▲研究室のページに戻る  ▲ 都市創造工学科のページへ


● 2007年02月
□07/02/27号: 都心の百貨店は高級店なのに、郊外店はSCの域を出ないのはどうして?(2)
□07/02/22号: 列車が一番エコ(ドイツ編)
□07/02/17号: 鉄道会社のコマーシャル(eco出張編)
□07/02/12号: 実家の台所の日本地図のナゾ(日肥本線編)
□07/02/07号: 実家の台所の日本地図のナゾ(ほくほく新幹線編)
□07/02/04号: 電車で座る技術(北陸線恐るべし編3)
□07/02/01号: おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・逆輸入プリーズ!

★07/02/27号:
 都心の百貨店は高級店なのに、郊外店はSCの域を出ないのはどうして?(2)

 ずいぶん久しぶりの続編である。

 郊外型店舗を得意としていた会社が百貨店も経営することになったをしたが、もう1社も駅前型店舗の営業を始めたらしいというので、行ってみた。

 もうすぐ新幹線が開業しそうなその駅前の店舗は、少なくとも京阪神圏などの繁華街ではよく見かける雰囲気の店舗である。郊外型店舗に比べると、取扱商品はやや高級志向であり、日用雑貨はあまり置いていない。簡単に言うと、都心の百貨店に近い雰囲気である。

 中心駅の駅前という立地なので、どうやら近隣県からわざわざ1〜2時間かけて電車でやってくる人もいるようである。隣県駅前商店街は戦々恐々といったところか? そういう点では京都駅や名古屋駅の駅ビル百貨店が成功した例に近い状況もあるが、残念ながら訪れた日が平日だったせいもあるのか、どうも客が少ない。しかも、紙袋持った客がいない。気のせいか?

 この町の中心市街は、駅前ではなく、駅から少し離れたところにある。歩いてみると、廃業した都心型のショッピングセンタがあった。ご覧の通り、比較的大きな交差点に面しており、自動車の処理は抜群なんだろうが、どうも排気ガス臭くて居心地が悪い。中心市街はこの交差点で南に折れて、さらにしばらく歩く。

 このまちも郊外型店舗にやられて、中心市街がゴーストタウンになってるんじゃないかと思いながら行ってみると、そうではなかった。十分人通りは多いし、高級ブランド店が新規店舗開店の準備すらしている。歩いているだけで、都心にいることがわかる。どうやら郊外型得意社の新規開店駅前店舗は必ずしも人通りが多いところに出した店舗ではなかったようである。

 中心市街のメインストリートを一歩はずれると、面白い通りがほぼ並行していることに気づく。水路に沿って自動車がようやくすれ違える程度の交通量の少ない道があり、歩くにはちょうどいい。こういう歩行者向けの交通環境が面的に広がっていることも中心市街健在の理由のようである。

 なお、あらためて郊外型得意社の新規開店駅前店舗の裏手をのぞくと、あったあった。大型立体駐車場。自動車に頼ってもあんまり高級品はたくさんは売れないんだけどなぁ・・・

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★07/02/22号:
 列車が一番エコ(ドイツ編)

 ドイツでは、”航空機に乗ってアジアに観光旅行に行くと数tのCO2排出量になるが、列車でバルト海方面に行くと数十Kgで済む”と政府関係者か政治家が発言したらしいが、観光業者の猛反発があったそうな。

 事実関係としては、おそらくそのとおり。航空機で例えば500Km移動すると55KgくらいのCO2排出なので、例えば1万キロを往復すると2.2tになる。500Km先の観光地に列車で行けば、往復でも19Kg程度の排出である。その差100倍以上!

 何事も、言い方を工夫しないと正しいことも理解されないということか。新幹線のコマーシャル「eco家族旅行編」をつくるときは要注意かもしれない。

#ドイツの観光業者はエコな航空機の導入について言及しているそうであるが、いくら頑張っても半分にもならないであろう。トンとキロでは桁が3つ違うことに気づかなくてはならない。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★07/02/17号:
 鉄道会社のコマーシャル(eco出張編)

 気分は2月下旬であるが、世の中はすでに3月半ば過ぎのようである。

 1年ほど前に、鉄道会社のコマーシャルについて書いたが、どうやらそういう主旨のコマーシャルが昨日くらいから本当に流れているようである。

 15秒版では単に「他の輸送機関よりもエネルギー効率が高い」とだけアナウンスしているが、Webサイトにあるロングバージョンではちゃんと「東海道新幹線のCO2排出量は航空機の約10分の1」とPRしている。そうそう。そうでなきゃ。(計算が「1座席あたり」というあたりが「10分の1」のミソであるが、まぁ、いいか)

