さらに、続きである。
新幹線が着工されるたびに出る話であるが、「新幹線ができて、在来線が経営分離されると不便になる。だから新幹線はない方がよい」という意見がある。
だが、本当に新幹線さえこなければ在来線は安泰なのだろうか? おそらく、利益に敏い民間会社はそんなに甘くはない。
客が多ければ列車の利便を上げて儲けを多くしようとするが、客が少ないと見るやばっさり列車を削減するのが民間鉄道会社である。民間鉄道会社は地域ボランティアではないので、要注意である。しかも土着の民間会社なら郷土愛から必死に輸送を守ろうとすることもあろうが、新幹線の建設云々という場合、鉄道会社は大都市に本社を構える大会社であることが多い。
ありそうな対応としては次の各点が考えられる。
# 特急列車のビジネス客と普通列車の通勤通学客については、こういう話もある。特急列車の客は運賃をそのまま払うことが多いが、普通列車の客は定期券利用なので、半分くらい、通学ならさらに低い金額しか払ってくれない。特急列車の場合はさらに特急料金も払ってくれる。特急列車は普通列車よりの倍ほど速いので、乗務員の回転も、車両の回転も倍ほどになる。結果として、特急列車と普通列車の営業の効率は、特急券で2倍×普通運賃で2倍×速さで2倍=5〜10倍くらいの差がある。・・・というかなりおおざっぱだが当たらずとも遠からずのお話。
新青森から先、北海道新幹線も工事中。工事終点側の新函館から順に南にたどってみる。
渡島大野駅 (2009) ここが新函館駅になる予定 | 農道の中に立て札が・・・ | 何か工事をしている |
新幹線の工事中 | 三角形の上の頂点が渡島大野駅 | 車両基地の工事中 |
渡島半島南端近くの木古内駅 | もう、着工してます | 住宅地の中に立て札が・・・ |
右下は本州方向 左上は函館方向 | この開いた部分に新線が繋がる | 在来線がここから 新幹線に乗り入れる |
ここは青函トンネルに繋がる 北海道新幹線の線路 | すでに3線軌化されている | 狭軌の線路の外側に レールを追加 |
北海道側のレール 追加工事基地 | 作業の準備中の模様 | そして、青函トンネル突入・・・ |
「海底駅」を通過 | 走ること約30分・・・ | 本州側のJR北海道駅 |
さらにいくつかの トンネルを抜け・・・ | 終点 開いた真ん中に 本州側の新線が繋がる | この先も新線の工事中 トンネル入口が見える |
ということで、大阪近辺住民がボーッとしているうちに、新幹線は数年内に北海道まで走るようになる。
続きである。
北陸新幹線の新規着工に関連して、「まちづくりができなければ、延伸しても効果は薄い」という意見がある。新聞では、新幹線の新規着工に関する否定的意見のようなニュアンスで紹介してように見えるが、この手のコメントの解釈は要注意である。新聞のニュアンスを真に受けると危ない、という意味である。
コメントが間違っているかというと、そうではない。その通りである。だが、新聞記者は文系出身のことが多く、ロジックの組み立てが得意でない場合が多いので、以下のことに気づいていないのではないだろうか。
例えば、「新幹線が開通する」という出来事をA、「まちづくりができる」という出来事をB、「福井が発展する」という出来事をCとする。そして、・・・
webmasterの考えでは、まちづくりは新幹線が開通しようとするまいと必要であり、それとは別に長期的な繁栄のためには新幹線は無視できない。まちづくりの議論がなかなか進行しないことを新幹線不要の論拠にするのは論理展開的に誤りである、と思うのだが、どうだろう。
# 0か1かじゃなくて,「効果半減」という視点で見ると,上の話の1を2に,0を1に置き換えるとわかりやすくなると思う.つまり,
大阪付近の人は高速鉄道に関して意識が薄いが、東北新幹線はこの冬、全線開業した。これは去年の夏の風景である。
八戸駅のホーム (2009) この下にカプセルがある模様 | 八戸駅から青森方向 (2009) | 以前は車庫があった部分 (2009) |
この時点での線路の終端 (2009) | 新線のトンネル入り口 | 今はもう開業してます |
大阪関連では九州新幹線がもうすぐ開業で、新大阪から鹿児島行きの列車が発着することになるのだが、もう少しこれを関西発展のために利用しようと盛り上がってもいい気がするが・・・やはり高速鉄道への意識が薄いのだろうか。
今年もまた来年度予算の話のシーズンがやってきて、今年もまた北陸新幹線の新規着工が見送られたようだ。結果自体はある程度予想されたものなのだが、その「敗因」についてはいろいろ考えさせられるものがある。
北陸新幹線は現在、長野から富山を経て金沢、正確には松任の車両基地までが工事中で2014年には開業の予定である。その先は福井を経てどこかのルートを経て大阪までつなげるのが約40年前に決められた計画である。
さて、当面の着工区間としては金沢から福井市を経て嶺南地域の敦賀までが着工待ちの状態であり、ここを整備するには130キロほどあるので、工事単価にも依るが7,000〜9,000億円ほどの費用がかかる。この「延伸」が、目下、福井県の課題になっている。
「延伸」ということは、それは東京方面からの延伸であり、対東京の交通としての整備、つまり東京方面からの効果を福井県下に波及させるために7,000〜9,000億円のプロジェクトにゴーサインを出せという意味になる。しかし、人口100万人に満たない地域のために7,000〜9,000億円の拠出をするという話なら、他の使い方をした方が効果的だと考える人がいても不思議はないし、全国的な地域バランスがとれないと考える人がいても不思議はない。
結局、「福井県のローカルプロジェクトに7,000〜9,000億円も出せるかぁ!」と思われてしまっているのが最大の敗因なのではないだろうか。
もし、これが、北陸新幹線は関西と北陸をつなぐプロジェクト、北陸新幹線は関西と関東を北回りで結ぶ第二の中央日本の国土軸、(西側のルートにも依るが)北陸新幹線は中京と北陸を結ぶプロジェクトという位置づけで、その中で福井県にも応分の波及があるというスタンスだったら、結果はもうちょっと違ったのではないかと思う。福井ローカルだと、石川も富山ですら原則として口出ししにくい。
あと、国のプロジェクトの採択基準が前政権時代を通じ曖昧であり、「B/C」なのか「B-C」なのかすら明確ではなく、声の大きさや手土産の豪華さで決められているようでは長期的な国土の形成はいい加減なものになってしまうだろう。北陸新幹線の西部区間について言えば、整備新幹線中利用者数が最大であるので定量的な採択基準があれば真っ先に着工されていても不思議ではない区間であった。実際には、最後になりそうであり、場合によっては繋がらない可能性すらある点において、国のプロジェクト採択基準の貧弱さを明確に示しているとも言える。
