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● 2006年07月
□06/07/31号: ETCの取りっぱぐれの話
□06/07/28号: ナゾの地下空間
□06/07/25号: 電車が走って無いよ〜〜〜〜〜〜
□06/07/22号: 乗り継ぎが悪いよ〜〜〜〜〜〜〜
□06/07/19号: このまちは安心して歩けるまちです
□06/07/16号: つぎとまります
□06/07/13号: くるくる・・・ポイ
□06/07/10号: どれが一番効率的に運べるか?
□06/07/07号: ETCにハンプ
□06/07/04号: 30分待たされるアーバンネットワーク
□06/07/01号: 渋滞でも到着時刻が読めてしまう話

★06/07/31号:
 ETCの取りっぱぐれの話

 新聞によると、ETCを強行突破して不正通行した車が2005年度で93万件だそうである。監視カメラを設置するなどしてもなかなか無くならないそうだ。

 以前書いたように、日本ではラッチ(改札)を設けて確実に金を取る方法が好まれている。だが、である。年間93万件、毎日2〜3千件も取りっぱぐれがあるのなら、取りっぱぐれを容認してシステムを簡素化する方が全体としてコストが安くなるんじゃないんだろうか。このサイトで時々登場するカナダのトロント郊外の407号高速のETCシステムは、ナンバー自動読み取り&後日請求方式で、後日請求に応じなければ自動車の所有権移転ができないようだった。日本でも簡素なシステム+支払い拒否=車検を通さない、というシステムならいけそうな気がするが、どうだろうか。

 とりあえず、高速走行での強行突破をしにくいように「ハンプ」の設置をしてみるという手もある。ハイテクばかりがシステムではないと思うのだが、機械物好きの国民性では受け入れにくいか?

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★06/07/28号:
 ナゾの地下空間

 先日、「新説 東京地下要塞」(秋庭俊著、講談社)という本を買ってきた。東京には戦前から軍事目的の地下通路や地下鉄道が多数建設され、近年の地下鉄や高速道路等の地下構造物は、その再利用ではないかということを書いた本である。まぁ、ありそうな話でもあり、ちょっと考えすぎじゃないかと思うところもあり(鉄道関係の基礎知識が不足している??)、という内容だが、近代史に興味がある人、都市開発に興味がある人、特に、地下空間整備に興味のある人にはなかなか面白いだろう。

 この本だけではよくわからないという人には、同氏の著書で「帝都東京・地下の謎86」「写真と地図で読む! 帝都東京・地下の謎」「帝都東京・隠された地下網の秘密」「帝都東京・隠された地下網の秘密2」(いずれも洋泉社)というのもある。ハマること確実である(去年の春にはまりました。はまってみたい人へ:ここまで来れば、本を貸してあげます)。

 さて、東京の秘密地下開発の真偽はWebmasterには確かめる手段はないのだが、昨年訪れたフランスのパリで謎の地下空間に出会っている。

 写真はパリ中心部を横切る地下鉄道の駅である。パリの地下鉄道は基本的には地下鉄なのだが、写真の路線はSNCFつまりフランス国鉄が経営する路線である。「RER」と呼ばれ、郊外からやってきた近郊鉄道路線が市街地では地下を通り、そしてまた別の郊外鉄道線へとつながっている。

 日本の大都市部では何も珍しい形態ではない。例えば、大阪ならJRの片町線(学研都市線)と福知山線(宝塚線)が、都心の地下路線であるJR東西線を介して接続されているようなものである。東京なら総武線と横須賀線の快速線が東京駅付近の地下線でつながっているようなものである。

 このパリのRERであるが、初めて開通したのが1977年とのことで、それまでは中心市街の外側にSNCFの旅客ターミナル駅があり、中心部へは地下鉄乗り換えが標準であった。少々うろ覚えであるが、RERは日本の国鉄(JR)が郊外から地下鉄に直通していることを参考にして計画されたものだったと思う。

 ところで、何が謎の地下空間かというと、写真のRERは市街地の道路の直下を走っている。右上の写真の左下に写っているのは自動改札機であり、設置に無理があり、ホーム側に出っ張っている。ここを出ると、コンコースなどはなく、そのまま階段を上がって地上である。あがったところにある橋から写真を撮ったものが左である。つまり、このRERという地下線は左の写真の線で指し示したあたり(か、もう数メートル下)を走っているということになる。

