LRTは日本にまだ無いが、AGTならいっぱいある。「新交通システム」とか「AGT」では利用者に馴染んでもらえないことが明白なので、各線とも愛称にいろいろと工夫が見られる。ほとんど同じ交通機関システムだが、名前がいっぱいあって統一ブランドがないのが難点だが、そのまま「AGT」と呼ばせるよりは100倍親しみやすい。
日本では、これまでに新しい交通システムが導入されるたびに、その都度、路線のコンセプトや地域名などを織り交ぜながら、様々なネーミングが行われてきた。たとえば、表はその一部だが、いくつかの共通するキーワードが見える。
鉄軌道路線なので、「ライン」や「ライナー」が多く、中には「シャトル」という切れ味鋭いネーミングもある。地名や地域の特徴以外のキーワードが織り込まれた例としては、最新鋭の駆動方式であるリニアモーターカーを強調した「リニモ」、スムーズな移動によって時間を生み出したいとの願いを込められた「ゆとりーとライン」などがある。
フランスや英国などでは路面電車をトラムと呼ぶが、大阪や広島では高架軌道上をゴムタイヤ式の車両が自動運転される新交通システムを「ニュートラム」や「アストラム」と呼んでいる。もし、これら大阪や広島の例がなければ、LRTのことを「ニュートラム」や「アストラム」と呼ぶとぴったりだったかもしれない。だが、残念ながら、ずいぶん前に先を越されてしまっている。
なお、このようなタイヤ式の新交通システムも軌道系の中量輸送機関なので、強力な都市交通策やまちづくり策と組み合わせて位置づけを明確にするのならば、広い意味でのLRTの仲間だと考えてもいいのかもしれない。
路線名(愛称) | 地域 | 連想されるイメージ | 備考 |
---|---|---|---|
ユーカリが丘線 | 千葉県佐倉 | 新興住宅地名から | |
ニューシャトル | 埼玉 | 新しいシャトル(行ったり来たり) | |
ゆりかもめ | 東京 | 海に近いので | |
レオライナー | 所沢 | 西武が運営しているので | |
シーサイドライン | 横浜 | 海に近いので | |
リニモ | 名古屋郊外 | リニアモータ使用 | AGTではなく、常電導リニア |
ゆとりーとライン | 名古屋 | ゆとり、余裕 | AGTではなく、ガイドウェイバス |
ピーチライナー | 小牧市 | 新興住宅地名から | |
ニュートラム | 大阪市 | 新しい「トラム」? | |
六甲ライナー | 神戸市 | 六甲山から | |
ポートライナー | 神戸市 | 港湾都市なので | |
アストラムライン | 広島市 | 「明日」の「トラム」? |
とある研究会でとある原稿の作成中である。この原稿にはコラムが書き加えられていたのだが、本編よりもコラムの方が長くなってしまったので、結局コラムの大部分のお蔵入りほぼ確定となった。今回はそこからの落ち穂拾いである。話題は、都市交通システムのホープ、LRTについてである。ただし、LRTがまちづくりに有効だとか、そういう話ではなく、もっといいネーミング無いのか、という話である。
みなさん(除く、その方面の専門家)、AGTって何かわかりますか? わからないですよね。じゃぁ、ポートライナー、ニュートラム、ゆりかもめ、ならわかりますよね。つまり、電車のような乗り物なんだけれども、箱がちょっと小さめで、鉄車輪じゃなくてゴムタイヤを履いていて、高架軌道などを自動運転している大都市に走っている乗り物のことで、AGTはAutomated Gideway Transitの略である。
日本では新しい路面電車システムとしてLRT、あるいはライトレールという名前が有名になりつつあるが、LRTという三文字は専門家の間ならともかく、世間一般の皆様にはなじみにくいのではないかという意見がある。確かに、その意見はAGTの例を見れば正しそうだ。
海外の「LRT」が実際にどんな愛称で呼ばれているのか、いくつか調べてみたが、そのものズバリ、LRTを名乗っている例としてはカナダのトロント市のオンタリオ湖岸を走る新設の路面電車線がある。ただ、この路線を走ってくる電車は市内他路線と同じ古くて床面の高いタイプの上、交差点の信号機も単に電車と自動車の事故防止のために現示が分けられているだけであり、おおよそ優先信号とはほど遠い。路線の終点付近が地下化されている点がLRTっぽいが、まぁ、日本で取り上げられているLRTの条件からすればLRTではない。
