今は、子どもが線路内に自由に侵入できるようなところはほとんど無いが、Webmasterの小学生の頃は線路際も活動範囲の一部であった。もっとも、当時の列車は普通列車で50km/hくらい、貨物列車は30〜40km/hだったので、実にのんびりしたものだった。
その活動範囲のJR紀勢線、当時の国鉄紀勢本線はWebmasterの小2の頃に電化工事を開始し、小5の秋に電化完了した。小3の時に買ってもらったカメラを持って、電車になる前の列車や試運転が始まった電車などを撮りに行った。
線路際や駅が標準だが、時にはミカン山を上り、トンネルの入り口の真上に出て撮ったりしたが、今思えば危険きわまりない遊び場であった。そんなこんなで撮ったフィルムを現像に出すと、目ン球が飛び出すほどの金額になって困った記憶がある。
電化前の普通列車はあちこちから寄せ集めのディーゼルカー。急行列車もどきの車両もあれば、半分荷物車の車両、ロングシートの通勤電車ふうの車両、ドアが手動の車両、電灯が白熱灯の車両等々、いろんなのがごちゃまぜで走っていた。特急列車や急行列車にはグリーン車が2両もついており、食堂車もつないであった。夏の観光シーズンには真っ青なボディーに真っ白な線の入った臨時急行列車が真っ赤な機関車に牽かれて走って行った。貨物列車の積荷は、もちろんミカンなどもあったが、石油精製工場2〜3があったせいもあり、石油タンク車が多かった。大きなタンク車は重い荷重を分散させるために、通常は2軸の台車が3軸になっていた。
電車の試運転が始まると、普通電車用のライトグレーにスカイブルーの帯の電車や特急用のやけに屋根が低くて屋根上のすっきりした電車、期待に反して年代物の貨物列車用の電気機関車なんかがやってきた。
はてさて、あのときに撮った写真はどこへ行ったかなぁ。捨ててはいないはずなんだけどなぁ。
瀬戸大橋は、道路鉄道併用橋であり、鉄道は新幹線と在来線往復2線ずつの計4線が通せるようになっているということはちょっと前に書いたが、そんな大幹線のはずの瀬戸大橋には悲しい現実が存在している。
確かに橋の部分については、最大4本の線路を敷くことができるようになっているが、その前後、特に岡山と橋の間が問題なのである。
瀬戸大橋は幹線である。利用者数がどうこうと言う話以前に、四国4県と本州を結ぶ鉄道ルートはこの路線以外にはあり得ない。そういうわけで、瀬戸大橋を通る路線には、毎時片道あたり、高松行きの快速列車が2本、高知行きの特急が1本、松山行きの特急が1本走る。さらに、琴平方面行きの普通列車が1本あり、橋には計毎時5本の列車が走る。
ところが、橋は複線でも、岡山側の茶屋町と岡山の間が線路1本しか無い。ここに岡山発着四国方面行きの列車が毎時片道5本も走るのである。岡山と茶屋町の間には宇野行きの列車も走るので、片道6本、往復12本である。実際のこの路線に乗ってみると、単線なのに、とにかくよく反対向きの列車とすれ違う。
大都市圏などに住んでいて、複線の鉄道がごく当然の人にとっては、それがどうしたのかと思うだろうが、毎時12本の列車を単線区間に通すのはかなり大変である。
単線というのは、あらためて言うまでもないが、線路が1本である。ということは、2つの駅、A駅とB駅があったとして、その駅間を列車が走行する場合は、A→Bの列車か、B→Aの列車かのどちらか一方しか運転できない。
いま、A←→B間を走行するのに5分かかったとする。正午ちょうどにA駅からB駅に向けて列車が出発したとすると、この列車がB駅に着くのは12時05分である。B駅では反対向きの列車が待っており、A→Bの列車の到着と同時にB駅からA駅に向けて出発したとする。そうすると、この列車がA駅に着くのは12時10分である。
A駅でも反対向きの列車が待っており、B→Aの列車の到着と同時にA駅からB駅に向けて出発したとする。そうすると、この列車がB駅に着くのは12時15分である。以下同様に繰り返すと、次の表のようになる。
列車 | A駅 | B駅 | |
---|---|---|---|
A発B行き | 12:00 | → | 12:05 |
B発A行き | 12:10 | ← | 12:05 |
A発B行き | 12:10 | → | 12:15 |
B発A行き | 12:20 | ← | 12:15 |
: | : | : | : |
