お世話になった先生が、今年度いっぱいで定年退官される。ある時、その先生が何人かの若い研究者を前にしてこうおっしゃった。
「君たちはかわいそうだ。私が若い頃は何を研究しても、真っさらな雪の上を歩くように足跡が付いた。今はあちこち足跡だらけで、研究テーマを探すだけで苦労する。」
確かに、ちょっと思いついた程度のことは、論文集や講演集をぱらぱら見ると、たいてい誰かが既に手をつけている。新雪だと思って歩いていると、ふと気がつくと先人の踏み固めた足跡をたどっているに過ぎないこともある。
だが、この踏み固めた道がなければ、雪深い奥地まで入ってくることができなかったことも、また確かである。雪の上に無数に残されている足跡は、その踏みしめられた足跡のさらに先へと進んだり、そこから分かれ道して進んでできた足跡であろう。皆、最初にできた道を頼りにして進んできたに違いない。
「一般化費用」という用語は、この先生が広めたらしい・・・・知らなかった。
携帯電話にQRコードという二次元バーコード読み取り機能がある読者は、右の写真を読み取ってサイトに接続してみよう。同様の図形は京都市内の全バス停のどこかに示されている(らしい)。
パソコンで見るには、こちら。
このサイトは京都四条河原町のバス停のバス接近表示器と同じ内容である。時々再読込をすると黒丸印の201号系統反時計回り(比較的都心部の循環系統で数分おきに運行)のバスが接近してくるのがわかる。
バスロケーションシステムというのはご存じのようにずいぶん前からある。それ自体はバスの遅れを何とかしてくれる代物ではないが、ずっと道路の右方向を注視しなくてもいいのでイライラしなくても済むほか、急ぐときにはバスをやめてタクシーにするとか臨機応変な対応を取れるようになる。
この便利なバスロケーションシステムであるが、なかなか全国的な普及には至らない。導入している都市でも、すべての停留所に接近表示があるわけではない。その大きな理由は、お金である。システムを構築するにはバスに専用の発信器を設置し、その受信機を道路沿いに何カ所も設置し、中央のデータ収集装置まで専用の回線で結び、再び専用の回線で各バス停までデータを送って表示する。
その点、普及率の大きくなってきたカメラ付き携帯電話の機能を活用すれば、少なくとも中央のデータ収集装置から各バス停までデータを送る部分の費用は軽減されるし、すべての停留所のデータを配信することも容易になる。もっと進めてバスから中央のデータ収集装置までの部分も一般の無線電話回線を活用できるようになればもっと安上がりになるかもしれない。
この手のシステム開発は、電話会社等の通信会社が熱心に研究しているのだが、社会への普及を進める前に次の開発へと移ってしまう傾向があり、このQRコード活用のバスロケーションシステムも大々的全国的に認知されているところまでは至っていないような気配もある。うまく活用すれば、これまでバスロケ導入など全く考えも及ばなかったような閑散路線や小都市でも導入できる可能性があると思っているのだが、どこかの会社がしないかな?
今朝乗った電車で、はかま姿の女性を見かけた。卒業式のシーズンである。そういえば、我が家のアジサイも芽を吹き始めたし、ほとんど動かなかった金魚も暖かい日の午後にはエサくれエサくれになってきた。3月15日には早くも高知でソメイヨシノが開花したようだ。春が来た。
みなさんは桜が咲く時期の年中行事は何を思い浮かべるだろうか。桜というと、入学式のイメージを抱く人が多いと思うが、Webmasterは入学式+桜という組み合わせには少々違和感がある。出身の和歌山では、桜のピークは3月下旬のことが多く、入学式と言うよりは終業式や小学校の卒業式のイメージがある。入学式の時期にはいつも葉桜か、遅めの年でも桜吹雪終盤なので、幼少の頃からテレビに映される入学式のニュースにどうして満開の桜が映っているのか不思議であった。
桜はもちろん、スケジュール帳とにらめっこをしながら開花の日程を決めているわけではない。日の長くなってきたのを感じてつぼみを準備し、暖かさを感じ取って花を開く。なので、暖かい地方では早めに咲くわけである(・・・て、まぁ、今さら説明するほどのことでもないが)。
さて、温暖化で日本中(世界中)暖かくなったらどうだろう。東京や大阪などの入学式の時期に桜の咲く地域でも、そう遠くないうちに終業式の時期に桜が咲くようになるのかもしれない。もっと暖かくなると、節分の鬼のバックには桜が咲き、奈良東大寺のお水取りの時期には田植えをするようになるかもしれない。入学式に添えられる花はアジサイか。
こうなると、暑いならクーラー入れればいいや、海面が上がるなら堤防つくればいいや、という問題ではない。長年培われてきた日本文化も温暖化で失われるのだろう。
半月ほど前の研究会の”二次会”でのお話である。最近、鉄道用のICカードがいくつかあるが、スルッと関西のピタパ、JR西日本のイコカ、JR東日本のスイカのうち、どれを持っているのが一番便利かという話になった。関西方面の人ばかりの席だが、東京方面出張が多い人はスイカも持っていた。携帯電話にスイカ機能をつけた人までいる。間もなくJR東海が在来線用にトーイカなるカードも出すらしい。いずれも、ソニーのフェリカであるので、基本的な構造や使い方は同じものである。
そこに集まった面々の知っていることを総合すると、だいたいこんなことである。正確かどうかはわからない。現状では、(関西方面在住で)どれか1枚持つならイコカがいいのでは無かろうか、という酔っぱらいの結論になっている。
