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● 2006年08月
□06/08/31号: 名古屋都市圏にある秘密の貨物線ネットワーク(あこがれの特急再会編)
□06/08/28号: 名古屋都市圏にある秘密の貨物線ネットワーク(なかなか無用の長物にならない線路編)
□06/08/25号: 名古屋都市圏にある秘密の貨物線ネットワーク(ナゾの線路用地編)
□06/08/22号: ごろり、ごろり、ごろ、ごろごろ
□06/08/19号: 先に出発した新幹線に追いついた??
□06/08/16号: 東海道新幹線は5分ごと運転の毎時12本が限界か?
□06/08/13号: 餘部鉄橋
□06/08/10号: 東海道新幹線の東側の終点はどうして東京?
□06/08/07号: 東海道新幹線はどうして東京が近づくとのろいのか?
□06/08/04号: 新幹線をいくらスピードアップしても便利にならない、かもしれない話
□06/08/01号: 新幹線の駅はもったいないのか? もったいなくないのか?

★06/08/31号:
 名古屋都市圏にある秘密の貨物線ネットワーク(あこがれの特急再会編)

 さらに続きである。

 あおなみ線は名古屋駅南方から南西方向に延びているが、地図や航空写真をよく見ると、名古屋駅から東海道本線に沿って南へ2キロほど行ったあたり、つまり、東海道本線と新幹線が分かれるあたりから、新幹線に沿って分岐する線路があることに気がつく。

 この路線、そのまま真っ直ぐ名古屋港の水族館付近まで達している。地下鉄名城線が名古屋港まで延びてなければ、この貨物線も旅客化していても不思議では無さそうである。今はほぼこれに平行して地下鉄があるので、旅客線化はされにくいかもしれないが、簡易な停留所を設けてレールバスでも走らせれば近距離都市交通になるかもしれない。

 実はこの貨物線、一時期、一部区間で旅客営業していたことがある。10年以上前の話だが、まだナゴヤドームがなかった頃、野球の中日ドラゴンズのホームグラウンドは当然ナゴヤ球場であった。ナゴヤ球場は名鉄ナゴヤ球場前で降りて歩くのが通常のアクセスコースだったが、この貨物線がナゴヤ球場の至近を通るため、臨時の駅が設けられて名古屋駅までディーゼルカーが往復して客を運んでいたことがあった。今は尾頭橋駅があるが、当時はJRには駅がなかった。

 中日戦観戦の後、一度だけこの臨時駅を使ったことがある。その時に名古屋駅までゴトゴトと運んでくれたのは、小学生の時に決して乗せてもらえなかったこの特急車両(の系列)であったことを覚えている。子供の頃のあこがれの特急車に乗ったのは、後にも先にも、これ一度きりであった。

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★06/08/28号:
 名古屋都市圏にある秘密の貨物線ネットワーク(なかなか無用の長物にならない線路編)

 前回の続きである。もちろん、秘密でも何でもない話である。

 前回話題にした貨物線の出来損ない(未成線)は、あおなみ線にぶち当たると書いたが、この「あおなみ線」も貨物線である。いや貨物線であった。

 名古屋駅の東京側(南側だが、名古屋市周辺住民以外は名古屋駅の東西南北を正確に言える人が少ない。大阪方面が北であり、東京方面が南である。)に広大な空き地があるのをご存じだろうか。愛知万博の際の笹島会場と言った方がわかりやすいか。名古屋近辺の人には、ちょっと前までスキーバスが発着していたところ、と書いた方がわかりやすいか。ここはかつては貨物駅であった。

 この貨物駅跡の横を「あおなみ線」という旅客鉄道線が走っている。名古屋駅の隅っこから4両編成の電車が発着し、名古屋港の金城ふ頭まで運転されている。この路線、実は元貨物線である。旅客営業する路線がない地域を走っているので、あまり使われなくなった貨物線を活用して建設された「新設」路線である。

 貨物線という鉄道インフラは、道路に転用してしまえば大した交通量はさばけないが、旅客鉄道に転用すればかなりの輸送をすることができる。環境にやさしいインフラ活用方法である。

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★06/08/25号:
 名古屋都市圏にある秘密の貨物線ネットワーク(ナゾの線路用地編)