 この空間、1977年頃につくった空間なんだろうか? 改札機の設置方法などを見る限り、鉄道用に設計されたとはとても思えない様相である。階段なども古くさい気がする。新しさを感じさせないように配慮して作られたものなのか、それとも、以前から何かの目的に使われていた空間を鉄道用に転用したのか、ちょっとナゾである。

 もっとも、日本の都市交通関係者の視点からは、こんな川沿いすぐのところに地下鉄道をつくって、大雨降ったら水没しないのだろうかと心配になってくる。そういえば、JR東西線(開業前の片福連絡線)も鴨川沿いの京阪電車も水没したことがあったような記憶が・・・大丈夫か? RER!

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★06/07/25号:
 電車が走って無いよ〜〜〜〜〜〜

 左の写真は、2年ほど前に和歌山線の駅に貼ってあったポスターである。和歌山線というのは、和歌山から紀ノ川に沿って東進し、奈良の五条を経て御所や大和高田を通って王寺に至る単線電化の路線である。

 年間10万人、つまり、1日あたり270人も乗降客数が減っているというのは由々しき事態なのであるが、その隣に貼ってあったのが右の写真である。

 保線作業を昼間するので、その間列車は走らないという主旨の連絡メッセージである。代替バスはないという。

 夜間作業はおそらく費用がかかるので、昼間しているのだろうと思うが、代替交通機関も用意されていないということは、電車では移動できないということである。

 かつて、昼間の保守間合いを確保するために、週の半ば頃の水曜あたりの客の少ない時間帯、昼の2時頃の列車を運休するというものがあったが、今はもうほとんどそういう運転方法は見かけない。

 あんまりお金をかけられない路線だということも理解できないではないが、代わりの移動手段がなければ、”自動車にでも乗っていってくれ”というメッセージを発しているに等しい。何も知らずに駅にやってくれば、大きな失望とともに、「二度と電車なんかに乗るか!」と怒る可能性がないではない。

 こういう方式で保線をしているのは、この鉄道会社くらいかな?
 放っておいてもいいのか? > 和歌山県民

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★06/07/22号:
 乗り継ぎが悪いよ〜〜〜〜〜〜〜

 近畿地方のJRのダイヤが不便になった話は以前にも書いたが、不便になったのはどうやら片町線だけではないようである。

 写真はJR奈良線の新田駅という宇治市内にある小駅の張り紙である。書き方が下手なので、何がどう変わったのか読み取りにくいが、ダイヤ改正前後の変化はこういうことのようである。

(改正前) 新田駅(23:24発)(23:49着)京都駅(23:52発)西明石方面へ
(改正後) 新田駅(23:22発)(23:52着)京都駅(23:50発)× 乗り継げない
  新田駅(23:03発)(23:34着)京都駅(23:50発)○ OK

 実に終電乗り継ぎが20分も早くなっている。終電の乗り継ぎが特に重要なのは鉄道会社も重々承知していることだろうと思う。わずか数分早く運転できればいいのだが、それができないのであろう。

 乗り継げるようにするには、安全に駅間の所要時間を短縮するしかないのだが、そのためには、線路が1本(単線)しかなければ2本(複線)に増設し、快速電車などが追い越す駅がなければ追い越し設備を増設し、急カーブがあってゆっくりしか通過できなければ緩やかな曲線に付け替え、加減速の悪い車両なら新型の高性能なものに置き換え、・・・etc...

 ところが、それができないのであろう。鉄道事業は営利事業かというと、鉄道単体では十分な利益が出ない。グループ全体としては黒字でも、鉄道事業単体では赤字のケースも多い。ましてや上に書いたようなことは、やったからといって、劇的に客が増えるわけではないので、なかなかできない。でも、みんな不便を感じている。これはいったい誰が解消すべき仕事なんだろうか。

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★06/07/19号:
 このまちは安心して歩けるまちです

 写真は東北の仙台の仙台駅から西方向に延びるアーケード街の写真である。七夕祭りの関係か、中央部が一段と高くなっており、アーケード街なのに樹木が配置されていたりなんかして、いい感じである。

 ご当地では住宅地が郊外に広がって中心市街地の地位低下が問題となっているようであるが、初めて訪れた身には、十分に活気のある中心市街地である。

 この商店街をどんどん進んでゆくと、アーケードが無くなるのだが、商店街はまだまだ続く。屋根がないだけで、歩行者専用の通路である。このへんが商店街の端っこかなと思う場所まで、実に1kmくらいある。

 JR駅から離れれば、若干、客は減るが、それでも商店街の客は十分多い。そこで見つけたのが右の車止めである。

 「このまちは安心して歩けるまちです」これが多くの客がやってくる秘訣かもしれない。自動車のことを気にしないといけないような商店街ではおちおち歩いてられない。ましてや子連れでは危なっかしくて気が気でない。危ないなら区外の大型ショッピングセンターの方が100倍マシである。

 左上の写真、郊外ショッピングセンターの中央通路に似てるような気がするのは気のせいかな?

