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LYONの軌道への自動車進入防止装置

フランスLyonにあるLRTも通る橋には,軌道への自動車進入防止装置が付いている.(Perrache駅の東側)
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こういう装置で,表面の舗装が無いだけでなく,タイヤがクルクルと回転して前に進まないようにローラーが付いているのが特徴である.これだと,下手に侵入を試みるとエライことになるのが見えているので,誰も入ってこないだろう.
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おまけ.瀬戸大橋にもあったレールの伸縮装置だが,この橋にも付いていた.
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完成したのに未使用の超高級インフラ

普通なら,会計検査院がすっ飛んできて大目玉ということになりそうな話のはずだが,完成したのに使っていない超高級インフラが存在する.
それが,これ.
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そう,瀬戸大橋.えっ,もう二十数年前には使われはじめてるってか? よーく見てみよう.
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わからない? じゃぁ,これは?
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線路の左側(外側)の空間が妙に広い.おまけに台座のようなものも見える.つまり,「新幹線用地」(というか新幹線用空間).せっかく確保した新幹線用の空間である.使わないのはもったいない.16両フル編成がすれ違えるだけの荷重設計がなされており,その分,橋自体もゴツくなっている.なのに,使われていない.
何がもったいないかって言うと,せっかくつくったのに,使われずに放置されているインフラほどもったいないものは無い.
意味が分からない人は,明日,かーちゃんが作った食事に手を付けずに捨てたり,他のものを食べたりして見ろよ.身にしみて分かるぞぉ.
IMG_0614おまけ.上の写真は珍しいレールの継ぎ目である.橋の伸縮に合わせて,レールも伸縮する仕掛けである.ここ以外では,広電の「天満橋」で見たっけな.
#まだ旅立ってないので,これは「自動投稿」ではありません.

フランスに半月ほど行ってくるんだが・・・

・・・ほぼ完全ひとり旅なので,みんなが思っているほど「おフランス旅行」らしくない調査旅行になりそう.
主目的はフランスのLRT導入都市でのトランジットモールの様子を見る&データを取ることなので,観光地とはほとんど無縁である.
ということで,気になる話題があれば現地レポート予定だが,フランスとは関係の無い話題がここに投稿された場合には,1)大した話題がない,2)ネット接続環境が厳しくて投稿できない,3)疲れて寝てしまった,のいずれかである.本人が寝てしまっても予定稿が自動投稿されるように設定してから出発することにしている.
雨のトランジットモールは行ってもあまり意味が無いので,天候次第で変更の可能性があるが,訪問都市は以下の予定である.
リヨン, クレルモンフェラン, サンティティエンヌ, ディジョン, ブザンソン, ナンシー, カーン, トゥール, アンジェ, オルレアン, ヴァレンシエンヌ, ドゥア, ランス, パリ

レールだらけ(モントリオールの地下鉄編)

パリ市の地下鉄も同じシステムなのだが,フランスの「離れ」であるカナダのケベック州モントリオールの変な地下鉄のお話し.
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クルマ社会のカナダであるが,トロントと並んで,モントリオールも都市公共交通が機能している.今回のお話しは,そのうちの地下鉄.いわゆるゴムタイヤ式であり,加減速はなかなかのものである.乗り心地はバスに近い感じもするがゆらゆらとしており,好みの分かれる乗り心地である.
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この地下鉄のゴムタイヤは主に加減速用のようであり走行路にはゴムタイヤの踏みしめる平面が存在する.それとは別に,荷重を支えたり進行方向を案内するのは従来式の左右二本のレールになっているようで,この2本のレールも存在する.さらに,電力供給用のレールもあり,結果として,その走行路はこんな感じになる.結構複雑な線路である.
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HOV (= HIGH OCCUPANCY VEHICLE)

日本には残念ながら存在しないのだが,HOV (= High Occupancy Vehicle)レーンというものが高速道路などに設置されていることがある.写真は米国カリフォルニア州.
自動車はほとんどが1人しか乗車していないので,これが道路を走ると著しく輸送効率が下がる.そこで,バスなどの乗合形式の自動車や自家用車でも複数名乗車のクルマを優先的に通す車線を設置して,1人乗りよりも渋滞に遭いにくくしてやろうとするものである.
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この道路では,中央が郊外電車,もっとも左側の車線(内側の車線)がHOVレーン,その他は一般レーンである.
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所々で一般レーンから出入りできるほかは,車線変更禁止.ジャンクションなどではもっとも内側の車線だと不利なので,専用のランプもある.

