▲研究室のページに戻る  ▲ 都市創造工学科のページへ


● 2006年05月
□06/05/31号: おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・路面電車でも食堂車だ!
□06/05/29号: 電車で座る技術!(何番目まで座れるか覚えておく編)
□06/05/27号: おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・食堂車が無くても「車内食」があるぞ!
□06/05/25号: 電車で座る技術!(突入するドアを選ぶ!編)
□06/05/23号: おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・急曲線高速走行車両でも食堂車だ!
□06/05/21号: 電車で座る技術!(テリトリーを広く!編)
□06/05/19号: おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・昼晩、朝昼晩、朝昼晩、8食連続食堂車だ!
□06/05/17号: 電車で座る技術!(行動判別方式編)
□06/05/15号: おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・あれ、無い!
□06/05/13号: 電車で座る技術!(個体識別方式編)
□06/05/11号: 電車で座る技術!(「座れる駅」に引っ越す編)
□06/05/09号: ふと気がつくと、ヤドカリ状態
□06/05/07号: 電車で座る技術!(ゆっくり座っていこう!編)
□06/05/05号: 電車で座る技術!(離れたホームからこっそり出発する列車をねらう編)
□06/05/03号: 今考えると、あれは大丈夫だったのかなぁ・・・
□06/05/02号: そろそろ都心回帰しようよ!>ショッピングセンター殿
□06/05/01号: あ〜あ、またやっちゃったよぉ>片町線殿

★06/05/31号:
 おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・路面電車でも食堂車だ!

 左の写真はドイツのアーヘン駅のホームにとまっていた二階建てのローカル列車の写真である。二階部分は通常の客席だが、一階部分にはカフェと書いてある。Zugとは列車のことのようなので、列車喫茶室ということのようである。念を押しておくが、これは特急列車ではない。

 この列車喫茶室だけでも十分衝撃的映像であるが、極めつけは右のカールスルーエの路面電車の写真である。都市部の路面を走る電車のボディーに、Bistroと書いてある。つまり、大げさに書けば「食堂車つきの路面電車」である。もっとも、本格的な食堂ではなく、食堂と言うよりはスナックバーと言った方が正確かもしれない。売店つきの路面電車である。ボディーに書き込まれている丸い印をよく見ると、ピルスナーと書かれている。どうやら一杯やれるようである。残念ながらこの「路面電車の食堂車」の方は、最近は縮小傾向にあると聞くが、世の中は広いものである。

 輸送業だからと言って二点間の輸送をしさえすればいいというものではない。二点間の輸送中は、わずかな時間ではあるが客の生活時間の一部を車内で過ごしているのだという発想があるのか無いのか、その違いが写真のような電車を走らせるのか、そうでないのかにつながっている。

 自家用車の中をまるで自分の部屋のようにしている人がいるが、移動の時間中も生活時間の一部であるという発想の流れである。電車で移動する際も、車の中の自室のようなわけにはいかないだろうが、少しは人間らしい時を過ごしたいと思うのはわがままな要求なのだろうか。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る


★06/05/29号:
 電車で座る技術!(何番目まで座れるか覚えておく編)

 始発駅で誰も乗っていない電車に乗り込む場合、すでにドア位置に列ができているときは、はてさて並ぶべきか、別の方法を試すべきか悩ましいときがある。こういうときに備えて、普段からよく使う電車には座席が何席あるのかを覚えておくと良い。

 電車の連結面付近には、その電車の定員が書いてあることが多いのだが、残念ながらこの数字は座席数ではない。座席数+吊り手や握り棒の定数、もっと正確に言うと、座席定員+立ち客が有効に使える床面積を一定値で割ったもの、である。JRの電車では120〜150人くらいの数値が書かれていることが多い。

 JRの通勤電車で、座席が進行方向に直角の電車の場合、席数はドアとドアの間に片側7席ずつ、ドアと連結面間には3席ずつである。ドアは4つあるので、1両で54席ということになる。実際にはドア間の7席に6人しか座らないことも多いので、1両で48席のこともある。

 ということは、ドア1つ当たり12人まで当選確実、13人目は努力次第、14人目はボーダーライン、15人目はアウトということになる。2列で整列乗車なら、前から6番目までが当確である。もちろん、12人しかいなくても、もたもたしていると座れない。

 座席が進行方向に向かってそろえられ、ドアが3つの電車の場合、ドア間の座席は片側12人、ドアと連結面間に4人、1両で64人であるので、ドア1つ当たり21人まで当選確実、22人目はボーダーライン、23人目はアウトということになる。

 なお、以上の数値は始発の場合の話で、大きな駅でごっそり乗客が入れ替わるような場合では、乗り通す客の分だけ座席が減る。その程度は日々の経験の積み重ねによるので、各々方、日々の修練を積まれたい。

 なお、10年以上前の時点で、Webmasterが大阪駅で午後10時頃の京都方面行きの新快速に最後尾車両の最後尾側のドアから乗ろうとする場合、12人目あたりがボーダーラインであった。それよりも後の場合は、立ち席覚悟か、別の手を考える必要があったが、待ち客数が10ないし12人に達するのは出発約10分前と決まっていたので、その時までに到着すれば必ず座れた。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る


★06/05/27号:
 おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・食堂車が無くても「車内食」があるぞ!