 ・・・というタイトルをつけると、何やら怪しい雰囲気が漂うが、秘密でも何でもなくて高度経済成長期の時代の遺物である。だが、単なる歴史的遺産ではなくて、名古屋都市圏の鉄道ネットワーク拡充の今後を暗示する隠れた社会基盤でもある。地上に存在するので、誰でも確認できるので、政府の陰謀などではない。

 写真は、名古屋付近のJR東海道本線である。厳密に言うと、名古屋駅から東京よりの共和駅と大高駅の間である。複線の線路が真っ直ぐ延びており、線路上空に架かるのは例の物議を醸している第二東名高速である。ここでは既に共用されている。

 さて、この写真の複線線路の左側には、なにやら余分な空間が写っているのがおわかりだろうか。線路がもう2本敷けそうな空間である。この空間は、武豊線と東海道本線が接続する大府駅から大高駅を超えて、笠寺駅の先まで続いている。一部区間にはレールまで敷かれている。

 笠寺駅の先は東海道本線から西に分かれて、こんどは新幹線に沿って高架橋が延び、約3キロでさらに西に分かれてゆく。その後は南郊公園に沿って西進し、約3キロで「あおなみ線」にぶち当たる。

 武豊線というと、今や都市近郊ローカル線であるが、その歴史は東海道本線なみに古い。東海道本線建設の際、建設資材を海路で運び、名古屋付近には武豊線を経由して運搬した。そんなわけで、分岐駅の大府駅付近では東海道本線豊橋方面よりも武豊線の方が先につくられている。

 その後、高度成長期になると、知多半島の衣浦付近が臨海工業地帯となり、鉄道貨物輸送が重要になる。武豊線には貨物鉄道である衣浦臨海鉄道が乗り入れ、そのままこのナゾの空間に敷設される予定だった貨物線を経由して名古屋市の臨海部の工業地帯と結ぶ予定だったのであろう。

 いまや、この空間は何の用途にも使われていないが、かといって宅地に売り出されている様子もなければ道路に転用される気配もない。線路を敷けばすぐにも鉄道営業できる空間である。今や名古屋市から大府方面は住宅開発が進んでおり、貨物線にするには惜しい。線路を敷いて簡易な停留所を設ければ、中量輸送に使えそうだな、なんてことはいろんな人が考えているかもしれない。

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★06/08/22号:
 ごろり、ごろり、ごろ、ごろごろ

 8月20日の未明、三重の名松線という路線の駅に夜間止めてあったディーゼルカーが、ごろり、ごろり、ごろ、ごろごろ、とまぁ、なんと8kmあまり無人のまま走って止まったそうである。

 幸い、けが人もなかったが、真夏の夜の怖い話としては、リアルなことこの上ない。

 さて、何でこういうことになるかというと、1つにはブレーキの構造の問題がある。自動車の場合は、走行時に速度をゆるめるためのフットブレーキのほかに、駐車時に使用するハンドブレーキがついている。オートマチック車については、さらにギアを動かなくするように「P」レンジがついている。

 鉄道の場合も減速用のブレーキがついているのだが、このほかにハンドブレーキもついている。

 ところが、駐車時の自動車と鉄道車両のブレーキのかけ方の大きな違いは、減速用のブレーキにある。自動車は減速用のブレーキは足を離せば効かなくなるので、ハンドブレーキをかけて、オートマ車の場合はPモードにするなどして確実にブレーキをかけなければならない。いっぽう、鉄道車両の場合は、運転士が車両を離れる際、ブレーキ用のハンドルを持って降りるのだが、ハンドルを取り外すときには減速用のブレーキが強くかかった状態で取り外す。そのまま車両を留置させる場合は、ハンドブレーキをかけて、さらに車輪とレールの間にくさびのような木片を置いて念には念を入れるわけである。駅も真っ平らなところにつくるのが原則であり、留置線から本線に出る前には、一見何のために使うのか存在価値がわかりにくい分岐器をつけて(安全側線)、万一の際にも本線にこのような車両が飛び出さないようにしている。

 ところが、この”ハンドルを取り外すときには減速用のブレーキが強くかかった状態”というのが曲者である。ブレーキがかかっているから大丈夫、などと錯覚して、ハンドブレーキやくさびのような木片(スコッチ)を置かないとどうなるかというと、減速用のブレーキがだんだん緩んで、ついには効かなくなるのである。減速用のブレーキは、自動車なら油圧であるが、鉄道用のブレーキは空気圧なので、時間が経つとちょっとずつ空気がどこからともなく漏れて、終いにはブレーキが効かなくなる。