つまり、この場合は同じ方向に10分ごとにしか列車を走らせることができないということである。10分ごと、すなわち毎時6本、往復12本である。
実際には、列車の到着と同時に反対向きの列車が出発できるわけではないので、駅間の時間は5分よりも短い時間で走行しないといけない。駅と駅の間隔が不揃いだった場合には、最も駅間が長い区間にあわせて運行せざるを得ない。特急と普通列車では、駅間の走行時間は異なっている。そういうことを考えると、瀬戸大橋の北側の岡山と茶屋町の間に毎時往復12本もの列車が走っているのは驚異的ですらある。ちなみに、大阪近郊の通勤通学路線である学研都市線の松井山手と京田辺の両駅間は単線であるが、この区間の運転本数は朝のピーク1時間で片道6本、往復12本である。
幹線なのにこういう状況になっているのは、いくつか理由があるが、詰まるところ、建設資金調達の話に行き着く。瀬戸大橋は国策として建設され、当初は独立採算として企画されたものの、結局払いきれずに道路財源が投入された。線路については、使用料を払うだけなので、大勢に影響なし。
ところが、橋以外の部分については、何らかの方法で建設資金の調達が必要であったが、明確な方法がない。高速鉄道である新幹線については、細々とではあるが、国費を主体とする資金調達の方法が決まっている。ところが、新幹線ではない幹線鉄道については、たとえ四国4県がつながっている幹線であっても、複線にする資金が明確には存在しない。なので、橋が開通しても単線のままになってしまう。日本の鉄道整備財源の盲点をこの路線に垣間見るのは気のせいだろうか。
さすがに単線では厳しいので、四国側の地元主導で徐々に複線化が進められているようである・・・が、本来これは国の仕事ではないのだろうか?
関西地方在住の方は、「新快速」はJR西日本の看板商品だと思いこんでいる人が多いが、「新快速」は名古屋都市圏の東海道本線にも走っている。使われている車輌は、ちょっと前までは二十年以上前のものだったが、最近は左のような新しい車輌が使われるようになり、なかなか快適である。この新型車両は年々数を増やし、日本国有鉄道の時代から走っている車輌に出会うことはほとんど無くなっている。
さて、関西地方の"常識"では、新快速は主に京阪神地方を結ぶ快速都市間列車であり、名古屋都市圏でも新快速は岐阜県下の大垣あたりから名古屋を通って豊橋あたりまでを主に結ぶ列車である。最近は姉妹商品として"特別快速"もある。
この関西人的感覚からすると、JR東海の通勤通学のメインラインは東海道本線と思いこんでしまいがちであるが、どうやら、それだけではなさそうである。名古屋ネタをノロノロ書いているので、ついに冬になってしまったが、お盆過ぎに名古屋駅から岡崎方面の普通電車に乗ろうとしたとき、ある事実に気がついた。短い! 短いのである。
関西地方で東海道本線の普通列車は標準的には7両編成である。そうすると、名古屋の普通電車も4両くらいはあってもいいと考えてしまいがちなのだが、何と2両である(大府駅から知多半島方面へ分岐する武豊線直通の列車の中には短いものがあるが、乗ろうとしたのは40万人都市の岡崎行きである)。右の写真は、その時のものではないが、これとほぼ同様の列車が、名古屋駅の長いホームの真ん中付近にやってくる。時刻は午後8時過ぎ。深夜早朝でもなく、サラリーマンの帰宅時間帯である。
案の定、車内はずいぶん混んでおり、これじゃぁクルマにすれば良かったと思う名古屋人は少なくないだろう。他の新快速電車なども4両程度で運転されているものがほとんどである。
朝のラッシュ時間帯に名古屋駅に到着する列車の本数としては、やはり東海道本線が一番多いが、実は中央西線もほとんど同じ本数である。昼間については、東海道本線も中央西線も同じ本数のようである。特急列車の分だけ、中央西線の方が利用可能な列車は多いとさえ言える。おまけに、編成が長いことが多そうである。中には10両ほどもつないでいる列車があるようである。
東海道本線は並行して名鉄が走っており、速度や本数を減らすわけにはいかない。なので、お客の数には基本的に編成の長さで調節して対応することになる。いっぽう、中央西線については近年、沿線の開発が進んだが、基本的には同業の商売敵が無い。沿線の電車利用者はすべてお客である。少々遅くても客が逃げる心配はないが、数はこなさなくてはならない。なので、概して列車の編成は長めのように見える。東海道本線では余分な料金無しで乗れる新快速相当の列車についても、300円ほど余分に払わなくてはならないのも、わかりやすいコンペティタが無い影響であろうか。