・・・と、思う今日この頃。
# 気持ちはわからないでもないが、交通整備と直接関係ない件を絡めて、さらに"遵法闘争"までするのは話がややこしくなるだけでなく、福井のローカルプロジェクトであることをよりいっそう印象づけるだけで、あまり得策ではないと思う。
最近、プロジェクト評価の視点として「B/C」というのが導入されている。費用対効果。投資に対してどれだけ得られるものがあるかという比率。
ところが、この指標、得られるものの大きさについては何ら言及していないので要注意。
得られるものの大きさについては「B-C」という視点もある。いくら「B/C」が大きくても「B-C」の小さなものばかりやっていては、全体として得られるものがない。逆に、「B/C」が小さくても「B-C」の大きいものはやる価値がある。
何を基準にプロジェクトの可否判断をすべきか、よく考えてみよう > 日本国政府殿
リニア新幹線についてよく考えると段々わからなくなってきたことが幾つかある。今回は「ほんとに大地震回避できるのか?」である。
東海道新幹線のバイパスとして中央新幹線を建設する目的の一つは、大規模地震発生時にも東西間の交通を確保することにある。国土交通省の交通政策審議会中央新幹線小委員会でのJR東海作成の資料(第3回プレゼン資料7頁)では、東海地震発生時の震度分布に関する資料が示され、中央新幹線が概ね震度の大きい地帯を避けられることが示されている。
これは、重要な視点である。資料を素直に読めば、中央新幹線建設で大地震の影響を回避できるから、中央新幹線建設を急ぐべきだ、と主張しているように読める。
一方、愛知県の示した資料(第5回愛知県作成プレゼン5頁)によると、東海地震と東南海地震の同時発生時には、中央新幹線は名古屋付近においてかなり広範囲に震度6弱以上の地帯を通過しなければならないことが示されている。
これも重要な視点である。資料を素直に読めば、中央新幹線建設を建設してもなお、名古屋地区が被災する可能性があるので、大地震の影響を回避できないかもしれない、と読める。
いちおう、中央新幹線は大都市圏においては大深度地下に建設することになっているので、構造物への地震の影響は小さいことにはなっている。ところが、高度な鉄道システムというものは構造物だけでは走らないので、電力供給、通信、等々のサポートする機能が万全でなければならない。それらは途中の経路を含めて大深度地下に建設されるのだろうか? よくわからない。
歴史的に見て東海地震が単独発生したことは無いようであるので、大地震への備えという点では愛知県の示した震度分布の資料を重視して東西間交通確保の方策を考えるべきと考えられるが、それに対する考えが明確でない。名古屋が被災して使えなくなれば、東海道新幹線であれ、中央新幹線であれ東西間を結ぶことができない。大地震発生時の東西間交通の確保は、東海道新幹線と中央新幹線だけでなく、さらに北方の幹線鉄道網も含めて対応を考えておくべきではないだろうか。もはや、そんな策を巡らす人は日本にはいないのだろうか。
リニア新幹線についてよく考えると段々わからなくなってきたことが幾つかある。今回は「大阪は名古屋の20年後編」である。
大阪開業が2045年や2035年では遅すぎるという懸念については書いたが、何度も繰り返すが、遅すぎる。
これについては、審議会で堺屋太一氏も指摘しているようだが、当の鉄道会社は資金的な問題を挙げて難しいと反論してるようである。加えて、政府からの資金も受け入れるつもりが無いとも言っているようである。
・・・が、しかし、このプロジェクトは単なる企業の営利目的の活動なのだろうか?
大阪への延伸が2045年だとすると、2025年ないし27年の名古屋開業から20年近くもかかってしまうことになる。こんなに期間が開いてしまうと、大阪都市圏の衰退が明瞭になり国土構造が変化してしまう。これでは、東西間の円滑な交通を提供するという東海道新幹線およびそのバイパスの機能を十分に果たさないことになる。
歴史的に見て、明治期の鉄道網構築期において早期整備された地域(太平洋岸など)と遅れたところ(日本海側など)の整備時期の差は概ね20年程度であった。この時期にわが国の人口分布は大きく変化している。明治維新頃の段階で、全国ナンバーワンの人口が新潟県であり、全国屈指の大都市として富山や金沢や和歌山や徳島が名前を連ねていた、などと書いても今や信じる人は少ないかもしれないが、事実である。また、戦後の高速交通網の整備時期においても交通利便性の地域的格差を生じており、その後の地域発展の度合いに影響を与えている。
明治期の鉄道出現は徒歩・海運→鉄道なので、速度差は歴然。新幹線の出現期も在来線→新幹線なので、速度は倍程度以上。リニアの出現でも、既設新幹線に比べて速度が倍程度である。このため、明治、戦後に続くわが国陸上交通に多大な影響を与える第三の波になる可能性が高い。単なる企業活動の問題ではないのだが、どうもそういう議論はないようである。
鉄道会社は気づいていないのかもしれないが、大阪への延伸の遅延は、当の鉄道会社の長期的な収益にも悪影響を及ぼす可能性がある。第6回委員会で藻谷氏が生産年齢人口の減少が需要に与える影響について懸念を表明しているが、そのほかにも国土構造の変化による客単価の減少が考えられるからだ。
約20年間にわたって名古屋暫定開業状態が続いたとしよう。そうすると、近畿地方から名古屋へと産業拠点が移ってくる。鉄道会社幹部のリップサービスではなく、本当にそうなる可能性がある。そうなったらどうなるだろう。乗車距離が短くなって、客単価が下がりやしないか? 現在の東海道新幹線の運賃だと、東京-大阪間は約1万4千円、対して東京ー名古屋間は1万1千円ほど。23%ほど客単価が小さくなる。一番収益がいいのは、始発から終点まで万遍なく客が乗っている状態のはずである。大阪都市圏の衰退は、東西間幹線鉄道の収益に大きく依存している鉄道会社の収益に、構造的かつ不可逆的な影響を及ぼす。
大阪への延伸が大きく遅れる原因は資金調達である。巨額の建設資金を自己資金として調達するという決断は、わが国の交通史に刻まれる大英断である。国鉄が政治の口出しを受けて失敗した歴史があるというのも確かに理解できる。だがその一方で、民間企業の資金調達問題が国土構造をゆがめてしまうということは、避けるべきではなかろうか。国土構造が変われば、現在の国土構造を前提に成立している民間企業も影響は大きいんじゃないのかな。
そして何よりも、資金が民間により調達されるからといって、こんな大きな問題に対して、国は「黙して語らず」という態度を続けるべきではない。この国に、幹線鉄道政策は、いや国土計画は有りや無しや?