 ブレーキの効いていない鉄道車両というものは、実によく転がる。摩擦が少ないので、ごくわずかな傾斜でも動き出す。鉄道のディーゼルカーのエンジンは、ちょっと大きめの乗用車ほどの出力しかないが、それでも100人以上を乗せて走ることができるのは、鉄道がいかに摩擦が少ない環境で運行されているかを表している。今はあまり見かけなくなったが、小型の貨車1両程度なら、十分に人力で移動させることができる。見かけは力強いが実は非力な蒸気機関車が何十両もの石炭貨車を引くことができたのは、走行時の摩擦が小さいからである。

 少ないエネルギーで大量輸送できるという鉄道の特性が、今回はちょっと裏目に出てしまったようだ。ちなみに、この種の事故はあまり珍しくはなく、残念ながら時々ある。

 なお、自動車でもギアをニュートラルに入れれば、長い坂道を転がり降りることができる。福井・滋賀県境にある国道の峠道を約10キロにわたってニュートラルで降りてきた友人がいた。その後、いつものクセで自動車専用道を高速走行中にギアをニュートラルに入れてしまい、元に戻そうとしてローギアに誤って入れてしまったが為にギアボックスを飛ばしてエライ目にあったようである。よい子は真似をしないこと。

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★06/08/19号:
 先に出発した新幹線に追いついた??

 お盆である。普段は新幹線に乗らない人も、帰省やら行楽やらで新幹線に乗った人も多いだろう。新幹線、特に東海道新幹線は世界屈指の大量輸送機関であり、列車長400mにもなる長距離列車が毎時10本以上運転されているのはここくらいのものである。

 東海道新幹線で新大阪-東京間に乗ると、奇妙な光景に出会うことがある。その光景が見られるのは、多くは京都駅と名古屋駅の上り東京方面である。webmasterが知らないだけで、もしかしたら新横浜駅や品川駅、あるいは下り線でも同様の光景が見られるのかもしれない。

 新大阪を出発して、京都駅(あるいは名古屋駅)に列車が到着する際、ホームを挟んだ隣の線から同じ方向に列車が出発してゆくことがある。特に、列車の最後尾あるいは先頭車両の窓際に席を確保した時に遭遇しやすい光景である。

 そんな状況で列車を走らせても大丈夫かって? もちろん、大丈夫である。最初からそういう運行スケジュールが立てられている。前回の記事にも書いたように、東海道新幹線は4分ごとに運転することを基本としてダイヤが組まれている。ところが、東海道新幹線のダイヤを目を皿のようにして見ると、例えば新大阪駅を出発する東京方面行きの列車は、列車の出発間隔が4分の場合と3分の場合があることに気がつく。

 タネを明かせば、3分半ごとに出発するようにダイヤが組まれていて、端数切り捨てなので、時刻表の上では出発間隔が4分の場合と3分の場合が存在しているというものである。

 新大阪を3分半ごとに出発した列車は、その後どうなるかというと、あたりまえのような話だが、京都駅に3分半ごとに到着する。全列車京都駅停車であり、しかも新幹線の電車は何種類か存在しているものの、基本的な性能は大きく変わらないので(・・・というか、遅い車種の電車にあわせてダイヤをつくってあるので)、駅間の所要時間も同じである。

 もし、京都駅での停車時間がゼロなら、つまり、着いてドアを開けた瞬間にドアを閉じて出発するのならホーム1つでも何とか列車をさばけるかもしれないが、東京行きの新幹線は京都駅でだいたい2分くらい停車する。そうすると、停車しているうちに次の東京行きが近づいてきてしまい、ホームがふさがっているので、ぶつかってしまう。実際にはぶつかりそうなときには自動制御のブレーキがかかるので、駅の手前で信号待ち状態になってしまうのだが、これでは京都駅に3分半ごとに東京行きの電車を発着させることができない。

 そこで、先に新大阪を出発した列車が京都駅でまだ客の乗り降りをさせている時には、次の列車はホームを挟んだ向かいのあいた線路に進入させることにする。こうすれば、極端な話、先に新大阪を出発した列車がまだ京都駅を出発していなくても、次の列車を京都駅に到着させることができる。

 3分半間隔運転で、京都駅の停車時間が2分なので、理論的には京都駅で2つの列車が同時にホームの両側にいることはないのだが、先発列車がやや遅れ気味で、後続列車が時間どおりだったりすると、この「先に出発した新幹線に追いつく」現象が見られる。

 東海道新幹線は、調べれば調べるほど、面白い鉄道である。

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★06/08/16号:
 東海道新幹線は5分ごと運転の毎時12本が限界か?