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★06/07/16号:
 つぎとまります

 路線バスに乗ると、ほとんどの場合、降りたい停留所の手前で前のイスや手すりなどに取り付けられているボタンを押すと、「ぴんぽーん」とか「ちぃーっ」とかいう音とともに、運転席の後ろあたりに「つぎとまります」の緑色の表示が点る。

 路面電車なんかも基本的には同じシステムであるが、路面を走らない鉄道では快速電車や急行電車などでもない限り、全駅停車が原則である。

 もう、時効だからいいと思うが(といいますか、その路線そのものが廃線になって現存しないので)、そうではない電車も存在した。かつて和歌山県北部の海南市から内陸部に向かう私鉄電車路線があった。基本的には全駅停車だったのだが、終電や終電間際の電車に乗ると、車掌が乗客全員の降車駅を聞いてまわって、降車駅ではない駅については、停車を省略していたらしい。通過駅に客がいたらどうするつもりだったかは、今となっては定かではないが、まぁ、その時はその時、ということだったのであろう。今なら、新聞沙汰である。

 さて、左の画像であるが、カナダの大陸横断鉄道カナディアン号の運行スケジュールである。トロントを朝出発して、3日3晩走って、4日目の朝に西海岸のバンクーバに着くという、至って気の長い列車である。基本的にはこのトロント〜バンクーバ間は、週3便のこの列車しか旅客便は走らない。

 画像は初日のトロントから2日目夕方のウィニペグまでのものであるが、左側から駅名、トロントからのキロ程、発着時刻の順で書かれている。約500キロに一度は長時間停車があるが、機関車の燃料補給のためである。このスケジュールにはこのほかに、適用される時間帯(国内に時差がある)や運行曜日なども記されているが、かなりの駅に「★」印がついていることに気がつく。

 この★印、欄外には「Stops on request」と書いてある。つまり、乗降客がいる場合にのみ停車するということである。日本の路線バスと同じである。実際、この列車の沿線都市は小規模なものが多く、長距離路線バスさえも十分でないところが多い。わずか週3便のこの列車は、このような小都市を相互に結ぶ生活列車としても機能しているようである。

 都市部の路線バスでは、多くのバス停で停車し、通過するバス停の方が少ない。週に3便の気の長い列車といえども、バスよりは多くの乗降客があるので、実際にはこの★印の駅はほとんどすべて停車していたようである。

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★06/07/13号:
 くるくる・・・ポイ

 最近電車に乗るマナーが悪くなった、などという愚痴がちらほら聞こえてくる。今振り返ってみれば、我々の20年前のマナーが良かったかというと、それはある程度棚に上げなければならないのだが、今のマナーの悪さは確かにひどい場合がある。出入り口前の床に座り込んだり、ケータイで大きな声で通話したり、優先座席に堂々と大股広げて座ったり等々々・・・。

 女性のマナーも悪くなったと言われる。時々、お笑いネタに使われる電車の中での化粧であるが、これはさすがに20年前にはなかった。化粧自体は、さほど周辺に実害は与えていないのだが、よくぞまぁ、堂々と化粧をするもんだと感心する。なかには、下塗りから始める強者もいる。顔は洗ったのか?