でも、真のコンペティタはクルマなんだけどな・・・
瀬戸大橋は、道路鉄道併用橋であり、鉄道は橋の網カゴのような箱の中を走っているということはちょっと前に書いたが、その写真を見ると、なんだか少し空間に余裕があるのがおわかりだろうか。
実は、この空間、新幹線用の空間なのである。つまり、瀬戸大橋は在来線用の線路2本と、新幹線用の線路2本の合計4本の線路が通せるように設計されているのである。
左の写真は瀬戸大橋の曲線部分だが、左側の空間の下の方の様子が写っている。そこには、新たな線路を載せられるように既に準備が行われていることがわかる。
右の写真は、瀬戸大橋の岡山側の付け根部分で、橋からトンネルに入る直前部分である。トンネルの直径が線路一本分にしては妙に大きいのがわかるだろうか。将来線路が増えた場合でも、トンネルを掘りなおさなくてもいいように、既に大きな径のトンネルを掘っているのである。
実際に新幹線を通すことになったら、現在左右に1本ずつに配置されている在来線を片側に寄せ、片側に複線の新幹線、もう片側に複線の在来線となるように設計されているようである。新幹線は設計当時の時代を背景としており、16両のフル編成(約1000トン)が通過できるようになっている(※)。東海道本線や山陽本線を走る貨物列車も、最大級のものはほぼその程度の重量である。そんなわけで、瀬戸大橋開通時の荷重試験の際には、100トンの電気機関車を10両ほど実際につなげて走らせて、橋のたわみ具合などが調査されている。
こういう準備工事は瀬戸大橋だけに限ったものではなく、淡路島と四国の間にかかる大鳴門橋にも見られる。
左の写真は大鳴門橋の淡路側から橋の梁の部分の中をのぞいたものであるが、この空間には新幹線の線路が2本通せるようになっている。単なる道路橋ならば、明石海峡大橋のようにこの空間にも部材を斜めに入れた方が何かと都合がよいはずであるが、斜めの部材はわざわざこの空間にはみ出さないように配置されていることがわかる。
この手の将来の新幹線ネットワーク拡張に備えた設備は、よく見るとあちこちにあり、しばしば鉄道評論家の原稿のネタになっている(・・・って、まぁ、私もネタにしているわけだが・・・)。
(※) 工事誌によると、1200トンの貨物列車を100トンの機関車2両で牽引することを想定して設計しているようである。
自家用車を運転中にお昼時が近づいた場合、場所によってはハンバーガーチェン店などの位置をよく覚えておいた方がいい場合がある。昼ご飯をそこで食べるためではなくて、ドライブスルー渋滞を引き起こしていることが少なからずあるからである。
ロードサイドの店舗が引き起こす渋滞については、ずいぶん前にも書いたが、大きなショッピングセンターでなくても、小規模なハンバーガー店1つでも幹線道路の渋滞を引き起こしているケースは少なからずあるように思われる。
Webmasterは普段は電車とバスによる通勤であるが、休日出勤などの場合には行き帰りの立ち寄り先によっては、自家用車を選択することもある。休日なので、朝早くの出勤ではなくて、昼頃というケースがほとんどであるが、このタイミングで、ドライブスルー渋滞が生じているようである。
経路となる片側二車線道路が、件のハンバーガー店の数百m〜1km手前から混み始めることがある。時間帯から考えて自然渋滞ではないので、事故渋滞かと思いきや、ドライブスルーを目指してハンバーガー店に突っ込もうとしている車列が本線まではみ出している。残念ながら路肩があまり広い道路ではない上、大型車が多いので、実質的に1車線をつぶしてしまい、結果、渋滞の原因となっている。
件の店は、そういうことが生じていることに気づいていないのであろう。警備員すら置いていない。
もちろん、道路上に車を停車させること自体はドライバーの免許という資格の下に行われている行為であるが、この渋滞の原因がドライブスルーであることは明らかである。たまたま発生してしまったのならともかく、しばしば発生しているようなので、ハンバーガー店の経済行為状の副産物ということになるが、ハンバーガー屋が往来妨害で摘発されたという話は聞いたことがない。
