月別アーカイブ: 2017年9月

ドイツ西部の南北幹線鉄道ルートの改良

鉄道工事の失敗でエラいことになっているドイツ西部の南北幹線鉄道ルートであるが,何が行われてるんだろうか.

全体の路線としては,フランクフルトからマンハイム,カールスルーエ,フライブルクなどを経由してスイスのバーゼルに至る路線である.

そんで,工事の事故の発生したラシュタット附近では,左のような現在線の線形を右のように約15kmにわたって付け替えようとしている模様.変更する部分の北部では,住宅地付近の路線を高速道路の横に付け替えるとともに,急曲線のあるラシュタット駅については,附近の市街地の地下をトンネルで抜け,そして件の陥没事故のあった附近で現在線に戻すという工事のようである.

ラシュタット駅はICEが停まる必要のない駅なので,こういう路線改良(というかバイパス線の線増)ができる.

実は南部ですでに似たような改良工事が行われており,左のような旧線に対しライン川の沿ったぐねぐねの区間をバイパスするように,約5kmのトンネルでバイパスし,走行距離も約3km短縮するという事業が実施され(右),既に供用されている.

こうやって,ドイツでは日本の新幹線の線路のような高速新線の建設工事が行われなくても,ふと気がつくと200km/h以上で走行できる路線が徐々に増えてゆくという具合である.地図だけ見て「ドイツはICE用の新線整備が少ない」などと思っていては実態の認識を誤る.

日本は…方策が硬直化してるよね.

 

BRTの乗り心地

あくまで個人的な乗り心地に関する感想だが…

LRT(*1) >日本の新交通システム > 連節バス(*2) ≒ TVRのバスモード(*3) > TVRのトラムモード(*4) ≒ トランスロール(*5) > 三連節バスの1両目(*6) > 同2両目 >> 同3両目

*1:ストラスブール,etc…多数
*2:ナントほか
*3:ナンシーの終点近くの末端部分
*4:ナンシーやカーンの中心街部分
*5:クレルモンフェランなど
*6:メスなど

形が似ていても,だいぶ違います.あくまで個人的経験に基づきます.

LRTが基本的には加減速時の前後方向の揺れが大きいのに対し,バス系が乗り心地が悪い理由はハンドル操作による左右方向の自由自在な動きによる揺れが加わること.

TVRやトランスロールの乗り心地が悪いのは,ガイドに案内されて走行しているので,同じ路面を踏みしめて路面が痛みやすいことと,車両のサスが悪いこと.

三連節バスは,バス系の基本的な揺れに加えて,後ろに行くに従って,なんだか上下動が増幅されているように感じであること.

見かけだけで「おんなじようなもの」と思わない方がいいです.

LGV東ヨーロッパ線が完成して…

LGVつまりフランスのTGV用の高速新線のうち,東ヨーロッパ線,つまりパリ東駅から東進してストラスブールに至る路線が,試験車両の事故などの困難を乗り越え,今年7月に開業している.

その結果,ナンシーやメスといった途中の都市には都市間列車があまり立ち寄らなくなり,駅の出発時刻表示がこういう感じになってしまっている.

たくさん列車が表示されているが,TGVはパリ行きの1本だけ.あとは予約不要の快速列車であるTERばかりだ.かつてならもう少しTGVはあったかと思うし,10年以上前ならCorail Teozなどの急行列車がたくさん並んでなかったかなぁ.

じゃぁ,表示されているTGV以外の列車に乗りたい場合はというと,上から2つ目の「68162」に乗ることになる.つまり,St.Leon通りのバス停からバスでTGV駅まで送迎というわけだ.

新線開業悲喜こもごも,かも.

(写真は朝のNancy駅.LGVができる前はストラスブールとパリを結ぶ幹線の途中駅だった)

 

カールスルーエの「絶滅危惧種」Regio Bistro

カールスルーエには,かつて世にも珍しい「食堂車つき路面電車」が走っていた.何度か外から見かけたことがあったが,乗れず仕舞いで,近年は既に食堂車設備が廃止になって見かけなくなってしまっていた.

ところが…

こ,これは実物ではないか.急遽予定を変更し,このトラムの行き先も確認せずに乗車してみた.

これが「食堂車」の車内だ.

厨房はこんな様子だ.


厨房設備は,電子レンジ,流し台,コーヒーメーカか? 残念ながら営業はしていなかった.

座席にはテーブルがあり,なんとトイレ付きである.

どうやらこれら設備を撤去して,単なる座席に取り替えられている編成がほとんどのようだ.さようなら,幻の食堂車つき路面電車.営業中に乗ってみたかった.

ところで,日本には特急はおろか,新幹線にも食堂がないんだって?

 

お客様の中に日本人はいらっしゃいませんか?

昨年度に欧州調査に出かけた際には「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」というのに遭遇したが,今年は…

フランクフルトからヘルシンキ行きの飛行機の中.要するに国際便ではあるものの,欧州内便なのでほぼ国内線みたいなものである.しかもフランクフルトから日本へは直行便が多数飛んでいるので,わざわざ経由便に乗る日本人は少ない.

その機中,フランクフルトを出て小一時間ほど.客室乗務員女性がやってきて,突然…

すっち:「あなたは日本人ですよね.あちらに調子の悪い日本人がいるんだが,日本語しか話せないようで困っている.ちょっときてくれ.」

私:「私は医者ではないんですが…」

すっち:「この飛行機で日本語がわかるのは,あなただけのようなんだ.判断はこっちでするので,状況を聞いてくれ.」

ということで,体調をお伺いすることに.離陸直後にジェットコースターのようによく揺れたので,それが原因で気分が悪くなった模様.すっちに伝えると,安堵したようで,えらく喜ばれた.

