が進み,日本国内ですら自由に走れないほどタコツボ化が進行していることを証明してしまったとさ.

#システムの多様性という点では,青函トンネルにおける在来線との供用区間(三線軌)の存在や,ミニ新幹線システム(=低速在来線との乗入れ),在来線の保安システムへの対応,異なる電源周波数の切替,雪への対応,総二階建て,320km/h運転,2編成併結運転,地下駅の存在,長大山岳トンネル,etc…JR東日本系の新幹線システムの方が,海外から見ればメニューが豊富で魅力的に見えるかもね.

新幹線の速さのイメージ

皆さんの新幹線の速さのイメージというと,こういう感じだろうか?
(音量注意)

 

たぶん,あまり違和感が無かったかと思うが,でも,実はこれ2倍速に編集してあり,x1倍再生だとこうなる.(こっちも音量注意)

 

 

皆さん,かなり高速交通に神経が慣らされてますね.(最初のビデオは先日の講演会の終わりでプレゼン画面に挿入したものだが,倍速編集だということにはあまり気付かれていない模様.)

リニアと新幹線(*)の速度の比はだいたい倍なので,最初のビデオがリニア新幹線実現時の列車通過イメージという感じだろうかねぇ.

(*)GPSで測ってみると,新幹線が本当に最高速度で走っていることは少ない.

 

「米原ルート」の開業時期(3)

さらに話は続く

今日は「JR東海リスク」を回避し,乗入れOKの判断を待って米原ルートを着工することを考えてみよう.

最初に判断結果が変わる可能性があるのは,リニアの名古屋開業である2027年である.この段階までは判断を変える具体的な材料の変化は発生しない.それまでに環境影響評価を終わらせておいて,即着工するとすると2027年着工で2037年開業.これだと小浜-京都ルートを現時点で確定させて着工に向けて財源確保の努力をするのと開業時期は変わらない(か,むしろ米原ルート採用の方が遅い).

2027年段階で色よい返事を得ることが出来ずに2037年まで着工を延期したとしよう.乗入れOKの返事をもらって即着工し,10年で開業させたとすると2047年開業.これだと,財源確保サボタージュ方針の2031年着工で2046年開業の小浜-京都ルートと変わらない(か,むしろ米原ルート採用の方が遅い).

さらに最悪のケースとして,2037年まで着工を延期したものの,乗入れNGの返事が返ってきた場合は,この段階から小浜-京都ルートの建設を開始しなければならなくなる.環境影響評価から開始して工期15年なら2057年開業.当webサイトをご覧の読者の半分くらいは(悪いことをしていなければ)天国から様子をうかがうレベルの時期である.

結局,この最悪の2037年小浜-京都ルート着工や永久米原乗り換えの可能性を考えると,2027年に米原ルート着工というのも実際には採択しにくい.

全体の話をまとめると,米原ルートはJR東海が乗入れOKの返事をいつするかに依存しており,現実的には,2017年の現時点でOKの返事をしていない限り採択しにくい案,ということになる.米原ルート採用は現時点でJR東海を説得していることが必要である.誰か説得できるの?

 

「米原ルート」の開業時期(2)

昨日の話の続きである.

整備新幹線の工事は,それぞれ当初段階ではその時々の資金状況のままだった場合を想定して建設時期が表明されている.だが実際には,これまでの整備新幹線の建設工事では,建設部隊の手が暇にならないように工事事業が連続して発生するように日本全体での新幹線の建設工事工程が組まれるとともに,それを実現すべく資金確保の工夫がその都度行われていると思われる.

ということで,何らかの資金確保が出来て,2031年まで待たずして建設工事が開始できる場合を考えてみよう.おそらくこっちの方が現実に近いと思う.

まず京都-小浜ルートの方を先に考えてみよう.数年の環境影響評価で詳細ルートを確定させた上で,2021年着工としよう.長大トンネルが多くて工期は15年かかるとしよう.そうすると2036年開業となる.リニアの大阪開業の2037年と変わらない,それならばリニアが大阪まで開業すれば東海道新幹線の線路容量が空くので,米原ルートでの大阪乗入れが出来るから,米原ルートでいいではないか,という話になると思う.一応,その話は正しい.ただし,一応,である.

米原ルートの最大のネックは東海道新幹線利用である点だ.現状ではJR東海のトップは乗入れできるかどうか「先のことだからわからない」と発言している.個人的には,2017年の現時点でも毎時1-2本程度は乗り入れ可能だと思っているが,まぁ当の鉄道会社のトップの判断なので,致し方がない.

じゃぁ,「先のこと」ではなくなるのはいつなのかをよく考えてみる.最初のタイミングが訪れるのは現在の2017年ではなくてリニアの名古屋開業である2027年である.この段階で東海道新幹線の旅客数が名古屋以西で段落ちしている分,東海道新幹線の大阪-名古屋間の本数を減じることが可能という判断になれば,目出度く米原から北陸新幹線を乗り入れることが可能となるかもしれない.

次の「先のこと」ではなくなるタイミングは,リニアの大阪開業の2037年ということだ.この時点で東海道新幹線の電車の本数を減じることが可能となれば北陸新幹線を乗り入れることが可能となる.