結局、ずいぶん前と同じ結論だが、周辺住民も道路利用者も何も疑問に思わなくなるほど、どっぷりクルマ漬けなのだろうなぁ。
#渋滞回避の方法はいくつかある。
1つは、窓口を増やすことである。高速道路の料金所と同じく、ドライブスルーの処理窓口を増やすという方法がある。
この程度の努力をしておかないと、往来妨害を予防しているとは言い難いのでは無かろうか。むしろ、現状で交通管理者が取り締まりを行わない方が不思議なくらいである。
2つ目は、処理速度を上げることである。現状でも注文場所と受け取り場所を分離して処理能力を上げようとしているが、ドライブスルーで提供するメニューから時間のかかるアイテムを排除するというのも方法である。決済を現金ではなくて電子マネーやETCなどを使って迅速化するという方法もあろう。
3つ目は、渋滞が発生したらドライブスルーを一時閉鎖し、その旨を車列に参加する前にドライバーに知らせる方法というもある。都市高速のランプの閉鎖と同じである。
瀬戸大橋は今さら言うまでもないが、岡山県と香川県の間の瀬戸内海に架けられた一連の橋で、最初の橋から最後の橋までで約10kmある。東京方面の人が、やれベイ橋だレインボーブリッジだと騒いでも、鷲羽山の展望台から見る瀬戸大橋のスケールには到底及ばない。レインボーブリッジ3つと横浜ベイブリッジ2つにおまけをつけて利子をつけたくらいの規模である。何せ、橋の向こう側が霞んで見えないくらい長い。ちなみに、左の写真は途中の与島から写したものなので、南半分くらいしか写っていない。
今を去ること十数年前、運転免許を取って半年ほどの頃に瀬戸大橋が開通し、自動車で見物に出かけたのだが、通行料金の高さと大渋滞に閉口したものである(・・・ってまぁ、私も渋滞の原因の一つなのだが)。橋を渡りきるのに約2時間かかったっけ。今はそんなこともないので、ゆっくりめに走っても10分ほどで渡ってしまう。
この瀬戸大橋は、これまた今さら言うまでもないが、道路鉄道併用橋である。橋の上面部分には往復4車線道路があり、鉄道は橋の梁の部分、つまり、網カゴのような箱の中を走っている。右の写真はその網カゴの中から写したものである。これが10キロほど続く。
大きな橋というと右の明石海峡大橋も有名であるが、こちらは道路だけしか無い。当初の計画では、明石海峡大橋も道路鉄道併用橋のはずであったが、建設開始の頃にはすっかり自動車社会になってしまっており、費用が安くなるということで鉄道併用橋として建設することは見送られた。
そんなわけで、道路の下の空間には斜めの部材が進行方向と直角方向にも入っており、これでは作業用の小型車輌くらいしか通れそうにない。鉄道が通れそうにない理由はまだ続く。上の瀬戸大橋の写真をよく見ると、鉄道が通っているカゴの部分は、ずーっと向こう側まで一体につながっているのがわかるだろうかパーツに分かれているが、なめらかにつながっている。鉄道はレールの上を走るので、段差があると脱線してしまう。そこで、段差をなるべくつくらないように、鉄道の走行部分が一体になっているわけである。
じゃぁ、明石海峡大橋はというと、基本的に3つのパートに分けられている。陸から2本立っている橋を吊っている塔(主塔)までの部分と、一番長い主塔と主塔の間の部分と、残る主塔から向こう側の陸までの部分である。陸側の部分はともかく、主塔のところでは、塔に台座をつくって走行部分を乗っけるのではなく、主塔から走行部分を吊っているだけなのである。主塔の右側と左側では、走行部分が別々の動きをする。
それで、何がいけないのかって? 吊り橋は、上からケーブルで吊っているので、どうしても橋の中央部分が盛り上がっている。例えば、左の写真は瀬戸大橋だが、実はかなりの急勾配を列車が登っているのである。
ということは、走行する網カゴが一体設計されていたとしても、上り初めの部分には上下方向の急な角折れができるわけで、瀬戸大橋には緩衝装置が設けられている。この緩衝装置は橋が寒暖によって伸び縮みすることにも対応する。
明石海峡大橋はというと、走行路部分が別パーツなので、主塔の下でどうしても折れ曲がる。左の写真は明石海峡大橋の淡路島側の主塔の部分である。右側が一番長い中央部分、左側が主塔と淡路島側の陸とを結ぶ部分である。よ〜〜〜〜〜く見ると、主塔の右と左とで走行路部分の角度が変わっているのがわかる。この急な角度の変化に、残念ながら鉄道は対応できない。