東京へ出張である。前日のうちに行って宿泊したかったところであるが、前日の都合が付かなくなってしまった。夜行バスという選択肢もないではないが、かつて何度もスキーバスに乗った経験からすると、よく眠れた試しがないので、当日の朝、時間を気にしながらの移動となった。
さて、朝6時に最寄り駅を出て幾つか電車を乗り継ぎ、無事新幹線に乗った。あとは寝てれば東京に運んでくれるので、所要時間そのものもさることながら、乗り継ぎがないというのはありがたいものである。
うとうととしながら、約1時間。気がつくと、豊橋駅の通過線で止まってしまっているではないか。横には追い越し待ちのこだま号も停まっている。大雨が原因かと思いきや、そうではなく、どうやら小田原駅で電車の故障があったらしい。待つこと30分。ようやく動き出したが、快調に飛ばしては時々徐行運転になる。前に別の電車が詰まっているようだ。
東京駅下車予定だったが、満線で待たされる可能性があるので、予定を変えて手前の品川下車。こういう時はサブターミナルは便利である。そういえば、品川駅つくるときに、ダイヤが乱れたときには品川駅で折り返すこともあるって言ってなかったっけ? あんまり使ってないみたいだけど。結局40分弱の遅れ。当日の予定に大きな影響はなかったけど、大事な会議とかあった人は気が気じゃなかったろうなぁ。
そして、帰路である。さすがに朝の電車の故障の影響はなくなってるだろうなと思ったが、そうでもなかった。帰りののぞみ号は東京駅を定刻に発車したが、早速車内の電光掲示板にこういうメッセージが流れた。
ん? まだ故障した電車が小田原駅にいるようだ。しかし、小田原駅に停まっているだけなのに、なんで通過するのぞみ号が減速しなきゃならんのだ???
走ること暫し。小田原駅が近づくと駅に停まるときのように減速して・・・あれ?
さて、本題はここからである。新幹線は駅に停まると、前後の減速と加速によって時間のロスが生じ、最高速度で突っ走る場合に比べて5分程度余計に時間がかかるようになる。小田原駅を出発したのぞみ号は、熱海駅と三島駅手前で若干減速した以外は快調に走り、名古屋駅では2分遅れ。京都駅に着くころには定時運転にまで戻っていた。
東京-大阪間、約2時間半の所要時間には、こういったトラブル発生時のための余力があり、今回はその余力がいかんなく発揮されたのかなと思う(最新型の電車だったからかもしれないが)。
# (運行管理の係の人は大変だったと思うが、)今日は珍しいものを見せてもらった気分。
リニア新幹線についてよく考えると段々わからなくなってきたことが幾つかある。今回は「名古屋の西側の経路編」である。
東京−大阪間のリニア新幹線のルートのうち、東京−名古屋間については、海溝型の巨大地震の被害を最小限にするという観点から、現行の東海道新幹線に並行させることをやめ、内陸部経由を採用することには一定の合理性がある。
長野県内のルートの議論については、リニア新幹線の主たる目的が東海道新幹線の、それも大都市を結ぶのぞみ号の機能を置き換えることが目的であるから、なるべく路線延長が短くなるルートを採用したいというのも、一定の合理性がある。
ところが、その先である。長らく、20年以上にわたってリニア新幹線は中央新幹線と刷り込まれてきたので、何の疑問も抱いていなかったのだが、よくよく考えてみると、名古屋−大阪間についてはルート選定の明確な理由が見いだせない。
東京−名古屋間を中央新幹線として整備するからといって、全国新幹線鉄道整備法の中央新幹線の経路をそのまま大阪まで辿らなければならない、という積極的な理由は・・・思いつかない。
基本計画線は全線一括で整備計画にしなければならない・・・ということもない。現に北海道新幹線は青森から旭川までが基本計画であるが、整備計画になっているのは札幌までである。その先は基本計画線のままなので、一括でなければならないということはなさそうである。
すでに長らく「リニア新幹線は中央新幹線」というスタンスなので、地質調査も済んでいたと思うが、地質調査等が済んでいるからという理由についても、ルートの選定いかんによっては国土構造を変化させるかもしれない大事業である。地質調査が積極的理由とは言い難い。しかも名古屋以西は現行計画では30年以上先の話であるので、切羽詰まった話でもない。
リニア新幹線の最たる目的に照らすと、最短コースは名古屋からまっすぐ大阪を目指すコース(つまり我が家の目の前を通過するコース)だが、これをやや北側にずらせてのぞみ号の停まっている比較的大きな都市を経由させても、やや南にずらして奈良を経由させても、距離はほとんど変わらない。数キロの差であり、長野のルート問題の時のような数十キロの差にはならない。数キロの差は、時速500キロ運転のリニアなら時間差にして大きめに見ても30秒程度である。
唯一考えられるのは、奈良経由により沿線を開発するという目的であるが、リニア新幹線の主たる目的は三大都市圏間の結節、特にのぞみ号が停車するような大都市間の結節機能であるので、沿線開発は副次的なはずである。もし沿線開発目的が名古屋以西のルート選定において重要な視点であるとするのならば、それは他の整備新幹線と同じ整備目的(いわゆる”国土の均衡ある発展”目的)であるということになる。
整備新幹線と同じ整備目的だとすると、それはまさしく新規の整備新幹線であり、路線の建設費用の負担や並行在来線(この場合は実態を考慮すると近畿日本鉄道になるであろうか)の問題など、一般的な整備新幹線の建設手順のルールに従うべきなのではなかろうか。確かに、新幹線整備の費用負担条項にはJR自らが建設する場合を除くというくだりがあるのだが、その除外規定自体の妥当性については議論の余地が十分にある。
#1 東海道新幹線の工事誌を見ると、東海道新幹線は現行の米原を経るルートの他にも、名古屋からほぼまっすぐ西に向かって滋賀県野洲付近に至るルートについても検討され、地質調査もされたようである。ということで、奈良を経由しないルートについても、(50年以上前なので、調査結果を捨ててなければ)地質調査済みかもしれない。
#2 首都を畿央、つまり伊賀か甲賀あたりに移転するので、そこを経由すると奈良付近を自然と通過する、というならわからないでもない。
リニア新幹線についてよく考えると段々わからなくなってきたことが幾つかある。今回は「リニアで大都市間を円滑に移動できるか??編」である。