ライトレールを名乗る例としては、英国のロンドンの港湾地区再開発にともなって貨物線跡などを利用して整備されたDocklands Light Railがある。ここも旧貨物線などを転用して高床式電車と高床式ホーム、完全に街路から分離された高架や地下の専用軌道なので、日本のイメージするLRTではない。
ライトレールを直訳して漢字表記すると「軽鉄」になるが、中国の北京ではこの呼称が使われている。ただし、中国の軽鉄は、高架の専用軌道を持った第三軌条という地下鉄と同じ方式の集電装置を持ち、車両も地下鉄のような電車が走ってくる。
LRTの呼び方は、実は国により様々で、そのままLRTと呼んでいる例の方が少ない。下の表は、各国の路面電車システムの呼び方の主なものだが、各国各様であり、LRTのことを何と呼ぶべきかについては定まっていない。
つまり、日本で新たに新しい路面電車システムを構築する場合には、親しみやすくて新しいシステムを表すにふさわしい名称を新たに付けてもよい、ということになる。今なら、LRTという新しい交通システムの名付け親になれるわけである。
キーワード | 主な国 | 意味と具体例 |
---|---|---|
リンク | 英国 | 接続: Croydon Tramlink(ロンドン郊外)、Metrolink(マンチェスター) |
トラム | フランス他 | |
ストラッセン・バーン | ドイツ | ストラッセン[街]とバーン(道路):ドイツ各都市 |
Sバーン | ドイツ | 鉄道線の近郊路線:ドイツ各都市で、路面電車が郊外鉄道線に乗り入れている場合 |
ストリートカー | 北米など | ストリート(街路) + カー(車両):北米各都市 |
市電 | 日本 | 市街地を走る電車(主として市営電車を指すが、市営でない場合にも使われること有り):日本各地 |
路面電車 | 日本 | 道路の表面を走行する電車:日本各都市 |
その他 | 市政機関(municipality) : MUNI(サンフランシスコ) 「まち」から:丁丁(香港) |
最近はあんまり見かけなくなったが、かつてワープロソフトや表計算ソフトのシェア争いが激しかった頃、乗り換えキャンペーン割引というのをよくやっていた。競争が激化して、結局、誰が”乗り換え客”なのか定義がぐちゃぐちゃになってしまい、製品の定価が割引価格になってしまった時点で終了したんじゃないかと思う。
ところで、CO2排出削減がなかなか進展しないようだが、文字通り"乗り換えキャンペーン"をやってもいいのではないかと思うが、どうだろう。乗り換えキャンペーンには原資がいるが、CO2排出削減という国家命題に、鉄道の販売促進費を使うのもちょっと変なので、鉄道と自家用車の間で排出権取引のようなことをするという方法を考えてみよう。
CO2排出権取引はすでに実施されており、欧州での相場はCO21トンあたり3000円程度である。これをgあたりにすると、0.003円/g-CO2となる。
ところで、自家用車のCO2排出原単位は45g-C/人Km程度、鉄道は5g-C/人Km程度なので、自家用車から鉄道に乗り換えると40g-C/人Km減少する。この値は炭素換算の値なので、二酸化炭素量に換算すると40×44/12=146.7g-CO2/人Kmとなる。
これに先ほどの排出権価格をかけると、146.7×0.003 = 0.440円/人Km、つまり自動車で1人1kmを運んでいたのが鉄道にシフトすると、外国から排出権として買えば0.44円かかるだけのCO2を削減できる。乗り換えキャンペーンでCO2削減されるのは自動車交通側なので、(まぁ、議論の余地はあると思うが)道路特会などからキャンペーンの原資を調達するというのはどうだろう。
例えば、片道15Kmの距離を自動車で移動していたものが、電車に"乗り換え"たとする。すると、年間260往復するとして、総移動距離は7,800Kmである。このとき、0.44を掛けると3,432円が排出権価格相当になる。この区間の定期券代は、JRの電車区間の6か月定期で33,260円、1年で66,520円となるが、上の3,432円は5.2%に相当する。