ということは、明石海峡にも鉄道を通したくなったら、橋に対して何らかの大がかりな改造をするか、あるいはトンネルを掘らなくてはならないということになる。もっとも、現状ではそんな話は事実上さっぱり動いていない。
ネットワーク(網の目状のつながり)上の距離を表す方法として、「ハトコ」という人を直接知っている人を「1ハトコ」と表すと、現滋賀県知事はどうやら「2ハトコ」の距離にあるらしいことは以前述べたが、その後、このルート以外でも「約4ハトコ」程度の距離にあることが判明した。世間はずいぶん狭そうである。だからどうかって? それだけの話である。(ララ、ラン、ラン、ラン、ララ、ラン、ラン、ラン・・・眠い)
さて、例のもったいない駅の件であるが、多くの方がご存じのように、建設費負担の滋賀県負担分の支払いがストップしたので、工事が事実上凍結された。10月には、反論に相当する数字も示されたようなので、いよいよ論戦開始かと思いきや、私が知らないだけかもしれないが、どうもそんな様子は無いようである。知事の圧勝か??
この数値、公表はされたが、おそらく一般市民には解読不能である。従来から調査されてきた報告書の前提条件を妥当そうな値に変更して再計算したという手法のようであるが、変更前の条件設定が妥当なのか、変更後が妥当なのか、その計算結果が妥当なのか、大半の市民は判断するすべはほとんど無いだろう。
ただ、はっきりしていそうなことは、条件設定を変更しても一定の利用者は存在しそうだということである。少なくとも東海道山陽新幹線の駅の乗降客数ワースト・ワンでは無さそうな雰囲気であり、私の知るとある県庁所在都市の中央駅よりは客が多そうである。
とするならば、本当に新幹線駅が必要だと考えているなら、駅の価格がずっと安価になるように設計変更し、駅の利用者が少しでも増えるように既設の鉄道線に位置を近づけ、知事や県民に対して如何に新幹線が滋賀県にとって必要な施設であるかを説き・・・という光景があってもいいのだが、どうもそういうふうには見えない。
当事者の鉄道会社にも、地元の推進派の政治家にも、市民にも、そういう動きが(私が知らないだけかもしれないが)見えない。ということは、推計結果の議論以前に、その程度のプロジェクトであった、と判断されても致し方あるまい。
この件、このまま終焉か? 甲賀地方の人は束の間の夢を見たと言うことか?
写真は、名古屋の地下鉄東山線の写真で、撮影したのは2002年頃である。この東山線は名古屋市の地下鉄で最も古く、来年の秋で開業50年になる。
地下鉄は地下を走る鉄道であるが、基本的にすべてトンネルの中なので、安全に運転するためには保安装置は地上の鉄道よりも重要である。この東山線では、現在は新幹線と同様のATC(=Automatic Train Control)という保安装置が使われ、細かく速度制限されている。じゃぁ、それまではというと、ちょっと年代物の保安装置が使われていた。
写真には「ここ」と書いた引き出し線があるが、その先、つまり信号機の足元付近に今日の話題の古風な保安装置がある(というか、今は使われていないので、「あった」が正確か)。
よくわからないので、拡大した写真が右である。2枚あるが、違いがわかるだろうか? そう、白い出っ張りが立ち上がっているか、寝ているかが違うのである。この装置は「打子」という列車を実力行使で止める部分なのである。
先日の記事に書いた板17枚は、基本的には列車に「止まった方がいいよ」ということを教える装置であるのに対し、こちらの白い出っ張りは実力行使なのである。
この装置の横の信号機が赤信号になると、しばらくしてこの白い出っ張りが立ち上がる。もし、そこに来てはならない列車が走ってくると、列車の台車に取り付けられた圧縮空気弁にこの白い出っ張りがあたり、ブレーキ用の空気を抜く。ブレーキ用の空気が抜けると、列車は非常ブレーキがかかる仕組みになっており、列車の追突を防ぐというものであった。
原始的な装置だが、明らかに動いているのがわかる装置であり、なかなか楽しいアイテムであった。今はもう、日本国内でこんな方法で列車を非常停止させている路線はない。