中央新幹線をリニア新幹線として整備するその本来の目的は、私の理解では、東海道新幹線のバージョンアップ、つまり、わが国中央部に位置する三大都市圏を結ぶ東海道新幹線の機能を補完・向上させることである・・・と思っている。ところが、よくよく考えてみると、段々とほんとにそういう目的なんだろうかどうだか、わからなくなってきた。
リニア新幹線は、これを書いている時点の計画では、東京の品川を出発して山梨を経由して名古屋に達する。これが2025年頃開業予定の部分。その先は名古屋から奈良を経由して大阪に達する。ここは2045年頃開業予定の部分。
基本的には三大都市圏連絡目的である現行の「のぞみ」をリニアに置き換えるようである。鉄道会社は、リニア開業後の東海道新幹線は「ひかり」と「こだま」が主体になるとも言っているので、その点からも裏付けられる。ところが、よく考えると(よく考えなくても気がつくが)、のぞみ号は東京-横浜-名古屋-京都-大阪という大都市を結んでいるが、リニアの結ぶ大都市は東京(品川)-名古屋-大阪の予定である。京都がすっぽり抜けているほか、横浜と東京が(東京都内とはいえ都心とは言い難い・・・まぁ、山手線上ではあるが)品川に集約されてしまっている。
(ちょっとだけ大田区に住んでたことがあるが、そのまま大田区民だったらwebmasterも喜んだかも。)
つまり、のぞみ号が結んでいる大都市とリニア新幹線の経路は一致していないため、三大都市圏を結ぶ東海道新幹線のバイパスとしてリニア新幹線を位置づけようとしても、(特にのぞみ号の代替として見ると)不完全な形になっている。おそらく、"大阪か名古屋か品川でリニア新幹線に乗り換えてください"、ということなのだろうが、それでは円滑な移動手段の提供とは言い難い。乗り換え抵抗は乗車時間30〜40分相当などという話もあるので、長期的には東京-横浜-名古屋-京都-大阪という大都市の相対的な位置関係を崩すことになるだろう。
沿線以外にも影響は及ぶ。東京の人は東京駅の代わりに品川に行くことを考えるだけでいいが、東北新幹線と東海道新幹線を乗り継いでいた人は乗り換えが増えてしまう。これでは超高速運転も有り難みが半減である。
国鉄民営化時に、地域分割の原則を崩してまで東海道新幹線を一括で運営する会社を設立した目的って、何だったっけ?
ただいまリニア新幹線に関する議論が東京方面で行われているようなのだが、いろいろよく考えると段々わからなくなってきたことが幾つかある。今回は「昭和48年編」である。
中央新幹線は昭和48年11月に運輸省告示第466号により基本計画線、つまり構想段階ではなく、晴れて正式な鉄道網計画になったわけだが、昭和45年9月に制定された全国新幹線鉄道整備法施行令第二条というのを見てみると、基本計画を決定しようとする際には以下の事項を調査しなければならないことになっている。昭和48年は昭和45年よりも後なので、この政令が適用されているはずである。
ところが、昭和48年当時は磁気浮上の実験がようやく成功したばかりであるため、計算は従来型の新幹線、つまり時速200から250キロ程度を想定して計算されているはずである。今や中央新幹線は時速500キロが当たり前という雰囲気になっているが、そういう前提で計算されているとは思えないので、政令に忠実ならば、計算の前提条件が大きく変化しているので、再計算が必要なのではないだろうか。
じゃぁ、実際問題として実質的な再計算がされているのかを考えてみると、最初の輸送需要量の見通しについては、東海道新幹線の半分程度の客が移転するという一応の計算がなされているので、一応明らかにされている。(一応、と書いているのは、運賃の差が小さそうなので、個人的にはリニア開業とともにリニア新幹線の座席指定はとりにくい状況が発生すると思っているから)
次の「所要輸送時間の短縮および・・・経済的効果」については、所要輸送時間の短縮については東京−大阪間が60分余りであるとか、東京-名古屋間が40分程度だとか、明らかになっている。けれども、経済的効果(特に地域経済に与える影響)については学者の研究論文は幾つかあったとは思うが、公式なレポートはあったっけなぁ。
三つ目の「収支の見通し及び・・・他の鉄道の収支に及ぼす影響」については、収支の見通しは計算されている。けれども、他の鉄道への影響については東海道新幹線への影響が示されているだけで、並行する路線(話がややこしくなると困るので、並行在来線は無いことにしたいという気持ちはわからないでもないが、幾つかの路線は並行していると思う。しかも、リニアは速すぎるので、かなり離れた路線まで影響が及ぶと思う。)だとか、リニア新幹線に接続されることになる路線だとかへの影響については全く触れられていない。
やっぱり再計算がいると思うのだが、再計算をするなら、中央新幹線をリニアモーターカーで超高速運転しようとしていることに十分注意しなければならない。従来型の時速200キロとか300キロとかの新幹線整備の影響は、せいぜい沿線に配慮して計算すれば、大きな誤差を生じる可能性は小さい。しかし、リニア新幹線は、在来線はもちろんのこと、従来型の新幹線鉄道網をも支線として機能させてしまうほど高速であるため、影響は極めて広範囲に及ぶはずである。webmasterのラフな試算では、リニア沿線相互間の時間短縮総量は、全国の時間短縮総量の4分の1ほどだ。リニア新幹線沿線相互間の影響は全体のごく一部である可能性が高い。したがって、沿線に限定した経済的効果や他の鉄道への影響の再計算では不十分であり、全国的な視点が必要である。
・・・ということで、沿線自治体と事業者だけで話し合っている現在の姿には、違和感があるのだが、それは私だけだろうか。こういうスタイルはレガシーな整備新幹線の建設時のものだろうなぁ。
えーと、先週末に堺の阪堺電車関係のワークショップに司会進行役で呼ばれて行ったわけだが・・・これね。どうも2ちゃんの交通政策板に私のことを書き込んでいる人がいるようだ。で、まぁ、私のことをいろいろ評価するのは勝手で、日々、学生には本人不在のところでいろいろ言われているのは想像に難くないわけで。。。 けどもまぁ、相変わらず困ったことに、正確な情報に基づいて議論してない人もいるようなので、最低限の修正意見です。
//** 2.WSの斑は6斑でほとんどの班から阪堺線を阪堺電気軌道の経営から変えるように意見があった**//