現状では、完全に互換があるわけではなく、提携を結んだカードどうしについて、部分的な機能の互換があるということのようである。だが、その詳細は自称専門家が顔を突き合わせてこの状態なので、一般には合っているのか間違っているのかよくわからない各種の口コミ情報が飛び交っているのだろう。
公共交通統一ICカードへの道はそれほど遠くはないと思うのだが、どこでもスイスイイコカというふうになるのは来年か、再来年か? 数千万人の公共交通利用者が待っている。
大阪産業大学の構内には、なぜか、路面電車が飾ってある。正門からは見えないが、バスで「産業大学前」に着くと、東門付近に置いてあるのが見える。古株の先生によると、昔は蒸気機関車も置いてあったらしい。
この路面電車、229号の番号がついているが、当時の南海電鉄阪堺線(今の阪堺電気軌道)を走っていた本物の路面電車である。昭和13年製造の70人乗りで、最高速度28Km/h。数年前までは構内にシートをかぶせられて保存されていたが、その後、現在のような位置に据え付けられた。なぜ電車がここに置かれているかの経緯についても、これまた古株の先生に聞いたことがあるのだが、その業界方面に縁の深い先生がいらした関係で、寄贈されたものだという。蒸気機関車はどこに行ったのか不明だが、阪堺線の電車は今もここにある。同時期の阪堺線の電車は、隣町にある鉄道車両メーカーでも保存されており、JR学研都市線の電車から見える。
さて、いくら業界に縁の深い人がいたからといって、なかなか電車を学校の敷地内に飾っているところは少ないが、そのワケはこの学校の歴史に関係がありそうである。
大阪産業大学は今から80年近く前の1928(昭和3)年に大阪鉄道学校として設立されている。そう、もともと鉄道関係の学校だったのである。その後、大学として発足した後も、1965(昭和40)年までは大阪交通大学を名乗っている。今でも図書館に行って古い本を開けると大阪交通大学の判子が押してある。Webmasterがこの大学に来た10年ほど前、すでに大阪産業大学となって30年を経過していたが、その当時の大学の規定の冒頭には、大学設置の目的として”交通と産業の発展に資することを目的として設置する”旨の言葉が書いてあった。
こういう経緯もあって、学部学科の構成ももともと鉄道の技術屋・事務屋育成を目的としていたことを反映したものとなっているし、授業や研究の内容も(近年はその特色は薄まってきているかもしれないが)過去の経緯を映したものとなっている。大阪府堺市では近い将来、最新式路面電車システムを導入しようとしているが、それに関連して、ほかでもない大阪産業大学が調査研究拠点を現地に設置しているのは、阪堺電車229号電車が構内に飾られていることと無縁ではない。
今や大学を受験する人は、大学の制作するきれいなパンフレットと受験産業が算出する統計指標を頼りにしていると思うが、もし本学を訪れたなら、229号電車を見てエコロジーな交通システムを80年前から扱ってきたという歴史に思いを馳せてほしいものである。
交通バリアフリー法が施行されて丸5年が経過した。そのおかげもあってか、主要な駅ではずいぶんエレベータの設置が進んだ。乗降客数5千人以上の駅が対象なので、その基準以上の駅にすべて設置されると例えば大阪市内なら200カ所以上に設置されることになるらしいが、年間の設置台数からすると全駅設置までにはまだまだ時間がかかりそうである。
ところで、駅のエレベータは設置が進んでいるが、最後の重要な部分がなかなかバリアフリー化されない悲しい現実がある。例えば左の写真のように電車とホームの間には十数センチの隙間があり、上下方向にも十数センチの差がある。歩いて乗降する分には、お年寄りや子供でもほとんど問題がないのだが、車イスで乗降するにはやはり右の写真のような板を渡して乗降することになる。最近新設されたホームではこの隙間と段差は小さ目のようであるが、それでも板は必要のようである。
車イスを使って日々電車に乗っている人から聞いた話であるが、この板、あらかじめ頼めば駅員が必ず準備してくれるそうであるが、やはり、なんとなく気を遣うそうである。つまり、物理的なバリアは克服可能でも、心理的なバリアが依然としてある、ということのようである。
この手のバリアフリーの話題では、よく海外のLRTが登場する。新設の路線などでは、ホームと車両の設計を念入りにすることによって、隙間も段差もエレベータなみにしている路線もある。左の写真はフランスのリヨンのLRTであり、2000年開業である。
右の写真はドアのステップ先端に赤いラインが引いてあるが、つまづかないように、ということであろう。隙間もある。実は、この写真は広島の最新式のドイツから輸入された路面電車車両であり、もちろん床面が低いいわゆるバリアフリー対応の車両である。車両だけ入れても完全ではないということである。
私の知っているもので最も念入りなのは、同じくフランスのグルノーブルのものである。そのままでも隙間や段差は非常に小さいのだが、車両に段差を埋めるスロープが内蔵されている(→動画1)。ドア横のボタンを押せば、自動で出てくるので、乗務員や駅員の手を煩わせることはないので、何の気兼ねもなく利用できる。発車時には自動で収納される(→動画2)。この設備はすべてのドアにあるわけではないので、日本でも特定のドアに限って装備することは不可能ではないはずなのだが、未だ見かけない。ちなみに、この動画の車両は20年前に導入されている。