今はもう、どの鉄道会社も安全対策が行き届いていて、子どもが線路敷き内に侵入すると大騒ぎになるが、Webmasterの小学生の頃は線路際も活動範囲の一部であった。もちろん、そういうところに行ったことが親に知れると、当然ながら大目玉ではあったが・・・
当時の放課後、50円玉を握りしめて駄菓子屋に自転車で向かい、その後の活動パターンの一つとしては、貨物列車の入れ替え見物というというのがあった。他のパターンとしては、小川を堰き止めてダムをつくったり、崖を登って探検ごっこしたり、蛙を100匹つかまえたり等々、今から考えればとんでもない活動メニューであった。
駅の線路に沿って東側の民家の密集地帯に自転車をおき、とある家の軒先をすり抜けると駅の貨物留置線のそばに出た。当時の駅は旅客だけでなく、貨物も扱っており、南の方からやってきた貨物列車に駅ごとに貨車を増結するという作業が行われていた。
まず、駅で引き受けた荷物は、留置線の貨車に積み込まれる。毎時1本の旅客列車が、昼下がりだけは2時間ほど間隔が空いており、この間に貨物列車がやってくる。
貨物列車は駅のホームに停車した後、貨車と機関車が切り離され、機関車だけが駅構内の端っこ、留置線との分岐器の先まで進む。しばらくして分岐器が切り替わると、機関車は留置線まで入ってきて、荷物を積み込んだ貨車を連結し、再び留置線との分岐器の先まで進む。
最後に元のところまで戻り、そこまでの貨車に、この駅からの貨車を連結して出発進行。ずいぶんゆったりしたスケジュールだったので、十数分から30分近くかかっていたと思う。
これ以外に、紀伊半島を一周して名古屋まで向かう特急列車や、寄せ集めの気動車で編成された普通列車などを見物していると、すぐに夕方になってしまったものだった。
旅客輸送の話ばかりしてきたが、貨物部門の話もある。結論から言うと、旅客部門と同じ話である。
貨物輸送に関しては、減少傾向にあるものの、京都議定書クリアにはまだ届いていない。ましてや、50%削減とか、80%削減という話だと、想像もつかない世界が待っていることは旅客部門と同じである。
まずは現状である。旅客と同じく、2002年の交通経済統計要覧という資料の数字を使うと、主な交通機関が日本全国の貨物輸送の何%を運んでいるか、1トンの貨物を1キロ運ぶと何グラムのCO2を排出するかを表にしたものが下にある。それを図にすると、右のようなイメージになる。面積が大きい交通機関が排出の元凶ということになる。
輸送機関 | 貨物輸送のシェア | 1トン1km運んだときのCO2排出量(g) |
---|---|---|
鉄道 | 4% | 21g-CO2 |
海運 | 41% | 39g-CO2 |
自動車 | 55% | 158g-CO2 |
飛行機 | ほぼ0% | --- |
それぞれの交通機関の1トン1km運んだときのCO2排出量(g)と輸送のシェアを掛け合わせて平均をとると、103.7という数字が出てくる。つまり、日本では貨物を1トン1km移動させると、平均的には103.7グラムのCO2が出てきている、というのが現状である。
これを旅客と同じく、22%削減すると、103.7×(1-0.22)=80.9 つまり、平均的には80.9グラムのCO2しか出さないようにしないといけないということである。そういう状態になるように比率を逆算すると、下の表のようになる。グラフにすると、右である。色を塗った面積の合計は22%減少している。飛行機については量が少ないので、省略である。
輸送機関 | 貨物輸送のシェア | 1トン1km運んだときのCO2排出量(g) |
---|---|---|
鉄道 | 30.5% | 21g-CO2 |
海運 | 29.7% | 39g-CO2 |
自動車 | 39.8% | 158g-CO2 |
鉄道のシェアが、4から30.5になるので7.6倍、7.6%ではない、7.6倍である!。JR貨物だけではなく、JR貨物北海道、JR貨物東日本、JR貨物東海、JR貨物西日本、JR貨物四国、JR貨物九州をつくらないといけないくらいである。再び、あの懐かしい光景を現実に戻さなければクリアできそうにないレベルである。
海運と自動車は0.72倍なので、28%減ということである。旅客と同じく、この数字は、ほんとに温暖化が止まるかどうかわからない京都議定書レベルをクリアするためだけの数字である。英国首相が受け取ったという報告書記載のレベルなら、このレベルでは済まされない。
