1931年の旅人(ロンドン1100発)

研究資料を集めていると,時として思いがけない出会いがある.今回は85年近く前の旅人の足跡と出会った.その足跡が残されていたのはこれである.

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おなじみ,トーマスクックの時刻表.ただし1931年11月号である.復刻版ではなくて本物だ.入手先を書いてしまうとミステリーツアーにならないかもしれないので,内緒である.なお,ここ1〜2年,世界中から古い時刻表を集めまくったので,今や古い時刻表はめぼしいものはほとんど手に入らなくなってしまった.「犯人」は私かもしれません.すいません.

この古い時刻表には所々に列車に印がしてあり,どうやら自分の旅程がわかるようにしてあるようだ.とすると,全ての印をつけた列車をつなぎ合わせると,1931年の旅人の移動経路がわかるはずである.

印のついた列車を端から端まで調べてみると,どうやらスタートはここのようである.

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ロンドンのビクトリア駅.午前11時ちょうどに出発する列車に赤字印がしてあり,この列車に乗ると,ドーバー桟橋に12時35分着.ここから船に乗る.

上の時刻表をよく見ると,左上に「THROUGH SERVICE」と書いてある.どうやら航送便だ.つまり,船に乗るのは客じゃなくて,列車ごと乗るということのようだ.ただし,夜行列車だけで,昼行便は乗換だった模様.

カレーから大陸に上陸し,夕方18時10分には,パリの北駅に着くようだ.列車名にGolden Arrow号も見える.赤印はここまで.列車はそのまま今はあまり使われていない短絡線を使ってリヨン駅まで行くが,旅人は北駅までのようだ.今なら,こんなルート

ここで1931年の旅人の1日目が終わった.明日はどこへ?
【1日目】London (Victria) 1100 – Paris (Nord) 1810 (ドーバー海峡連絡船)