 お盆である。年末と並んで都市間輸送のピーク時期であり、新幹線も飛行機も高速道路も超満員である。高速道路の渋滞は50キロを超えたところもあるらしい。

 渋滞していると聞くと、世の中の多くの人は高速道路はたくさん人を輸送して大変だと思いこんでいるが、片側3車線の高速道路はどう頑張っても毎時6千台、4人ずつ乗っていても2万4千人運ぶのが限界である。時速40キロくらいよりも遅くなるほど混んでいると、逆にこの能力は低下してしまう。約550人乗りのジャンボジェットB-747が5分おきに飛び立ったとしても、毎時7千人ほどしか運べない。3分ごとでも1万人あまりである。

 東海道新幹線は、ピーク時片方向12本、座席数1300ほどであるので、着席定員だけで毎時1.6万席ほどになる。お盆には立ってでも乗りたい人が多数いるので、あんまり好ましくはないが、毎時2万人ほどを運んでいる時間帯もあるだろう。

 この東海道新幹線であるが、毎時12本の運転というのは東京駅付近での列車の折り返し能力に依存するところが大きい。本線上を高速で突っ走っているだけなら、2分ヘッドで走ることもできるのだが、残念ながら新幹線はカツオやマグロではないので走り続けるわけにはいかない。駅に停まらなければならない。

 そうすると、駅に停まるためにゆっくりと走る前方の列車にあわせて後ろの列車もブレーキをかけなければならない。ブレーキをなるべくかけたくなければ、自動車の運転風に言えば、車間距離を開けなければならない。そうすると2分ごとの運転はできなくなり、3分間隔くらいになる。

 じゃぁ、60分÷3分=20本、毎時20本運転ができるかというと、残念ながらもうひとつ制約がある。東京駅である。行き止まりの駅なので、東京駅に着いた列車は向きを変えて反対方向に走ることになる。向きを変えると、日本の線路は左側通行なので必ずどこかで線路を横切ることになる。その横切る地点が東京駅のすぐ南西側にある分岐装置である。

 この分岐装置、大阪方向から来た列車も、大阪方向に出発する列車も両方とも必ず通過し、しかも1度に1列車しか処理することができない。この分岐器がネックで東京駅は3分半ごとにしか列車を処理できない。3分半ごとに列車を通過させることができるからと言って、本当にそういうスケジュールを組んでしまうと、余裕が無くて列車ダイヤが乱れた場合に修復不能になる。そこで実際のダイヤは4分ごとの運転にしてある。ということで、60分÷4分=15本、毎時15本である。

 実は、さらに悲しいことに、東京駅に着いた列車のうち何本かは車庫に収容しなければならないが、車庫が東京駅の大阪よりにあるので、車庫行きの回送列車もこの分岐装置を通る。1時間に2〜3本あるので、15−3=12本ということになる。

 品川駅ができてこの駅で大阪側からやってきた新幹線を折り返すこともできるようになったはずだが、今のところ、そういう列車は設定されていないようである。新大阪駅の西側の車庫の能力を増強する計画があるようなので、それが終わってからになるのだろうか。

 東海道新幹線には、まだ余力がありそうである。

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★06/08/13号:
 餘部鉄橋

 京都から日本海側経由で下関の隣の幡生までを結ぶ山陰本線という路線がある。この路線の兵庫県香住町、いまは香美町というらしいが、その町の谷間を越える餘部鉄橋という橋がある。1912年の開業であるから、間もなく開業100年になるこの橋は、橋脚の長さが約40メートルあり、華奢な鉄骨で支えられているので見た目は実に美しい。鉄道写真の撮影名所でもある。

 この鉄橋、橋脚の長さが40メートルと書いたが、今やこの程度の高さの橋脚は珍しくもないが、100年前としては世紀の大工事であり、歴史的な構造物である。この鉄橋の完成で山陰本線が全通した。東側のトンネルを抜けるとすぐに餘部鉄橋にさしかかり、橋を渡り終えたところに余部駅がある。