 カナダのVIA鉄道は大陸横断鉄道だけでなく、トロントやモントリオールなどの都市を結ぶ都市間鉄道の営業もしている。車両は写真のような客車を機関車が引っ張る形式で、いろんな書籍を調べると時速200キロ対応で曲線でも速度をあまり落とさなくてもいいように、例の振り子装置まで付いている。ならばトロント-モントリオール間510kmは2時間半かというと、最も速い列車で4時間、通常は4時間半から5時間かかる。200キロ対応のディーゼル機関車が粉雪を吸い込んで所定の性能を発揮できないようである。ということで、割り切って時速160キロ(100mph)対応の機関車が引っ張っている。実際の運行速度は100〜150キロくらいか。

 さて、この都市間列車、いろいろと日本では見られない特徴があるのだが、それについては別に機会に紹介することとする。で、今回のシリーズは食事である。残念ながらこの都市間列車には食堂車は連結されていない。じゃぁ、5時間ひもじい思いをするかというと、そうではない。ちゃんと温かい食事にありつける。

 駅弁という習慣は便利な習慣ではあるが、ちょっと淋しいときもある。外国では駅でサンドウィッチやハンバーガーが売られていることもあり、VIAの都市間特急でも2等車に乗れば、お昼時になるとみんなおもむろにサンドウィッチをほおばり、車版のコーヒーで流し込む。そのあとはお昼寝。(よく、列車の車内で寝るのは日本人くらいなものという人がいるが、カナダは安全な国なので、カナダ人は列車の中で昼寝をする。)

 じゃぁ、1等車の乗客はどうかというと、「機内食」ならぬ「車内食」が出てくる。チキンとフィッシュがあるがどっちがいいかと聞きに来たりもするので、まるきり飛行機と同じである。食事の内容も飛行機の機内食と同じである。おそらく、飛行機に積む食事をそのまま列車に積んでいるのだろう。

 日本ではグリーン車の乗客といえども駅弁が基本であるが、高い料金を支払って冷めた食事は虚しかろう。乗車時間が短いから供食しない方針のようだが、駅の食堂が常に開いているわけでもないし、せっかく高速で突っ走って時間短縮したのに、降りてから食事すれば余分な時間がかかる。食堂車の連結が無理でも、温かい食事を車内で提供する方法はいくらでもありそうだが、日本の鉄道会社ではその努力を払おうとするところは少ないように見える。生活の質というのは、こういう端々に現れてくると思うのだが、わが国はまだまだ貧しいのだろうか。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る


★06/05/25号:
 電車で座る技術!(突入するドアを選ぶ!編)

 皆さん、通勤電車のドアはどういう原則で並べてあるかご存じだろうか。答えは、等間隔、である。隣の車両のドアとの間隔も等間隔になるように並べてある。これは、特定のドアに乗客が集中しないための工夫である。もちろん、絶対的な乗客が少ない特急用の車両などは等間隔ではない。

 とすると、大きな駅などで真っ先に電車に乗り込んで空席を押さえるには、理論上どのドアも等しい条件ということになるが、現実はそうではない。

 乗り込むのは、客の降車が終わってからというのがマナーである。降りてくる客が少ないドアを選ぶのがセオリーである。乗ろうとする客数が同じだからといって、降りてくる客の数がどのドアも同じとは限らない。

 降りる客は、なるべく出口や階段に近いドアから降りたがる傾向にある。列車の編成の後ろの方の車両なら、前よりのドアから降りてくる客数が多い。前よりの車両なら後ろよりのドアから降りる客が多い。さらに、2列整列乗車なら、駅の出口から遠い側の列に並ぶのがセオリーである。降りてくる客はドアから出るとすぐに出口方向に曲がろうとするので、出口から遠い側の方が降車客が途切れるのが早い。

 それから、ドアは等間隔に並んでいるというのもくせ者である。連結器に近いドアは、テリトリにしている客室の床面積が連結部分の分だけ少ないので、降りてくる客も少ない。連結部分が運転席になっている車両なら、受け持ち床面積はなお少なくて、客の途切れるのが早い。ただし、ねらう対象の座席も少ないので、要注意である。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/23号:
 おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・急曲線高速走行車両でも食堂車だ!