この手の話を日本ですると、「いや、費用が・・・」という話になりがちなのだが、安い費用で最大の効果を上げる方法も存在している。右の写真はこれまたフランスのストラスブールのLRTの写真である。段差も隙間も少なく、ホームから電車にまさに車イスが乗り込もうとしている写真だが、このホーム、実はちょっとした工夫がある。写真はA線という最も初期に開通した路線だが、設計が十分ではなかったようで、ホームと電車に段差がある。そこで、車イス対応のドアの部分だけ、右の写真のようにホームをかさ上げしてある。
後から建設されたB線、C線などでは、最初からホームの高さと電車の床面高さを完全にそろえてある。
実はこれと同じ工夫は日本でも例があり、大阪モノレールで同様の工夫がされている。左の写真は通常の出入り口の段差の様子であるが、乗務員室付近のドアについては部分的にかさ上げしてあり、右の2枚の写真のように段差がほとんど無くなっている。
交通バリアフリーの会議などで、「いやぁ、通勤電車では難しいんですよ。たくさん人が乗ると電車というのは床面が下がるので、ホームと電車の床面は合わせられないんです」という話を時々聞くが、これもちょっと???である。
床面が下がるのは、乗客の荷重で車体と車輪の間にあるバネが縮むからである。そのバネはどこにあるかというと、左の写真の中央部のように車輪の間にあるコイル状のものがそれである。ところが、このコイル状のバネ、実は最近はほとんど使用されていない。
コイル式のバネ付き台車を使っているのは古い電車だけであり、最新式の電車はほぼすべて空気バネ式(エアサス)である。コイル式を使っているのは、JRの電車でいえば、大阪環状線で国鉄時代から走っているような車両が該当する。JRが発足してからつくられた電車や、私鉄各線で使用されている電車は、乗り心地を重視してほとんどが空気バネ式である。右の写真は京阪特急のものであるが、コイル状の部品は見あたらない。その代わりに赤い車体と台車の間に丸い座布団状の比較的小さな部品が見えている。これが空気バネである。
空気バネでも重いと縮むんじゃないの、と思われるかもしれないが、さにあらず。コイル式のバネは縮むと反発する力が大きくなって、ラッシュアワーのような大きな荷重に耐えるようになる。ところが、空気バネは縮んで体積が小さくなってもたいした荷重を支えられない。そこで、空気バネの場合は外から高圧の空気を送り込んで、体積そのものは同じで内圧を大きくして荷重を支える。
要するに、空気バネは基本的には縮まないのである。縮むどころか、空気バネの内圧は、車体が一定の高さになるように調節されてさえいる。つまり、「いやぁ、通勤電車では難しいんですよ・・・」は、一部の古い車両を使っている路線ならともかく、たいていは単なる方便と思われる。できない理由はほかにある(お金がかかるからしたくないとか、めんどくさいとか、あるいはバリアフリー担当者が車両の構造を知らないとか、etc...)と見た方がよい。
なお、このエアサスの構造の件、文献でも調べたが、台車を研究して何十年という専門家にも聞いて確かめてみたので、かなり確度は高いと思っているが、どうですか? > 各鉄道会社殿
(追伸)
エアサス台車にも、車軸受け部分と台車枠部分の間には小さなコイルバネがあるようだが、旧式コイルバネ台車の大きなコイルバネに比べるとストロークはずいぶん小さそうである(つまり、固くて荷重によるのび縮みが小さい)。その証拠に、特定の種類のエアサス式電車しか走らない路線で、最近になってリニューアルされたホームでは段差はずいぶん小さくなっているようである。
「石畳を走るクルマ」にも書いたように、クルマのCMは欧州の石畳が好きである。最近、またまたS社のCMでSという車種が石畳を走っている。
CMによると、この映像はドイツのロマンチック街道のようである。とすると、この映像はハイデルベルクかローテンブルクあたりだろうか。最後の方には城壁の門のようなところからクルマが出てくる映像もある。だが、無知というものは恐ろしいものである。
ドイツの多くの都市、特にCMで登場するような古い城壁で囲まれたような都市では、城壁の中は古い狭隘な道路が多い。このため、城壁の内側などの中心市街では、自動車の走行に関して各種の制限を設けているケースがほとんどである。つまり、あんまりクルマに中心市街には入ってほしくないわけである。
(右の2枚の写真はいずれもブルージュ)左:バス進入禁止、ゾーン30、駐車スペース有り 右:「ここはゾーン30」という立て看板と、大型車の制限標識
ハイデルベルクやローテンブルクなどでは、城壁内の走行速度は時速30km/hに制限されている(行ったこと有り)。「ゾーン30」という有名な交通政策である。加えて、観光バスなどについても長時間停車ができなかったり、時間制限が行われていたりする。写真はベルギーの観光都市ブルージュの中心市街である。ロマンチック街道沿いの都市よりは街路が広いが、速度制限、自家用車進入禁止、さらには自転車バイクも禁止の区域がある。クルマでやってきた人については、中心市街のすぐ外側に駐車場が準備されており、そこに駐車して、あとはバスか徒歩である。
(左の2枚の写真はいずれもブルージュ)左:自家用車進入禁止(タクシー可) 右:許可されていない自転車・バイク進入禁止