 揺れる電車内で正確にペイントするのは高等テクニックが必要だろうが、今まで見かけた例では相応の結果に至っているので不思議である。少々の悪環境でも好結果に至るほどベースがよいのか、それとも少々の悪環境でもさほど違和感の無いように仕上がるほどベースがテキトーなのかは定かではないが、約10分ほど後には外出用の顔に変身するので不思議である。つけまつげも所定の位置に貼り付けられている。「化粧」とはよく言ったもんだ。

 実害はないのだが、たまにはとんでもない人もいる。髪の毛をブラシで解き、解き終わったブラシにからみついた髪の毛を指でつまんで、くるくるくる・・・・ポイ。おい、それはイカンだろ。

 ま、移動にあわせて化粧ができるというのも、電車ならではの風景で、自動車ではここまで大幅にはできない(自動車運転しながら化粧している人を見かけたことがないわけではないけれど・・・)。いちおう、電車の利点か。。。

 電車の中もすごいが、バスの中で化粧をしているのも見かけたことがある。残念ながら「完成」を見届けることはできなかったが、バスの揺れは電車の比ではない。そのペイント結果は、さぞ、芸術的なことだったろう。

 女性の方へ:電車の中で化粧しても誰も気にしていないと思うのは間違いです。たぶん、皆さん目を合わせないようにして、あなたを観察しています。(笑)

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★06/07/10号:
 どれが一番効率的に運べるか?

 年に2〜3回、近畿一円の高校に出張講義に出かけることがあり、この際によくやるクイズである。もっとも、最近の生徒さんは、みんなモジモジしているので、実際に手を挙げて答えてくれることは希である。

問題:写真は、ある都市の街路ですが、一番効率的に人を運ぶことができる交通システムはどれでしょう?
(1)中央の路面電車
(2)渋滞している自動車
(3)端っこのバス

 この問題の模範解答は、(1)中央の路面電車、である。

 渋滞は、みんなが詰めかけるので車が動かなくなって渋滞するわけだが、いったん渋滞してしまうと、もはや運んでいるわけではない。

 (2)の自動車は、こっちに向かってくる車線の台数を数えてみると1車線あたり十数台である。自動車は4〜5人乗りが多いのだが、実際に乗っているのはせいぜい1人か2人である。平均的には1.3〜1.5人程度のようであるので、写真の範囲では30人程度ということになってしまう。しかも、渋滞しているので、のろのろした動きで、決して効率的に運べているわけではない。

 (3)の端っこのバスは自動車よりはましである。同じく見えている範囲では4〜5台ある。バスは50〜70人乗りくらいであるが、満員ということは少ないものの、郊外などとは違い、都心では少なくとも10人くらいは乗っている。すると、40〜50人程度ということになり、自動車よりは効率的だということになる。渋滞も自動車の車線よりはましのように見える。

 (1)の路面電車は、写真には写っていない。路面電車は70人乗りくらいで、実際には30人くらい乗っていそうである。すると、2台くらいの路面電車が向こう側から走ってくると、60人くらいが移動したことになり、バスよりもたくさん運んだことになる。しかも、渋滞せずに移動できたのであるから、効率的なこと、この上ない。

 路面電車は、日本ではあちこちの主要な都市に走っていたが、1960年頃以降、最近まで、ずっと廃止され続けてきた。だが、最近では、少ないエネルギーで運べることや、路面電車を活用した都市づくりをすると、都市が小さくコンパクトになるので、効率的な都市になることなどが注目されてきている。

 そして、今年4月には、北陸地方の富山市でついに新設の路面電車が誕生するなど、新たな動きも出てきている。近畿地方でも、京都市や堺市などで路面電車を新たに整備することが考えられている。これから、だんだんと都市のつくり方が変わってくるかもしれない。

 このお話は、主に高校生向けのこっちにも書いてあります

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★06/07/07号:
 ETCにハンプ

 新聞によると、ETCのバーに激突する車が多いそうである。だが、解決はたぶん割と簡単である。

 第一案は、取りっぱぐれを容認して、バーを撤去することである。カナダのトロント郊外の407号高速は有料でETCシステムが導入されているが、ナンバー自動読み取り&後日請求方式なので、ゲートそのものがない。だが、日本人の国民性を考えると、なかなか実現しそうにないアイデアである。

 第二案は、ETCのバーの位置の路面を盛り上げてしまうことである。これは「ハンプ」という名前があり、あんまり速度を上げて運転してほしくない住宅街の道路や施設敷地内の道路などに設置されている。

 このハンプを無理矢理に高速で突っ切ろうとすれば、自動車が激しく上下し、極めて不快である。住宅街でこのハンプを設置すると、この上下時の騒音や再加速する際のエンジン音が問題となる場合があるが、高速道路のインターなら、まず問題になることはない。

 やる気になれば、すぐ解決である。

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★06/07/04号:
 30分待たされるアーバンネットワーク

