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北陸新幹線のバージョンアップ

北陸新幹線は,この先,金沢から福井方面に延伸されて敦賀までは約8年後に開業する.ルートはまだ決まっていないが,最終的には大阪に達する.

一方,速度については整備新幹線の最高速度は260km/hと法律に書かれてしまっているので,一応それにあわせて律儀に260km/h運転されているが,整備新幹線の基本的な線形は山陽新幹線などと同じく,半径4000メートルの曲線で構成されている.勾配は山陽新幹線などの15‰程度よりずいぶん急な30‰が採用されているが運転速度のネックになりやすいのは曲線である.

つまり,(一部の急勾配などを除き)北陸新幹線は山陽新幹線なみの速度(つまり300km/h)まで将来的にバージョンアップできるだけの基礎的な設計がされているとも言える.

山陽新幹線については実現はしなかったが,320km/h以上での運転が構想されていた時期もあることから,北陸新幹線についても320km/h運転というのはあながち夢物語ではない.

なお,この手の話をすると「北陸新幹線用車両は急勾配対応なので…」という話が出やすいが,ドイツのICE用の最近の高速新線では40‰の勾配に対応しながら300km/h運転しているところもあるので,それ用の車両を車両メーカに発注すればいいだけではないだろうかと思う.

#関係法令の改正,保安装置のバージョンアップ,架線設備の更新……が必要かな

PORTRAM複線化準備中

PORTRAMこと富山ライトレール.全線単線だが(知っている人は知っているが)部分複線化の準備工事が行われている.

下の写真は旧富山港線の線路と街路のジャンクションになっている「奥田中学校前」である.

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その駅の富山駅方にはナゾの分岐器がある.安全側線? いえいえ,向きが逆なので安全側線にはなりません.

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街路側から見るとこんな感じ.

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このナゾの分岐器は将来の複線化のために準備されたもので,下の写真の街路の左側方向に道路拡幅が実現した際にはこの区間が複線化されることになっている.実現した場合には,現行の経路は奥田中学校前で富山駅方に折り返し出来るようにもなる.

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複線化区間はそう長くは無く,八田橋の手前で単線に戻ってしまう.この分岐器も複線化の準備工事.

P1010208そこから先は,富山駅の高架下の電停まで残念ながら単線オンリーである.直接的に増便に結びつくような施設ではないが,ダイヤが乱れたときなどには威力を発揮するはず.

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新幹線との対面乗り換えが注目されて10年以上経過したんだが

九州新幹線が鹿児島付近の先っぽだけ営業していた時代,新八代で新幹線と在来線特急が対面で乗り換えできていたのは有名な話.これは便利だということで,同様の取り組みをしようと結構あちこちで盛り上がっていたんじゃないかと思うが,あれから約10年.大した設備ではないはずなのだが,1つも実現しない.

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システムの違う鉄道をホームの両側に乗り入れなければならないので,取り付け線の整備程度などはいるがフル規格新幹線建設などに比べて大幅に簡便なはずだったのだが…

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いや,べつに軌間可変装置を付けなければならないということはないんですよ.車両と装置が開発できたら後付けで付ければ良いだけで,FGTが実現するまで在来線と新幹線を接続してはいけないということはないんですよ.出来そうなところはやりましょうよ.

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長野駅から南方面とか,名古屋やリニア三重県駅から三重県南部とか,新大阪から日本海側各地とか和歌山とか,岡山を起点に各方面とか,小倉から大分・宮崎とか,鹿児島中央から宮崎とか・・・

新潟駅はいつ出来るんだったっけ?

#こういった小技についても,「整備計画」認定できるようにしようよ>国交省殿

元祖リニア実験線

フランスのオルレアンの北方にはエアロトランの実験線があったが,日本の宮崎の北方には元祖リニアモーターカーの実験線があった.

