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軌道回路と接触限界(東急田園都市線事故)

東急田園都市線で回送列車と営業列車が接触事故を起こした件.

下のYoutube動画の開始早々(1秒),下側の回送電車の最後尾運転席の直下に分岐器があり,その分岐器の前方すぐのところのレールに白色の継目板が左右ともにあてがわれているのが見える.

この白色は,おそらく営業列車の走る本線側の軌道回路と回送電車の走る側線の軌道回路を分離するための絶縁だろう.

ということは,軌道回路という「列車の在線センサー」的には回送列車は営業線から離脱したという検知をしており,営業列車側に「進行」現示のGOサインを出した原因.

 

一方,ちょっと見にくいが,下の航空写真の中央の「東急田園都市線」の「急」の字の下に白い点が見える.これが接触限界(車両接触限界標).上のビデオだと,回送電車の右から2枚目のドア付近.ここよりも合流する分岐器側(右側)だと電車同士がぶつかるという位置.

回送電車の運転席はこの白い点よりも右側に出ており,分岐器の真上にある.つまりぶつかる位置で停車してしまった.


要するにまとめると,「センサー」は本線にはないと判断していたけれど,実際には本線の走行を支障する位置に回送電車が止まってしまったということ.

事故調査委員会がなかなか「営業再開!」と言ってくれないのは,このシステム的なバグ(軌道回路の境目と実際の接触限界のズレ)が解消されない限り,事故が再度起こる可能性があるから,ではなかろうか.

(…がしかし,こんな箇所は全国各地にアチコチありそうなのが悩ましいところ)

なお,「見習い運転士ガー」とか騒いでいるマスコミは,お門違いの可能性大なので無視しましょう.調査能力が無い可能性大.

予想だが,「バグが解消されるまで,回送電車の入っていった引き上げ線の使用は停止」という条件で復旧が認められ,さらに全国の鉄道会社に「同様のバグがないかどうか調査せよ」というお達しが出るのでは.

(復旧した模様)