つまり、こんなキャンペーンになる。
個人情報保護法とやらで、昨今は住所氏名電話番号等の取り扱いが難しくなってきている。だが、どこの学校に何という名前の教員がいて、電話番号は何番なのかは簡単にわかる。大学は特にわかりやすい。そんなわけで、「マンション買いませんか?」とか「先物取引しませんか?」「投資ファンドどうですか」等々、いろんな電話がしょっちゅうかかってくる。
ところで、世間一般には大学教員はお金持ちとのイメージがあるようだが、まぁ、フツーの大学の30代教員の場合は各種ローンがあったりして負債の方が多い。自ら住むマンションならともかく、投資目的の不動産購入などできるわけもない。
ということは、「マンション買いませんか?」というような電話がかかってきた場合には、”いりませ〜ん”とか、”まにあってま〜す”とか、そんな返事をすることになる。ところが、たまたま目の前にある仕事がはかどっていなくて、気分転換したいと思っているときに電話がかかってくると、ちょっとイジってみたくなる。
(電話)ピピンポン、パパンポン・・・ | |
私 | 「はい、Webmasterです。」 |
勧誘員 | 「こちら、○○○と申します。」 |
私 | 「どういったご用件でしょうか?」 |
電話がかかってきた時点で、 雰囲気は既に察知しているのだが、仕事内容が都市計画分野も含んでいるので、 勧誘ではない可能性もある。用件を聞くまでは丁重にお答えしなければならない。 | |
勧誘員 | 「本日お電話を差し上げましたのは、節税対策や利殖に使えます、 ワンルームマンションの件でございます。」 |
きたきた。ちょっとイジってみよう。 イジるのなら、ここで主導権を握るべし。 | |
私 | 「へぇ〜。そのマンションはどこにあるの? あ、ところで、お宅の会社はどこにあるんでしたっけ?」 |
興味を示しながらも、 矢継ぎ早に質問するのがミソである。 | |
勧誘員 | 「弊社は、東京の新宿にございまして、マンションの販売・・・」 |
私 | 「マンションの販売といえば不動産販売になるけど、お宅は誰か宅建の免許もってるの?」 |
勧誘員 | 「もちろん、もっております。」 |
私 | 「何人くらいもってるんですか?」 |
勧誘員 | 「少々、お待ちください・・・(ゴソゴソ)・・・1300人です。」 |
ほんまかいな? | |
私 | 「いやいや、社員数じゃなくて、宅建の免許もってる人の数ですよ。 街の不動産屋さんなんかに行くと、1店舗で1人くらいしかいないでしょ?」 |
勧誘員 | 「少々、お待ちください・・・(ゴソゴソ)・・・650人です。」 |
ほんまかいな? 1300を半分にしただけじゃないの? まぁ、どうでもいいので、次の質問に行くことにする。 | |
私 | 「へぇ〜、すごいですねぇ。ところで、マンションて言ってたけど、どんなマンション?」 |
勧誘員 | 「マンションはワンルームタイプのものでして、 ご購入後に賃貸マンションとして貸し出すことによって・・・」 |
私 | 「私が買ってから貸すくらいなら、お宅が直接貸し出せば面倒がいらないんじゃないの? どうして売ってから買った人が貸すの?」 |
勧誘員 | 「東京では学生や社会人の方がワンルームマンションを借りてすむケースが多いので・・・」 |
私 | 「じゃぁ、直接貸した方が儲かるんじゃないの? どうして売ってから貸すの?」 |
勧誘員 | 「・・・」 |
私 | 「東京の学生街って、どこでしたっけ? お茶の水とか・・・」 |
勧誘員 | 「えぇ、例えば新宿の東側にはいくつか大学もございまして、・・・」 |
私 | 「学生の数って、全国的に減ってきてるんじゃないの? 減ってきてるんなら、借り主がいないと思うんだけど・・・」 |
勧誘員 | 「いっ、いえいえ、東京ではマンションを借りて大学に通う人も多く・・・」 |
私 | 「最近は大学生って、自宅から通う人が多いんじゃないの?」 |
