路面電車の軌道保守

路面電車の線路はレールの頭部分だけが路面に出ているのでどうなっているのか構造が分かりにくいが,最新式のコンクリート板に溝を掘ってレールをはめ込むタイプでない限り,通常の線路と基本的には同じである.

通常の線路は道床,マクラギ等むき出しなのでそのまま保守できるが,路面電車は舗装されているので厄介である.そもそも運転速度が遅いので,少々軌道が傷んでいても脱線はしにくいのだが,時折こういうレベルの線路を見ることがある.

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よく脱線しないな,と感心してしまう.

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こっちはレールはマシだが,表面がぼろぼろだね.

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構造的に保守しにくいのが一因,あと,保守にお金をかけられないのがもう一因.

道路へのダメージが大きい交通というと,実はトラックやバスもあり,こちらは保守は行政がやってくれる.一応,トラックやバスは自動車重量税というものを払っており,道路保守費用を負担していることになっている.だが,道路舗装へのダメージという点では実はトラックやバスの与えるダメージは一般の乗用車の10倍くらいなので,形式的には保守費用を払っているが実はちゃんと払っていない.一種の産業政策,国策なのである.

じゃぁ路面電車はというと自動車が踏みつける部分については行政が保守費用を負担する制度が大正時代からあるのだが,上の写真を見ると十分とは言えない.実態としてトラックやバスとは扱いが違っているのである.

この際,路面電車のトラックやバスなみの重量税を支払う代わりに,軌道の保守費用は道路保守の完全な一部として取り扱うようにしてしまう,などという方策はないものかなと考えてしまう.