 下(↓)に”公共交通機関の「時間の正確さ」とは、所定の運行計画どおりに走っているかどうかではなく、「客が事前に予想しているとおりに実際に移動できたかどうか」が重要だ”と書いたが、またまた、やられた。頼みますよ > 片町線殿

 朝、電車に乗ろうとして、駅に出発4分前に到着。なんだか構内放送が騒がしいが、どうやら尼崎の踏切で人身事故があったようで、ダイヤが乱れているらしい。いやな予感。

 そのままホームにあがると、目の前で電車が出発してゆく。ん? いやな予感が増幅される。所定の出発時刻にはまだ早いが・・・待つこと3分。構内放送によると、乗ろうとしていた電車は運休になったとのこと。

 この時間帯は15分おきに電車が運転されているので、待つこと15分。再び構内放送があり、次の電車も10分ほど遅れているとのこと。

 さらに待つこと10分弱。ようやく電車が到着。ホームでの待ち時間は30分弱。ここは大阪府下で、大阪市内まで30分のところなのに。

 10分ちょっと乗車して、バスに乗り換えるのだが、通常はバスは電車の到着10分後に出発する。ということは、10分遅れで電車が到着すると、ちょうどバスが出発した直後になる。バスも15分ごとに運転されているので、待つこと15分。結局、当初予定よりも45分遅れで職場に到着。もうお昼だよぉ。

 長距離交通でもない限り、なかなか来ないバスのナゾ(発車標準時刻表の悲劇)にも書いたように、バスや電車の車両や編成や乗務員が予定よりも何分ずれて動いているかは重要ではない。要は客が円滑に動けるかどうかである。間引き運転しなければならないような状況では、なおさら間引かれなかったダイヤに忠実に運転する必要がある。

 このケースでは最初に見かけた電車、つまり所定ダイヤよりも3-4分早く出発していった”遅れた電車”は、ちょっと待って所定ダイヤに沿って遅延運転すべきであった。わずかそれだけで、45分も時間を失う客はいなくなったはずである。運転整理方法の教科書的な本にも間引き方が書いてあるが、余り忠実には守られていないようである。

 さらに神経を逆撫でしてくれることに、長時間待たされている目の前を、2本のガラガラの快速電車が通過していったことである。電車を動かすことに夢中になって、客がどこかで待たされていることを忘れてしまっているんだろうな。

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★06/07/01号:
 渋滞でも到着時間が読めてしまう話

 交通渋滞というと、車がノロノロ走って、いったい目的地にはいつ着くんだろう・・・というイメージが浮かびがちである。

 とくに、滅多に行かない目的地の場合、渋滞に遭遇すると目的地への到着時刻は全くわからないことが多い。特に夏の観光シーズンなどに初めて訪れるような場所で渋滞に遭遇すると、予定が大きく乱れてしまって「あぁ、電車の方が良かったかなぁ」などと思うことも少なくない。

 ところが、実際に毎日毎日、自家用車で通勤してみると、本当に「いったい目的地にはいつ着くんだろう」と思うような渋滞は、年に2〜3回、あるかないかというレベルである。

 自動車で同じ経路を同じくらいの時刻に走ると、渋滞していても目的地に到着する時刻はだいたいわかってしまうのである。普段と様子が違って、少々混んでいるなと思うような場合でも、ちょっとした迂回路を使うなどの若干の渋滞回避策を講じれば、やはりたいていは到着時刻が読めてしまう。結局、到着した時刻が大幅に見込み違いであるのは年に数えるほどなのである。これは理論ではなく、数年間の実体験に基づく話である。

 いっぽう、公共交通機関、特に電車については、”時間に正確”というイメージがあるが、まぁ、だいたいはそうなのであるが、やはり年に何回かは大幅なダイヤの乱れがあり、到着の見込みがずれることがある。さらに、そのダイヤの乱れが原因で、バスなどへの乗り継ぎに失敗すると、思いの外時間がかかったりして、自動車の予期せぬ交通渋滞と同じような状況に陥ることも少なくない。

 結局のところ、現状のような電車の運行信頼性程度では「電車は時間に正確」などとPRしても、少なくともマイカー通勤に対してはあんまり説得力が無いように思える。

 公共交通機関の「時間の正確さ」とは、所定の運行計画どおりに走っているかどうかではなく、「客が事前に予想しているとおりに実際に移動できたかどうか」が重要だと思うが、まだ、そういう視点はどこにも無さそうである。

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