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こっそり1人乗り車が走った場合は,罰金が取られる仕組みになっている.結構高額の罰金である.片側2車線ではなかなかやりにくいかもしれないが,日本でも3車線以上あるなら検討してもいいシステムかもしれない.

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AMBASSADOR BRIDGEと川底トンネル

大陸には陸続きの国境があるが,カナダと米国の国境には川が流れていたりする.そこには橋が架かっていて,料金所のような国境ゲートをドライブスルー.実は橋も結構有名で,土木系の学科の授業の橋の授業では時折,名前が出てきたりする.
AnnArbor11-056AnnArbor11-066AnnArbor11-072AnnArbor11-117じゃぁ,鉄道はというと,意外と知られていないが,海底ならぬ川底トンネルが掘られていたりする.
カナダ側のトンネルの入り口と・・・

米国側の入り口

途中のトンネルのイメージは,こんな感じ(この図自体は上の川底トンネルよりももう少し北方のトンネル計画の完成予想図).旅客列車のAmtrakもここを通る.

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軌間可変電車(FGT)の台車のお話し

GCT (= Gauge Changeable Train)というか,FGT (Free Gauge Train) というか,新幹線の広めの軌道と在来線の狭めの軌道を直通運転できる電車の開発が始まって,かなり経過した.
乗ったことはないのだが,実物の初代試験車両はある鉄道車両製造工場で見かけたことがある.写真は…許可が下りなかったので,無い.最新型の試験車両についても,台車だけは別の鉄道車両製造工場で見かけたが,やはり写真は…許可が下りなかったので,無い.
さて,この軌間可変電車であるが,スペインでは営業用車両として走っているにもかかわらず,日本ではなかなか営業車として登場しないのは,1つにはスペインの場合は広軌(1668mm)と標準軌(1435mm)であるのに対し,日本の場合は標準軌(1435mm)と狭軌(1067mm)であり,サイズが小さくて実現しにくいことと,もう一つは日本の軌道,特に在来線の軌道があまり重い電車が高速運転することに耐えられないからであるようだ.
試験車が試運転した路線では,日々の軌道の保守が面倒で・・・という話はネットの噂話かと思っていたら,かなり信頼できる筋からも同じ話を聞いたので,やはり本当のようである.(逆に,重量級高速貨物列車が多数走っている路線なら,さほど問題ないということか?)
ところで,台車が重いとか軽いとかいうお話しでは,最近,こんな製品が開発されつつあるようだ.
まだ営業車を使っての試験段階のようだが,熊本電鉄の電車が履いている川崎重工性のefWINGという台車は炭素繊維強化プラスチック製で,軽いらしい.素人の浅はかな考えでは,この軽い素材と構造が,例の重くて困っている台車に応用されるようになれば,「日々の軌道の保守が面倒で」という軌間可変電車の欠点が克服されるのかなぁと.
新幹線で製品化するには大変かもしれないので,まずは都市鉄道の軌間可変台車にして,近鉄の京都駅から吉野行きとか,阪急電車を関空まで乗り入れるとかやってみるといいかも.

武豊線電化工事中(ぱっと見,ほとんど終了)