まずは、50%削減するためには、こうなる。
輸送機関 | 貨物輸送のシェア | 1トン1km運んだときのCO2排出量(g) |
---|---|---|
鉄道 | 64.2% | 21g-CO2 |
海運 | 15.3% | 39g-CO2 |
自動車 | 20.5% | 158g-CO2 |
鉄道のシェアが、4から64.2になるので16倍である。海運と自動車はともに37.3%の削減である。都市内輸送部分が鉄道に置き換えにくいということを考えると、鉄道では絶対に輸送できないもの以外はすべて鉄道輸送にする必要があるかもしれない。
80%削減となると、強烈以外の何者でもない。ここまで来ると、ありとあらゆるものを鉄道で運んでも、80%削減にはわずかに届かない。しかし、あり得る話であるというのが恐ろしい。
輸送機関 | 貨物輸送のシェア | 1トン1km運んだときのCO2排出量(g) |
---|---|---|
鉄道 | 100% | 21g-CO2 |
海運 | 0% | 39g-CO2 |
自動車 | 0% | 158g-CO2 |
こうなると、ほとんどの街路に路面軌道を敷き、燃料電池駆動の小型モーターカーが牽引するミニ貨物列車が街中を走り回り、末端はリヤカーか手押し車ということになるのだろうか。21世紀中期の都市景観からは自動車が消え去る、というシナリオとなる。
写真は、JRで名古屋から15分ほどのところにある駅の構内の線路であるが、線路のレールとレールの間に板のようなものがたくさん置かれている。
この板は、列車の安全を守るための保安装置の一部で、列車に位置情報を送ったり、この先の信号機の状態を知らせたりする目的で設置される。自動列車停止装置(ATS=Automatic Train Stop)の地上子と呼ばれている。
比較的最近までは、この地上子という板は信号機1本に対して1個設置されることが多かった。つまり、赤信号の手前で列車を停止させたり、黄色の注意信号の手前で運転席のベルを鳴らして警報したりするには、1個あれば十分だったわけだ。
ところが、例の事故以降、速度超過に対する意識の高まりから、いろんな段階の速度制限を監視する目的でたくさん設置されるようになってきている。
じゃぁ、速度制限するのにどうして斯くも沢山の板が必要かというと、比較的安価に仕上げようとするとこうなるからである。
速度制限する方法は大まかに分けて2つある。1つは連続的に速度を監視する方法で、新幹線や一部の地下鉄に搭載されている自動列車制御装置(ATC=Automatic Train Contorol)がこれにあたる。非常に高性能なので、運転士が眠りこけていても次の駅まで難なくたどり着いてしまう。例の事故以降、しばしばマスコミに登場する表現である「新型ATS」も機能としてはよく似ており、たとえ運転士が途中で「キャプテン!やめてください!」というような状態になって、フルノッチ(つまり、フルアクセル、フルスロットル)にしたとしても、自動でブレーキがかかる。
もう一つの方法は、速度チェックのポイントを設ける方法である。ここでたくさんの板が登場する。この板は一種の電波のようなものを発しており(正確には、板と電車側の板の間で電磁結合することで電車側の発振回路の周波数が変わる・・・が、まぁ、電波を受け取ると解釈しても大同小異)、1枚目の板の上を通過後、一定時間内に2枚目の板を通過するとブレーキがかかる仕組みとなっている。そうすると、1枚目と2枚目の板の間隔を調整することで、制限速度を調節できるという簡便なシステムが出来上がる。
難点は2つある。1つは、チェックが終わってしまえば、その先、運転士が何を思ったのかフルノッチにしてしまった場合に対応が出来ないことである。つい、忘れてしまうということもあり得る。もう一つは、速度制限する箇所が増えると、その都度2枚一組で設置しないといけない点である。
信号機の手前○○メートルで××キロ以下、●●メートルで△×キロ以下、◎◎メートルで△■キロ以下、などとやっていると、どんどん板が増えてゆく。つまり、板がたくさんあるということは、それだけ安全に気を遣っていると言うことの証でもある。
ただ、さすがに板17枚は多すぎだということになったのか、JR東海の在来線でも「新型ATS」を数年掛けて導入することになったようである。