「食べ物を粗末にしてはいけません」子どもの頃にこういって叱られた経験のある人も多いと思うが、webmasterもそのうちの一人である。特に戦争を経験した祖父母と同居だった家庭では、必ず聞いたことがあるフレーズでは無かろうか。ところが、今や飽食の時代といわれて久しいだけでなく、ついに食べ物を自動車に食わせる時代が来てしまったようである。そんな発想は、パイ投げするような国の文化である。
バイオエタノールという技術を導入すれば、CO2排出量を減らすことができるというので、欧米では導入に向けて工場などが急ピッチで造られているようである。その仕組みは簡単に書くとこうである。
まず、穀物を育てる。穀物は空気中の二酸化炭素を取り込みながら成長するので、この段階ではCO2排出はマイナスである。
次に、収穫した穀物を使って、アルコール燃料をつくる。このアルコール燃料を使って自動車を走らせる。自動車が走る段階ではCO2が空気中に放出されるが、最初の段階である穀物の育成においてCO2を空気中から取り入れているので、トータルとしてはCO2が増えない。ということで、バイオエタノールを使えば、CO2を排出せずに自動車を走らせられる。めでたしめでたし。
ところが、そう話は簡単ではない。穀物が世界中で無尽蔵に生産できるのならば、こんないい話はないのであるが、たいていの場合、穀物は食料である。穀物を食用ではなくて燃料生産にまわすような機会が増えてくると、食べる分が減る。減ると取り合いになるので、値段が上がる。買えない人も出てくる。
地球温暖化の影響というのは、温暖化により作物の生産量が減ったり、災害が起きやすくなったりということが主なものであろう。これを防止して、死人や、ひもじい思いをする人を少なくすることが温暖化防止の本来の目的である。
だからといって、温暖化防止手段であるCO2排出にだけ目が行ってしまって、食料を満足に手に入れられない人が増えたり、食料を奪い合うために紛争が起きて死人が出たりすれば、何のための温暖化対策かわからなくなってしまう。
その手段は果たして、本当の目的である人類の幸せのためになるのであろうか? よく考えた方がいいだろう。
#建築廃材を使ってバイオエタノールをつくる技術が開発中らしい。こういう捨てるものを再利用するという技術こそが本物の技術であろう。実用化が待たれる。
経済学分野で活躍されている、私にとっては雲の上の人のような(というか、実際そうなのだが)大先輩の通勤時に座るための技術が判明。
その技術のポイントとは、
(追伸1)”実践してみたが、朝の阪和線天王寺方面では無力であった”とのお叱りを受けたことがある。阪和線は東の中央線、西の阪和線と言うくらい(?)混んでいるので、かなり難易度が高いと思われる。まずは短距離客が多くて客の入れ替わりが激しい「普通 天王寺 行」あたりからお試しいただくのが確実かもしれない。
(追伸2)3月の改正から、特急列車の禁煙席が拡充されたそうであり、ちょっとは”北陸線恐るべし”も改善されるかもしれない。ありがとう>山崎さん(、、、っって、全国約30名の読者に入っているとは思えないが・・・)
商品名を直接書いて申し訳ないが、現状において代表的なエコカーはトヨタ自動車のプリウスである。
プリウス発売10年になるらしいが、webmasterも当時出たてのプリウスの購入を検討したことがある。だが、当時はまだバッテリの寿命をはじめとするシステムの信頼性に定評が無く、"人柱"になれるほど財源が豊かなわけでもなかった上、当時すでにメタボ気味のwebmasterが運転席に座ってしまうと運転席後部座席がデッドスペースになってしまうという致命的状況が発生したので、導入見送りになってしまった。なお、その後わかったことだが、webmasterが運転席に座っても後部座席がデッドスペースにならない自動車はほとんど無いようである。
さて、このプリウスについては「燃料としてのエネルギー節約はできても、製造時に余分にエネルギーを使うので、総じて環境に悪いのでは?」というような疑問がわきがちであるが、このようなFAQについてはメーカーも答えを準備してあるようで、webサイトで簡単に見ることができる。