じゃぁ,米原ルートを現段階でルートとして採用し,2021年頃着工,2031年頃米原まで完成,その段階で乗り入れ可能なら乗入れ,不能ならば数年間は米原で乗り換え,2037年には乗り入れ開始,という段取りが可能かというと,これはリスクを伴う.

どういうリスクかというと,2037年のリニア大阪開業を待っても,いろいろと難癖付けて「乗入れNG」とJR東海が返答する可能性があるからである.こうなれば米原駅で永久に乗換を強いられることになる.

米原ルートの最大の利点は東海道新幹線利用(による工費節減)だが,最大のリスクも東海道新幹線利用(による乗入れ拒否)だということである.

(つづく)

 

「米原ルート」の開業時期(1)

話が長くなりそうなので,3回シリーズである.

北陸新幹線の敦賀-大阪間のルートについては,与党が小浜と京都を経由するルートにする方針であることを表明しているが,これに対してしばしば米原ルートは建設延長が短いので5年程度で出来るという主張がなされている.が,本当にそう簡単なんだろうか?

小浜-京都ルートの完成時期は国交省の資料によると2031年着工で2046年開業とされている.これは2030年度に北海道新幹線が開業した後に手を付ける,という意味であって,資金がその時期にならないと都合がつかないからだということでもある.要するに積極的に資金確保をしないと,そういう時期にしか開業できないという意味でもある.

じゃぁ,米原ルートを採用して若干工期が短くなれば,しないシリーズ姿勢の国交省が早期着手するかというと,JR西日本自身が「ワシが金を出す」とでも言わない限り見通しは明るくない.要するに,基本的には米原ルートであっても2031年着工であろう.福井-滋賀県境にはかつての柳ヶ瀬越え区間があり,工事が容易と言うほどでもないので標準的な10年を工期と見積もれば2041年開業,つまりせいぜい数年早まる程度ではないだろうか.

まぁ,この程度の話は簡単だが,まだまだ込み入った話は続く.

(つづく)

東海道新幹線の浜名湖の件

別途書くと言った浜名湖の件である.

南海トラフ系地震に対する東海道新幹線の浜名湖付近の線路の置かれた状況については,ずいぶん前に書いた.詳しくは,以下の各リンク参照.
東北に行ってみた(水没した地区編)
リニア新幹線整備の理由(東京-名古屋編)
浜名湖を渡る鉄道(今切れ口編)
浜名湖を渡る鉄道(村櫛伝説編)
浜名湖を渡る鉄道(鉄橋観察編)

これに対して当該鉄道会社は公式には「津波の影響はない」と言っており,上のリンクの2つ目の内容を国交省にお知らせした後も内容の訂正は無いようなので,安全だと思い込んでいるようである.2-3年前の時点では『静岡文化芸術大の磯田道史准教授が浜名湖上を通過する東海道新幹線の津波に対する安全性に疑問を投げ掛けていることに関して「どういう根拠で言っているか分からない」』などと少々小馬鹿にした発言をしていたかと思うが,この歴史学者先生,映画「武士の家計簿」の原作者だとか,NHK教育の歴史番組の司会者だと言った方が分かりやすかっただろうか.

さて,今回は浜名湖付近の東海道新幹線が安全かどうかという点の議論ではなく,南海トラフ系の大地震で津波が新幹線の線路を襲うことを前提としたお話である.

東海道新幹線が大地震で不通になることに対しては,東西間交通の確保の観点では中央新幹線が有効であろう.だが,たとえ中央新幹線が開通した後であっても,リニア新幹線の輸送能力が低いであるとか,静岡から愛知県にかけての地域が全国的に見て重要な産業地帯であるという点を考慮すると,東海道新幹線はなおも重要な新幹線である.中央新幹線が完成しさえすれば壊れて消滅してもよいというわけではない.

これに対して鉄道会社は古くなった新幹線インフラの更新を徐々に進めるとともに高架橋の橋脚に鉄板を巻いたりするなどの対策を進めているところである.

だが,浜名湖をわたる線路については流失の可能性があり,国鉄末期にはせめてこの部分だけ線路を付け替えることができないかということで,当時の国鉄総裁が調査を開始しようとした,という話を耳にはさんだことがある.

対津波という点では,橋脚がしっかりしており,橋梁部分が最大波高よりも上ならば東日本大震災においても流失を免れていることから,現線路の北方の湖面上を新橋梁で通過するという方法は有効ではなかろうか.この現線路の北方を通過するというルートは,東海道新幹線建設時に当初計画されたルートであるとともに,国鉄末期に線路付け替えのルートとしても候補になったルートのようである.

じゃぁ,どの程度の費用がかかるのか,勝手に試算してみよう.現線路の北方約1kmを通すとすると,こんなライン取りか?

工事延長約13.3kmなので,工費をちょっと高めの200億円/kmと仮定すると,約2700億円かな.

まさかとは思うが,「津波でこの線路が被災してから,国費で直してもらおう」なんて考えてないよね.もし現線路が津波で被災したら「浜名湖の入り口を新幹線が通るなんて危険きわまりない.線路を直す際には迂回させるべきだ」という議論になるんじゃないだろうか.そうすると常磐線の復旧工事のように内陸迂回路線になり,浜松市の動物園付近から東名高速の付近を経て三ヶ日湖南岸,二川駅付近に達する工事延長30km超の大工事になりかねない.工期は調査を含めて突貫工事で10年か?

いろいろ後手だね.