勧誘員 | 「あ、いや、東京は人口密度が高いので、そうでない人も多いんですが。」 |
私 | 「そのマンションはどこにあるの?」 |
勧誘員 | 「都内の品川の電波塔の下くらいにありまして、・・・」 |
私 | 「あぁ、東京タワーのことね。電波塔の下って家賃安いんだよね。知らな〜い?」 |
勧誘員 | 「そ、そ、そうですか?」 |
私 | 「東京タワーの下って、学生街だったっけ? そんな学校から遠いところ、 誰も借りないんじゃないの?」 |
勧誘員 | 「あ、いえ、学生でなくとも会社が社宅として借り上げる という方法もございますので・・・」 |
私 | 「借り上げ社宅ね。でも、電波塔って、横には電波を飛ばすけど、 下には電波来ないんじゃないの?」 |
勧誘員 | 「・・・」 |
私 | 「ところで、そのマンションは賃貸用に建ててあるの? それとも、分譲用に建ててあるの? 賃貸用に建てたマンションて、 10年くらいしか持たないような造りのがあるんだよねぇ。」 |
勧誘員 | 「ぶっ、ぶ、分譲用として建ててあります。」 |
私 | 「何年くらいもつの?」 |
勧誘員 | 「ひっ、ひ、100年です。」 |
ほんまか! | |
私 | 「じゃぁ、構造はRC? それとも鉄骨?」 |
勧誘員 | 「・・・あっ、いや、それは、弊社のホームページをご覧になると、 書いてありますが・・・」 |
私 | 「じゃぁ、ホームページ見るから。じゃぁねぇ〜〜〜」 |
会社の名前を覚えてないので、見られるわけもない。 これにて、終了。所要時間20分ほど。ここに書いた以外の「質問」もしたと思うが、忘れた。 | |
まだまだイジりたい場合は、「えーと、お宅の会社はどこにあるんでしたっけ」あたりに戻って、同じような質問を繰り返す方法もある。つまり、”大木こだま・ひびき”の要領である。 |
電話で勧誘しないと客が集まらないような不良インフラをつくるんじゃなくて、誰もが欲しがるような良質のインフラを整備するのが筋であるが、残念ながら不動産ディベロッパーは、ちゃんとまちづくりのことまで考えている会社から、インフラの知識がほとんど無い金目当てのものまで千差万別である。
この手の無差別勧誘で手に入る不動産の質は推して知るべしであろう。みんなでくだらない質問をして手間を取らせれば、電話をかける数が少なくなるので、勧誘員にはダメージが大きいそうである。「間に合ってます」では愛想がないのでみんなで話し相手になってあげよう。
なお、Webmasterが大学生の頃は、下宿に英会話学校の勧誘電話が多くかかってきたので、小一時間世間話をしたあとに切ってあげていた。気分転換したいときには、当該英会話学校まで出向いて、一通りの見学を済ませたあと、契約書を出された瞬間に「なに? これ? そんなもんに、判子押すわけ無いやろ」と言って帰ってくるということもあったが、最近はそんな暇も無い。
(追伸)勧誘員に対する個人的な質問をいろいろする方法も効果的らしい。どうしてこんな仕事をしているのか、時給はいくらなのか、正社員かアルバイトか、その会社の沿革はどうなのか、主要株主は、等々、質問内容はみなさんのスキルによるので、健闘を祈る。
石畳をクルマが走ると乗り心地が悪いというような話ではない。
これを書いている現時点では流されていないが、よく自動車のテレビコマーシャルで、クルマが温泉地などの観光地風の道を走っている映像が使われる。最近では、世界屈指の自動車メーカーの若者向けの黄色い変わった形の小型車のCMや、近隣の半島にある国の自動車会社の高級車のCMで使われていたと記憶しているが、そのほかにもあったかもしれない。
CMそれ自体の雰囲気はいいのだが、冷静になって考えてみると、観光地の石畳である。浴衣を着て下駄でカラカラいわせながらのんびり歩きたいところに、自動車が入ってくるとどう感じるだろう。鬱陶しい。それが多くの人の感覚では無かろうか。
例えば、右の写真は、紅葉と湯豆腐で有名な京都の南禅寺境内の写真と、三年坂から清水寺へ向かう路地の写真である。いずれも、クルマがなければいい雰囲気なのだが、路上駐車や行き交うクルマで台無しである。石畳にもタクシーが入ってきて、せっかく現実から離れた空間を堪能しようとやってきても、これ1台で現実に引き戻される。