 このサイトにはeco通信というニュースレターを掲載したページがあるが、どうやら昨年5月からの活動の一環のようである。eco通信の内容から見て、続編のCMもつくれそうである。

#このコマーシャルはwebmasterが考えたコンテよりもはるかにカッコいい(あたりまえか...)。

#どうやらWebサイト版は単なるロングバージョンではなく、そもそもTV版とWebサイト版ではコマーシャルの内容が違うようである。TV版はいろんなしがらみを抱えているように見えるのは気のせいか? もう、そろそろいいんじゃないですかねぇ、この程度の比較広告は。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★07/02/12号:
 実家の台所の日本地図のナゾ(日肥本線編)

 実家の台所の日本地図は、不思議な路線の宝庫であるが、もしも本当に実現していたらと思う路線もいくつか存在する。

 この地図は九州中央部の阿蘇山付近のものであるが、肥後熊本側から阿蘇の南側、高森まで路線が延びているのはもちろんのこと、日向の国延岡から高千穂までも路線は健在である。前者は南阿蘇鉄道、後者は高千穂鉄道で、いずれも元国鉄線であった。

 そして、その両者の終点の高森と高千穂の間には白色の予定路線が書き込まれている。峠部分の難工事部分が最後に残って、開通する前に建設凍結になってしまったわけだが、ここが開通していたとすると、肥後熊本と日向宮崎を結ぶ幹線になっていたはずである。名前は日向と肥後の頭文字をとって日肥本線?

 熊本-延岡間は約120Kmくらい、よく似た感じの熊本-大分間約150kmがゴトゴトと走る特急で3時間弱なので、熊本-延岡間は2時間20分くらいだろうか。延岡-宮崎間が約1時間なので、熊本-宮崎間は約3時間20分ということである。

 ちなみに、現在は熊本-宮崎間は高速バス利用で約3時間半弱、九州新幹線鹿児島経由で約3時間半弱なので、この幻の路線をつなげておけば高速道路や新幹線の開通を待たずして、熊本まで3時間台で行けたかもしれない。福岡へも5時間を切り、現在の高速バスや新幹線経由よりも早い。すでに過去形と思われるが、日向の国の発展の生命線は神々の郷にあったのかもしれない。

 なお、福岡-宮崎間の最速コースは、何と航空機である。アクセス含めて約2時間。近距離航空路線が残存しているのは、瀬戸大橋が開通して四国は離島ではなくなったので、本物の離島や北海道を除くと、九州くらいのものである。「日肥本線」があったなら、CO2排出ももう少し少なくできたろうに。

 鉄道はネットワークが命である。新幹線は航空路とライバル関係にあることがクローズアップされがちであるが、遠回りして新幹線を利用するよりも在来線で近道した方が早い区間は少なくない。そういう路線があちこちにあるような気がしてならないのだが、「何を今さら」なんだろうか?

#阿蘇-高千穂という観光コースはなかなか魅力的な響きがあるが、現状ではレンタカーでも使わない限り行けないので、結構面倒である。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★07/02/07号:
 実家の台所の日本地図のナゾ(ほくほく新幹線編)

 実家の台所の日本地図は、不思議な路線の宝庫である。

 この地図、JR線(というか、旧国鉄線)は白黒のゼブラ模様だが、新幹線については赤白のゼブラ模様の線で表現されている。東海道山陽新幹線や東北新幹線はもちろん赤白ゼブラであるが、通称秋田新幹線の田沢湖線も赤白ゼブラである。

 じゃぁ、山形新幹線の奥羽線はどうかというと、なぜか、単なる白黒ゼブラだったりして、首尾一貫しない。これがこの地図の特徴である(単にいい加減なだけだけど)。

 さて、上の図は新潟県南部を切り取ったものであり、「新幹線」の文字があるのは上越新幹線である。上越新幹線の越後湯沢〜浦佐付近が切り取られているのだが、この上越新幹線から西に向けて赤いゼブラ線が伸びている。はて? こんなところに新幹線はあったかな?

 十日町や松代、頸城をとおって上越市、駅名でいうと直江津の手前で信越本線に達しているので、どうやら北越急行線のようである。

 北越急行、通称ほくほく線は三セク鉄道在来線の単線電化鉄道であるが、線路がほとんど真っ直ぐで踏切がないので、時速160キロ運転をしている。東海道新幹線の熱海付近など、新幹線でもカーブのきつい区間は160〜170キロ運転なので、亜新幹線と言えなくもないが、新幹線ではない(でも、秋田新幹線や山形新幹線よりは速いかも)。

 在来線の特急用の電車の運転席の速度計は、時速160キロまで表示できるようになっているものが多いようであるが、この特急列車の運転席のメーターは時速200キロまで表示できるようになっている。もともと、北陸線(あるいは、新幹線の路盤を使って在来線列車を運行させるスーパー特急)で160キロで走行することを想定して設計された車両であり、湖西線や北陸トンネルの中でスピードトライアルも行われている。