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エアロトランの実験線に比べると,地震への対応のためか橋脚の足が太い.畑の中を日豊本線に沿ってほぼ真っ直ぐに進む.DSCN2069

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元はJR総研の施設で,今は地面効果を利用した航空機である「エアロトレイン」の実験場になっているようである.

DSCN2088・・・が,宮崎に高速鉄道の恩恵がやってくるのはいつなんだろうか?
そろそろ新しい全国の高速鉄道ビジョンを策定しようよ.PDCAまわってないよ.

【祝】北陸新幹線延伸…福井先行開業は?

開業おめでとう・・・っって,まだ2-3日早いか.大阪にとってはうれしさも半分なり金沢開業といったところであり,金沢以東が近畿圏とのつながりを離れ,首都圏に取り込まれる記念日でもある.

さて,その先,金沢から西,敦賀までは7年後ということになっているが,その途中の福井市まで先行開業できないかなという話が出ている.福井を終点にするには用地買収して車庫作って等という話もあるが,東北新幹線の八戸の話を参考までにご紹介.

今は東北新幹線は青森まで走り,もうすぐ北海道へと行こうとしているが,長らくの間は八戸で止まっていた.線路は八戸駅で止まっていたかというとそうではなくて,北方にしばらく続き,現在は本線となっている線路上には,実は車庫があった.

その写真がこれ.車庫には入り口が2つあって,大きな左側の方が現在の本線になっている部分である.

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延伸工事が始まると,この車庫は取り除かれて・・・

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車庫は小さい方だけ残してスリムになり,今は本線になって新幹線の営業列車が走っている.
DSCN6439ということで,まぁ,敦賀開業までの数年間のためにこういった設備を作るつもりがあるのならできないこともない,ということである.なお,福井駅から白山車両基地のある松任までは70kmほどなので,新幹線なら20分くらい.松任まで回送する気があるのなら別途の設備は不要ということになる.少なくとも金沢駅にいったん入線させれば松任の車庫には入ることはできる.

NANCYのTVRはどうする?

一時期,LRTの整備方法の一つとしてゴムタイヤトラムが注目された感がある.いくつかの方式があるが,その一つとしてTVR方式というのがあり,フランスのナンシーカーンで採用されている.

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ところが,開発元のBombardierがこの方式からの撤退を表明し,カーンについては将来的に通常型のLRTに敷き変えるそうな.結果として,安物買いの銭失いになってしまった.

ナンシーも同じTVR方式である.軌道がずいぶん劣化していたが,早晩車両も含めて設備更新が必要で,何らかの判断が迫られるところ.どうするのかな.

特殊な方式を採用すると,メーカーの都合が大きく影響する例である.トラムに限らず,特殊な都市交通システムを導入すると常にこの手のリスクがつきまとう.(が,往々にしてお役人様は新手の都市交通システムが大好きなのが困ったところ)

連節バスの方がマシかも.(でも,それってもはや単なるバスだよね)

大阪府市統合+道州制=神戸市が州都?

大阪の府市統合(大阪都構想),あまり的確な報道が無いので,メリット・デメリットがイマイチよくわからないまま,なぜか当事者の一方だけで住民投票が行われることになりそう.「2200億円」が大阪市外に流出するなら大阪市民が気の毒だが,じゃぁ流出しないのなら大阪府民(除く大阪市民)のメリットが何なのか,やはりよくわからないという状況である.だれかわかりやすく解説してくれんかのう.

地方自治法の改正で,わざわざ府市統合しなくても二重行政が解消されるのでは,という話もあるようなので,府市統合と指定都市都道府県調整会議の効果の差についても,だれかわかりやすく解説してくれんかのう.

さて,府市統合がもし実現されて,その先,「道州制」が実施されたら・・・ふと気がついた.関西州最大の都市はどこになるんだろうか.