 Webmasterが小学5年生まで、最寄りの国鉄線には、グリーン車2両つき、食堂車つきの特急が走っていた。動力が電気に変わって、海岸沿いの急カーブを高速走行する車両が導入されると同時に、食堂車は廃止になってしまった。

 カーブで右に左に車体を振り振りしながら走る電車なので、揺れるために食堂車は営業不能なので廃止したと思っていたが、それはどうやら誤りであることがわかった。22年後のことであった。

 右の写真は、米国西海岸のシアトルからカナダのバンクーバーまで乗ったAmtrakの車両の写真である。寸詰まりの短い車体をいくつもつないでおり、車輪は車体と車体とのつなぎ目に1軸だけある。日本では関東の小田急電鉄の特急と割とよく似た構造の車両である。

 この車両のボディーには「Talgo」と書いてある。スペインにも同じ名前の車両があるが、確かめるべく乗車前にドア横の女性車掌に聞いてみた。
    Webmaster: この車両はスペイン製か?
    女性車掌 : そうだ。
    Webmaster: この車両には、tilting mechanismが付いているか?
    女性車掌 : Noだ。tilting mechanismではなくて、hanging mechanismだ。
そう答えて、にやっと笑った。

 当たりである。Webmasterの故郷の最寄りの国鉄線に走っている特急と同じく、急曲線で車体を内側に傾け、高速で曲線を走り抜けるための装置が付いている。

 この列車は、シアトルマリナーズの本拠地のセーフコフィールド球場横の駅を出ると、郊外に出るまでゆっくり走り、そのあとは右へ左へと車体を傾けながら突っ走る(・・・といっても、絶対的な速度はたいしたこと無さそう)。

 WebmasterはこのAmtrakの1等車に陣取ったのだが、飛行機の機内食のようなものがあるのかと思いきや、しばらくすると食堂車が準備完了とのこと。早速行ってみた。そこで出された食事が右の写真である。大陸横断鉄道のようなコース料理ではないが、陶器の器に盛られた温かい食事が出てきた。味もまぁまぁOK。おそらく、レンジでチンの類だが、昼食代わりの軽食には十分である。冷めた駅弁より10倍うれしい。

 つまり、振り子式の電車でも、ちゃんと温かい食事を提供することができる、ということのようである。振り子電車では食堂車の営業は不可能というのは、Webmasterの勝手な思いこみのようであった。

 さらに5年後、イタリアのミラノからアルプス山脈を越えてスイスのチューリヒまで左の写真のような列車に乗った。山岳の急曲線を走るので、この車両にも車体をカーブで内側に傾ける装置が付いているのだが、やはり食堂車がついており、温かい食事をとることができた。

 要はやる気の問題のようである。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/21号:
 電車で座る技術!(テリトリーを広く!編)

 ここ1か月ほどの「電車で座る技術!」シリーズであるが、補足的技術がある。今回はその一つ。

 降りそうな人、降りる人、見分ける技術も重要だが、そういう対象の人は多ければ多い方が座れる確率は上がる。つまり、テリトリーを広くとるということである。特定の人1人だけをターゲットにしても座れる確率は低いが、同様の人が2人3人といれば、それだけ確率は上がる。

 つまり、2人がけの転換式クロスシートの横に立つよりは、4人向かい合わせにしている席の横立った方が確率は倍になる。混んでいる車内では乗降の困難さを危惧して、誰も奥の方に立とうとしないことがあるが、こういうときに進んで奥に立てば、テリトリーはぐんと広がる。

 座れる確率=1人が立つ確率×テリトリ中の人数、である。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/19号:
 おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・昼晩、朝昼晩、朝昼晩、8食連続食堂車だ!

 縁あってWebmasterは1年を北米で過ごしたのだが、北米に行ったら、この手のことに興味があるのならお約束ごとがある。そう、大陸横断鉄道である。

 大陸横断鉄道といえば、米国の鉄道を思い浮かべることが多いが、今やAmtrakで東西両海岸を結ぶ列車はなく、確かシカゴから西海岸にゆく列車の2泊3日が最長便だったと思う。ところが、カナダのVIA Railは、トロントからバンクーバーまで3日3晩走り続けるものがあり、北米大陸横断ならこちらの方が長距離を満喫できる。トロントの東側については、トロント〜モントリオール間の都市間列車とモントリオール〜ハリファクス間の夜行列車を乗り継いで赤毛のアンで有名なプリンスエドワード島まで行ったこともあるので、いちおう、西海岸から東海岸まで鉄道で横断したことになる。

 さて、この大陸横断鉄道であるが、もちろん、食堂車がついている。1等個室寝台の乗客なら、運賃には食事代が込みになっている。初日の朝9時にトロントを出発し、サドバリー、2日目にウィニペグ、3日目はサスカツーン、エドモントン、カムループス、そして4日目の朝に西海岸のバンクーバーに到着する。

 この列車の目玉は、なんといっても風景だが、まぁ、花より団子という言葉もあるように、腹が減っては何とやら。3度のメシはやはり楽しみである。

 3日3晩も乗ると、実に、昼晩、朝昼晩、朝昼晩、8食連続で食堂車で食事をとることになる。最終日の朝食はなく、展望車にクラッカーと果物が準備されるのみである。走る列車の中なので、ホテルのレストランと同じというわけにはいかないが、いちおう前菜、メインディッシュ、デザートは出てくる。座りっぱなしの身には十分な量である。酒類がほしければ、追加注文すればもちろん出てくる。