件のCMは、城壁内の旧市街の石畳を、サッカー選手が運転する赤いクルマがぶいぶい走る映像である。この会社はそんなクルマの使い方を推奨しているのであろうか。まぁ、広告代理店が無知なのであろうが、その広告を採用したのは、やはりその自動車会社である。そろそろ、ものをつくって売るとは、どのような社会的使命があるのかを自覚してほしいものである。
いろんな〆切が次々とやってくる今日この頃である。昨今の電脳網の発達は目を見張るものがあり、ちょっとした調べ物は図書館や大型書店に出向くまでもなく目の前で調査完了である。
当然、学生の出してくるレポートも一見良くできたものが出来上がってくるようになってきたが、レポートは自ら考えるのが原則である。採点側でチョコちょこっと検索サイトを駆使すると、学生のレポートのネタサイトもあっという間に検索可能である。学生諸君には、その旨指摘してやり直し指示。
さて、この検索サイトであるが、昨今のWeblog隆盛に伴い、引っかかってくるサイトの量は爆発的に増えてきているものの、質は反比例してどんどん低下している。「ブログを除く」というチェックボックスがほしいくらいである。
ブログが引っかからないようにしながら有用な調べ物をするには、現状では入力するキーワードを吟味することになるのだが、吟味してブログが引っかからないようにすると、こんどは自らが開設したサイトが引っかかってきて、それが結構検索結果順位の上の方だったりする。
結局、あまたあるサイトのうち、使い物になるサイトというのは、ごくごく限られているようであり、そのようなサイトの数の増え方は思ったよりも緩慢のようである。
天空の星から第二の地球を探しているような気分になるが、逆に考えれば自らが開設するサイトは、第二の地球でなければならないのかもしれない。
みなさん、バスというと「なかなか来ない」というイメージはないだろうか。今回はそのナゾに迫る(・・・というほどでもないが)。
みなさん、バスの時刻表はどれほど信頼しているであろうか。まぁ、バス路線によっては「この間、約5〜10分間隔」などと表記されていて、実質的に発車時刻表が使えない場合もある。この時刻表、実は、バスの発車時刻を確約するものではないことをご存じだろうか。
バス停の時刻表は全バス停それぞれについて発車時刻が表記されている。しかし、である。バスに乗ってみるとすぐわかることなのだが、バスの乗務員が運転の際に用いている時刻表(のようなもの)には、始発停留所と終点停留所の発着時刻、それからバスベイ(歩道側にバス停車部分を掘り込んだ形式の停留所)などが整備されていて、時間調整をしても他の交通の邪魔にならないようないくつかの停留所の発着時刻だけが記されていて、後の大半の停留所の発時刻については、乗務員は知らずに(というか、勘に頼って)運転している。
道路がごく標準的な混み具合なら、そんなに大きな問題は生じないのだが、そうでないときは問題が出る。こう書くと、「あぁ、混んでるときには遅れるって話だろ」と思うかもしれないがそうではない。むしろ、道路がやけに空いているときの方が問題なのである。何が起こるかというと、こういうことである。
始発停留所を定時に出発したとしよう。道路が空いていると、標準的な混み具合の状況をもとに作成した運行計画に対して、だんだんと進み気味になって行く。所々の停留所で時間調整を行い、終着には定時よりも若干早め程度で到着。一見問題無さそうに思えるが、定時で出発したのは始発と時間調整したバス停だけであり、あとはすべて早発ということになる。
早着はさほど問題を発生させないが、早発は問題である。途中のバス停からの利用者が時刻表にあわせてバス停にやってくると、実はいまさっきバスが出て行ったばかり、という状況になる。利用者はそんなことはつゆ知らず、定時になってもバスは来ず、結局、次のバスまで丸々待たされることになる。運行本数の少ない路線ほど、早発の罪は重い。
バスの乗務員はどの程度この状況を理解しているのか、定かではないが、終点への到着時刻ばかり気にしている気配がないではない。特に大幅な遅れが出たときなどは、乗務員手持ちの運行表とそのバスの運行時刻との差ばかり気にして、バス停にやってきた客が何分待たされるのかを全く気にしていないケースが多い。まぁ、もっともバスに限った話ではなく、通勤鉄道でも似たような状況であり、先日は10〜15分ごとに運転されている路線で「この電車はただいま69分遅れで運転されています」などという誰の役にも立たない意味不明のアナウンスを耳にした。
なお、すべてのバス停ごとの時刻をチェックして、早発すると運転席でブザーが鳴るシステムが導入されているコミュニティーバスもある。この路線では、早発はないので、遅れていても数分待てば必ず乗れる。次のバスまで待つことはない。こんな例もあるので、やる気があればすぐに対応できるはずである。健闘を祈る>各地のバス事業者殿。
引き続き、「Valet Parking」の話である。今回はパーク&ライド編である。
TDM(交通需要管理のことで、多くの場合、自動車交通を削減する話が主体)の方策の一つとして、パーク&ライドがある。駅に併設された駐車場にクルマを駐めて、そこから都心へは電車などで向かうというものである。
