2.これまでの研究
本研究に至る一連の研究としては,スイスの鉄道政策Bahn 2000(1987年開始,2004年終了)に関する速報的な分析,詳しい政策背景の調査やBahn 2000実施前に行われた試行的な等間隔運転導入の分析やBahn 2000後の路線改良等に関する分析を加え,あらためてBahn 2000について調査を実施した研究がある.また,鉄道網において「拠点駅で必ず短時間で乗換が実現する」ための運行間隔と拠点間の所要時間に関する条件についての研究,あるいは同様の交通網を最小費用で構築する方法を工程管理手法のPERT/CPMを参考にして考案した研究などがある.
Bahn 2000については等間隔運転導入を主要政策としているものの,必ずしも幹線への導入だけに限った政策ではないため,地域輸送を担う支線等でも等間隔運転の導入が進んだ.幹線と支線との接続駅に着目し,路線間の乗り継ぎ時間を列車ごとに調査した研究も行われており.その結果,例えば支線と幹線相互の乗り継ぎは平均16分以内で完了,全乗り継ぎ組み合わせの90%以上で毎時1本以上の接続があることなどが示されている.
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- 波床正敏,中川大:幹線鉄道におけるハブシステム構築の効果と意義に関する研究-スイスの鉄道政策Rail 2000の効果分析を踏まえて-,都市計画論文集,No.41-3, pp.839-844, 2006.
- 波床正敏:等間隔ダイヤ導入及びBahn 2000実施によるスイス主要都市間の移動時間改善,土木学会論文集,Vol.79, No.3, 22-00055, 2023.
- 波床正敏,中川大:公共交通網におけるパルスタイムテーブルシステム成立条件に関する研究,土木計画学研究・論文集,Vol.24, No.4, pp.693-702, 2007.
- 波床正敏,高野晋作,田中辰弥:工程管理手法を参考とした同期運行ネットワークの実現手順に関する研究,土木学会論文集・特集号(土木計画学),Vol.80, No.20, 24-20052, 2024.
- 波床正敏:スイスの鉄道網における幹線と支線の乗り継ぎ状況に関する分析,土木学会論文集・特集号(土木計画学),Vol.80, No.20, 24-20002, 2024.
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