 食堂車には、毎度毎度同じメンバーが集まるので、2日目の午後には顔見知りになり、3日目には子供の鼻歌に拍手がわき、4日目の朝には互いの連絡先をコースターの裏に書いて交換する。

 「うちの孫がね、日本に英語教えに行ったのよ。そしたらね、日本の女性と結婚しちゃってね、今、日本に住んでるの。」とか「あら、プリンスエドワード島に行くの? モンクトンからフェリーね。・・・えっ! 今は橋が架かってるの? 知らなかったわ・・」などという話を相席の老人から聞くというのも、大陸横断鉄道ならではである。

 かつて明治維新後の汽車の中では、元士族と商人や町人などの平民が長い時を過ごす間にいろんな会話をして明治の文化形成に寄与したといわれるが、今や日本の鉄道からは、そのような風景は失われてしまったのだろうか。時間で勝負できない区間については、こういう勝負の方法もあると思うのだが、昨今の特急列車はスピード以外の工夫が少ないと思うのは気のせいだろうか。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/17号:
 電車で座る技術!(行動判別方式編)

 電車にはいろんな人が乗っている。いろんな人が乗っているんだが、よく観察すると、何のために電車に乗っているのかわかることがある。

 マーカーラインを引いた本を読んでいる若い人。若い割には本の内容が小難しそうである。これは試験の近い大学生。

 パソコンの使い方を書いたテキストを眺めている年配の女性。どうやら、都心のパソコンスクールに通っている模様。

 いかにも新品のスーツとネクタイと革靴。でも、カバンがちょっと貧弱なので、ただいま就職活動中の学生。

 ・・・

 そして、通勤用にしては大きめのカバンを持ったサラリーマンふうの人。これは出張の最中。ということは、新幹線や特急列車に乗り換える可能性が高い。あるいは空港行きのバスが出ている駅で降りる可能性が高い。スーツケースを持っていれば、国際線のある空港に向かっている客の可能性が高い。おみやげ物の袋を持って関東アクセントで会話している集団もねらい目である。

 つまり、長距離移動しそうな格好の人を見つけて、京都駅や新大阪駅の手前で、その人の近くに立てば、乗り換えのために下車する可能性が高い。この方法は、個体識別法よりは成功率は高くないが、最終手段の一つとして覚えておくと役に立つ。

 難点は一つ。人を観察することになるので、ジロジロ見ることになってしまう。あまり女性をジロジロ見ると失礼であるし、血気盛んそうな兄ちゃんをジロジロ見ると、予期せぬトラブルに巻き込まれる可能性があるので、要注意。特に大阪付近では気をつけよう。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/15号:
 おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・あれ、無い!

 Webmasterが小学5年生まで、最寄りの国鉄線には、グリーン車2両つき、全10両編成、行き先は天王寺を出発して紀伊半島をぐるっと回って名古屋までという特急列車が走っていた。長距離を走るので食堂車つきであり、一度は乗って食堂車で食事をとってみたいと思っていたが、動力が電気に変わってスピードアップされる際に、食堂車は廃止になってしまった。最後の運転の日、カメラを持って写真を写しに行ったが、フィルム切れでうまく写らなかったのが悔やまれる。その後25年、子供を連れて訪れた博物館で、先頭の車両と再会し、25年前の無念を晴らすべく写真を撮った。それがこれ(右の写真)。

 さて、いつの頃からか、日本では特急列車から食堂車が無くなってしまった。スピードアップしたので乗車時間が短くて食堂車に行くほども乗らなくなったとか、しんどい仕事なので従業員の確保がしにくいとか、食堂車つなぐくらいなら座席車をつないだ方がもうかるとか、いろいろと理由はあるようだが、淋しい話である。

 最後に国内で食堂車に行ったのは、いつだったろうか。数年前、まだ東海道新幹線に二階建ての電車が走っていた頃である。出張の往路、久しぶりに何となく行ってみたくなり、ハンバークの定食のようなものを食べたのが最後になった。当時、出張は食堂車つきの列車の二階建て車両の一階席の指定席を確保するケースが多かった。モーターがついていない車両だったので、揺れがほとんど無く、車内で書き物ができたからである。今はそんな車両はなくなってしまった。

 で、食堂車だが、二階建て車両の二階にあり、窓が屋根の方まで広がって大変見晴らしが良く、実に気持ちが良かった。数ヶ月して、食堂車が廃止になるらしいという噂が広まり、その時期にはもはや食堂車は満席になってしまった。そしてその後、本当に姿を消してしまった。