左の写真は、同じく京都の観光地の嵐山である。ここは土日や休日などに一般車両の通行制限(一方通行)を実施している。2車線道路の区間の割にはいい雰囲気なのだが、わずかに残る自動車のために、観光客は道路を歩くことができず、狭い歩道に押し込められている。ここまでするのなら、もうひと息、自家用車の進入禁止にしても大勢に影響はないように見えるのだが、できない理由があるのだろうか。
自然環境の保全に大きな関心のある人にとっては、大自然の中を走り回るクルマ、という映像に違和感を覚える人がいるかもしれない。いずれにしても、広告には、その商品の適切な使い方を知らせる使命があるのではないかと思うが、どうだろうか。
間もなく神戸空港開港のようである。新物好きのWebmasterとしては、是非とも見物に出かけたいところであるが、同時に人混みはあまり好きではないので世間の話題が一段落した頃に散歩に行くことにしよう。
強力なコンペティター(競争相手)の登場で、新幹線の方も対応が大変のようである。割引切符の発売対象区間を拡大したり、のぞみ号を増発したり、お客の争奪戦まっただ中である。
ところで、最近は航空輸送業界は競争が厳しく、価格を下げながらもサービスのネットワークを拡大する作戦がとられている。単純にネットワークを拡大しても、末端の路線では閑古鳥が鳴いたり、便数が少なすぎて使いにくかったりするので、いくつかの航空会社の間で提携が行われており、特に国際線で顕著である。コードシェアという方法がそれであるが、例えば日本の航空会社のチケットを買って外国の地方都市まで行こうとすると、次のような乗り継ぎになる。
チケットには日本の航空会社の便名が書かれており、乗り継ぎ先の飛行機にも日本の航空会社の便名が書かれている。全部日本の飛行機のはずである。ところが実際に旅行してみると[最初の飛行機]は確かに日本の航空会社なんだけれども、[乗り継ぎ先の飛行機]は現地航空会社の飛行機だったりするケースがある。場合によっては、[最初の飛行機]までもが現地航空会社の飛行機だったりする。 つまり、こういうことである。[乗り継ぎ先の飛行機]には本来の現地の航空会社の便名のほかに、日本の航空会社の便名もついているということである。1つの飛行機に2つの便名、これがコードシェアである。場合によっては3つ4つ付いている場合もある。
さて、ドイツやフランスに行くと、もっと面白いものが見られる。日本では考えられない話だが、空港最寄り駅に発着するICEやTGVに航空便名がつけられ、航空機として運行されているのである。近距離航空便を鉄道に置き換えているということなのだ。航空便として列車が運行されているので、空港代わりの鉄道駅にもIATAの3レターコードが割り振られているようである。ドイツについていえば、古くはルフトハンザエアポートエクスプレス、最近はエアレールサービスと呼ぶらしい。
※写真は、シャルルドゴール空港のTGV駅
日本はどうだろう。航空と高速鉄道は商売敵なので、現状ではそんな雰囲気は無さそうだが、関西国際空港を乗り換え拠点として、近畿および周辺地方都市への直通列車を航空便として運行して、地方都市の中心駅にIATAの3-Letter Codeを割り振ってはどうだろう。3-Letter Codeとは、関西国際空港ならKIX、成田空港ならNRTと略される英字3文字のことである。3-Letter Codeを割り振ってIATAの航空券で日本国内の鉄道に乗ることができれば、海外からのお客は日本国内の切符の心配をしなくても大阪以外の都市までやってくることができる。
日本版エアレールをすぐにでもできそうなのが、京都であろう。京都は世界的な観光都市である。もし海外からIATAの航空券でそのまま京都まで行くことができるのなら、海外からの旅行者の利便性が非常に良くなる。
IATAのサイトで調べてみると、幸い、下のような京都を連想させる3-Letter Codeは空いているようである。「LHR-->KIX-->KTO」と書いた航空券で「はるか」に乗って京都観光に来てもらうというのもいいんじゃないかと思うが、実現はまだまだ「はるか」先だろうか?
