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名阪間をまっすぐに…

最近発売になった雑誌の特集号を見ると,リニアの名古屋以西のルートに関し,鉄道会社のトップが”名阪間は真っ直ぐ”と言っている.

(1) じゃぁ,真に受けて,真っ直ぐ線を引いてみよう.こうなる.名古屋駅-新大阪駅間,135km.「奈良付近」は京田辺/新田辺あたり.

名阪最短135km

(2) 三大都市圏以外では1県1駅が原則らしいが,以前から滋賀県には駅はできるという話は聞いたことがないので,滋賀県域に入らないようにすると…名阪間138km.完全な直線に比べて+3km.余分にかかる時間は約20秒.まぁ,”誤差の範囲”か.「奈良付近」は祝園あたり.

名阪滋賀回避

(3) 京都駅をまわることは遠回りだという認識らしいが,経由させてみると…名阪間145km.完全直線+10km.余分にかかる時間は,通過する場合で72秒.まぁ,大したことない.停めると,さらに+数分.停めるか停めないかが大きそう.

名阪京都経由

(4) 南限は大和郡山を経由する場合で,名阪間は146km.京都経由とほぼ同じ.直線+11km.余分にかかる時間は通過する場合で,80秒.これもまぁ,大したことない.けど,これって,数字以上に結構大回に見えるな.

名阪郡山経由

(5) 名阪間をなるべく直線で結びながら,なるべく沿線府県数を減らすために京都府と滋賀県を通らないようにするとこんな感じか.名阪間143km.余分にかかる時間は58 秒.まぁ,大したことないな.「奈良付近」は平城山あたり.

名阪京都滋賀回避

ということで,真に受けて真っ直ぐ線を引くと奈良には寄らないことが判明(…って,昔から知られてることで,鉄道評論家の本にも京田辺駅が登場するけど).

それから,京都駅経由が遠回りなら大和郡山経由も遠回りだと言うことが判明.でも距離的にはどちらも大して遠くは無い.ということは京都駅を通すと停めざるを得なくなって通過させる自信が無い,ということかな.

(ま,京都駅はそのままにしておいて別駅を新設した方が自社沿線地域の面積が広がるのでウハウハ,とか思ってそうだけど,長期的には「アレぇ?こんなはずじゃぁ…」と思うことになりそう,その件は,またいずれ.)

本命は(2)か(5)あたりか?

 

 

「やりとかぶとで排除する!」奈良知事が京都けん制 リニア誘致巡り発言は敵対心あらわに – 産経WEST

こういう記事があった.

荒井正吾奈良県知事は25日、リニア中央新幹線の名古屋以西のルートを巡り、京都府内の自治体が誘致活動を続けていることを踏まえ「京都は『やり』と『かぶと』で排除する…情報源: 「やりとかぶとで排除する!」奈良知事が京都けん制 リニア誘致巡り発言は敵対心あらわに – 産経WEST

えーと,気持ちは分かるが,そろそろ次のステップに入ろうよ.空港建設や工場誘致と違って,鉄道は駅の前後に線路が必ずくっつく上に,広域交通インフラは単なる1都市の玄関口ではなくて,かなり駅勢圏が広くなるので,1地域単独ではあんまり良いインフラ整備が出来ないんだが.

リニアの整備計画格上げから数年,他の新幹線整備の話も進みつつあり,世の中,次のステップに進みつつありますよ…

国政での新幹線の議論

静かすぎると仕事が出来ない性格なので,ラジオなどをかけながら仕事をしていることが多いが,音楽や雑談だと楽しくて仕事の方が身に入らなくて本末転倒である.そこで,最近は国会中継を聞いていることが多い.

大半の議論は聞き流しているが,それでもマスコミが取り上げない案件が多く,なかなか勉強になる.新幹線関係の議論もたまにあるが,残念ながら現状の計画の進み具合を担当大臣や担当部局に説明させて,それだけで終わっている方が多い.

たぶん,選挙の時に「ちゃんと新幹線のことも国会で議論しました」と言うことを目指してるんだろうなぁ,などと冷ややかな感想を持っている.突っ込みが甘すぎて,議論にすらなっていないことが多い.

さて,珍しく,と言っては何だが,久々に前向きな議論が聞けたのでリンクだけでも紹介しておこう.4/25日の参議院の決算委員会の一部.

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

このサイトを開いて,(2016年の)4/25をクリックすると,その日に行われた会議の一覧が示されるので,「決算委員会」を選んで再生すると,JALの話に続いて新幹線のことが議論されている.