武豊(たけとよ)線は,東海道線の愛知県下の大府駅から分岐し,知多半島の武豊までの20km弱の路線.中部国際空港開港時にはアクセス線にしようかという話もあったが,延伸が必要だったため,お流れ.
上に「大府駅から分岐し」と書いたが,これは正確な表現では無い.実は名古屋近辺の東海道本線を建設する際,知多半島に資材を陸揚げして武豊線で運搬したので,東海道本線よりも先に建設されたという歴史のある路線である.したがって,「大府駅から分岐し」たのではなくて,武豊から北に延びる線路の途中にあった大府駅に東から来た路線が接続されたといった方が実態に近い.
さて,大府駅停車中の列車であるが,左右どちらが武豊線だろうか?
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正解は,右が電車で左が汽車である.つまり,左が武豊線の列車.どう見ても両者の区別が付かない.近年沿線の住宅等の開発が進み,名古屋までの直通客が増えたので都市近郊線として電化することになった模様.
電化開業は2015年春らしいが,すでに大府駅を出ると架線が張られている.
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信号機にも電車の電力用の電流と信号機用の電流を分けて通すための装置が付けられている.(でも,自動信号化はしないように見える)
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全線30分あまりなので,15分毎に列車交換する.
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架線は上側に電力供給を兼ねた太い線,下がパンタグラフと擦れ合う細い線.最近,首都圏や近畿圏で時折見かけるようになったタイプである.
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変電所も設置されており,架線と結線されている.もうすぐ試運転始まるかな?
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しおかぜ9号松山行き,本日の最終便です(えっ!?)

これを書いているのは9日土曜日.手元にあるのは,岡山駅12:35発のしおかぜ11号の切符.台風接近中.
岡山で乗り継ぐべく,山陽新幹線乗車中に不安になってJR四国のサイトを見ると・・・朝の段階では「12:35発のしおかぜ11号まで運転」とあったのが知らぬ間に「11:34発のしおかぜ9号まで運転」に変わっているではないか.えっ,台風で運休?
今なら間に合う,予定よりも早めののぞみ号に乗れば,岡山駅で4分乗換.隣の親子も4分乗換とか言っている.
そして,・・・何とか間に合った.ただいま,しおかぜ9号松山行き,本日の最終便の中.席が無いので「乗務員室」と書かれたデッキのイスを確保.
紫雲丸事故などをきっかけに瀬戸大橋が本州と四国の間に架けられ,昔に比べれば「海外」感は少なくなったが,こういった異常時には「海外」を実感させられる.橋よりはトンネルの方が(景色はイマイチだが)輸送の安定度は大きいと感じた日であった.
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プレメトロ(どう見ても”ペイ”はしないけど)

日本では地平面を走るLRTの整備ですら「採算ガー」とかいう話になりがちでさっぱり話が進まないが,海外に行くと「採算ガー」と言うような視点では絶対に「ペイ」しないような交通システムが存在していたりする.
学生によくするどんぶり勘定である.
延長5kmのLRT路線を整備したとしよう.30億円/kmの整備費用がかかったとして30×5=150億円.この線路上をLRTが走る.(実際には難しいかもしれないが)金利が3%ほどで建設費を30年で返済したとしよう.そうすると総支払額は2倍あまりの350億円ほどとして,年間の支払いは,350億円÷30年=11.6億円/年.1日あたりにすると,11.6億円÷365日=320万円.朝6時から夜11までの17時間走ったとしよう.そうすると,18.8万円/時間.片道あたりだとその半分で9.4万円/時間/片道.5分毎に走ったとして,毎時12本なので,9.4万円÷12=7800円/列車.1人あたり200円払ったとして7800円÷200円/人=39人.朝から晩まで5分毎にやってくる電車は全て約40人乗っている・・・・全て運賃で賄うって厳しいねぇ.まだ電気代も,人件費も払ってないよぉ.
さて,ベルギーのアントワープ駅の地下にはLRTの発着場があり,地下鉄風だが走ってくるのはLRT用の小さな電車である.プレメトロという.
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和蘭のアムステルダムでも地下鉄かと思いきや,LRT風電車が2編成併結でやってきたりする.
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こういった地下線は,地平に線路を敷くよりも建設費がかなり高く,キロあたり100〜200億円くらいはする.そうすると,上に書いた計算式の数字はそれぞれ5倍くらいになり,おおよそLRT用の電車では運びきれない数字になってしまう.
つまり,こういう地下を走るLRTというのは,日本の「採算ガー」とかいう風土では絶対にあり得ない交通機関なのである.でも,ベルギーやオランダには存在するし,クルマ社会の米国サンフランシスコにもあったと思う.交通機関単体では「採算ガー」採れませんが,都市全体としてはこうした方が適切であるとの判断で導入されている交通機関であるとも言える.
日本の「採算ガー」・・・何とかなりませんかね.それにこだわって失ってるものがいろいろありそうです.