都構想の陰で進行する大阪長期衰退の始まり(第9話-東密西粗編)

最終回であり,結論である.
第1話-新幹線偉大なり編2話-産業振興vs交流編
第3話-他の交通機関編
第4話-東海道vs中山道編
第5話-新幹線駅が都市圏形成編第6話-駅アリ>駅ナシ編
第7話-20年差が命取り編第8話-後手必敗編

最初の出発点は以下の図であるが,新幹線は地域振興に資するという単純なメッセージの他に,目新しい交通機関が出現したときには早期整備する必要があるということが重要ということである.同時に地域整備そのものよりも交通整備の方が効果が大きいということであった.

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さてさて,大阪を取り巻く交通整備であるが,今から約10年ちょっと後の2027年頃の様子は次の図のようになる.東北新幹線は北海道新幹線につながり,北海道南部までは到達している.北陸新幹線は金沢から福井を経て琵琶湖の手前まで来ている.リニアも出来ているが名古屋まで.

東京からはミニ新幹線を含めて新幹線で行けない県は中部以東ではほとんどなく,近県の茨城と千葉だけである.

それに比べて大阪はどうだろうか.九州新幹線につながる山陽新幹線はあるものの,北陸新幹線もつながってなければリニアもつながっていない.山陰新幹線や四国新幹線は当面開通できる状況にない.

これで,東京に勝てるか,というと,はっきり言って絶望的である.

府市統合のような中心都市の行政効率を上げて(ほんとに効率が上がるのかという議論すら多いが),その分を地域整備に回すことで大阪の地位が向上するのかというと2を読んでのとおり,その方法では望み薄である.加えて,効率の上がった分が存在するとして,それを地域整備にどのように回すのかすら今ひとつわからない—市に集中投資するのか,それとも府下にばらまくのか—.(大阪市長は市に集中還元させるというようなことを言っているようだが,それだと府がこの統合に参加する意義が見いだせない.逆に府下にばらまくのなら,やはり市は割を食うのか? いずれにせよ,不明な点が多いまま話が進んでいる.)

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ちなみに,大阪を取り巻く高速鉄道網整備は下の図の緑色の線のようにかなりたくさん残されている.これらが完成すれば大阪を中心とするネットワークは東京を中心とするものに遜色がなくなって国土の二眼構造が復活する.

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だが,残念ながら大阪の人は自らが頑張りさえすれば何とかなると思い込んでいるわけで,大阪以外の地域とうまくやって行くという発想そのものが無いようなのが悲しいところ.(…と指摘したからと言って,逆ギレしないでね)

以上が市販本やwebで引用されている元図の背景である.大阪都構想(府市統合)という目立つ話の陰で,大阪の長期衰退は当に今,始まろうとしている.

#逆ギレしないでね.いちいち逆ギレしていると,大事なことを話す人が少なくなってしまうので,結局損するのは逆ギレした人,という状況になると思う.日本国憲法第21条とか,日本国憲法第23条って大事だよね.

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