ところが、ここでも駅前チャリンコ問題と似たようなケースが生じる。駅まで自動車で来たくなるようなところでも、日本ではやはり駅前はそれなりに一等地であるケースが多い。そうすると、貴重な駅周辺の空間を駐車場という生殺しの土地利用をするというのは、いかにも無駄である。
そこで、Valet Parkingである。駅前には最小限の駐車場を確保し、そこにクルマを駐めたら鍵を預け、代わりに預かり証のようなものを受け取る。車は係員が駐輪場に駐めに行く。
帰宅時にはあらかじめ電話しておくか、駅に着いてからその旨を申し出て預かり証を渡すと、車を係員が駐輪場からとってきてくれる。鍵と引き替えに手数料を渡して完了。あるいは、阿寒湖畔のホテルのように、駐車場までマイクロバスで送るという方法もあるかも。
あるいは、空港周辺の安い駐車場のように、駅から少し離れたところに駐車場を確保しておき、そこから駅まではマイクロバスなどで送迎するという方法もありそうだ。カナダのトロント空港ではこの駐車場システムのことをパーク&フライと呼んでいた。駐車場の事務所には航空会社のカウンタもあり、チェックインもできた。
日本でも、日々使う通勤鉄道では少々煩わしいが、大きな都市の新幹線駅などでは、このような Valet Parking や Park & Fly のようなシステムは使えるかもしれない。新幹線駅前の一等地は、駐車場でなくてオフィスビルにするのがその街の発展にはベストだと思うのだが、どうだろう。パーク&シンカンセン。長野駅では近隣の駅に駐車場を設けて、在来線をマイクロバス代わりにしているようである。
LRTのネーミング最終編である。
「高性能 / 優秀」では、Super-Tram、Intelligent-Tramなどが思いつくが、「i-」については「愛」を連想させるので日本語の語感としては暖かみも感じさせることができそうである。i-Tram、i-Transport、i-Moverとなるが、「アイトラム」はもうすでに使われてる。
「環境」を頭にくっつければ、Eco-Tram、Eco-Transitとなるが、Ecoは最近、あまりにも多くに使われているので、インパクトは弱いかもしれない。Ecoをやめて「E-」だけもらってくるとE-Tram、E-Transitなどとなるが、Eの後ろにTがくるとどうしても、eatと同じ読みになってしまい、あんまり語呂がよくない。加えて、「E電」が定着しなかったのも気になる。
「新しい」をくっつけると、New-Tram。残念ながら、もう何年も前に使われてしまっている。いい名前だったんだが、いまや新交通システムAGTのイメージが定着してしまった。「活性」の意味から「Act-」を頭にくっつければAct-Rail。なかなかかっこいい。もうちょっと短くして、「A-」なら、A-Rail、A-Tram。これは音感から言って関西向きだろうか。「えぇレール」「えぇトラム」ですから。
このほか、英語ではなくて漢字を積極的に使う方法もあるので、名前の候補は無限で尽きない。いくつか気に入っているものを紹介すると、まず「スーパー路面電車」。「スーパー」も「路面電車」も平凡すぎるキーワードだが、これを組み合わせるとなかなか新鮮である。数年前に公共放送のテレビ番組に「ヨーロッパ スーパー路面電車が行く」という15〜30分程度の短い番組があった。この「スーパー路面電車」というのは長いのが難点だが、わかりやすくてインパクトがある。
中国で使われている「軽鉄」の「軽」も「K-Rail」「K-Tram」「K-Transit」「K-Mover」とすれば、軽々しさが消えてなかなか格好いいではないか。ただし、軌道系だからといって「K-Track」は少々まずい響きだ。京都限定なら「Kyo-Rail」「Kyo-Tram」「Kyo-Mover」なども「京」という響きが雅を連想させるので、なかなかいい語感である。
あとは、みなさんでいろいろ考えてみてください。
「Valet Parking」の話であって、「Bullet Parking(=弾丸駐車)」ではないので、念のため。
今さら言うまでもないが、北米は車社会である。旅行もクルマで移動することが多く、飛行機による長距離移動も末端部分はクルマである。そうすると、必然的に宿泊施設であるホテルにも来るまで乗り付けることになり、ホテルは必ず駐車場併設である。
ところが、比較的最近になってできたような郊外のホテルならともかく、都市の中心にあるホテルだと、北米といえども必ずしも真横に駐車場を確保できるわけではない。そういう時は、少し離れた駐車場に駐めるか、「Valet Parking」利用になる。
まず、ホテルの正面に乗り付けて荷物を下ろし、クルマの鍵はボーイに預け、預かり証を受け取る。クルマはボーイが駐車場に駐めに行く。
出発時にはあらかじめ電話しておくか、チェックアウト時にその旨を申し出て預かり証を渡すと、クルマはボーイが駐車場からとってきてくれる。鍵と引き替えにチップを渡して完了。似たようなシステムは北海道の阿寒湖畔のホテルで見たことがあるが、出発時は駐車場までバスで送って行くというものだった。
さてさて、何の話かというと、駅前の駐輪問題とかパークアンドライドに応用できないかなというお話。まずは駅前の駐輪問題から。