そのサイトを要約すると、”確かに製造時には通常の自動車よりもエネルギーを費やすが、その分を差し引いても燃費がいいので、総じてエコ”というものである。CO2排出量は、製造時を含めて3割減程度、ということのようである。
このサイトのグラフをよく観察すると、自動車のCO2排出量は通常タイプの場合の総排出量を1000とすると製造時:走行時=200:800程度、プリウスは300:400程度のようである。
ということは、燃費は800→400と半減しているように見えているけれども、実態としては800→500、つまり見かけの燃費よりも実質的な燃費は20%ほど悪いということになる。
さてさて、プリウスの燃費についてはずいぶん前に書いたが、22.3km/hという数値を20%補正すると、22.3*(1-0.2)=17.8Km/Lとなり、こんな感じになる。また、排出原単位も1人1キロあたり44*8.3/17.8=20.5gということになり、ついに路線バスと逆転してしまう。
車種 | 燃費(比較できるように換算) | ■=10km/L | CO2排出原単位 |
---|---|---|---|
自家用車一般 | 8.3km/L | ■ | 44g-C/人Km |
プリウス(補正済) | 17.8km/L | ■■ | 20.5g-C/人Km |
乗合バス | 19.2km/L相当 | ■■ | 19g-C/人Km |
路面電車 | 40.6km/L相当 | ■■■■ | 9g-C/人Km |
新交通システム | 52.2km/L相当 | ■■■■■ | 7g-C/人Km |
新幹線 | 61.0km/L相当 | ■■■■■■ | 6g-C/人Km |
鉄道一般 | 73.1km/L相当 | ■■■■■■■ | 5g-C/人Km |
地下鉄 | 121.9km/L相当 | ■■■■■■■■■■■■ | 3g-C/人Km |
つまり、プリウスで温暖化が止まるなら、バスでも止まるということである。
一般自家用車に比べると、プリウスのカタログ値では4倍くらい燃費が改善されるように見えるが、実態は2倍程度ということになり、ポスト京都議定書で議論されているような50%削減、80%削減といったレベルになってくると、プリウスを導入しさえすればそれで事が済むというような簡単な話では無さそうである。
ドイツには何度か行ったことがあるが、ドイツの鉄道で驚くのは鉄道全体の平均的なサービス水準の高さである。都市間高速鉄道のICEも便利で快適だが、近郊鉄道もこれまた快適である。
日本でサービスレベルの高い近郊鉄道は、JR各社の快速電車や新線のつくばエクスプレスなどであるが、せいぜい130km/h運転である。
写真はドイツのケルンからアーヘンまで乗った近郊電車である。特急列車ではない。マニアックな方のために正確に書くと、客車を電気機関車が最後部から押す列車であり、写っているのは運転室がついた客車(モーター無し)である。特に期待せずに乗ったが、これは速かった。
最初は日本とほとんど変わらないな、などと考えていたが、郊外になると、ほとんど新幹線のように走る(新快速のように、ではない)。160km/hくらいは出ている、いや、もしかしたら200km/h近いかもしれない。軌道をよく見ると、日本の新幹線の軌道とほとんど変わらないくらい立派である。しかも、急カーブはほとんど無い。
この区間ではないが、一部にはICE用の新線を走る快速列車もあるらしく、200km/hで走るそうな。似たような話は英国でもあるようで、ロンドンからドーバー海峡トンネルに向かう区間に建設中の高速新線は、ユーロスターが高速で突っ走るとともに、沿線住民用の近郊列車が160km/h(・・・だったかな)で走るらしい。
日本は鉄道先進国だと言われているが、本当にそうなんだろうか? 新幹線は確かに速くて便利だが、それ以外の鉄道の底上げがほとんど無く、全体としては、だんだん遅れてきていると思うが・・・気のせいか?