 穏やかな日には風光明媚なこの鉄橋であるが、日本海側であり、しかも海に面する谷に架けられた橋梁であるので、強風にさらされやすい。今から20年前の1986年の年末、強風にあおられた回送列車が転落し、橋の真下の蟹工場を直撃して6人の方が亡くなっている。

 以後、強風時の運転見合わせが徹底され、この区間は、特に冬場はしばしば運転不能になる。あまりにも運行への影響が大きいので、近年、架け替えの話が進行し、来年度から工事が始まるという。餘部鉄橋の美しい写真を撮るなら、今年が最後かもしれない。

 美しく、歴史的意味のある橋なので、現橋の保存を求める声や架け替えそのものに反対する意見も出ているようだが、橋の保存には費用がかかるとのことで、話は進んでいないようである。

 だいぶ前の話であるが、この架け替えに関して、立ち話レベルで意見を求められた。架け替えるべきか、使い続けるべきか。その時のWebmasterの返事はこういうことであった。

 橋を架け替える決定をするということは、それ相応の投資をするということです。つまり、山陰本線は残すという意思表明になります。架け替えないということは、このままでよい、つまり場合によっては廃止になるかもしれないということです。

 山陰本線のこの区間は、実は本線とは名ばかりで、かろうじて片道3本の特急列車が走っているものの、かなりの閑散路線である。最近ではこの区間を通過する夜行寝台列車や大阪方面への夜行列車が廃止されてしまった。ローカル列車は日に11往復である。並行して立派な道路でもできれば、とどめを刺す可能性もある。営業主体は今や公営ではない。一民間企業に過ぎない。民営化された当時は、路線網を維持するとの暗黙の了解があったか無かったかは知らないが、あったとしても状況が変われば結果も変わる。本線であっても部分的に線路が無くなる可能性は皆無ではない。

 余部鉄橋の架け替え費用の一部は隣県の鳥取県も負担することになっているようである。東京方面への夜行寝台が廃止になったことにご立腹のようで、鉄橋の架け替え費用の負担を取りやめようかということも考えているらしい。

 しかし、本当に取りやめて、架け替えが中止になったりしたら、場合によっては廃線の危機が急迫する可能性もある。宿泊税が東京へ来るなというサインだと言うなら、鉄橋架け替え費用負担せずとは、廃線へのゴーサインになりかねない。

 鳥取豊岡宮津自動車道完成を目指して、一般国道178号の改築事業が進む。設計速度は80Km/hだそうである。

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★06/08/10号:
 東海道新幹線の東側の終点はどうして東京?

 東京在住の「日本の首都は東京だ!」と声高らかに叫ぶ方にとっては愚問かもしれないが、東海道新幹線の西側はどんどん直通できるのに、東側は必ず東京駅で降ろされるのは何故だろう。

 今やあたりまえのようになっているが、全国に新幹線を張り巡らそうとしている計画が元気だった頃は、東京駅は中間駅としても機能するように考えられていた。右の写真のうち、夜に写している方は東海道新幹線の14番線と15番線のホーム、つまり東北新幹線のホームに一番近い線路であるが、大宮方向に曲がっている。昼間写した方の写真は東北新幹線ホームから品川方向を写したものだが、このまま延ばせば東海道新幹線につなげるのは容易なことがわかる。

 全国的な新幹線網ができた暁には、全国どの新幹線路線でも走れるようにと、試験車両もつくったようである。実際に山陽新幹線で試験走行をした後、東北新幹線で走行している。その車両にはなんと寝台車も試作されていたらしい。

 よく、この話題になると電源方式が違う(東海道新幹線は交流25KVの60Hz、東北新幹線は交流25KVの50Hz)から走れないという話になるが、両方の電源方式で走れる営業車両は存在している。長野に行く北陸新幹線用に製作された車両は長野県内が東海道新幹線と同じ電源方式になっているので、両対応で設計されている。むしろATC(駅や前を走っている列車に近づいたりすると、自動でブレーキをかける装置)の違いの方が影響が大きいかもしれない。40年以上前の設計の東海道新幹線用電車のATC装置はかなり大きかったが、電子機器の小型化が進んでいる昨今なので、がんばれば両対応の機器の開発もそう困難なことではないと思う。

 とすると、あとは東海道新幹線と東北新幹線を乗り通す客がどれだけいるか、ということになるわけだ。東北方面から西関東とか、中部方面から北関東とかへの客は少なからずいると思うのだが、現状の東海道新幹線や東北新幹線の余裕の無さを考えると、難しいかな。

 北陸新幹線が大阪まで全通すれば、おそらく東北新幹線から北陸新幹線を経由して山陽新幹線へと直通できる新幹線電車が製作されると思うが、まだまだ先かも。

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★06/08/07号:
 東海道新幹線はどうして東京が近づくとのろいのか?

