鉄道で国づくり」カテゴリーアーカイブ

国土強靱化-幹線鉄道網でありそうな事態

リニア新幹線が整備される理由は,東海道新幹線だけに頼っていると南海トラフの地震で東西間交通が途絶すると困るから,ということになっている.資金の制約から,とりあえず2027年までに東京-名古屋間を開業,というのは今やよく知られているお話し.
一方,その先の大阪までについては,これまた資金の問題から2045年開業予定ということになっている.
ところで,「2020年,東京オリンピックばんざーい」によってすっかり影の薄くなった南海トラフ地震であるが,その発生確率は30年内に70%だとか80%だとか言われている.オリンピック開催が決まったからと言って,発生を数年待ってくれる,なんてことはあり得ない.そういえば,2011年の東北の地震が発生するまでは,次の南海・東南海地震は2035年頃,とか良くいわれてなかったっけ?
実際の発生時期は神のみぞ知る世界であるが,もっとも危惧される事態は,ほんとに2035年頃に南海トラフ大地震が起こってしまうことである.つまり,リニアが名古屋暫定開業状態で,北陸新幹線も大阪まで達していない状態である.
リニア自体はこれから建設される構造物なので,対災害については細心の注意を以て設計され建設されるが,問題なのは東海道新幹線である.補修工事が既に現時点で開始されているとは言え,静岡県下の震度7地帯,愛知県下の震度6地帯を長距離にわたって通過するので,東からリニアで名古屋まで到達できても,その先の西に行くすべがない,という事態が生じうる.
北陸新幹線も中途半端な位置で建設が止まっていたとすると,東西間移動に北陸新幹線と在来線を乗り継がなければならなくなったりで,不便この上ない.
さらに関西とってもっと悲劇なのは,この事態でリニアの西進が大幅に遅れる可能性がある.大地震が発生して東海道新幹線が途絶した場合,誰が復旧させるかというと・・・もしかしたら鉄道会社は「国の災害復旧費用で」と考えているかもしれないが,最大200兆円の被害である.国は各種の復旧工事と支援でカネが無くなるであろう.そうすると「余力があるなら新幹線の復旧は鉄道会社の自力で・・・」という話になりかねない.その東海道新幹線の復旧費用の財源はというと,元々はリニアの関西延伸に使うはずだった資金を転用ということになるだろう.
かくして,2045年リニア全線開通は大幅延期,というシナリオが発生しないでも無い.北陸新幹線を早期全通させるか,リニアを早期全通させるかしない限り,ありそうな事態だと思うのは私だけだろうか.最悪の事態は最悪のタイミングでやってくる・・・かも.

完成したのに未使用の超高級インフラ

普通なら,会計検査院がすっ飛んできて大目玉ということになりそうな話のはずだが,完成したのに使っていない超高級インフラが存在する.
それが,これ.
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そう,瀬戸大橋.えっ,もう二十数年前には使われはじめてるってか? よーく見てみよう.
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わからない? じゃぁ,これは?
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線路の左側(外側)の空間が妙に広い.おまけに台座のようなものも見える.つまり,「新幹線用地」(というか新幹線用空間).せっかく確保した新幹線用の空間である.使わないのはもったいない.16両フル編成がすれ違えるだけの荷重設計がなされており,その分,橋自体もゴツくなっている.なのに,使われていない.
何がもったいないかって言うと,せっかくつくったのに,使われずに放置されているインフラほどもったいないものは無い.
意味が分からない人は,明日,かーちゃんが作った食事に手を付けずに捨てたり,他のものを食べたりして見ろよ.身にしみて分かるぞぉ.
IMG_0614おまけ.上の写真は珍しいレールの継ぎ目である.橋の伸縮に合わせて,レールも伸縮する仕掛けである.ここ以外では,広電の「天満橋」で見たっけな.
#まだ旅立ってないので,これは「自動投稿」ではありません.

フランスに半月ほど行ってくるんだが・・・

・・・ほぼ完全ひとり旅なので,みんなが思っているほど「おフランス旅行」らしくない調査旅行になりそう.
主目的はフランスのLRT導入都市でのトランジットモールの様子を見る&データを取ることなので,観光地とはほとんど無縁である.
ということで,気になる話題があれば現地レポート予定だが,フランスとは関係の無い話題がここに投稿された場合には,1)大した話題がない,2)ネット接続環境が厳しくて投稿できない,3)疲れて寝てしまった,のいずれかである.本人が寝てしまっても予定稿が自動投稿されるように設定してから出発することにしている.
雨のトランジットモールは行ってもあまり意味が無いので,天候次第で変更の可能性があるが,訪問都市は以下の予定である.
リヨン, クレルモンフェラン, サンティティエンヌ, ディジョン, ブザンソン, ナンシー, カーン, トゥール, アンジェ, オルレアン, ヴァレンシエンヌ, ドゥア, ランス, パリ

レールだらけ(モントリオールの地下鉄編)