通常なら国土交通省鉄道局の局長が現況説明して終わってしまうことが多いのだが,国土交通大臣が整備新幹線の目的を再確認する答弁をするとともに,財務大臣の比較的前向きな話を引き出している.これだけで今後新幹線整備を取り巻く環境が大きく動くかどうかはまだわからないが,最近のやりとりの中では一番希望が持てそうだ.

雰囲気的に「この件,つづく…」かな.

なお麻生大臣が「ちまちました絵を描いて…」と指摘している部分は,私にはこう聞こえた.”ちまちました部分部分の議論をしていないで,国全体の新幹線のグランドデザインを示し直した方がいい時期に来ている.”

様子は,公式webサイト以外にもyoutubeでも見られる模様

新幹線なら博多―宮崎95分

東九州新幹線の試算をしたらしい.

読売新聞:東九州新幹線(福岡市―鹿児島市)構想について、沿線4県と北九州市などでつくる建設促進期成会が、予想される所要時間や費用対効果をまとめた。
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160405-OYT1T50057.html?from=ytop_main5

試算結果は,こうらしい.

博多-宮崎間:1時間35分
博多-大分間:47分
小倉-大分間:31分
小倉-宮崎間:1時間19分

何か妙に速いな.それぞれの現行路線長を使って表定速度を出すと…

博多-宮崎間:407km÷1.583時間=257km/h
博多-大分間:200km÷0.783時間=255km/h
小倉-大分間:133km÷0.517時間=257km/h
小倉-宮崎間:340km÷1.317時間=258km/h

なーるほど.山陽新幹線ののぞみ号/みずほ号なみだな.途中駅ほとんどノンストップで300km/h運転ならこれくらいだが,もうちょっと現実的な値にしてみよう.

一部山陽新幹線を走行するとのことなので,小倉-鹿児島中央間の最速便で計算してみよう.356kmを95分で走行しているようなので,356÷1.583時間=225km/h.これを使ってみる.

博多-宮崎間:407km÷225km/h=108.5分
博多-大分間:200km÷225km/h=53.3分
小倉-大分間:133km÷225km/h=35.5分
小倉-宮崎間:340km÷225km/h=90.7分

ということで,この辺が現実的なあたりか?

博多-宮崎間:1時間49分(現行2時間58分[新八代からバス],▲1時間9分)
博多-大分間:54分(現行1時間43分,▲49分)
小倉-大分間:36分(現行1時間18分,▲42分)
小倉-宮崎間:1時間31分(現行3時間17分[新八代からバス],▲1時間46分)

 新聞記事よりはインパクトはマイルドだが,まぁまぁの時間短縮だな.

いつまでも「予行演習」では済まない

2004年09月05日,紀伊半島南東沖でM7.1,最大震度5弱,特に被害は無し
2004年09月07日,紀伊半島南東沖でM7.4,最大震度5弱,特に被害は無し
2013年08月08日,奈良県でM7.8,最大震度7,単なる誤報
2016年04月01日,紀伊半島南東沖でM6.5,最大震度4,特に被害は無し

いずれも「ついに来たか!」と思ったものの,結果としては大したことは無かった.

だが,いずれ来る.きっと来る.必ず来る.

対応を先延ばしにするのは簡単だが,いつまでも予行演習では済まない.

2027年まではみんなここを通らないと行けないし,南海トラフ地震と間をおかずに発生するかもしれない首都直下地震はほとんどなんの対応もしていないし,どうするんだ?

言い訳し続けて,何かことが起こったら「想定外でした」か?
もう4回も予行演習したので,「想定外でした」は通用しないよ.

 

安倍首相が二階総務会長の経済対策案に「素晴らしい」 – 産経ニュース

よく見ると…

安倍晋三首相は22日、官邸で自民党の二階俊博総務会長と面会し、二階氏が平成28年度補正予算案の編成を踏まえて提案した経済対策に対し、「素晴らしいアイデア、知恵を…情報源: 安倍首相が二階総務会長の経済対策案に「素晴らしい」 – 産経ニュース

さりげなく元記事には「リニア新幹線などインフラ融資の拡充」と書かれているが,早期全線開業か???

 

北陸新幹線敦賀以西、ルート選定調査「半年必要」…石井国交相

こういう話があったんだが…

石井啓一国土交通相は3月18日の閣議後会見で、北陸新幹線の敦賀以西ルートについて「調査を行うとすれば、調査着手から概ね半年程度は必要だ」との考えを示した。

情報源: 北陸新幹線敦賀以西、ルート選定調査「半年必要」…石井国交相

リンク先を見ると,あぁ,そうなんだ,「3ルートの選定のための調査では、各ルートの事業費、所要時間、輸送需要の見通し、収支採算性などを検証する」には半年必要なんだ…と思ってしまう.