 東海道新幹線に乗って東京に向かうと、新横浜を出たら一瞬200キロくらいに加速した後、すぐに減速して、後はノロノロ走る。何も知らない頃は終点が近づいたのでゆっくり走ってるんだと思ってたが、そうではなかった。

 終点が近づいてゆっくりと走らなければならないのなら、西に向かって走る新幹線が新大阪に近づいたらゆっくり走らなければならないことになるが、大阪に到着する場合は東京ほどゆっくりとは走らない。つまり、東京特有の事情があるわけである。

 東京が近づくと、新幹線の車窓から列車の先頭や最後尾の方を見ると、まるで蛇のようにうねうねと曲がっているのが見える。そう、カーブがきつくて速く走れないのである。川崎市内に入ったあたりから終点の東京駅まで、実に20キロくらいの距離をノロノロ走る(といっても、毎時100キロくらいは出ている)。

 川崎市内から品川区の大崎の手前までは横須賀線と併走する。一部は横須賀線の真上を走る。新幹線建設時に線路用地の確保がしにくく、品鶴線(ひんかくせん。しなつるせんではないらしい)という貨物線の横や真上に新幹線の線路をつくった。その後、貨物線は旅客列車が走るようになり、横須賀線になった。品川から先も東海道本線の線増用に確保しておいた用地にそのまま新幹線を通したらしい。

 このように、いくら電車の先頭がとんがっていても、カーブがきつければゆっくりしか走れない。伊豆の熱海のあたりをややゆっくり走るのも、あのあたりのカーブがきつめだからである。

 20キロ分、特急料金返せ!と心の中で叫んでるのは私だけか?

 なお、東北新幹線の大宮と東京の間は、東海道新幹線よりもノロノロ区間が長くて、しかも遅い。東海道新幹線と東北新幹線を乗り継げば、実に1時間近くも東京都市圏の車窓を堪能できる。本気で走れるように真っ直ぐな線路を敷いてスルー運転できれば、東京駅に停まっても30分ほどしかからない。

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★06/08/04号:
 新幹線をいくらスピードアップしても便利にならない、かもしれない話

 新滋賀県知事が栗東市の新駅に反対である理由の一つとして、アクセスがあまり便利でないことをあげている。これはなかなか鋭い視点である。

 とかく高速交通機関は最高速度に目が行きがちであるが、たとえ瞬間的に時速300キロで走ったとしても、大半が時速200キロ未満で走らなければならないようでは、あんまり便利とは言えない。欧州の高速鉄道や北米の高速鉄道の中には、目を引くために最高速度だけをPR している例が非常に多い。日本の新幹線はその点、新幹線の定義として法律で、主たる区間を時速200キロ以上で走行できる鉄道としているため、欧米のような路線はあんまり無い。

 ところが、日本の新幹線にも弱みはある。アクセスである。例えば、新幹線に乗る距離が500キロで、乗車駅までのアクセス距離が20キロ、降車駅から目的地までの距離が20キロだったとしよう。新幹線の走行速度が、途中の停車時間なども含めて時速200キロだとすると、新幹線の乗車時間は2時間半である。東海道新幹線ののぞみ号はだいたいそんなモンである。

 いっぽう、乗車駅までのアクセスと降車駅から目的地までは都市内交通を使うことになるのだが、これが時速20キロだったとしよう。えっ? そんなに遅くないって? じゃぁ、最寄りの新幹線の駅までの距離と実際にかかる時間を考えてみよう。そんなモンである。

 時速20キロで20キロの道のりを行くと、1時間、×2。結局、総延長540キロの道のりを合計4時間半かけて移動することになるので、出発してから目的地に着くまでの移動速度は毎時120キロにしかならない。

 じゃぁ、新幹線をスピードアップして、途中の停車時間なども含めて時速250キロにしたとしよう。そうすると、新幹線の乗車時間は2時間ちょうど。30分の短縮だ。だいたい、山陽新幹線ののぞみ号レベルかな。そうすると、全体では総延長540キロの道のりを合計4時間かけて移動することになるので、出発してから目的地に着くまでの移動速度は毎時135キロ。あれ、あんまり速くならないぞ。