 今は、駅弁を買ってから乗るが、何か味気ないというか、世知辛いというか・・・だいたい、東京駅から乗ったときには、席に着いて出発する頃までには食い終わっているし、京都から乗ったときには、琵琶湖が見える頃には食い終わっている。食欲は満たされてはいるのだが、もはや鶏小屋のニワトリだなぁ。

 もし、東京発鹿児島行きとか、東京発札幌行きとか、そういう新幹線ができたら・・・いや大阪発札幌行きなんてのもあるかもしれないな。ぜひとも食堂車復活してほしいなぁ。できれば見晴らしのいい座席つきの車両で。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/13号:
 電車で座る技術!(個体識別方式編)

 大きな駅で、朝、通勤通学の様子を眺めていると、ふと頭に浮かぶのがこれである。

   ゆく川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず (鴨長明)
   月日は百代の過客にして、行き交う人もまた旅人なり  (松尾芭蕉)

 しかし、実は通勤通学の風景でこの2つを当てはめるのは正しくない。単に人の数に観察力と記憶力が追いついていないだけなのである。

 朝の電車で、同じ時刻の電車に同じドアから乗り、同じつり革にぶら下がると、周辺にいる人は、多少メンバが入れ替わっているものの、同じ人であることが多い。あれだけ大勢の人がいても、メンバは大きくは変わっていない。大きく変わるのは新学期の開始時などだけである。

 不思議なことに、これは通勤電車に限った話ではない。自動車通勤をしているときも、よ〜く観察していると、対向車線で渋滞に引っかかっている自動車は、ほとんど毎日同じである。ということは、自らが利用している方向の車線についても、見えてないだけで同じような車が毎日走っている。

 さて、この事実を生かして座るにはどうするかというと、つまり、”座っている人のうち、すぐに降車する人の前に立つ”である。毎日のことなので、覚えておけばいいわけである。ただし、立ち位置が自由に確保できるわけではないので、なかなかこの技だけでは難しいのが実情である。さらに別の技を2〜3組み合わせれば万全である。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/11号:
 電車で座る技術!(「座れる駅」に引っ越す編)

 働き始めたWebmasterの勤務地は大阪梅田近辺。最寄り駅は大阪駅。さて、どこに住む? 大学時代の下宿からは通えない。

 ふつうなら、京阪間なら茨城、高槻、寝屋川、枚方あたりを選ぶだろうか。阪神間なら西宮とか芦屋か。一人暮らしだと割り切れば大阪市内を選ぶのも悪くない。ところが、webmasterは大阪市内の土地勘がない。ましてや茨城、高槻、寝屋川、枚方などはさっぱりわからない。わかるのは京都市内か和歌山県下。

 和歌山は予備校時代の経験から言って、毎日通うにはちょっと遠い。じゃぁ、京都市内か。でも京阪電車の沿線では職場まで時間がかかる。とすると阪急沿線かJRかだな。でも、どっちも混んでてやだなぁ。かといって始発電車のある草津とか野洲とかは遠いし。

 そこで、作戦を立てた。毎日座って通勤する方法。その作戦とは、大きな駅の1駅遠い駅付近に住む、である。選んだのはJR山科駅。この駅から乗車すると、当然、混んでいて座れない。ところが、1駅隣の京都駅に着くとかなりの数の客が降り、そして再びかなりの数の客が乗ってくる。つまり、一瞬電車の座席に空席が多くなる瞬間があるのである。そこで別の技術を使うとほぼ確実に座席を確保することができた。

 この作戦は大当たりで、大阪駅までの36分のうち、京都-大阪間の30分間は座ることができた。乗車時間そのものも36分なら十分である。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/09号:
 ふと気がつくと、ヤドカリ状態

 世の中、気分転換のために引っ越しをするという引っ越し魔がいるらしいが、Webmasterはべつに引っ越しが好きなわけではない。むしろ、めんどくさがりなので、できれば避けたい。

 ところが、ふと気がつくと、生まれてこのかた、とんでもない回数の引っ越しをしていることに気がついた。

 まず、生まれて初めての住居は、父の会社の社宅[1]。1〜2年後に同じく社宅だが、別棟[2]に移り、4歳頃に祖父祖母とともに暮らすために一軒家[3]に移った。高校を卒業して予備校の寮[4]へ入ったが、溜まり場になって勉強できなくなったので、再び自宅[5]へ。大学進学で下宿[6]することになったが、再び溜まり場になり、うるさくて大家と喧嘩して別の下宿[7]へ1年で移った。就職して、研修期間中は東京[8]に住んだが、4か月で研修が終わって、大阪勤めなのだが京都[9]に住んだ。その後、転職して遠距離通勤になっってしまったので、職場から30分ほどのところ[10]へ引っ越した。子供が生まれてせまくなったので、もうちょっと広いところ[11]へ移り、留学でカナダ[12]へ1年行った。もとのところ[13]へ戻ったが、2人目の子供ができて再びせまくなったので、さらに広いところ[14]へ引っ越して今に至る。

