月別アーカイブ: 2015年2月

ちんまいトンネル?

「小さいトンネル」のことではない.正しくは「沈埋トンネル」と言って,あらかじめ箱状につくっておいたコンクリート製のトンネルを,川や海の底に掘った溝に埋めるタイプのトンネルのことである.造船所のドックで作られて,現場に運ばれる.

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青函トンネルなどは,海底下をまさに掘り進めて作ったトンネルであるが,沈埋トンネルは港湾部などにある比較的短距離の浅い水深のところに作られるトンネルで,分割して作れるので割と短期で完成することが多く,浅いので延長も短い.この写真のトンネルは夢咲トンネル用である.

最近ではボスポラス海峡の地下鉄トンネルが沈埋トンネルでつくられている.

長いものでは,サンフランシスコのバートという高速地下鉄の海底トンネルは5−6kmもある.

沈埋トンネルで大阪湾を通って関空や淡路島へリニアを通してしまえ,という意見もあったと思うが,見てのとおり鋼材を多用しているので,たぶんちとつらい.

新聞記事の精度(読売新聞四国編)

ほとんど事実関係だけ書いているので,さほど引っかかる点は無いのだが・・・

四国新幹線実現へ、4県トップら愛媛でシンポ : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE).

・・・(いつまでリンクが生きているかわからないが)この記事の記述.

  • 波床はとこ正敏・大阪産業大工学部教授が基調講演を行い、「全国で高速道路や空港などが整備されたが、都市の発展にはほとんど貢献していない。新幹線が通ると政令指定都市クラスに成長し、絶大な効果をもつ」と持論を展開した。」

→都市の発展にはほとんど貢献していないんじゃなくて,国土の均衡ある発展を実現するまでには至っていない,というあたりが最も正確.それから,「持論(=あることに関して前から主張し続けている,その人独自の意見。)」という表現.間違っちゃぁいないんだが,論拠無くむやみに言っているように聞こえかねないので補足.

この手の講演では時間が限られているのでわかりやすい部分を使って話をするのだが,その背景はもしも話せば結構長かったりする.実は交通整備と地域の発展に関する研究は,いくつかの研究テーマのうち最も基本の部分であり,博士論文がそのテーマだったりなんかする.つまりいわゆる「1丁目1番地」.説明すると長すぎるので,最もわかりやすいお話しを取り上げているということである.なお,講演で使うスライドは,元々は学部1年生の授業用であり,講演内容のリクエストと時間の長さによっては「汽笛一声新橋を」から話し始める.

詳しくはこのサイトの下の方にある「明治期以降の交通網整備が我が国の地域構造に及ぼした影響に関する研究」のpdfファイルを参照.全部説明すると,2時間はかかる.

LinkIcon表紙 [PDF 20KB]LinkIcon序 [PDF 12KB]LinkIcon目次 [PDF 16KB]LinkIcon第1章 [PDF 60KB]LinkIcon第2章 [PDF 160KB]LinkIcon第3章 [PDF 276KB]LinkIcon第4章 [PDF 312KB]LinkIcon第5章 [PDF 236KB]LinkIcon第6章 [PDF 104KB]LinkIcon第7章 [PDF 288KB]LinkIcon第8章 [PDF 28KB]LinkIcon謝辞 [PDF 8KB]

夜の東京駅

普段は地下鉄ばかりで,なかなか歩くことが少ない東京.訪問先も中央線の新宿〜お茶の水あたりが多く,丸の内や大手町といったあたりはご無沙汰である.久しぶりに歩いたら,ビルの建て替えが進み,すっかり真新しい町並みになっている.

IMG_8415そして,東京駅.ここだけ大正時代のままである.

GCT01-201(フリーゲージトレイン)

伊予西条駅に隣接して設置されている「四国鉄道文化館」.赤い電気式ディーゼル機関車や0系新幹線が有名であるが,こういう珍品も展示保存されている.

新幹線?新型特急?いえいえ,もっと珍品.

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妻面の名盤にはこう記されている.つまり「フリーゲージトレイン」.新幹線用の標準軌と在来線用の狭軌の両方を走れる車両である.GCT01系.車重が45トンもあり,最近の電車が30トン弱から40トン弱程度であることを考えると,重量級である.この重さがなかなか在来線で高速走行できなかった原因の一つかも.

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そしてこの電車の最大の特徴は台車である.車軸の真ん中にジャバラのようなものが付いており,ここが伸縮か?

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車軸端部分.

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ダンパが2つも付いており,重装備.速度があまり出ない割にダンパを2つも付けているのは,車輪間の軌間の精度が悪くて蛇行動しやすいからだろうか?

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IMG_8390スペインにも軌間可変式の「電車」が存在するのだが,モーターが台車ではなく車体床下に付いているようであり(ディーゼルカーのエンジンをモーターに変えたような構造?),構造がだいぶ違うようである.

しおかぜ23号…今日は大丈夫

約半年ぶりの四国である.お盆に新居浜まで行ったときには台風直撃であわや四国に渡れずというスレスレだったが,今日は特に問題なし.

夏なら午後7時はまだ残照のある瀬戸内海を渡るのだが,冬場は真っ暗であり,ガガガガ,ゴォー,ゴゴンゴゴン,ゴォー.何も見えない.

岡山駅から伊予西条までは約2時間,約140km.新幹線ならば岡山から2時間あれば,西は博多を超えて鳥栖か久留米あたり,東なら豊橋あたり.同じ140kmならば西は東広島のあたりで1時間ほどで着くし,東なら新神戸のあたりで何と30分ほどだ.

新幹線の威力は絶大なり.愛媛県なかなか着かない.ただいま車中.まだ丸亀.

やっと着いた.

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クルマ一台で台無し

あまり話題にならないが,観光地でいつも感じることがある.

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風情があっても,わずか1台の車がやってくるだけで,非日常的な風景が日常に戻され,せっかくの観光気分が台無しになることが多い.

町並みに気を遣うなら,クルマの取り回しにも気をつけた方が良い.

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大阪駅のホームのリニューアル工事

なかなか無い光景である.駅のホームというのは,古いホームに継ぎ足し継ぎ足し使われることが多いのだが,このホームは足の部分から作り直している.確か大阪駅は地盤があんまりよろしくない場所に建っており,不同沈下でホームや線路が波打ちやすいのが辛いところ.

さてここでクイズ.その昔,特急つばめ号が大阪駅から東京に向かって走るとき,全行程で最も急な勾配はどこにあったでしょうか?

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まぁ,この項目でのクイズなので,答えはバレバレであるが,大阪駅の構内にあったらしい.理論上は平らだが,不同沈下で波打っているので部分的に急勾配があり,そこに機関車がはまり込んでいると列車を引き出すのがなかなか大変だったそうな.