 末端アクセス部分のスピードをいろいろ変えて、新幹線部分の速度と全体の移動速度の関係をグラフにしてみたものが右の図である。都市内の移動がのろいと、いくら新幹線のスピードを上げても、頭打ちになる。ご理解いただけますかな? > 関係各位

 上の計算では、アクセス速度を毎時20キロと計算したが、軌道系の交通機関が不便で、周辺道路が渋滞がちだったとすると(朝夕など)、速度は毎時10キロくらいと言うのも珍しくない。こうなると、もはや何のために新幹線が速く走っているのか、無意味になってしまう。

 このお話、新幹線に限った話ではなく、飛行機も然り。リニアモーターカーも然りである。

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★06/08/01号:
 新幹線の駅はもったいないのか?、もったいなくないのか?

 ネットワーク(網の目状のつながり)上の距離を表す方法として、こんな方法があるらしい。

 例えば「ハトコ」という人を直接知っている人は「1ハトコ」、「ハトコ」を知っている人を知っている人は「2ハトコ」、「ハトコ」を知っている人を知っている人を知っている人は「3ハトコ」、などと表す方法があるらしい。そういう距離を丹念に調べた人が世の中にはいるらしくて、思ったより世界は小さいそうである。(頭の中に、ネズミー国のアトラクションのテーマソングが流れ始めた・・・眠い)

 さて、最近、滋賀県知事があたらしい方に変わったが、2〜3日前に新知事は「2ハトコ」の距離にあるらしいことがわかった。だからどうかと言われると、それだけの話である。ついでに言うと、現大阪府知事もどうやら「2ハトコ」の距離にあるらしい。

 新しい滋賀県知事は、財政支出が"もったいない"ので、東海道新幹線の栗東新駅(南びわこ駅?)の建設を中止する意向だそうだが、大規模なプロジェクト(と言うほど大きなプロジェクトでもないが)を止めるなら今だろう。マスコミが"もったいない"と騒ぎ始めるのはたいてい完成間近であり、そんな時期になって本当にプロジェクトを止めたりしたら、こんどは、それまでに投入した資金や資材や労力が"もったいない"。

 新滋賀県知事は、環境に対する意識がたいへん高い方のようである。というか、そういう人を選挙で選んだ滋賀県民が環境に対する意識がたいへん高いと言った方がいいだろうか。環境負荷を減らすには大きな建設プロジェクトは止めるというのが一つの方法ではある。建設プロジェクトによって失われる環境が"もったいない"。

 ところが、今回話題の新幹線は、交通機関の中ではたいへん環境にやさしい部類の乗り物である。それが使いやすければ、環境に対する意識の高い滋賀県民は環境にやさしい新幹線をよく使うようになるだろうし、それが使いにくければ、あるいは使えなければ、環境に厳しい乗り物を愛用せざるを得ない。そうすると、やっぱり環境が"もったいない"。

 どっちの"もったいなさ"の方が小さいかを天秤にかけなければならないと思うのだが、それはもうやってみただろうか? そんな時間は"もったいない"かな? "もったいなさ"には、目に見えやすい"もったいなさ"と目に見えにくい"もったいなさ"があると思うが、どうでしょう?

 それから、新幹線がない地方の人から見ると、「なんて"もったいない"ことをするんだ」と思っているかもしれない。新幹線の線路がなければ、駅をつくるためには、線路を敷くところから始めなければならない。線路を敷く段取りに40年近くかかり、費用も数千億円〜兆円オーダーである。それに比べれば、目の前に営業中の新幹線の線路があり、しかもそれが天下の東海道新幹線であり、駅をつくる段取りはもう済んでおり、数百億円オーダーでできるというのをフイにするのは、見方によっては"もったいな"くないか?

 東京に行くには「新快速+乗り換え」で十分だが、こだま号やひかり号でも、名古屋や三河安城、豊橋、浜松、静岡、掛川、新富士なんていうところに直接行けます。こういうところは、滋賀県下と同じく、日本を支える高度な工業地帯だと思いますが、満足できませんでしょうか?

 現状じゃ逆立ちしても新幹線が走ってきそうにない県出身の私の頭の中には、こういう言葉が回り始めた。「あぁ、もったいない、もったいない」・・・(眠い)

 まぁ、決めるのは滋賀県民なんだけどね。

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