インフラ整備の際,こっそりと準備工事なるものがされていることは多い.些細な仕様変更さえしておけば,後々関連施設が拡張される際に出戻り工事が不要になっている,という類である.評論家が好きなネタだね.針の穴ほどの話を膨らませて本を書いたりするやつ.
例えば有名どころでは新大阪駅の在来線ホームや地下鉄御堂筋線ホームには新幹線ホームを増設する際の橋脚が準備されていたり,上越新幹線の長岡駅には羽越新幹線用のホーム空間があったりとか,そんな感じである.
そこまでたいそうでなくても,地味な準備工事はあちこちで見かける.例えば,この道路が線路を越える陸橋.単線なら線路を通す穴はもう少し小さくても良さそうなものだが,線路をどちらかに寄せれば複線が通せそうなだけの大きさにしてあるように見える.
どうせ陸橋を作るなら,線路を越える部分の橋の長さが3〜4m伸びたところで,大して工事費は変わらない,ということだろう.
ところが,準備工事実施時には想定していなかった事態が起こると対応させるのに苦慮することもある.上の写真の陸橋に近づくと…
線路の上空の架線がちょっと変である.陸橋の下をくぐる部分だけ上空の電線が3本になっている.電線を通すには高さが足りないようで,ぎりぎりまで電線を低くしている.
電線を低くすると,電車側のパンタグラフの電線を押し上げる力が強くなる(基本的にはバネなので)ので,その力強くなってしまったパンタグラフに「対抗」するために電線側を3本にしてあるわけだ.
つまり,陸橋の下の空間は,複線化は想定していたものの,電化はあんまり考えていなかった,ということだろうか.
将来を見越してインフラ整備をする,っって,言うのは簡単だけど結構難しいね.