鉄道で国づくり」カテゴリーアーカイブ

この踏切に引っかかると留年

ほんとかどうかは知らないが,この踏切に引っかかると留年したらしい.
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大阪市立大学のすぐそばにあった,貨物線の踏切である.今はもう無い.滅多に列車が通らないので,その希有な列車に引っかかると留年する,という都市伝説があったらしい.
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大阪から南に延びる阪和線と,東に延びる関西本線とを都心を迂回しながら結ぶ路線であった.南方面,つまり,和歌山方面の貨物列車が無くなった後は,回送列車がたまに走るくらい.その回送列車も天王寺駅構内に阪和線と関西本線とを結ぶ短絡線ができるとそちら経由になり,用が無くなって廃線になってしまった.
0602OCU-65単線分しか用地は無いが,人口密集地帯を通っているので都市交通施設の用地として活用できそうである.LRTとして使えそうでもあるが,簡単に済ますなら,少なくとも日本式の自称BRTくらいの整備はできそうである.

AMTRAK(鉄道跳ね橋編)

シアトルからバンクーバーまでのAmtrakの経路には,おもしろい橋がある.これ.
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跳ね橋である.回転したり上に吊り上げたりするのではなく,鉄道橋が見事に跳ね上げられている.プラレール以外で跳ね橋を見たのは初めてであり,以後も見たことがない.

AMTRAK(振り子式列車編)

カナダのVIA鉄道だけでなく,米国のAmtrakにも振り子式列車がある.シアトルとカナダのバンクーバーを結ぶ列車である.
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機関車+客車の形式だが,客車部分が「振り子式」で,曲線で車体が傾く.見てのとおり,スペイン製のタルゴ客車である.短い車長の客車のつなぎ目部分に共用の1軸台車が付いている,いわゆる連節車両である.Amtrak0326-002
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Amtrak0326-014
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このタルゴ客車のもう一つの特徴は,スペインにおいて元々の広軌の線路と欧州標準の標準軌とを直通できるという点である.北米は(一部の特殊な区間を除き)標準軌で統一されているので軌間可変装置は不要なはずなのだが,上側の写真(米国)とさらに下側の写真(スペイン←→フランス)とでは,一部のパーツ(車軸の下のスリ板のような部分)が少し違うだけで,同じように見える.

予讃線のトンネル

予讃線は県間を結ぶ幹線鉄道なのに,なぜか単線のままで特急列車が向かいから来る特急列車を待ち合わせ...などということもある.この日は向かいから来る列車がちょっと遅れているようだ.ちょっとクスッとくるような理由で(内緒).
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割と似たような沿線状況の紀伊半島の紀勢線沿線で育った身なので,複線化していない点についてはもうちょっと何とかならんかったものかと思う一方で,振り子式電車が走っている点については,似たようなものかなとも感じた.
紀勢線は国鉄時代の1978年に電化され,同時に紀伊田辺までの複線化が完成している.時期がもう少し遅かったらこの予讃線と同じ状況になっていただろう.予讃線の電化は観音寺より東側が国鉄の最末期の1987年3月,松山まで電化が完成したのが1990年代である.
そういうわけで,インフラについても厳しい状況の箇所があり,このトンネル,何か・・・小さい.
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よく見ると,架線が三重になっており,狭小トンネル対策がされている.電化に合わせて,盤下げ(下側の地面を掘って削って高さを稼ぐ)もされているらしい.
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トンネル自体もレンが巻きでかなり古そうだ.昔なら電化という設備投資に合わせて,トンネルを掘り直したり曲がりくねったSカーブを改善したりといった手直しがされることが多かったと思うが,最小限の投資しかされていないように見える.
新幹線の予算も充分には確保しなければ,その他の改良の予算も確保しない.どうなってんのかな.株式会社にしさえすれば,事態は好転して改善されると思ってたんだろうな.そういえば,この路線の運行している鉄道の株主って,誰だったっけ? 株主の責任が問われているかも.