→ 確かに、事業者の評判はあまり良くありませんでしたが、一方で毎年2億円もの赤字の穴埋め負担をしているのは、民間企業としてはすごいという意見もありました。
//** 3.阪堺線の存続支援に反対する意見(複数)や阪堺線をバス専用道にする提案も出た**//
→ そういう意見もありましたが、大半は存続を前提とした前向きな意見でした。意図的に一部を隠してはいけません。
//** 4.総合ファシリエーターは大阪産業大学地域・交通計画研究室の波床 正敏 准教授(LRTマンセーの鉄道ヲタク)
(堺LRTの早期実現をめざす会 改め 阪堺線存続検討ワーキンググループの作った阪堺線再生プラン提言書を掲示してあるところ)**//
→「LRTマンセーの鉄道ヲタク」は、まぁ、特に否定しないが(外向きに働きかけている時点で、ヲタじゃないんだけどね)、後半部分の「阪堺線再生プラン提言書を掲示してあるところ」については、研究資料としてサイトに置いてあるだけで、この会の意見に賛同しているわけでも否定しているわけでもありません。電子ファイルの資料の置き場所に困っているなら、お送りください。公序良俗に反しない限り、資料として保管できます。
//** WSの中立性からはある事柄(LRT推進)や問題(阪堺線存続)に関して特定の主張をしている人物を進行・まとめ役であるファシリエーターとする人選は非常に問題があり。**//
→ 一般論として、私はLRTを活用したまちづくりについては推進する立場をとっていますが、堺市のLRTを推進すべしと言ったことも書いたこともありません。堺市のLRTの是非は堺市民で決めることです。
堺市のLRTに関して言及したものといえば、この以前書いた記事ですが、よく読んでみるといいでしょう。大量に作成されたチラシの記述内容が正確さに欠けると指摘しているのが主旨です。最後には、「この程度の誤解も解けないほど、合意形成のための説明ができていないのなら、LRT整備は時期尚早かも。」と書いています。つまり、まだ準備不足だと指摘しているのです。
→ 同じく、阪堺線存続問題に関して特定の主張を言ったことも書いたこともありません。阪堺線を残すのか、残さないのか、それは堺市民が決めることです。50億円投入に関する私の意見は知らないでしょ?
//** 実際にワークショップでは堺市内の一部地域でしかない阪堺線への50億円の税金の集中投入への疑問や反対の意見があったにもかかわらずファシリエーターの波床 正敏 准教授のまとめ方も阪堺線支援肯定だけだった。**//
//** ファシリエーター**//
正確さに欠ける議論は、議論を誤った方向に誘導する可能性があります。正しく状況を把握して、誤っている部分があれば的確に指摘すべきです。たとえ少数意見であったとしても、重要な指摘が含まれていれば、無視できないことも往々にしてあります。逆に、自らの誤りを指摘されることも覚悟すべきです。決して口数と声の大きさだけで議論すべきではありません。(しかも、匿名で・・・)
→ ワークショップの作業結果の講評については、以下のようにまとめました。特定の内容を支持したり否定したりはしていません。そもそも、講評では個々の内容には基本的には触れていません。
(1)様々な意見があるものの、全般的には各班の意見は大きく違わないように見える
(2)専門家と称する人がまとめたとしても、その内容は大きくは違わないだろう
(3)だとすると、市が目指している山(目標)と市民が目指している山は、実は大きくは違っておらず、登り方が違うだけなのではないか
※ 誤解していらっしゃる方がいるようなので、補足。これは、市も市民も阪堺線存続を目指しているという意味ではありません。市も市民もよりよい堺の実現を目指しているという意味です。(8/24追記)
(4)そうすると、市にとって市民は対峙したり対処すべき対象ではなく、如何にパートナーとしてやってゆくかが重要なのではないか
(5)鉄軌道事業者ともども、市は情報提供や意見の取り入れ方法を検討した方がよい
→ ということで、「今後は阪堺線支援策について皆さん協力しましょう」などとは一言もいってません。(むしろ、市役所の進め方に物言い付けてるくらいです。)
→ ファシリテーター (facilitator = 進行役,司会)
# 堺市役所公表のワークショップ開催結果はこちら
*------------原文------------*
394 名前: 名無しさん@お腹いっぱい。 Mail: 投稿日: 2010/07/20(火) 08:56:04 ID: xzEsKCCQ0
(前略)
◆参加していた証拠◆
1.WS参加予定人数41人→参加者数37人
2.WSの斑は6斑でほとんどの班から阪堺線を阪堺電気軌道の経営から変えるように意見があった
3.阪堺線の存続支援に反対する意見(複数)や阪堺線をバス専用道にする提案も出た
4.総合ファシリエーターは大阪産業大学地域・交通計画研究室の波床 正敏 准教授(LRTマンセーの鉄道ヲタク)
(堺LRTの早期実現をめざす会 改め 阪堺線存続検討ワーキンググループの作った阪堺線再生プラン提言書を掲示してあるところ)
WSの中立性からはある事柄(LRT推進)や問題(阪堺線存続)に関して特定の主張をしている人物を進行・まとめ役であるファシリエーターとする人選は非常に問題があり。
実際にワークショップでは堺市内の一部地域でしかない阪堺線への50億円の税金の集中投入への疑問や反対の意見があったにもかかわらず
ファシリエーターの波床 正敏 准教授のまとめ方も阪堺線支援肯定だけだった。
阪堺線ワーキンググループの議事録要約の大学教授の先生方の発言を見ると中立的に発言しているし
阪堺線WGの議論で阪堺線の問題点も掌握しているので
そちらに参加している先生からファシリエーターを人選したほうがはるかに良かったように思う。
◆ひとつ言える事◆
阪堺線ワークショップのまとめをもって阪堺線支援へ市民合意が出来たと市のほうが主張したら阪堺線の存続支援は
東西線LRTの時のように市長の首をすげ替えるくらいの結果を伴って中止におい込まれる可能性も。
*--------原文ここまで--------*
すでに高速道路の無料化実験が行われているようで、一部の閣僚はCO2排出が増えていることなどお構いなしに、無料区間拡大をなどと言っているらしい。この国に交通政策は存在するのか?
