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● 2007年10月
□07/10/27号: スイスの断崖絶壁を走る電車
□07/10/20号: 世界最長の鉄道トンネル(昔の・・・)
□07/10/13号: 5両編成の列車=客車3+機関車1+客車1
□07/10/06号: 山"登り"電車で標高3000メートル

★07/10/27号:
 スイスの断崖絶壁を走る電車

 ブリーグという街に近づくと、列車は谷底にある平地の線路を走る。山の方を見ると、岩肌の露出したいかにもスイス然とした風景が見える。

 谷底のはるか上空、その山の中腹を、よ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜く見ると、何か赤いものが動いている。。。?!

 赤い電車である。脱線したら数百メートルは真っ逆さまという断崖絶壁を走る電車。

 この路線は、BLS鉄道といって、首都ベルンとシンプロントンネルを介してイタリアに接するブリーグの街を結ぶ山岳&幹線鉄道である。地図を見ると、ブリーグの街の西側はるか手前から、ローザンヌ方面からの路線と併走していることになっているのだが、併走するだけで合流しない。

 なぜ合流しないかというと、方や山の中腹、方や谷底だからである。

 BLSは首都とイタリアを最短経路で結ぶ主要路線であり、貨物列車がこんな山道を登り降りするのは辛いので、最近になって山を登らずに山の裾をレッチュベルク基底トンネルという全長34.6kmのトンネルで抜けるようになった。海底を通らないトンネルとしては世界最長である。

 スイスの鉄道投資額÷スイスのGDP×日本のGDPという計算をすると、実に37兆円にもなる。スイス恐るべし。。。

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★07/10/20号:
 世界最長の鉄道トンネル(昔の・・・)

 貨車がトンネルに入ろうとしている。けっこう古そうなトンネルである。

 トンネルの入り口上部には何やら数字が書かれている。向かって右側が「1921」、左側が「1905」。トンネルの長さではなくて、開通年である。

 このトンネルはスイス南東部のブリーグとイタリアのドモドッソラの間、アルプスを貫くトンネルで、シンプロントンネルという。長さは19.8km。

 今でこそ世界最長のトンネルは日本の青函トンネル(53.9km)であり、19.8kmでは海底トンネルを除いても上越新幹線の新清水トンネル(22.2km)よりも短いが、webmasterの小学生の頃はこのシンプロントンネルが世界最長であった。

 さて、このトンネルに入ろうとしている貨車であるが、よく見ると自動車を積載している。スイスでは、山岳地帯を通過する自動車交通量を減らすべく、主要な峠を通過する鉄道では"カートレイン"という方法が採用されている。自走して山道を越える代わりに、貨車に自動車を乗せ、トンネル経由で通過させる方法である。いわば、陸上フェリーである。

 日本でも一時期、大都市圏から観光地に向けてカートレインが運行されていた時期があったが、いつの間にか無くなっている。あまり営業的に成功しなかったためであると思われるが、スイスではアルプスを越える道路交通を削減する環境対策としての国策がとられている。

 国策のカートレインと純企業努力によるカートレイン。はてさて、21世紀の交通政策として選択すべきはどっちなのだろうか?

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★07/10/13号:
 5両編成の列車=客車3+機関車1+客車1

 ところ変われば品変わる。この写真は、スイスのローカル列車であるが、客車4両に機関車1両。

 よく見ると、機関車の位置がちょっと変である。

 前から、客車が3、機関車、そして再び客車が1。日本の列車ではあり得ない車両の並びであるが、ヨーロッパの列車では機関車が後ろの方にくっついていることはよくある。先頭になっている客車に運転席だけ設置されており、後方の機関車を遠隔制御している。これは、その"応用編"で、機関車が編成の途中にはさまれている。

 日本では電車があたりまえだが、多くの国では機関車が引っ張る列車があたりまえであり、日本とは別の進化をしている例が見られる。

 日本の鉄道も、固定観念に縛られずに、いろんな可能性を探る余地があるということかもしれない。

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★07/10/06号:
 山"登り"電車で標高3000メートル

 日本で登山電車というと、箱根の電車が有名である。二度ほど乗ったことがあるが、進んでは向きを変え、進んでは向きを変え、斜面をノコギリ状に登ってゆく。鉄の車輪と鉄のレールなので、あんまり摩擦が無く、急な坂を登るのに限界があるからである。

 さて、マッターホルン見物をするには、その山自体に登ってしまうと当然ながら見えないので、向かいにある山に登るということになる。ツェルマットから登山電車で1時間ほどで展望台まで行くが、この登山電車に乗ってしまうと、日本の登山電車に「もっと頑張れよぉ」と言ってしまいたくなる。それくらい、山を登るのである。

 電車は写真のような茶色ベースのもので、大阪市営地下鉄堺筋線のような感じの電車である。これから登ろうとする"向かいの山"はゴルナグラート山であり、登山鉄道の名前は、ゴルナグラート鉄道という。車体のログマークは山に向かって線路が延びているというマークである。このマーク、ダテではなかった。

 日本の登山電車は、向きを変えながら斜面をノコギリ状に登るが、スイスの登山電車は斜面をそのまま登る。もちろん、真っ直ぐ山頂を目指すとさすがに急なので、斜めに登ってゆくが、日本よりもはるかに急である。どれくらい急かというと、右の写真を見てほしい。

 窓から前の方を見ると、明らかに坂を登っている。車窓の樹木は真っ直ぐ生えているはずだし、ペットボトルの水面は水平なはずなので、これくらい傾いていると言うことになる。

 もちろん、こんな急な坂を鉄の車輪とレールそのままでは登れるはずもないので、通常のレールの間に歯車をかみ合わせるためのギア(ラックレール)が敷設されている。車両側にはモーターにつながった歯車が存在して、モーターの力は主としてこちらの歯車に伝わる。ラックレールはよく見ると歯が手前と奥で少しずれている。これは、2組の歯車を使うことで、ムラ無く力を伝えようとしてこういう構造になっているものと思われる。

 途中にある分岐器にもラックレールが敷設されているので、かなり特殊で複雑なものが使われている。保守が大変そうである。

 こういうラック式のレールが始発駅から終点まで、ずっと続く。

 ゴリゴリと登ってゆくこと、小一時間。だんだんと草木も生えないくらいの高度にまでやってきたが、電車は登り続ける。左の写真、間もなく山頂であるが、線路はまだまだ続く。よくもまぁ、こんなところにまで線路を敷いたものだと感心する。

 そして、いよいよこれ以上線路の敷きようがないというところまで来て終点。標高3112m。

 終点の先には向かいの山が見えており、線路をこれ以上延ばすには空中を飛ぶ以外方法がない。

 展望台からは氷河が見えているが、肝心のマッターホルンは雲の中。どうやら、このマッターホルン、標高が高いので、風があると自ら雲を作り出して雲隠れしてしまう山のようである。

#ここまで線路を敷けるのならば、黒部立山アルペンルートの富山側のバス路線は線路に敷き代えることができそうである。室堂まで登山電車。ハイブリッドエンジンのバスより環境にやさしそうである。

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