だが,ちょっと待てよ.「事業費」はともかく,「所要時間」「輸送需要の見通し」「収支採算性」の三つについては,全国新幹線鉄道整備法施行令という政令の第二条で,基本計画を決定するための調査事項として挙がっているものである.

本来は基本計画策定時に調査する事項を,整備計画が出来上がった後の,本来なら地図上で具体的なルート設定をして環境影響評価を行うような時期になって,わざわざあらためて調査すると言っているのである.

つまり,何が言いたいかというと,現行の基本計画は,すでに基本計画の体を成していない,ということなのである.国土交通大臣自ら,それを間接的に認めてしまっているわけだ.(たぶん,大臣自身は気付いていないと思うけど)

これは中央新幹線を基本計画から整備計画に上げる際にも見られた状況であり,わが国の新幹線網構想の根幹にかかわる問題である.

そろそろ基本計画をちゃんと見直した方がいいんじゃないかな.(ツッコめるほど詳しい国会議員さんが居なさそうだけど).

 

北海道新幹線あまり速くないとは言うが…

北海道新幹線が青函トンネルの減速運転であまり速くないとは言うが…

一応,約1時間ほどの短縮になっている模様.時刻表2016年4月号を入手したので,調べてみた.

お昼頃に新青森→函館間を移動する場合である.

【開業前】
新青森(12:04)→白鳥77号→函館(14:25)
時間:141分
費用:5,490円(指定席)

開業後】
新青森(12:37)→はやぶさ11号→新函館北斗(13:38)
新函館北斗(13:51)→はこだてライナー→函館(14:06)
時間:89分
費用:7,890円(指定席)

ということで,まとめると…

乗換:+1回
時間:−52分
費用:+2,400円

見かけ上は,1分短縮あたり46円なり.乗換1回30分相当という話もあるので,短縮は22分相当とすると,1分短縮あたり109円なり.

青函トンネルが遅いとはいえ,乗換を気にしなければ,まぁ,そんなもんかというような感じ.乗換があると,開業もありがたさ半分なり新幹線,といった感じ.

三線軌化とかしてでも,何とか直通運転したかったねぇ.

 

北陸の受験生関西離れ

まぁ,予想通りというか…

北陸新幹線長野-金沢間の延伸開業から、14日で1年を迎えた。沿線の観光地はにぎわい、開業効果に沸く一方、開業から初めてとなる今春の大学入試で、関西の私立大学は北…

情報源: やっぱり!? 北陸の受験生、関西離れ 新幹線開業1年、影響くっきり

一般論だが,行動が変わるのには何年かかかるわけで…にもかかわらず,1年ほどではっきりわかるような結果が出てくると言うことは,この先もこの傾向は強まることがあっても弱まることは無いということだ.

つまり「早期全線完成」しない限りは,この傾向,つまり北陸の関西圏離れは止まらないということだ.

それから,もっと厳しいことを言うと,10年もあれば,単なる傾向であったものが完全に習慣として定着してしまうので,もはや10年後に全線完成しても元通りの関係には戻らない.

さらにもっと厳しいことを言うと,北陸新幹線が全線完成したとしても,北陸から見た首都圏と関西圏の遠近関係は以前のような相対的遠近関係に戻るわけではない.

昔は北陸から首都圏へ行くのは新幹線と在来線特急を乗り継いで半日がかりだったものが,概ね2時間前後になった.関西からの場合は,従来の2〜3時間半だった所要時間が新幹線全通で1〜2時間になるだけで,圧倒的に関西優位というほどでもなくなる.

関西が目指すべきは,北陸新幹線全線完成はもちろんのこと,隣接する地域ブロックとの間の利便性の大幅改善なんだが,そういった所まで目が行っているリーダーは(昔に比べると変わりつつあるようだが)果たしているんだろうか?

単なる選挙時のお題目だけで終わらせないでね >皆さん

国会中継聞いてても「いちおう,質問のお題目に上げておきました」的な生ぬるい質問している議員さんが多くて頭が痛いんだが.

 

北陸新幹線の増収効果想定の2倍以上

「北陸新幹線の増収効果想定の2倍以上」らしい.開業1年の北陸新幹線のお話.

じゃぁ,リース料上げてもいいよね.「想定」が間違っていたんだから.

こういった事前予測に基づく設定が事実と異なっていた場合,見直す条項があってもいいと思うが,そういうシステムは事前には準備されていない模様.

鉄道会社はリース料決めるまでは「儲からない」を連発すると後で大もうけ出来るという構造か??

何かの契約のように,固定部分と出来高払いの部分があってもいいんじゃないかなと思う今日この頃.

大もうけしているのなら,以後建設する部分では「調整」してもいいよね.