写真はドイツのカッセル市郊外のLRT停留所である。見ての通り、やたらとレールが多い。ロンドンの地下鉄とは異なり、走行用の電力は屋根上の電線から集電するので、そういう理由ではない。
6本あるレールを左からA,B,C,D,E,Fとすると、A-D、B-E、C-Fがそれぞれ組になっており、いずれも車両の走行用である。A-Dの組は写真左側のプラットホームに発着する電車用、C-Fの組は写真右側のホーム発着用で、進行方向別にホームが別になっている。じゃぁB-Eはというと、通過する貨物列車用である。
もともとここは貨物線であり、LRTは貨物線を間借りしての運行であったそうだ。ところが、貨物線にホームを直接設けてしまうと、LRT車輌の方が貨車よりも小さいために、ホームで待っている人が貨車に接触してしまう可能性が出てきた。そこで停留所部分だけホームを中心から遠ざけ、LRTを遠ざけたホームに近づけるためにこんな複雑な線路になったということのようである。ホームへの進入部分の分岐器がまた独特である。日本では、なかなかこうやってまで実現させようという熱意がないが、インフラ活用術は見習うべきところが多い。