交通事業者は戦々恐々・・・なら、まだ救いはあるが、小さなパイの奪い合いに目を取られ、真の敵が見えてないなどという状況だったりすると、先行き思いやられる。
さて、手をこまねいているだけではなく、動きがあるようである。ファミリー用の臨時のぞみ号を運転するらしい。これは、なかなかいいぞ。さすが、子育て苦労している若手の発想だ。歳食ってくると、喉元過ぎれば熱さを忘れるとやらで、大変だったことを忘れて、「最近の若いモンは、辛抱が足りん」などと理解のない発言をしかねない。
ところで、だいぶ前にも書いたが、日本では子連れで長距離列車移動するのは思った以上に大変である。特に乳幼児については、営業規則では運賃無料などと書いてあり、一見気前がいいように見えるが、さにあらず。
席を確保するには、小児運賃を払うか、さもなくば始発駅で自由席を確保し、混んできて白い目で見られても確保した席を死守するかのどちらかである。
Webmasterが以前カナダに住んでいた際、航空移動で一度ひどい目に遭ってからは、VIA Railという鉄道公社の急行列車利用に切り替えた。当時は2歳児がいたのだが、列車移動の際に切符を買おうとすると、この2歳児に対して「発売額0円」の切符を発売してくれた。
ん? 「無料」と「発売額0円の切符」はどう違うかって?
無料は荷物と同じ扱いなので、原則席はない。発売額0円の切符は0円だが切符は切符なので、1等車なら座席指定もできるし、定員制の2等車でも必ず席はある。荷物ではなくて、ちゃんと人間扱い。
つまり、だ。ファミリー用の臨時のぞみ号運転だけじゃなくて、恒常的に小児運賃の下に乳幼児運賃を設定し、販売額0円の切符を"発売"するべし。乳幼児だって人間だ。切符を持っていれば、ちゃんとした運送契約を交わした「客」だ。
のぞみ号でなくても、こだま号だけでも喜ばれると思うぞ。 え?その分収入が減るって? そのときには、"子供手当の現物支給"の枠から少し分けてもらうように交渉する価値ありだと思うが、どうかな?
# VIA RAIL ばかり乗っていたので、帰国する直前にはシルバー会員カードを持っていた。マイレージでゲットした無料チケットで旅行もしたことあり。
再来週から高速道路の無料化実験が行われるらしいが、どうして自動車ユーザーばかりが優遇されるのか不思議でたまらない。たとえ財源がガソリン税に由来したとして、受益者負担の構造になっているとしても、どうして自動車ユーザーだけが得をする政策ばかりが実施されるのか、不思議でたまらない。
電車は原則受益者負担の構造の民営システムであるが、民営システムであるが故にほぼ絶対に無料化などあり得ない。どうして自動車ユーザーばかりが得をする政策が実施されるのか、不思議でたまらない。
日本国憲法第14条
日本国憲法第15条第2項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
#1 しばしば道路政策は産業政策であるとの口実を建前とするが、ならば自家用車は除外すればよい。
#2 しばしば道路政策は観光政策であるとの口実を建前とするが、ならば土日だけにすればよい。
▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る
海外の鉄道ネタに気づく人は少ないが、先日、台湾の新幹線で、どうやら運転士がやらかしてしまったようだ。居眠り運転を。でも、例によってATC(Automatic Train Control=自動列車制御装置)が自動でブレーキをかけて駅に安全に到着。めでたしめでたし。ただし、運転士はクビになったそうな。
日本でも確か過去に二度ほどやらかしているが、いずれの場合も台湾と同じく安全に駅までたどり着いている。つまり、このATCという装置が安全のキーポイントなワケである。
ATCの機能は、先行列車に近づいたりした場合や駅が近づいたりした場合に自動でブレーキをかけ、安全に止まることが主である。このほかにも、比較的急な曲線などで速度を抑えなければならない場合にも自動でブレーキをかけるなど、速度を下げることに関しては運転士の能動的な操作が無くても(突発的な事態には対処できないが)安全が保てるようになっている。
さて、自動車については飲酒運転の取り締まり等が厳しくなったおかげもあり、ずいぶん事故は減ったようであるが、それでもなおダントツに危険な交通機関であることには変わりがない。そこで、自動車版ATCである。
自動車関係はIT技術を取り入れることに熱心ではあるのだが、利便性向上に振り向けることに執心し、安全性に振り向けることには余り熱心ではない。ようやく一部の高級車に追突防止機能が導入され始めた程度だ。
新幹線のATCは早い話が制限速度を自動的に守る装置である。そこで、道路側に無線対応のIDチップを埋め込んでおき、そこにはその道路の規制情報、つまり道路標識の情報を書き込んでおく。自動車側にはそのチップの情報を読み込む装置を積んでおき、運転席パネルに表示するとともに、例えば速度オーバーすると警報を発し、大幅な速度超過の場合は電子スロットルを閉じるように制御して加速できないようにする。
こうすれば、時速30キロ制限の住宅地を50キロ以上で走り去るクルマもなくなるだろうし、高速道路を150キロで疾走するクルマもなくなり、大幅に事故が減るはずである。近所のレストランの位置をナビゲーションするよりは格段に社会的な利益が大きい。名付けて、AAC(Automatic Automobile Cotrol=自動自動車制御装置)?
機能の搭載は任意でもいいだろうが、自動車保険を割り引いてやれば、急速に普及するだろう。
交通の専門家ならば、CO2の排出量が増えただの、遠くの観光地が賑わっただの、旅行客が増加しただのといった分析をするのが普通だろうが、こういう見方はできないか?
「旅行客そのものが増えて、遠距離を出かけるようになり、それがノロノロ運転の高速道路で、走行中は原則車内で過ごした」とすると、結局、日本人の休暇における時間の使い方として「車の中に閉じ込められる時間が増えた」ということにならないか?