日本では駅前は一等地である。できれば多数の人通りがあることを生かして、商業地などにしたいところである。いっぽう、駅前は交通結節点でもある。バス・路面電車やタクシー、自家用車の送迎のほかに、自転車でやってくる人もいる。やっかいなのが、駅に自転車でやってきた人の残された自転車である。そのまま無節操に駐輪されると、乗ってきた人は便利だが駐輪問題を引き起こすし、かといって駅前の一等地に巨大な駐輪場を大枚はたいて建設するのも無駄が多い。ではちょっと離れたところにつくった駐輪場はどうかというと、利便性が低下したり利用率が低くなったりといった問題が出る。
そこで、Valet Parkingである。駅前の便利な小面積の一角に駐輪して鍵を預け、代わりに預かり証のようなものを受け取る。自転車は係員が駐輪場に駐めに行く(トラックで運ぶという方法もある)。
帰宅時にはあらかじめ電話しておくか、駅に着いてからその旨を申し出て預かり証を渡すと、自転車を係員が駐輪場からとってきてくれる。鍵と引き替えに手数料を渡して完了。
んん〜〜〜〜〜。係員の人件費が高くて成立しないかな。でも、安い人件費で人手が確保できるのなら成立する方法かも。
LRTの日本名の候補としては、まず、ストレートに「トラム(Tram)」や、「ストリートカー(Streetcar)」、あるいはズバリ「LRT」と名付けてもそこそこ受け入れられるのではないかと思う。トラムはこれまであまり日本では使われてきていないので、新しい響きを感じるし、ストリート・ミュージシャンがいるのなら、ストリート・カーがあってもおかしくはなさそうだ。アルファベット三文字の略号は今や世にあふれているので、LRTでも問題ないだろう(もっとも、ご年配の方は覚えられないそうである)。このあたりのシンプルな呼び方のまま、この先定着する可能性も結構高いのではないだろうか。
もう少しひねってみよう。06/03/05号の表の「気軽 / 軽快」から連想される英単語に、Tramなどをくっつけてみても、結構いい響きになりそうだ。たとえば、「楽」「容易」を連想してEZ-Tram ( = easy tram)やEZ-Rail (easy rail)などはどうだろう。どこかの携帯電話サービスみたいか。「E」はさらにexcellentを連想させ、「Z」はアルファベットの最後なので、英語圏では最高を意味する文字としてよく使われる。
「気軽 / 軽快」の「軽」からの連想で、Light Railとすれば、ストレートだが、「L」だけもらってきてL-TramやL-Railと名付けておいて、「L」はLow emissionの「L」、Low Costの「L」、Lifeの「L」、と説明する手もある。
「早い / 速い」には、いろんなキーワードがある。これまでにも、いろんなところで商品名などに使われているので、いずれもなかなかいい響きのイメージがある。たとえば、Quick-Tram、Quick-Rail、Quick-Mover、Quick-Shuttle、Rapid-Tram、Rapid-Rail、Rapid-Moverなどです。逆に、今までよく使われている言葉なので、強いインパクトはそれほど無く、意外と覚えてもらいにくいネーミングになってしまう可能性もある。
「格好いい」あるいは「かしこい」などから連想される「smart」や「cool」などはここ数年、特によく見かけるが、これを使っても悪くはない。Smart-Rail、Smart-Mover、Smart-Transit、Smart-LinerあるいはCool-Tram、Cool-Transitなどなど。ただ、日本ではsmartはfatの対義語、coolはwarmの対義語として認識されることが多いので、あまり広い年齢層からの支持を得るのは難しいかもしれない。
みなさん、バスというと「なかなか来ない」し、来たと思ったら「妙に混んでいる」というイメージはないだろうか。今回もそのナゾに迫る(・・・って、ちとワンパターンか)。バスがなかなか来ない件に関しては、「なかなか来ないバスのナゾ(発車標準時刻表の悲劇)」も併せて読んでいただけると幸いである。
さて、みなさん、バスの時刻表はお持ちだろうか? 運転本数が非常に少ない路線を使っている場合は、時刻表を持つまでもなく頭に入っているだろうし、毎時○○分と××分というふうに、出発時刻がパターン化されている場合も1時間分を覚えておけば事足りる。
じゃぁ、そうでない場合や、パターン化されているダイヤでもそれを覚えていなかったりするとどうだろう。バス停にとりあえず行ってみて、しばらくバスを待つ。こういう行動をする人が結構多い。そうすると、どういうことになるのかというと、バス停には何の法則もなくバラバラと人が集まってくることになる。これが悲劇の序章である。
ちょっとおおざっぱな話をしてみよう。1分間に1人ずつバスの客がやってくる停留所があったとしよう。このバス路線、もしも10分ごとに運転していると、バスが発車して、次のバスが来るまでの10分間にバス停にやってくるお客の数は10人である。つまり、この停留所からは、どのバスにも10人ずつお客が乗ることになる。
ある時、とあるバスだけ3分遅れたとしよう。たかが3分の遅れ、バスにはよくあることである。そうすると、1分に1人客がやってくるこの停留所のまち客は3分の遅れ分だけ増えて13人になる。たかが3人、50人や60人は乗れる大型の路線バスにとってはたいしたことがない。
ところが、次の停留所も1分に1人客がやってような停留所だったとすると、3分の遅れ分だけやはり客が増えて13人乗ってくる。その次も、その次も・・・かくして、遅れているバスにはいつもよりも結構多めの人が乗っていることになる。遅れてきたバスはなぜか混んでいるのは、基本的にはこういう仕組みである。