※この話は、関西の一部交通関係の研究者の間で時々出る話題である・・・が、関西空港開港10年以上たった今も実現していない。
大学の隣に回転寿司がある。学食の揚げ物が胃もたれするようになってきた昨今、自然と常連の仲間入りをしつつあるのだが、ここにも、近鉄バスのように常連のみが知るナゾがある。
ご存じのように、回転寿司は目の前を寿司がクルクルとコンベアにのって回っており、好みのものを直にとって食べる。無ければ、目の前のメニューを見ながらインターホンなどで頼めば数分内には「注文品」などと書かれて、クルクルとコンベアにのって回ってくる。
通常のメニュー以外にもキャンペーン品や期間限定メニュー、本日のお奨めなどの情報が店内あちこちに貼られているのだが、いかにも近所の人風の客の行動が目にとまった。
インターホン越しに、
客 「○○ありますか?」
店員「ちょっと待ってください・・・ありますよ」
客 「じゃぁ、1つ」
ん? そんな種類の寿司ネタはメニューにもキャンペーン品にも、本日のお奨めにも無いぞ・・・! どうやら、「本日のお奨め」に載せるほども入荷がないが、準備はできているマイナー定番寿司ネタというのがあるようである。どういう寿司ネタがそれに該当するのかは、どこにも書かれていないので、勘が働く常連客のみが知っている。
そこで、私も試しにやってみた。
私 「大葉こういか ありますか?」
店員「ちょっと待ってください・・・ありますよ」
私 「じゃぁ、1つ」
これで正式に常連の仲間入りをしたような気がする。(くだらん話書いてないで、仕事しよっと)
CO2排出削減しないといけないのに、輸送部門からの排出量が減らないようである。減らないどころか、増えているようである。渋滞解消と燃費向上で何とかしようとしているようであるが、前者は渋滞解消→需要喚起→渋滞再発生の悪循環でなかなか前に進まないし、後者も徐々に改善されてきてはいるものの、劇的な向上にまでは至っていない。
以前、自家用車で1人1キロ運ぶ際に出るCO2量は、炭素換算で44gと書いたと思うが、自家用車の燃費は平均的にはリッター当たり8.3km程度である。燃費のいい車の代表格トヨタのプリウスでリッターあたり35.5kmであるが、なかなか実際にはテストコースのプロドライバーのような運転はできないので、実際にはもう少し下であろう。22.3km/Lという報告もあるようだ。
もし全部の車がプリウスになると、自家用車の排出原単位は、1人1キロあたり44*8.3/22.3=16.4gということになり、めでたく京都議定書クリアなのだが、プリウスの普及具合を見てもまだまだそれは遠そうである。
ところで、鉄道車両は、それ自体の燃費はレーシングカー並みの大食いなのだが、1人で乗るわけではないので実に効率がいい。CO2排出削減にはうってつけである。一般的な鉄道は1人1キロ運ぶ際に出るCO2量は炭素換算で5g、新幹線で6g、地下鉄で3g、路面電車で9g、新交通システムで7gのようなので、どの鉄軌道システムもプリウスよりもエコである。
これを自家用車の燃費に換算してみるともっとよくわかる。プリウス22.3km/Lが16.4g-C/人Kmなので、例えば5g-C/人Kmの排出原単位なら、プリウスに比べて、16.4/5=3.28倍効率がよいということになる。わかりやすく自動車と同列に燃費を比較できるように、プリウスの燃費22.3Km/Lを3.28倍効率よくしてみると、22.3*3.28=73.1、つまり5g-C/人Kmは73.1Km/L相当ということになる。全部の鉄軌道システムを換算して、次のような燃費比較の表が出来上がる。
車種 | 燃費(比較できるように換算) | ■=10km/L | CO2排出原単位 |