 38年間で住んだ場所の数が延べ数で14なので、平均2.7年。別に引っ越し好きなわけじゃないんだけど・・・・

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/07号:
 電車で座る技術!(ゆっくり座っていこう!編)

 就職活動でたびたび東京を訪れていたWebmasterであるが、金曜日の夕方が最も悩ましかった。

 今もそうだが、金曜日の夕方は混んでいる。指定席は早々に売り切れてしまい、残席は最終列車間際まで無いという状況になる。事実上、長時間の自由席"スタンバイ"をするしか無くなるのだが、それでも座る方法は無きにしもあらず。

 1時間ホームに並んで3時間列車に乗るのと、すぐ列車に乗れて4時間列車に座るのでは、どちらの方が楽だろうか。もちろん後者だ。つまり、最初から速い列車には乗らないと決め込んで、「こだま」号をねらう。しかも10年前のこだま号の指定席は2+3列シートではなくて、2+2列シートで広々としていた。人気のない列車をねらえば座れるのである。

 これは通勤電車にも当てはまる。たくさんの人が列を成して待っている特急や新快速を待つのでなく、割とすいている急行や快速、あるいは普通電車に乗れば、すぐに座れる。乗ったときには座れなくても、遅い電車の乗客はあまり長距離乗らないので、すぐに空席ができる。なので、やっぱり座れる。東京発の「こだま」号などは、静岡まで来ればガラガラである。前の席を向かい合わせにして、足を伸ばしても誰も文句を言わない。

 この「ゆっくり座っていこう!」作戦には、重要なキーポイントがある。それは、速い電車に抜かれても、イライラしないことである。抜かれるということは、こっちの方が長く座っていられるということではないか。ゆっくりいこう。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/05号:
 電車で座る技術!(離れたホームからこっそり出発する列車をねらう編)

 今から10年以上前の話である。就職活動でたびたび東京を訪れていたWebmasterには、とある悩みがあった。

 就職活動の面接は、たいてい突然である。ひどいときには、「明日の午後に来い」というようなものもあったので、カードを持っていなかった当時は、常に財布に東京までの新幹線往復分と宿泊代1泊分が現金で入っていた。財布の中身の額は当時の方が多かった。

 さて、面接は朝一番ということは少なく、午後遅くというケースが多かった。そんなわけで、東京へ行く際はいくつかの列車をやり過ごせば必ず座れる列車があった。問題は帰りである。午後遅く面接ということは、面接が終わる頃には夕刻定時である。そのまま東京駅に向かって新幹線に乗ろうとしても結構混んでいる。先輩のいる企業なら(いや、いない場合でも)、バブリー最終期の当時は「ちょっと飲みに行こうか」というケースが多かった。終わってから東京駅に行くと、やっぱり混んでいる時間帯である。結局、新幹線はいつも混んでいた。

 あらかじめ帰る時間が決まっていれば指定席の確保もできようが、せっかくの機会なので「ちょっと飲みに行こうか」は断るわけにはいかない。ということで、帰りの新幹線は”スタンバイ組”であるが、関西は遠いので、知恵を駆使して座らねばならない。

 さて、東京駅で"スタンバイ"して座るにはいくつかの方法があるが、最も標準的なのは、ねらいをつけた列車の出発予定のホームで1時間ほど前から並ぶ方法であろう。まぁ、さすがに1時間前から並べば好きな席を確保できた。だが、それでは芸がないので、Webmasterは特定の列車をねらっていた。

 20時07分姫路行き。いかにもマニアックな行き先であるが、結構着席可能性は高かった。理由はいくつかあった。まず一つ目は、ダンゴ運転の最後の方の列車であったこと。東京駅にやってきた客はなるべく早く家に帰りたい。19時42分、45分、56分、20時00分、そして07分。立て続けに出発する列車群の一番最後であった。

 二つ目の理由は、ホームが一番端っこだったこと。上の列車は、順に18番線、17番線、14番線、16番線、そして19番線。山手線や中央線、地下鉄から乗り換えてくると一番ホームが遠い。

 三つ目は、ちょっとのろかったこと。米原を過ぎると、終点までは各駅停車になってしまう。急ぐ客は本物のひかり号に乗る。遅い理由は次の原因も関係があった。

 そして、四つ目は、車両が古かったこと。当時は、ひかり号の主力は2階建てつきの編成で、のぞみ号も走り始めていた。ところが、この時間帯ではこの列車だけ、トラディショナルな”新幹線”であった。しかも、食堂車つき。

 というわけで、結構出発前ぎりぎりでも座れた記憶がある。このことを当時既に就職していた友人に話したら、やっぱり知っていた。出張の際にはけっこう使うそうであった。

 もはやこの車両も過去帳入りとなりつつあるが、今、食堂車つきトラディショナル”新幹線”を走らせたら、逆に満席かな?