定時運転のバス | 3分遅れのバス | |||
---|---|---|---|---|
バス停 | まち客数 | 乗った客数の累計 | まち客数 | 乗った客数の累計 |
最初 | 10人 | 10人 | 13人 | 13人 |
2番目 | 10人 | 20人 | 13人 | 26人 |
3番目 | 10人 | 30人 | 13人 | 39人 |
・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
えっ、?? ダンゴはどうしたって?? まだ話はつづく。そう簡単には話が終わらない。
乗るお客の数が余分に多いと、その増えたお客の分だけ、バスに乗ったり、バスから降りたりするための時間が余分にかかるようになる。特に日本のバスシステムはこの点で、運行ダイヤが乱れやすい要素をもっている。
例えば、お客が1人増えると、バス停に留まっている時間が5秒増えたとしよう。そうすると、最初の停留所で3人余分にお客が乗るので、15秒余分に時間がかかる。そうすると、遅れは3分15秒に拡大する。2番目の停留所でも15秒余分に時間がかかと、遅れは3分30秒に拡大する。こうして4番目の停留所ではついに遅れは4分になる。ここで次の悲劇がやってくる。つまり、1分に1人お客がやってくる停留所では、4分遅れのバスには4人余分に乗ることになる。かくして下の表のように、停留所ごとに次々と遅れが拡大して、混雑も飛躍的にひどくなる。
定時運転のバス | 3分遅れのバス | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
バス停 | まち客数 | 乗った客数の累計 | まち客数 | 乗った客数の累計 | 余分な遅れ | 遅れ累計 |
最初 | 10人 | 10人 | 13人 | 13人 | 15秒 | 3分15秒 |
2番目 | 10人 | 20人 | 13人 | 26人 | 15秒 | 3分30秒 |
3番目 | 10人 | 30人 | 13人 | 39人 | 15秒 | 3分45秒 |
4番目 | 10人 | 40人 | 13人 | 52人 | 15秒 | 4分00秒 |
5番目 | 10人 | 50人 | 14人 | 66人 | 20秒 | 4分20秒 |
6番目 | 10人 | 60人 | 14人 | 71人 | 20秒 | 4分40秒 |
7番目 | 10人 | 70人 | 14人 | 86人 | 20秒 | 5分00秒 |
8番目 | 10人 | 80人 | 15人 | 101人 | 25秒 | 5分25秒 |
9番目 | 10人 | 90人 | 15人 | 116人 | 25秒 | 5分50秒 |
10番目 | 10人 | 100人 | 15人 | 131人 | 25秒 | 6分15秒 |
11番目 | 10人 | 110人 | 16人 | 147人 | 30秒 | 6分45秒 |
12番目 | 10人 | 120人 | 16人 | 163人 | 30秒 | 7分15秒 |
13番目 | 10人 | 130人 | 17人 | 180人 | 35秒 | 7分50秒 |
14番目 | 10人 | 140人 | 17人 | 197人 | 35秒 | 8分25秒 |
15番目 | 10人 | 150人 | 18人 | 215人 | 40秒 | 9分05秒 |
16番目 | 10人 | 160人 | 19人 | 234人 | 45秒 | 9分50秒 |
・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ | ・・・ |
16番目の停留所ではついに遅れが10分近くになり、次のバスに追いつかれる。ひどい時は追いついたバスも遅れはじる。長らくバスが来ないなと思ったら、立て続けに3台くらいのバスがやってくることがあるのは、こういう事情である。まるでお団子のような運転になっているということで、名付けてダンゴ運転。あまり味わいたくないダンゴである。
通勤鉄道や地下鉄でも似たようなことが起こるが、防止する方法はいくつかある。1つは、先に走っている「定時運転のバス」に少しだけゆっくり走ってもらう方法である。ゆっくり走ると「定時運転のバス」は「少し遅れたバス」になるが、後続の「3分遅れのバス」に乗る客数が少し減るので、「3分遅れのバス」の遅れ拡大は軽減する。大阪環状線や山手線で、電車に遅延が発生すると、トラブルに巻き込まれていない電車も含めて1〜数分、電車の出発を遅らせることがあるが、この原理である。
もう一つの方法は、「3分遅れのバス」はそのまま走らせて、「定時運転のバス」と「3分遅れのバス」の間に臨時のバスを走らせることである。「近鉄バスのナゾ(秘密の41号編)」は、おそらくこの種の臨時バスである。
それから、もう一つある。先ほど、日本のバスは運行ダイヤが遅れやすい要素を持っていると書いたが、それは、乗ったお客は必ず乗務員の横で精算をしなければならない点である。乗降箇所が1カ所に限られるので、乗り降りに時間がかかりやすいのである。
その点、欧州などで採用されている信用乗車方式では、バスや路面電車といえども、どのドアからでも乗り降り自由なので、乗り降りの時間が短縮可能で、遅れが拡大しにくい。