働きバチで余暇を有意義に過ごすことを知らない日本人に、旅行でもしていただこうとしたけれども、結果は居間でテレビを見ているよりも窮屈な車の中で時間を浪費したに過ぎなかった。貴重な休みの浪費。特にドライバーの皆さん。骨折れ損のくたびれもうけ。
クルマで何かを解決するという方法は、もう止めようよ。そんなに自動車産業が大事なのかい?
既にご存じの通り、JR東海はリニアを2025年頃に開業させるべく、いろいろと準備をし始めている。東京-名古屋間約40分、建設費、5兆円余り。・・・以前からwebmasterが予想していたとおりである。
え? そんな予想聞いたこと無いって? 余りにも酒飲み話ネタだったので、ごく一部の限られた人しか聞いたことがないと思うが、こういう話である。
// リニアの建設費が、東京-大阪間で10兆円なら建設不能かもしれないが、8兆円くらいなら建設できるかもしれない。新幹線を運営しているJR各社は、新幹線設備を減価償却費計上のために買い取っている。かなりおおざっぱに言って、東海道新幹線が約5兆円、山陽新幹線が約1兆円(+旧国鉄債務1兆)、東北上越新幹線が約3兆円である。即金では払えないので、1991年から25.5年のローン払いになっているが、この返済が終わるのが2017年頃であるので、極端な話、2017年を過ぎれば各社新幹線を買い取った額と同程度のローンを再び組もうと思えば組めなくはない。
いっぽう、東京-大阪間を通常の鉄道式の新幹線として建設すると、キロ70億円として3兆5千億円。整備新幹線の枠組みで建設すれば、この程度の公費は投入されても不思議ではない。
さて、公費3兆5千億円と、ローン5兆円、あわせると8兆5千億。リニア新幹線が建設できるではないか。JRの25.5年ローン完済のあたりに着工して工期10年とすると、2027年頃の完成か? これなら死ぬ前にリニアに乗れる。 財源検討に2〜3年、ルート選定や具体的な設計に数年とすると、2007〜2008年頃に動き始めるかも!? //
これがネタの概要であった。酒飲み話級のネタなので、大師匠の大先生の反応は「うーーーん、民間会社に5兆円も負債をさせますかねぇ。。。」 あるいは、一度だけ学会にて、"リニアは効果絶大だと言うけど財源は?"と聞かれたので披露したことがあるが「・・・。。。」という感じ。 新聞記者「おもしろいが、書けない。。。」 etc...
その後、結局ほぼこの酒飲み話に沿った形になったわけだが、誤算は公費が一銭も投入されないことであった。というわけで、名古屋止まり。とほほ。。。
JR東海のリニア自費建設は、大地震が起こるかもしれないという必要に迫られた部分もあるが、大きな決断であった。さて、東海道新幹線のローンが終わるのと同時に、山陽新幹線と東北上越新幹線のローンも終わるわけだが、JR西とJR東は何するんだろ? 妙な投資話に首を突っ込んで、海千山千に金を巻き上げられないことを祈る。バブル期に経営が傾いた会社の多くは、本業以外の投資話に首を突っ込んでいたようにも思われるので、運賃で稼いだカネは本業関連に再投入するか、利用者や株主に還元するかが良かろう。(勝手なこと言うなって? 一応、毎日乗ってる「利用者」なので、それくらいは許してね)
ところで、そういう話も含めて、幹線鉄道がらみのいろんな難題を同時に解決できるかもしれない、いい酒飲み話があるんだけどなぁ。。。恐ろしくて、此処には書けないッス。もちろん、学会会場で披露できるようなネタでもないので、この続きは See you anytime anywhere.
# 東京-大阪1時間って、いいインフラ整備だと思うがなぁ。「乗数効果」も大きそうだし>首相殿
▲最初に戻る ▲研究室のページに戻る
連接バスの予算計上をして、「事前協議がない!」と関係団体からクレームが出ている自治体があるらしい。
で、ふと思ったのだが、連接トラック、、、つまり、トレーラートラックは大仰な会議を経なくても申請すれば走行できるが、どうして連接バスは違うんだろ。
フルトレーラー(最後尾に「死ぬ気で追い越せ、全長18m」などというステッカーが貼ってあるやつ)と連接バスの長さは同程度。まぁ、節の長さの比率が違うと言えば違うのだが、国の方針に連接バスを含むBRTを推進するなどと書いているのだから、トレーラートラックの運行と同程度の事前準備でいいように簡素化してもいいんじゃないのかしら???
トラック団体とバス団体の力の差かなぁ???