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/03号:
 今考えると、あれは大丈夫だったのかなぁ・・・

 今から10年以上前の話である。会社員であったWebmasterはとある地方都市に出張した。その帰りの話である。

 帰路に使ったのは特急列車。快速電車を乗り継いでも帰れたのだが、乗り換え無しの着席確実な特急列車を使うことにした。出張先の最寄り駅から次の停車駅までは60キロあまり、途中停車無しで42分というのが時刻表上の数値であった。

 さて、乗車早々、駅構内を出たすぐのところにあった踏切で異常を感じたらしく、停まってしまった。待つこと数分。点検の結果、さほどの異常もなかったようで、運転再開。まぁ、数分の遅れなら実害はさほど無いのだが、車内でざわざわし始める乗客が発生。どうやら、数分遅れのままだと、乗り継ぐ予定の新幹線に間に合わないらしい。車掌に何とかならないかと掛け合っている。

 車掌は車掌室との間を1〜2往復して、乗り継げなかった場合の案内などをしていたようだが、時を同じくして列車の走り方も変わった。ぐんぐんスピードを上げてゆく。その電車は山間部や海岸沿いのクネクネと曲がった線路を高速で走り抜けることができる"特殊な装置"が付いているので、乗っていても特に恐怖心を感じるようなことはなかったが、車窓はまるでジェットコースターである。"特殊な装置"のおかげで、右へ左へと車体を傾けながら山間部の線路をまるで平地を走るかのようなスピードで走る。当然ながら、大名列車なので、他の列車は全部側線に待避である。

 平地におりてからもスピードは落ちることはなく、結局60キロ先の次の駅には定刻到着。もちろん、乗り継ぎ客は何の問題もなくさらに次の新幹線の駅で降車。カーブで転倒するなどということには微塵も考えがおよばなかった当時は、「おぉ、やればできるじゃん」などと思ったものだ。だが、よく考えてみると、山間部・海岸路線用の"特殊な装置"は、乗客の乗り心地を改善することが目的であって、カーブで転倒しにくくする装置ではない(※)ので、転倒するときは転倒する。

 時刻表上の数字を使うと、この駅間は平均約88km/hで走ることになっていたのだが、Webmaster乗車時には平均約105km/hで走ったことになる。平均なので、トップスピードはもっと上だろうが、メーターが座席にあるわけではないので、それは不明。幸い、一部の山岳部分を除けばほとんどまっすぐな路線だったのだが、今考えると、あれは大丈夫だったのかなぁ・・・

※・・・とはいえ、その装置を有効にはたらかせるために、車両の重心を下げてあるので、通勤電車よりは転倒しにくい。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/02号:
 そろそろ都心回帰しようよ!>ショッピングセンター殿

 「まちづくり3法改正して中心市街地が復活するかな?」に書いたお話の続編である。

 朝のワイドショーで、郊外ショッピングセンターに医療設備が併設されてきているという話題が紹介されていた。なるほど、待ち時間に買い物ができるので便利・・・・か。ん?待てよ??

 そう、すぐ気づきますよね。それって、郊外の大型の建物の中に、かつては都心の中心市街地にあった都市機能を実現しているだけではないのかな? それなら、都心でそれが実現できた方が便利じゃないのかな? 平日の昼間は診療所に来る客(患者)が少ないって・・・そりゃぁそうだ。診療所の重要顧客(?)である高齢者の行動を無視してるからですよ。いくら自動車が普及しているからって、自由に使える自家用車を持っていて、運転免許ももちろんあって、ブイブイ運転できる高齢者はそう多くはないですよ。高齢化社会に逆行してます。

 そろそろ都心回帰しましょうよ。ショッピングセンター殿。まさか自動車会社や石油会社と組んで、みんなに自動車をたくさん使ってもらうことが目的じゃないですよね。便利に買い物してもらうことが商売の目的ですよね。

 そこまでして郊外ショッピングセンターにこだわらなくても、都心の商業地の再開発にノウハウ投入して利益を得るビジネスモデルもできないですかね? それから、ショッピングセンター運営のノウハウを都心の商店街等々の再開発に投入できるような素地づくりをそろそろしましょうよ>自治体&政府殿。

 私、郊外ショッピングセンターで買い物するのはきらいじゃないですが、半強制的に自動車で行かされるのは苦痛です。食事してもビールの一杯も飲めませんし。帰りはみんな居眠りしちゃって運転手に徹しなきゃぁならないし。かといって、今の都心は「若者対応」ばかりで、家族連れで行けるところは極端に少ないですから。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★06/05/01号:
 あ〜あ、またやっちゃったよぉ>片町線殿

 昨日夜のことだが、「快速電車と勘違い、1キロオーバーラン・JR学研都市線」だそうだ。1キロというと、このあたりなので、ほぼ次の駅である。統計を取ったわけではないが、片町線のオーバーランは、割と多いような気がする。