---|---|---|---|
自家用車一般 | 8.3km/L | ■ | 44g-C/人Km |
乗合バス | 19.2km/L相当 | ■■ | 19g-C/人Km |
プリウス | 22.3km/L | ■■ | 16.4g-C/人Km |
路面電車 | 40.6km/L相当 | ■■■■ | 9g-C/人Km |
新交通システム | 52.2km/L相当 | ■■■■■ | 7g-C/人Km |
新幹線 | 61.0km/L相当 | ■■■■■■ | 6g-C/人Km |
鉄道一般 | 73.1km/L相当 | ■■■■■■■ | 5g-C/人Km |
地下鉄 | 121.9km/L相当 | ■■■■■■■■■■■■ | 3g-C/人Km |
さて、燃費重視で選ぶなら、次はどの車種に乗り換える?
※電車が使えず、プリウスを買う資金力もない場合は、バスも悪くない選択である(02/24)
近鉄バスのナゾは続く。
Webmaster勤務先最寄りのバス停である「産業大学前」は、「30号系統 近鉄瓢箪山駅←→JR住道駅前」と「40号系統 近鉄瓢箪山駅←→JR住道駅前」がメインでともに昼間は15分ごとにやってくる。これに「16号系統 生駒登山口←→JR住道駅前」の住道方向のバスが変則的に停車する。このあたりまでは近鉄の駅発着、あるいは近鉄の地元という範疇で理解できるのだが、こういうのもある。「10号系統 梅田←→産業大学前」!?
大阪平野の東の端、生駒山系の麓にある「産業大学前」を出発し、ひたすらまっすぐ西に向かう。約1時間で終点梅田。朝夕5往復ずつ。Webmasterの場合、大阪市内梅田近辺に用事があり、時間的な制約が厳しくなく、しかもバスと電車を乗り継いで行こうかなと思いながらバス停に行ったら、たまたま梅田行きが発車しようとしていた、という条件をすべて満たしたときに限り使う。利用頻度は2〜3年に一度くらいであろうか。バスと電車を乗り継ぐよりは安いが時間は20分余計にかかる。始発から終点まで乗る客は少なく、大阪市内のバス系統と産業大学付近のバス系統をつなぎ合わせたような路線のようである。
どうしてこのような路線があるのか、気になっていたのだが、どうやら歴史的な経緯があるようである。ある本(※)によると、昔々、その昔、大阪と奈良を結ぶ近鉄という電車が大軌と呼ばれていた頃である。奈良から大阪方面に向かう近鉄のルートは、2本構想されていた。1本は現在の近鉄電車のルートで、奈良側から生駒山を抜けるトンネルを大阪側へ出ると、生駒山の斜面を南方向に降りてゆき、麓の瓢箪山からはまっすぐ西に向かって難波に至る。もう一方は、同じくトンネルを抜けると、生駒山の斜面を北方向に降りてゆき、現在の大阪産業大学の東キャンパスを突っ切って、ここから先はまっすぐ西に向かって梅田に至る。
(※)「鉄道未成線を歩く 私鉄編」森口誠之著,JTB,2001
結局、北側のルートは現在のJR学研都市線、つまり片町線が早々に電化して電車を走らせ始めてしまったために実現しなかったようである。で、その代わりに近鉄が「10号系統 梅田←→産業大学前」というバスを走らせ始めたということのようである。
歴史に「もし」は無いというが、もしその北側ルートができてたら、このへん(大阪産大)付近ももっと便利だったろうになぁ、せめて、片町線の駅までの枝線でもつくってくれていればなぁと思う。だが、本当にそうだったら、土地の値段が高くてこの場所に大学の敷地を確保することはできなかっただろう。もっとも、大阪産大の前身の学校は、もともと大阪駅前にあったようなので、移転しなければ超一等地だったろうに・・・。
きりがないので、今日はこのへんで。