府市統合後は,大阪市は5つの基礎自治体(つまり普通の市と同レベル)になっているようなので,もはや「大阪市」は存在せず,かといって「大阪府」も関西州として近隣府県と統合されてしまっているので,そこには「大阪府」も存在しない.さすがに経ヶ岬から潮岬までを大阪と呼ぶには無理があるので,州名が「大阪州」にはならないだろう.そうすると,おぉぉぉぉぉ・・・いずれ「大阪」という名前が行政組織から消滅するのか,すごい話だな.

元大阪市の基礎自治体5区は,それぞれ50万人前後になるそうなので,そうすると関西州における区市の人口の順位はこうなるのかな.

  1. 神戸市154万人
  2. 京都市147万人
  3. 堺市84万人

人口最大の(行政組織上の)都市は「神戸市」で,もし人口最大の都市を州都にすると,関西州の州都は神戸か?

#似たような話は,東京についても起こりうる.ただし,道州制の議論では東京だけ別扱いという案もあり,その辺は大阪を含む関西とは違っている.

「2200億円」は無かったんや・・・で?

先日は「毎年2200億円あったら何ができるだろうか」という捕らぬ狸の皮算用をしてみたが,大阪市長の話を追って行くとこの2200億円は府に移管した事務経費や市債の返済分等々に使われるそうな.

つまり,市域外の府下で使える2200億円というのは,無かったと言うことなんやな.毎年2200億円,もしもあったなら,府下でかなりの投資が行われるという机上の空論をしてみたが,それはできそうには無いということか.5年で関空リニア完成レベルという,あの強力な破壊力(いや投資力)は期待してはいけないの?

そうすると,新たな疑問がわいてくる.それは………

府市統合しても府下(除く大阪市)には,さほどの期待すべき投資が成されるわけでは無いということか? 府市統合すると,一体何が良いのか?というほとんど振り出しのような原点に戻ってきてしまう.

えっーと,かつての国政でも埋蔵金の議論があったが,地下鉄売り払うとか,泉北高速売り払うとか,電力株売り払うとか,そういう一時的なのは「二重行政の解消」による構造改革的な効果ではないよね.全部売り払っても大阪市1年分の予算規模にも到達しなさそうだし.

公共施設類の二重投資を解消,という話なんだろうが,ハコモノにしろ,上下水道にしろ,事業組合作って府市で統合するだけで二重化は解消できるので,府や市の本体を統合する必然性のある部分て,どのへんなんだろう.市を小分割するので逆にコストアップでは無いかという意見もあるようだが,いかに?

Q&A読んでも,現状でどこに構造的な無駄が存在するのか,わからんのだが,具体的にどこそこにウン億円の無駄があって,府市統合でそれをどういう形態に変化させることが出来て,その結果,いくらの統合効果が出て,それを積み上げるといくらになって,というわかりやすいリストでも作ってくれんかのう.いくつかの例は別資料に書かれているようだが,積み上げると毎年3千億円以上にもなるの? 今のところ”効果はありまーす”と書いているだけに見えてるんだが.そもそも,この説明サイトは府や市の公式見解なのかな?

やっぱり700ページの資料読まんとわからんのやろうか.府民(≠市民)には,どんなメリットがあるんかな.それから府民(≠市民)の住民投票はどうなったのかしら?

こういう後ろ向きの発言してい…ry) おや,夜中なのに誰かやってきたよぅd・・・

#このサイトが比較的わかりやすそうだが,このサイトの解説見ると,少なくとも1100億円あまりは「区」ではなく「府」に渡るように見える.じゃぁ,やっぱり皮算用してもええんか?

時計仕掛けの幹線鉄道

スイスに行くと,スイス連邦鉄道の列車にこういうのが走っている.

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機関車の番号が「2000」になっているが,製造番号が2000番なわけではないし,型式番号が「2000」なわけでもない.「Bahn-2000計画(Rail 2000計画)」事業に合わせて導入された新規車両なので,プロジェクト名として「2000」が書かれている.後ろに繋がれている車両も同じ計画に合わせて導入されたものである.