 今回の件を含めて私の知っている大幅なオーバーランは最近の約2年で、3つなのだが、3つとも快速電車停車駅の次の駅をすっ飛ばしている。忍ヶ丘(四条畷の次)、津田(河内磐船の次)×2。つまり、運転士の気がたるんどる!、ではなく、原因は運転席において快速電車と普通電車の区別をつけにくい状況のまま電車を走らせていることにある。まぁ、無理もない。本線系統なら普通電車が横座りのロングシートに対し、快速は進行方向と直角に座らせる専用の車両を使っているので、車両そのものが違う。片町線は同じ車両である。まぁ、もっとも京阪や阪急は普通も急行も同じ車両なので、それだけでは理由にならない。

 それから、片町線は駅間距離が割と長いところがあり、普通電車でも快速電車並みに走る区間がある。河内磐船駅と津田駅の間などはそのような区間である。普通電車の運転士が快調に電車を走らせていて、つい、快速電車と勘違いするのもわからないではない。でも、それじゃぁ、やっぱりまずい。

 普通電車が勘違いして駅をすっ飛ばさないための工夫は、いくつかある。最も簡単なものは、駅の手前の線路際に、運転士向けのメッセージとして、「停車?」とか「快速停車」とかそういうメッセージを表示するという方法だ。線路際をよく見ると、この手のメッセージ看板はよく設置されている。もうちょっと進化すると、このメッセージが電光式になっていて、停車する列車には「停」、通過する列車には「通」と表示されるようになる。京阪電車なんかはこのタイプだったかな。さらに進化すると、停車駅が近づいた際、運転席にチャイムが鳴って「次は停車です」などという音声が流れる装置が付いている車両もある。これは、確かJRの京阪神間の本線系統の快速電車以上にはついてたんじゃないかと思う。もっと進化すると、停車駅の出発信号機を赤にするとともに、駅の手前から注意信号などで徐行させる。京阪電車の急行停車駅やJR片町線でも一部の快速電車の停車駅はこの方法だったと思う。

 さて、まぁ、オーバーランの背景としては例の脱線事故と通じるものがある。鼻息の荒いマスコミ各位のために念のため書いておくと、オーバーラン即脱線の物理的原因ではない。ついでに書いておくと、駅の直後の踏切の警報機はオーバーランに弱い位置にあるわけだが、片町線に関する限り、普通電車の場合であっても通過する快速電車でも大丈夫なくらい手前から踏切が鳴り始める。逆に、停車する列車ではかなり長い時間踏切で待たされる。(これはこれで問題なのだが・・・)

 片町線や福知山線は、今でこそJR学研都市線とかJR宝塚線というニックネームを付けてもらって、通勤通学電気鉄道となっているが、ちょっと前(・・・と言っても20年以上前)では、今よりも列車の本数も少なく、どちらかというとローカル線のイメージが強かった。もちろん、快速電車はない。最近(・・・といっても、もう10年くらいたつが)、大阪都心に直接乗り入れるようになって、20分サイクルのダイヤが15分サイクルになり、快速電車も頻繁に運転され、今や朝は3〜4分に1本運転されている。こっちのほうが、福知山線よりも本数は多い。

 で、オーバーランとの関係であるが、人間の注意力にも限界があるということである。片町線は京橋から京田辺まで、最新型の保安装置が付いていることになっている。この最新型の保安装置(ATS-P)であるが、私の記憶が確かなら、赤信号や注意信号時に列車を安全に止めたり減速させたりする機能の他に、急曲線での速度制限を自動で行ったり、あるいは列車の種別に応じて踏切を鳴らし始めるタイミングを調節したりといった機能がある。JRの京阪神間の本線で「次は停車です」などという音声が流れる装置も、これに関連していたのではなかったかと思う。

 ところがどうやら、私の観察した限りでは、この最新型の保安装置(ATS-P)は片町線では主要な駅付近にしかないようである。駅の踏切が普通電車の場合でもかなり手前から鳴り始めるとか、待避線に入る前に旧型の保安装置のベルがジリジリ鳴るとか、カーブの手前にはテレビでよく見たSW型の地上子が2つ並んでいるとか、あるいは、京橋駅の構内に「ATS P→S」などという標識が立っているとか、運転席の電源ランプが東西線で「P」が点灯していたのが片町線にはいると「S電源」が点灯するとか、公式発表とはだいぶ様相が違っている。

 片町線は、もう立派な通勤線だと思うのだが、今なおマイナー路線扱いのような気がするのは気のせいだろうか。

 ちなみに、ダイヤが乱れると普通電車が走行中に快速電車に”変身”することがあるようだ。そのことを知っているのは運転士だけということも過去にはあったようで、車掌がある駅を駅通過後に非常ブレーキを引いて停車させたようである。しばらくして、快速電車として運転再開。これは新聞記事にはなって無い模様である。この情報は鉄道会社からのリークではなく、片町線利用者の家族の証言であり、怒って帰宅してきたので発覚。知人の話では、「あ、それよくあるよ」ということなので、珍しい話ではないようだ。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る