よくよく考えてみると,状況によっては飛行機を途中の空港に緊急着陸させたり出発地に引き返したりして,病院に運ばなければならないこともあるので,差し迫った状況なのかどうかは乗務員にとっては重要なポイントだな.その後,ヘルシンキで降りる際,すっちに再度謝意を言われたので,その後は大きな問題はなかった模様.ヘルシンキまで来れば日本人スタッフもいるだろうから何とかなるよね.

全く意思疎通できない状況なのに一人旅って,あの人,家までたどり着けたんだろうか.

飛行機の運航って大変だね.

マンハイム駅の駅前広場の使い方

マンハイム駅の駅前広場の夜景.

手前の大面積を占めているのは,路面電車乗り場兼バス乗り場.同じホームにトラムとバスがやってくる.バスはもちろん,長いバスである連節バスもある.あ,いや,国交省風にいえばBRTかw

奥はタクシー乗り場であるが,実は1/3くらいはバス乗り場である.ということで,”日本の国交省基準では”,広場の全面積が公共交通に割り当てられており,私的交通は駅前広場には入れない.

じゃぁ,一般車はどこに寄せるのかというと,この広場の地下が駐車場兼車寄せになっている.

上下移動のない一等地は公共交通というポリシー,見習いたいもんだねぇ.

 

ドイツの不通区間でバス代行に乗ってみた

件の不通区間は全く人ごとではなく,自らの行程の一部にもなっている.

当初予定ではフライブルクをICEで昼前に出て,カールスルーエに正午頃到着の予定であった.

Freiburg(Breisgau) Hbf(1057発)→ICE370→ Karlsruhe Hbf(1158着)

ところが,この区間にBaden-BadenとRastattの不通区間が含まれている.

そこで,こういう計画を立てた.きっと臨時ICやそれに接続する代行バスは混んでるだろうから,ローカル列車乗り継ぎコースにしよう.具体的には…

Feiburg(1003発)→ RE →Offenburg(1053着)
Offenburg(1102発)→ RE →Baden-Baden(1127着)
Baden-Baden(1133発)→ 代行バス →Rastatt(1154着)
Rastatt(1202発)→ S7 →Karlsruhe(1226着)

…最後の「S7」が微妙で,ドイツ鉄道が運行している列車なら乗れるのだが,カールスルーエの場合は黄色い路面電車が幹線の上を走るという代物である.基本的にはレールパスの使用対象ではなく,「アブタール鉄道」という会社が運行している.けれども「非常事態」なので,乗せてくれる可能性もある.Rastatt駅で聞いてみよう.

さて,実際はこうなった.まずは,予定通り出発.

Feiburg(1003発)→ RE →Offenburg(1053着)

Offenburg(1102発)→ RE →Baden-Baden(1127着)

ここまで,予定通り.そして,バーデンバーデンに到着.

人の流れにくっついてゆくと,電車のマークが表示されたバスがあった.3台待機しており,2台目に乗れた.「普通の連節バス」だ.検札も何もないが,ええのか?

そして,走ること約20分.Rastatt駅に着くと,本来は既に出発しているはずのベルリン行きICEが待っていた.

ということで,カールスルーエにはほぼ当初予定通り到着.バスの迂回コースはこんな感じであった.見事にあの区間を迂回している.

 

臨時インターシティBaden-Baden行き

ドイツ西部では幹線の不通区間の影響でICEが運休して代わりにIC(インターシティ)が走っている.トラムで有名なフライブルク駅の電光掲示板にも「IC99xxx」というインフレナンバーのインターシティの時刻が見られる.他の列車も臨時ダイヤじゃないかと思う.結構珍しいかも.しかも温泉地のBaden-Baden行き.サンダーバードで金沢に向かおうとしたら,「芦原温泉」と行き先表示された列車が来たような気分か?

…で,こういう列車が走ってくる.

今ではICEに取って代わられてずいぶん少なくなった機関車牽引の10両編成のインターシティである.最後尾には運転席もあるので,そのまま逆方向にも200km/hで走れる.

車両は古いが,そもそもFrankfurt-Karlsruhe-Rastatt-Freiburug-Baselを結ぶ路線は高速新線ではなくて改良線なので,200km/h運転でもICEに比べて速度自体はそんなに大きくは変わらない.

問題はやはり不通区間で,バスとの乗り換え×2回+バス走行によって,1時間以上余分に時間がかかるわけで,そこを通らないと空港まで行けないわけで,…めんどくさいなぁ.

 

市内交通「一日券」いろいろ

ヨーロッパに来てよく使うのが,市内交通の一日券.ところが若干都市によってクセがある.

主なポイントはこのあたり.

  • 買った瞬間から有効なものと,買ったあと,電車に乗る際にバリデーション(有効化)作業が必要なもの
  • 有効な期間中は持っているだけでいいものと,乗車の都度,検札機に通す必要があるものがある.
  • 買った瞬間もしくは有効化した瞬間から24時間有効なものと,その日の終電まで有効なものとがある.
  • 磁気カード方式か,ICカード方式か,はたまた単なる紙か.

だいたいの場合,細かな説明は現地語だけで,英語の解説のないことが多い.

時にはどうやら取扱が微妙に間違っていて,検札員に罰金を払えとまでは言われないものの説教されることもある.でも,わかんねぇよぉ.