さようなら五新線

奈良県五條市と和歌山県新宮市を結ぶはずだった「五新線」.五條市内の国道24号にはこういった[廃線跡]が残る.
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西吉野までの一部区間はバス専用道路として供用されたが,その先は道路として使用されることも無く,幻のループトンネルなどもあったようだ.
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一部のトンネルは国道のトンネルとしても利用されたものの,ほとんど使われること無く建設中止となり,今に至る.もし完成していれば飯田線に勝るとも劣らない秘境路線になったに違いない.
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終点の和歌山県新宮市内には「五新」という地名があり,もし路線が完成していればここに顔を出す予定だったのでは無かろうか.(「五新」出身の学生に確かめたことがあるが「さぁ・・?」という返事)

ノーズ可動式分岐器

ノーズ可動式分岐器,というと鉄道に詳しい方や建設系の学校で鉄道工学を含む授業を受講した方なら「あぁ,新幹線の分岐器ね」と思うだろう.
基本的には分岐器特有の隙間に起因する騒音や振動を防止する特殊分岐器なので,主な用途は日本では新幹線である.
下の写真の直進側線路の下側レールと分岐側線路の上側レールのクロス部分の隙間が分岐方向によって機械的に埋まる構造であり,隙間がなくなることで特に直進側の速度制限がなくなることが特徴である.
ところで,下の写真は新幹線ではなくて,都市交通鉄道のレールである.
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何のために都市交通でノーズ可動式を使うかというと,分岐器の騒音や振動を小さくして音環境を向上させようとしているからである.日本で,そういう目的でノーズ可動式分岐器使っているところってあったっけ?
BC0505-223やっぱり,日本て遅れてるんだろうか.

ほぼ観光専用路面電車

LRTというと,環境にやさしいとか,お年寄りの乗り降りがしやすいとか,市街地活性化に寄与するとか,都市計画的視点が取り上げられることが多いが,中には明らかに遊園地の乗り物的目的を持って運行されている路線もある.
写真は,米国シアトルの「ほぼ観光専用」の路面電車である.高床式ホームなので一応バリアフリー配慮だが,どう見ても最新式とは言い難い.
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路面電車の割には軌道がごついが,米国なので超重量級貨物列車が通れるような軌道構造をそのまま採用しているように見える.臨港貨物線の転用かもしれない.Seattle0325-100
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日本でも貨物線跡が残っているような観光地で,都市計画的効果を期待せずに,遊園地の乗り物的に整備をしてしまうという手もないではないと思うが,ま,なかなか難しいかな.(例えば小樽とか)Seattle0325-125

CIVISがBRTなわけ

パリからSNCF急行で北西に1時間ほどのRouenにはLRTが走っており,都心部は地下,広場や交差点の下も地下で,簡易地下鉄として走り,郊外方向には街路併設のLRTとして走行する,
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さて,Rouenにはこの簡易地下鉄LRTが中心部で南北に走るのとは直行するようにBRTも走っている.
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この写真だけ見ると,単なる連節路線バスであり,国土交通省が喜びそうな風景である.しかし,日本が称するBRTとこのバスとの決定的な違いは何かというと,ここではないだろうか.
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二重の白線の点線? いえいえ.そこではなくて,プラットホームがあること.
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バスが来ると,ホーム側からは電車タイプのLRTと同程度のバリアフリー度が提供される.このCIVISというシステムは二重の白線の点線で走行を案内するシステムとして知られているが,ハンズフリーで運転することが目的ではなくて,停留所で車体をホームにぎりぎりまで寄せる目的で導入されていると思われる.(ナントのBRTはこのシステムは無いが,ドアの足下からは渡り板が出てくる.)
IMG_9626停留所を過ぎると,点線はなくなる.(奧のクルマが横切っているあたりで点線がなくなる.クリックをすると拡大.)
トヨタが開発したCIVISに似たようなシステムは,ハンズフリーや無人運転といった技術ばかりが強調され,その正しい使い道が提示されていないのかもしれない.

TGVでもLA POSTE

パリ市の外周部を走るトラムに乗っていると,SNCFリヨン駅の南側,ベルシー駅よりもさらに南側にあるTGVの留置線のすぐ近くを道路併用の跨線橋で超える...
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ここですね.

その留置線に,何かいる.真ん中のは(ちょっと古いが)普通のTGV.その向こう側に見慣れない色のTGVが留まっている.
IMG_9683黄色いTGVにはSNCFというマークだけでなく,「La Poste」とも書いてある.郵便物専用のTGVである.前後の機関車の間に8両の客車・・・じゃなかった,郵便車がはさまっており,窓はない.
IMG_9700フランスの郵便と鉄道の関係というと,トラムよりはこっちの方が有名である.日本でもできる施策なのだが,全く動きがない.飛行機で郵便物を運ぶよりCO2排出が少なくなるはずなのだが,やはり日本人は知恵が少ないのだろうか.