混んだバスがひどく遅れて到着した場面に遭遇したときには、時間が許すなら、次のバスに乗るという自衛策もある。次のバスは空いていることが多い。
まだ話はつづく。今回はLRTという乗り物の特徴やイメージをあらわすキーワードについて考えた。
下の表がそうなのだが、ここに示したキーワード、英語キーワードなどを参考に組み合わせたり、もじったりしながらLRTの“日本名”を考えてみるのも楽しいだろう。
キーワード | 英キーワード |
---|---|
気軽 / 軽快 | easy, light, EZ-, L-,K-(軽) |
便利 / 役立つ | convenient, handy, useful, helpful, serviceable |
早い / 速い | quick, swift, rapid, speedy, fast, Q- |
格好いい | smart, cool, nice, stylish, well |
高性能 / 優秀 | super, first, fine, good, top, quality, intelligent, Q-, i- |
環境 | environmental, ecological, e-, eco- |
進化 / 進歩 | advanced, evolution, improved, progressive, ad-, e-, i- |
新しい | new, neo, fresh, novel, modern |
活性 | active, energisch, vitality, powerful |
足 | foot, shoes, legs, walk |
都市街路 | urban, city, street |
鉄軌道 | tram, rail, train, transit, transport, liner, mover, car, shuttle, line, track |
近年は商品名などに英字1文字をくっつけてイメージ付けをすることが流行である。例えば、下の表のように「e-mail」や「i-pod」などのイメージを表現する接頭辞がよく使われている。
定着しなかったが、交通関係としてはJR東日本の首都圏の通勤電車を示す「E電」があった。「電」はともかく「E」については、結果としてかなり先駆的だったといえるが、ちょっと時代には早すぎた。「e-Rail」くらいで再デビューはどうかな。
LRTについても、その特徴を的確に示すような接頭辞をつけると親しみやすいかもしれない。ただし、この手のイメージ先行のものは、賞味期限も短い可能性があることは多少覚悟しなければならない。
接頭辞 | イメージ | 例 | 内容 |
---|---|---|---|
e- | Electric (電子・電気) Excellent(優れた) | e-machines | パソコンメーカー |
電子メール | |||
e-business | IBMのシステム構築サービス | ||
e-access | インターネットプロバイダ | ||
e-gov | 電子政府の相談窓口(webサイト) | ||
E電 | JR東日本の近郊電車 | ||
i- | Information(情報) Intelligence(聡明) | i-mac | Apple社のコンピュータ |
i-pod | 携帯音楽再生機 | ||
i-タウンページ | 職業別電話帳 | ||
i-mode | 携帯電話用webサービス | ||
cool | 涼しい | cool-biz | 半袖・ノーネクタイ |
すばらしい | cool-pix | デジタルカメラ | |
urban | 都会 | urban network | JR西の近郊電車 |
super | 超 | スーパー雷鳥 | 特急列車の名前 |
スーパーひたち | |||
j- | Japan(日本) | JR, J-League, J-beef, JA, JT等 |
路面電車というと、古い電車がゴトゴトと走っているイメージがあるが、新しい電車も導入されてきている。日本でも低床式電車以前に、いくつかの高性能路面電車の導入例があり、愛称がつけられている。
たとえば、1980年に最初に広島や長崎に導入された省エネルギー・低騒音の電車は、「軽快電車」と呼ばれていた。1980年代に欧米のライトレールが日本に紹介された当初は、LRTという呼称ではなく「ライトレール」もしくはこれを意訳した「軽快電車」がしばしば使われていたので、新しい路面電車システムと日本の高性能電車のイメージがオーバーラップした人は多かったのではないかと思う。
実際、この「軽快電車」は日本におけるLRVとして開発されている。この「軽快電車」を改良して連接式にしたものが広島で導入されており、「グリーンライナー」の愛称がつけられている。
1999年にはドイツ製の低床式電車(商品名はコンビーノ)が輸入され、広島で走り始めた。この電車は「グリーンムーバー」と名付けらた。その後、2005年からは国産の低床式電車も走り始め、「グリーンムーバーMAX」と名付けられている。
低床式電車は広島以外にも導入され始めており、MOMO(岡山電気軌道)というような愛らしい名称もあるが、アイトラム(万葉線:高岡)、ハートラム(土佐電鉄)、ユートラム(鹿児島市交通局)など、「トラム」というキーワードが比較的よく使われている。
左から順に、MOMO、グリーンライナー、グリーンムーバーMAX、ユートラム