パリ市の地下鉄も同じシステムなのだが,フランスの「離れ」であるカナダのケベック州モントリオールの変な地下鉄のお話し.
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クルマ社会のカナダであるが,トロントと並んで,モントリオールも都市公共交通が機能している.今回のお話しは,そのうちの地下鉄.いわゆるゴムタイヤ式であり,加減速はなかなかのものである.乗り心地はバスに近い感じもするがゆらゆらとしており,好みの分かれる乗り心地である.
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この地下鉄のゴムタイヤは主に加減速用のようであり走行路にはゴムタイヤの踏みしめる平面が存在する.それとは別に,荷重を支えたり進行方向を案内するのは従来式の左右二本のレールになっているようで,この2本のレールも存在する.さらに,電力供給用のレールもあり,結果として,その走行路はこんな感じになる.結構複雑な線路である.
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WEST COAST EXPRESS

Go Trainのような都市圏通勤輸送サービスは北米では割とよく見かけることがあり,カナダの西海岸バンクーバーにもWest Coast Expressというサービスがある.
使われている車両の仕組みもサービス内容もほぼ同じで,2階建て制御付き客車+片側の機関車で運行され,朝夕それぞれ通勤客の便利な方向の一方通行である.それ以外の時間帯はバスなどの都市交通が代替交通になっている.
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HOV (= HIGH OCCUPANCY VEHICLE)

日本には残念ながら存在しないのだが,HOV (= High Occupancy Vehicle)レーンというものが高速道路などに設置されていることがある.写真は米国カリフォルニア州.
自動車はほとんどが1人しか乗車していないので,これが道路を走ると著しく輸送効率が下がる.そこで,バスなどの乗合形式の自動車や自家用車でも複数名乗車のクルマを優先的に通す車線を設置して,1人乗りよりも渋滞に遭いにくくしてやろうとするものである.
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この道路では,中央が郊外電車,もっとも左側の車線(内側の車線)がHOVレーン,その他は一般レーンである.
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所々で一般レーンから出入りできるほかは,車線変更禁止.ジャンクションなどではもっとも内側の車線だと不利なので,専用のランプもある.

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こっそり1人乗り車が走った場合は,罰金が取られる仕組みになっている.結構高額の罰金である.片側2車線ではなかなかやりにくいかもしれないが,日本でも3車線以上あるなら検討してもいいシステムかもしれない.

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鉄道後進国ニッポン(長距離列車の「車内食」)

北米にせよ,欧州にせよ,長距離列車に供食サービスはつきものである.この点では日本の新幹線はTGVやICEほか数々の長距離列車に負けている.駅弁があるって・・・? やはり弁当と温かいちゃんとした食事は違う.コンビニ弁当があれば街の定食屋は絶滅かというとそうでは無い.
例えば,北米西海岸の長距離列車.シアトル→バンクーバーのAmtrak.
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ちゃんと食堂車が付いている.
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食堂車の内部.
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出てくる食事自体は,豪華,というわけではないが,航空便の機内食と同程度かそれ以上のものは出てくる.Amtrak0326-046
乗降の激しい新幹線では難しいという意見があるかもしれないが,この手のサービスはちょこちょこと停まるドイツのICEでもある.(しかも,1等なら座席まで持ってきてくれる)

AMBASSADOR BRIDGEと川底トンネル

大陸には陸続きの国境があるが,カナダと米国の国境には川が流れていたりする.そこには橋が架かっていて,料金所のような国境ゲートをドライブスルー.実は橋も結構有名で,土木系の学科の授業の橋の授業では時折,名前が出てきたりする.
AnnArbor11-056AnnArbor11-066AnnArbor11-072AnnArbor11-117じゃぁ,鉄道はというと,意外と知られていないが,海底ならぬ川底トンネルが掘られていたりする.
カナダ側のトンネルの入り口と・・・

米国側の入り口

途中のトンネルのイメージは,こんな感じ(この図自体は上の川底トンネルよりももう少し北方のトンネル計画の完成予想図).旅客列車のAmtrakもここを通る.

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EUROSTAR(今はなきWATERLOO INTERNATIONAL駅)

かつては英国と欧州大陸を結ぶ特急列車はWaterloo International駅から出発していた.
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この駅から海峡トンネルの入り口までは,第三軌条式の在来線をゴトゴトと走るので,超絶遅く,車内にまわってきたアンケートに「遅すぎ〜」と書いた記憶がある.
Waterloo International駅で「出国手続」をして列車に乗って,ベルギーなりフランスなりに行くと,降車駅で再び「入国手続」があって,汽車のマーク入りの日付スタンプを押してくれた.
今は,「遅すぎ〜」の在来線ではなくて300km/h運転対応の高速新線が英国内でも開通し,St.Pancras駅発着になっている,出入国も英国で出発する段階で「出入国手続」を1度するだけである.
このタイプの電車も間もなく置き換えが始まり,いずれはドイツのICEタイプの電車になるようである.
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バス・トランジットモール

ここは,カナダのバンクーバー.バスのトランジットモールがあるが,何故か,LRTのトランジットモールとは何となく様子が違う.
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何故か,横断歩行者が非常に少ない.時間帯の問題か?
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バス用のトランジットモールということを知らなければ,単に交通量の少ない道にしか見えない.
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