時計仕掛けの幹線鉄道

スイスに行くと,スイス連邦鉄道の列車にこういうのが走っている.

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機関車の番号が「2000」になっているが,製造番号が2000番なわけではないし,型式番号が「2000」なわけでもない.「Bahn-2000計画(Rail 2000計画)」事業に合わせて導入された新規車両なので,プロジェクト名として「2000」が書かれている.後ろに繋がれている車両も同じ計画に合わせて導入されたものである.

Bahn-2000は,(1)主要都市間を30分の整数倍よりもちょっと短い時間で結ぶ,(2)主要都市の駅の出発時刻は原則として毎0分もしくは30分,ということを目指して幹線鉄道の改良をする計画で1987年に計画が開始され,2007年頃に概ね完了.

そういうわけで,スイスの大きな駅に行くと,毎0分もしくは30分のちょっと前になると続々と各方面から列車が集まってきて,毎0分もしくは30分を過ぎると三々五々各方面に列車が散って行く.つまり,毎0分もしくは30分には,駅のホーム上には各方面からの列車が勢揃いしており,全方向相互間の乗換が出来る,というシステムだ.

日本は新幹線を作って走らせて,それに合わせて他を考えるというシステムだが,スイスは発想が逆で乗換がうまくいくようにするには最低限,どの程度の改良をすればいいかという視点で整備がされている.

なので,スイスには日本の新幹線相当の高速新線がほとんど無い.Oltenの南側に少しと,あとはアルプスの長大トンネルの中くらいなものである.

なお,上の写真の列車に関するWikipediaの説明項目には「「バーン2000計画」の要となる200km/h列車用として」と書かれているが,車両としては200km/hで走れると思うものの(実際,Olten付近の短い高速新線では走っている),Bhan-2000は200km/h運転導入が主目的の幹線鉄道計画ではないので,この記述はあまり正確ではない.(学生の皆さん,Wikipediaの使い方には注意しましょう.)

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駅の出発時刻の掲示,よく見ると,ほとんど同じ時間に続々と出発している.まるで歯車のように一定間隔で列車が都市間を行ったり来たり.時計の国スイスならではのシステム.このシステムが導入できるのは,列車を時間に正確に走らせることが出来る国だけ.