この由緒ある(?)「10号系統 梅田←→産業大学前」も、通しの乗客が少ないことが影響してか、2006年4月5日の運行を最後に直通運転が廃止されることになってしまったようである。
出勤時のナゾはまだある。
バス通勤している他の人の話では、すべてのバスが四条畷駅前から出発しているわけではないらしい。朝の1本は、どこからか回送のバスがやってきて、始発の四条畷駅にはやってこずに、次のバス停から走りながら営業運転に入るらしい。
また、別の情報では、例の41号のバスに乗ろうとすると、入り口にパウチ加工した張り紙がしてあり、「大阪桐蔭高校専用バス」と書いてあることがあるらしい。だが、貸し切りとは書いてなさそうなので、大阪桐蔭高校と同じ法人の経営の大阪産業大学の教職員なら乗せてくれるかもしれないが、その真偽はまだ定かではない。
鉄道はマニア諸君によっていろいろとイレギュラーな運行について語られているが、バスについてもバスなりにナゾが多いようである。
増刊号ができました。「特集:ゴムタイヤトラムの特徴と課題」はこちら。
Webmasterは毎日近鉄バスを使うが、定期券は持っていない。モトが取れないからである。まぁ、出勤が遅めで帰宅も遅めなので、帰宅時にはバスがなくなっているとか、バスのある時間帯でも大学の送迎バスに乗るので路線バスにはあまり乗らないとかの理由で、回数券の方が有利なのである。約20日間程度おきに販売額4000円の回数券(4650円分乗れる)を買っている実績なので、年間でだいたい7万2千円のバス代になる。定期を買うと、通勤6ヶ月定期2枚で10万1080円なので、回数券の方が安い。
毎日、往復とも近鉄バスの路線バスを使うとしたら、どの程度でモトが取れるのだろうか。片道240円の区間なので、往復480円となり、年間の定期代では210往復となる。つまり、年間通して週4往復すれば、だいたいトントンということである。ところで、今持っている電車の定期は、通勤6ヶ月で3万240円、年間で6万480円であるが、往復420円の区間なので、144往復つまり、週3往復弱でトントンである。この損益分岐点の差は歴史的経緯による部分も多いが、経営体力の差や、電車は少々の詰め込みはきくけれどバスは詰め込めないなどの交通機関としての特徴の差が効いているのかもしれない。
さて近鉄バスだが、一見、週4往復確実にバスを使うか、というあたりが定期を持つかどうかの分かれ目になるように見えるが、そう簡単ではない。ここで登場するのが冒頭の回数券である。4000円の販売額で4650円分使えるというのは、結構安い。週4往復、年間210往復だと10万800円分の運賃が必要だが、これを回数券で支払うと、8万6700円程度の支払いですんでしまう。週4往復では回数券の方が安いのである。では、週5往復だとどうだろうか。年間260往復で、これを回数券利用で支払うと10万7400円程度となり、ようやく定期券の方が安くなる。つまり、定期券は年間を通して確実に週5往復以上する人でないとお得ではない。
ところで、1年365日のうちどの程度が出勤日数であろうか。もし、完全週休2日なら、それだけで年間105日程度の休みがある。さらに祝日、振り替え休日、盆・正月、有給休暇、出張等の通常の通勤経路ではない行動、など数え上げてみると週5往復以上確実に定期を使う人は、そう多くはないように見える。実際に、毎日のようにバスを使っているが、時間帯も悪いせいもあるけれど、バスの定期を持っている人は少なそうに見える。持っていればバス利用の可能性が上がるのが定期券だが、この価格帯では存在価値が薄い。販売価格を見直した方がいい時期に来ているのかもしれない。あるいはICカード方式で利用実態に合わせて割り引いてゆく方式を導入するなどの方策を検討する段階に来ているのかもしれない。