皆さんご存じの通り、米国がエコカー減税の対象にアメ車が入ってないのは「自分だけが都合のいい貿易政策の象徴で、米国に深刻な損害を与えている」と文句言ってるらしい。
まぁ、エコカーといえども、せいぜいバス並みであって、電車にはエコさはとうてい及ばないが、今から買うならやっぱりエコカーだろ。
#1 いい製品なら買うさ。現に、米国製(ちゅうか米国内設計)のiPodは、日本のWalkmanより売れている。
#2 独車にはエコカー減税対象車種があるョ。
#3 世界のエコなリーダーシップをとりたいのなら、「日本のエコカー減税はご都合主義の政策だ。電車やバスに乗るのが正しい道だ。」と喧伝すればいいのでは? >米国殿
#4 日本の型式指定をとる米車があまりないことが大きな原因のようだが、リッター10.6キロ程度でエコカーとは、これ如何に? だいたいやねぇ、排気量が大きいほど燃費の基準が緩いちゅうのは、どやねん。
Webmasterの研究室は、以前は大先生が使っていた部屋である。大先生が退官時に「Webmaster君、必要なものは持って帰ったので、あとの資料やら本やらは適宜処分してくれたまえ」とおっしゃった関係上、古い書類がたくさんある。数年前には出張旅費が丸々入っている未開封の封筒が発見されたし(→さすがにネコババするわけにはいかないのでご本人に手渡し済)、いまや各方面で活躍されている諸先輩方の学生時代の授業レポートが発見されることもしばしばである。
年末から研究室内の机や書棚の位置を変える「大規模区画整理事業」に着手してしまった関係で(・・・忙しさからの現実逃避という話もある)、新たに発見。久々の大発見である。
今回の発掘物は、昭和42年6月調査、京都市内の電車の乗車人員(乗車密度)の調査結果である。調査方法等の詳細が失われているので、もはや研究資料として使うには耐えないし、どの程度の信頼性があるのかについても確証が持てないが、LRT導入でもめている地域の人々には参考になろう。
電車 | 代替バス | 廃止前比 | |||||||
系統 | 1日乗車人員 | 1日運行回数 | 乗車密度 | 系統 | 1日乗車人員 | 1日運行回数 | 乗車密度 | 1日乗車人員 | 乗車密度 |
1 | 32,755 | 136 | 240.85 | 201 | 7,438 | 70 | 106.26 | 22.7% | 44.1% |
33,900 | 136 | 249.26 | 7,724 | 70 | 110.34 | 22.8% | 44.3% | ||
2,12 | 51,206 | 123甲,168乙 | 243.84 | 202 | 3,004 | 44 | 68.27 | 5.8% | 28.0% |
53,021 | 87甲,4乙 | 252.48 | 2,650 | 44 | 60.23 | 5.0% | 23.9% | ||
4 | 37,892 | 116甲,127乙 | 326.64 | ||||||
36,621 | 116甲,121乙 | 315.70 | |||||||
5 | 18,908 | 77甲,76乙 | 245.56 | 205 | 2,070 | --- | 10.9% | ||
18,526 | 77甲,76乙 | 240.60 | 1,897 | --- | 10.2% | ||||
6 | 35,926 | 98甲,92乙 | 366.59 | ||||||
39,035 | 98甲,92乙 | 398.32 | |||||||
7 | 21,715 | 104 | 208.80 | 207 | 7,683 | 87 | 88.31 | 35.3% | 42.3% |
22,959 | 106 | 216.59 | 7,864 | 88 | 89.36 | 34.2% | 41.3% | ||
8 | 18,256 | 99 | 184.40 | 217 | 1,172 | 24 | 48.83 | 6.4% | 26.4% |
18,194 | 100 | 181.94 | 923 | 24 | 38.46 | 5.1% | 21.1% | ||
9 | 13,819 | 130 | 106.30 | 81 | 6,222 | 137 | 45.42 | 45.0% | 42.7% |
14,173 | 130 | 109.02 | 6,240 | 137 | 45.55 | 44.0% | 41.7% | ||
10 | 4,399 | 45 | 97.76 | 210 | 1,558 | 35 | 44.51 | 35.4% | 45.5% |
3,952 | 45 | 87.82 | 1,375 | 35 | 39.29 | 34.8% | 44.7% | ||
11 | 5,137 | 45 | 114.16 | ||||||
5,876 | 45 | 130.58 | |||||||
13 | 3,233 | 46 | 70.28 | ||||||
4,446 | 46 | 96.96 | |||||||
15 | 13,624 | 41甲,69乙 | 197.45 | ||||||
13,774 | 41甲,69乙 | 199.62 | |||||||
17 | 7,503 | 37 | 202.78 | 217甲 | 516 | 20 | 25.80 | 6.9% | 12.7% |
6,341 | 36 | 176.14 | 524 | 20 | 26.20 | 8.3% | 14.9% | ||
18 | 5,701 | 44 | 129.57 | 82 | 3,870 | 45 | 86.00 | 67.9% | 66.4% |
4,201 | 44 | 95.48 | 1,393 | 45 | 30.96 | 33.2% | 32.4% | ||
19 | 5,390 | 95 | 56.74 | 83 | 3,216 | 85 | 37.84 | 59.7% | 66.7% |
5,315 | 95 | 55.95 | 1,664 | 85 | 19.58 | 31.3% | 35.0% | ||
20 | 11,673 | 68甲,80乙 | 145.91 | 220 | 3,061 | 26 | 117.73 | 26.2% | 80.7% |
11,396 | 68甲,80乙 | 142.45 | 1,891 | 26 | 72.73 | 16.6% | 51.1% | ||
21 | 8,134 | 56甲,44乙 | 145.25 | 221 | 2,640 | --- | 32.5% | ||
8,430 | 56甲,44乙 | 150.54 | 2,260 | --- | 26.8% | ||||
22 | 13,140 | 18甲,63乙 | 208.86 | ||||||
12,883 | 18甲,63乙 | 204.49 | |||||||
100 | 15,448 | 180 | 85.82 | 77 | 3,275 | 56 | 58.48 | 21.2% | 68.1% |
16,087 | 180 | 89.37 | 2,966 | 56 | 52.96 | 18.4% | 59.3% | ||
計 | 656,542 | ||||||||
※注: | 壬生、錦林 南行 甲、 北行 乙 烏丸 南行 甲、 北行 乙 (6系統を除く) 九条 東行 甲、 西行 乙 |
「電車」とは路面電車、つまり、廃止前の路面電車である。昔から京都市に在住の方はご存じと思うが、現在の市バスの「20x」系統はかつての市電の「代替バス」であり、現在も路線網はほぼそのまま引き継がれている。この表は京都市電の廃止前後の客数の変化を調査した結果のようである。「代替バス」の調査結果の数字は昭和47年9月の調査結果と同じ数字のようなので、この年次の結果のようである。「代替バス」の欄が空欄の系統の路面電車は、当時まだ廃止になっておらず、京都の街路を走っていたからバスのデータが存在しないということのようである。
「1日乗車人員」は乗った人の数、「1日運行回数」は運転本数のようだが、「乗車密度」については「1日乗車人員」÷「1日運行回数」のようであり、厳密な意味での”輸送密度”ではないので要注意。「廃止前比」の欄はwebmasterが計算して追記した。
さて、一目してすぐにわかるのは、単に輸送する箱を変えただけのはずが、軒並み乗客を減らしているということである。運行回数も減ってはいるのだが、運行回数の減り方よりも乗車人員の減り方の方が大幅に激しい。半分以下、中には20分の1程度のところまである。1本あたりの乗客数である「乗車密度」も半分程度になっている系統が多い。つまり、供給側は同じ輸送サービスを提供しているつもりだが、乗客にはバスは人気がなかった、ということのようである。
LRT導入に関して「どうしてバスじゃだめなの?」という質問については、専門家でもなかなかわかりやすく回答するのが難しいことが多いのだが、何の何の。実証的な答えがここにある。
標題の質問については、答えはすでに40年以上前に出ているのかもしれない。