 結局、160キロ運転しても、停車駅が多かったり、曲線で減速しなければならなかったり、踏切対策をどうするのかなど、手間の割には早くならないということで北陸線では160キロ運転は実現していない。

 日本には在来線と新幹線という二種類の幹線しかないようだが、「亜新幹線」という200キロ運転ではないが、従来よりも早く運転できる種別の幹線があってもいいと思うが、どうだろう。

 自動車専用道路には高速国道のほかに、自動車専用道路、バイパス等々、種々の工夫がある。隣の中国には新幹線に相当する高速鉄道(300キロ以上で運転、まだ無い)と在来幹線の間に、準高速という160〜200キロくらいで走行させる幹線というものが存在するようなのだが、日本の幹線鉄道政策は硬直化してないだろうか?

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★07/02/04号:
 電車で座る技術(北陸線恐るべし編3)

 今週もまた、福井に出張である。ネズミよりも学習効果が高いことを自任するWebmasterは、今回は早めに駅の窓口に向かった。月曜の朝。

 駅の窓口にて。
「木曜の雷鳥5号京都から福井までと、福井から金沢までの自由席券、サンダーバード46号金沢から京都までください。」
駅員 「乗車券も必要ですか?」
「はい」
駅員 「はい、1万4040円です。」

 今回は早めに窓口に向かうとともに、朝はやや人気の無さそうな列車、帰りはちょっと遅めに出発する列車である。今回は問題なく座席指定が取れた。そろそろネット予約の会員サービスの申込みしようかなぁ。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る 


★07/02/01号:
 おなかすいたねぇ、食堂車に行こうか・・・逆輸入プリーズ!

 日本の特急列車から、ほぼ事実上食堂車が消滅して久しいが、最近得た情報によると、東北新幹線や北陸新幹線で走っている形式の新幹線車両には、実は食堂車バージョンの車両が存在するらしい。

 マニアックな方からは「そんな話は聞いたことがない」との声が聞こえてきそうであるが、実は、E2系という新幹線用車両には食堂車が存在するようなのである。しかも、営業運転に投入されている模様。

 フランスのTGVは近隣欧州諸国はもちろんのこと、北米や韓半島にも輸出され、現地企業による現地生産もされている。TGVは基本的には速く走る車両を主体としたシステムなので、こういうことがしやすい。

 いっぽう、日本の新幹線は「速く走る車両+高速新線+高度保安装置+α」というシステムなので、セットでないと輸出しにくい。ということで、今のところの実績は台湾で走り始めた通称台湾新幹線のみである。この台湾新幹線とて、完全な新幹線システムではなく、高速新線部分や+αの部分の座席予約システムなどは新幹線のものではないので、いろいろと苦労している部分があるようである。

 さて、新幹線の食堂車はどこに走っているかというと、台湾ではなくて大陸の方である。新幹線はシステムで総合力を発揮するが、車両だけでも時速200キロで走れることには走れるので、輸出がされている。厳密に言うと、一部編成の完成品を輸出して、残りの編成を現地企業が組み立てる方式のようである。よくもまぁ、大事な設計図面を出したなぁと思うが、E2系という車両は北陸新幹線が長野まで開業する際に設計された車両である。つまり、10年前の設計であり、十分にこの図面のもとは取れているという判断なのだろう。東海道・山陽新幹線ののぞみ号とよく似た塗り分けで、白色に青くて細い帯を巻いている。

 さて、その中国版E2系であるが、現地ではCRH2という形式で呼ばれ、「国産技術」による「国産の車両」であると宣伝されているようである。もっとも、当の利用者はこれだけ情報通信が発達した世の中なので、日本の新幹線と同型であることは承知の人が多いようであり、古い手法のプロパガンダはさほど功を奏して無さそうでもある。黒い猫でも白い猫でもネズミを捕る猫はいい猫だ、と言った偉い人もいる国なので、国産だろうが輸入だろうが、速く走る電車はいい電車だ、ということか。

 このCRH2型電車、車輪部分の断面形状が中国大陸のレールにあわせてあるという以外は、日本のE2系という車両そのもののようである。定員610名の8両編成で200キロ運転。モーターつきの車両を増結すれば300キロ運転可能なようにも設計され、1等車と2等車、それから食堂車で構成されているようである。そう、食堂車が存在する!

 ということは、その食堂車を日本に持ってくれば日本の新幹線も、すぐに食堂車つきにできるではないか。逆輸入プリーズ! もし実現すれば、提供メニューはやはり中華が主体か?

#日本よりも大陸の方が、豊かな旅の環境を提供しようとしていると思うのは、気のせいだろうか。

▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る