Bahn-2000は,(1)主要都市間を30分の整数倍よりもちょっと短い時間で結ぶ,(2)主要都市の駅の出発時刻は原則として毎0分もしくは30分,ということを目指して幹線鉄道の改良をする計画で1987年に計画が開始され,2007年頃に概ね完了.

そういうわけで,スイスの大きな駅に行くと,毎0分もしくは30分のちょっと前になると続々と各方面から列車が集まってきて,毎0分もしくは30分を過ぎると三々五々各方面に列車が散って行く.つまり,毎0分もしくは30分には,駅のホーム上には各方面からの列車が勢揃いしており,全方向相互間の乗換が出来る,というシステムだ.

日本は新幹線を作って走らせて,それに合わせて他を考えるというシステムだが,スイスは発想が逆で乗換がうまくいくようにするには最低限,どの程度の改良をすればいいかという視点で整備がされている.

なので,スイスには日本の新幹線相当の高速新線がほとんど無い.Oltenの南側に少しと,あとはアルプスの長大トンネルの中くらいなものである.

なお,上の写真の列車に関するWikipediaの説明項目には「「バーン2000計画」の要となる200km/h列車用として」と書かれているが,車両としては200km/hで走れると思うものの(実際,Olten付近の短い高速新線では走っている),Bhan-2000は200km/h運転導入が主目的の幹線鉄道計画ではないので,この記述はあまり正確ではない.(学生の皆さん,Wikipediaの使い方には注意しましょう.)

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駅の出発時刻の掲示,よく見ると,ほとんど同じ時間に続々と出発している.まるで歯車のように一定間隔で列車が都市間を行ったり来たり.時計の国スイスならではのシステム.このシステムが導入できるのは,列車を時間に正確に走らせることが出来る国だけ.

幹線鉄道計画のPDCAはまわっているか?

授業期間が終わると学生が部屋に訪ねてくる機会もめっきり減るので,この時期になると「BGM」をかけながら仕事をすることが多い.

音楽を聴くと…唄が頭の中をぐるぐる回って仕事にならない.ラジオもおしゃべりは同じようなもので,話に気をとられて仕事にならない.歌詞のない音楽は,まぁ許容範囲か.ピアノ曲あたりが無難.

そして最近発見した仕事に最適な「BGM」はこれだ.

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php

名付けて,「Back Ground Meeting=BGM」

内容は下手なニュース番組よりもよっぽど中味がある(当たり前か).時々新幹線ネタや国土整備ネタも出てくるぞ.変な「マスコミフィルター」がかかってないので,お勧め.難点は長いこと.会期中は毎日7時間とか.並行して委員会が開かれていることも多いので,延べ時間はものすごいぞ.衆参でダブルだ.

さて,最近この国会中継でよく聞くようになったキーワードがある.それは「PDCA」.JABEEだけでなく,ついに国会でもPDCAを聞くことになったとは,時代も進んだものである.

Plan→Do→Check→Action→Plan→…

計画立ててみて,やってみて,うまくいったかどうだか検討して,内容修正して,またやってみて,の繰り返し.

ところで,標題の幹線鉄道計画だが,1970年代に法律つくって,73年に具体的な計画立てて,…いまだに73年に閣議決定されたから云々ということが論拠になって話が続くことが多いが,冷静になって考えてみよう.

おかしいだろ.

1872年に鉄道が初めて走って,最初の鉄道政策である鉄道敷設法までが20年.
1892年に鉄道敷設法ができて,建主改従,改主建従の議論があって改正されるまでが30年.
1922年に改正鉄道敷設法できて,太平洋戦争開戦から「もはや戦後ではない」までの15年を除いて,初の新幹線政策ができるまでが33年.
1970年の全国新幹線鉄道整備法ができて,今年で45年目

おかしいだろ.

日本の幹線鉄道計画のPDCAはまわっているか?その答えは…?

#サボってる?>担当部署殿