「JR九州の在来線黒字1路線だけ」でも上場できる新幹線の威力

これも,ちょっと前のネット記事

JR九州の在来線、黒字1路線だけ – goo ニュース.

いつまでリンクが生きているのかわからないので,概要を書くと,「JR九州の在来線のうち黒字は1路線だけで,あとは赤字.」というお話し.

そのまま何も考えずに受け止めるとJR九州って大変なんだぁ,と思ってしまうが,一方でJR九州については株式を上場する話が進行している.赤字だらけでにっちもさっちも行かない会社が上場するわけがなので,この記事には書かれていない重要な観点が抜けている.そこに気がつかないと「鉄道事業って赤字なんだ」と洗脳されてしまうので要注意.

在来線は赤字だが,会社全体では事業がうまくいっているので上場するという話になる.もちろん,鉄道以外の関連事業でもがんばっているのだが,在来線以外の好調な鉄道事業の話がすっぽり抜けている.そう,新幹線だ.

新幹線事業が好調なので,在来線が赤字でも会社全体としては関連事業等もふくめて好調,ということである.新幹線の威力絶大なり,である.

もちろん,九州新幹線は公設民営方式で,負担はリース料払いだけで,そのリース料の設定額は必ず利益が出るように設定されている.その利益で他の穴が全て塞がるわけである.新幹線の威力絶大なり,である.

「赤字」は他の鉄道事業を何とかしたいPRの可能性もあるが,鉄道をはじめとするネットワーク事業は区間区間を切り出して評価するのが難しいので要注意である.末端部分が見かけ上「赤字」だからといって順に「赤字」区間を切ってゆくとどういうことが生じるかというと,あら不思議,好調だったはずの幹の部分も徐々に弱って,効率化したつもりが取り返しの付かない状態になっていた,なんてことは良くある話.太い縄はわらしべのより合わせである.

さてさて,上場後のネットワーク戦略はどうするかな?