#常磐新線って、160km/h運転するとかいう話があったよねぇ・・・(過去形)
LRTという新世代の路面電車システムの導入は、都市の景観向上という点でも期待されている。
例えば、左の写真は新幹線駅ができた鹿児島中央駅前の電停であるが、芝のグリーンがまぶしい。しかし、この光景、きれいなのだが維持するのがかなり手間が多そうな雰囲気ではある。
芝生軌道は、全国何カ所かで試験施工されているが、旧型の路面電車が通過する区間では台車まわりの油が芝に付着したりして、必ずしも理想的な状態が維持できているわけでは無さそうである。そもそも、芝という選択肢は日本の気候にあってるんだろうか? 右の写真は冬に写したものであるが、冬場は芝の青さも今ひとつである。
メンテナンスフリーで過酷な環境に耐え、しかも年中青々した背丈の短い多年草、それが日本の緑化軌道に求められる条件である。
さて、ホームセンターのガーデニングコーナーに行くと、芝生のタネと並んで、庭を緑化するもう一つのタネが売られている。それは何かというと「クローバー」。シロツメクサとも言われ、JRのグリーン車のマークにも使われており、4つ葉を見つけると幸せになれるという、あれである。値段も安い。
緑化軌道に向くかどうかはともかく、我が家で導入してみた。結果であるが、爆殖! クローバーだらけ。当初の目的達成!
ところが、思わぬ落とし穴があった。蒔いてから半年ほどして、クローバーに飽きてきた。芝に変えてみようかと思ったが、すでに遅かった。何が遅かったかというと、抜いても抜いても次から次へとクローバーが生えてくるのである。すでに蒔いてから3年目になるが、折に触れてむしってはいるが、いっこうに勢力が衰えない。最近はもうあきらめムードである。そういえば、グリーン車のマークに使われた理由は「繁栄の象徴」だったっけ?
緑化軌道には最適かも(ただし、要実験)。
#繁茂したクローバーを車輪が踏みつけて、スリップするからダメかも。
実家の台所の日本地図は、不思議な路線の宝庫である。まだまだネタは尽きない。
左の写真は京都の西側の丹波高地部分である。上中央部の小浜から南東方向へ白色シマシマ線、つまり建設予定路線がのび、名田庄から堀越峠をトンネルで越えて美山をとおり、日吉に達する路線が書き込まれている。名付けて、丹波若狭快速鉄道?
今やこのルートはほぼ国道162号、周山街道として整備されているので実現の見込みはないが、数十年前から構想されていたこのルートは、何とか主要都市まで迅速にアクセスしたいという若狭地方の願望の表れであろう。
今はどちらかというと、小浜からいったん東に向かい、上中から琵琶湖西岸の今津に抜ける鉄道ルートに対する期待の方が大きい。こちらは琵琶湖若狭湾快速鉄道というネーミングがされている。
琵琶湖若狭湾快速鉄道については、サイトによると、どうやら元々は今は無き江若鉄道の予定路線だったようである。江若鉄道の「江」は近江の江、「若」は若狭の若であり、大津から琵琶湖西岸の今津を経て若狭湾に至る鉄道であり、大津と今津の間については実際に建設され、営業運転がされていた。その後、湖西線が建設されることになり、並行する江若鉄道は廃止されてしまったわけである。今津と上中の間については、昭和末期近くまで国鉄の予定線として残っていたようだ。ここ数年で出てきた話ではないようである。(だが、このナゾの地図には琵琶湖若狭湾快速鉄道ルートは書き込まれていない。実に統一性がない・・・)
このサイトをよく見ると、琵琶湖若狭湾快速鉄道の比較的詳細なルート図までつくられている。約20Km、400億円ほどの路線を建設することで、京都までの時間を現行約2時間から半分にすることができるとある。21世紀の鯖街道か?
現状では、ほぼこの区間に相当する小浜-近江今津間には毎時1本のバスが運行されており、1日15往復ある。小浜-敦賀間のJR線の運行本数が1日15往復なので少なくとも運行本数は同等であり、バブル期の発想などと揶揄する意見もあるが、誰も乗らない・・・というような路線でないことは確かである。
歴史にもしもは禁物であるが、江若鉄道が一気に若狭まで開通させていたならば、この区間には今頃は新快速や観光列車が走っていたかもしれない。
話を”丹波若狭快速鉄道”に戻すと、この経路は北陸新幹線の敦賀-大阪間のルート候補の一つとほぼ同じである。だが、北陸新幹線のルートについては、いまだ具体的な議論は始まってないようである。距離が短いから米原につないでしまえ、という主旨の話は時々聞こえてくるのだが、いろんなことをよく考えて結論を出した方がいいだろう。