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今は無きOTSの電車

大阪港トランスポートシステム,略称OTSという鉄道があった.線路そのものは今もあるが,鉄道事業としてはOTSは事業を終えており,今は大阪市営地下鉄の一部である.
大阪南港の港湾部分の鉄道・・・大阪市営地下鉄中央線の終点だった大阪港から先,コスモスクエアまでの実質的に地下鉄の延伸部分と,コスモスクエアから中ふ頭までの実質的にニュートラムの延伸部分とがOTSの営業であった.地下鉄やニュートラムに乗ると,あともうちよっと,というところで運賃が跳ね上がり,評判の芳しくない鉄道事業者であった.
建設費を運賃で償還,という明確な枠組みの下に「受益者負担」システムを作ったのだろうが,それは役所の都合で,客の利便は考えてなかった.地下鉄延伸部分・ニュートラム延伸部分はともに1997年に開業し,10年せずして市営に移管.今も線路そのものはOTSの持ち物であるが,めでたく通し運賃で乗れるようになった.
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ユーザーのことを考えていなかったので消えた鉄道のお話し.まぁ,廃線になったわけではないけど.

ニュートラム

大阪にニュートラムという乗り物がある.「New Tram」つまり,路面電車のことを指すことが多い「Tram」の新バージョンという意味である.もし,「New Tram」という乗り物が無かったら,LRTと呼ばれている新世代型路面電車のことを「New Tram」といってもよかったのではないかという意見もある.
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さて,出発進行.基本的にゴムタイヤ式の乗りものなので,進路は車輪が自動的にレールをなぞるのではなくて別の案内装置によって決められる.ここは側方案内なので,曲がりたい方向側の側壁をたどってステアリングによって曲がる.
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乗り物としては,バス以上,電車未満の「中量輸送」の乗り物である.もうちょっとスピード出せないかなぁ(事故があったので,無理かな).
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途中,道路と一体化された構造物の部分がある.モノレール同様に,道路の一部として扱われており,整備費用も道路財源が投入されている.別の場所では港湾施設の一部だということで,港湾財源が投入されている.これを整備することで,道路渋滞が緩和されたり,港湾振興が図られるので費用投入が認められているわけである.
都市間交通でも,都市間道路の渋滞緩和や地域振興が認められるのなら,道路財源が投入されたり地域振興費用の一部がもっと認められても良さそうなものだが,今のところシブい財源であることが多い.整備新幹線の公設民営はマシな方である.
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港湾付近のATC附近を過ぎ・・・
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地下鉄中央線との接続駅であるコスモスクエア付近は地下化されている.
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終点.
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地下鉄から郊外線そして路面軌道へ

京都市営地下鉄東西線.ホームドア付きの最新型である.1997年開業なので,もう17年になる.昔は路面電車の京阪京津線で,沿線に住んでいたことアリ.そのうちに地下鉄になることを期待していたが,転職したので地下鉄化を見届けることも無く転居.
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京津線の発展的解消になっているので,御陵駅から西側には京津線の電車が乗り入れている.ただし,昔の電車そのままでは無理なので,新しい電車を付くって乗り入れている.地下鉄なので,京都の都心は地下鉄として走る.
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山科方面に走ると、御陵駅を過ぎたところで地上へ.地下鉄→郊外鉄道.
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ミニ郊外鉄道線として昔からの線路ほぼそのままの路線を走る.車両も小ぶりで,やや大きめのLRTサイズ.駅のホームはそれぞれ延伸されている.
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山科駅を過ぎて,大津市内に入ると,結構な上り坂である.たしかこの辺は,もと東海道本線の跡地利用だったっけ? 逢坂山トンネルの西側ポータルは名神高速に転用されたんだっけ.郊外鉄道→山岳鉄道?
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そして峠を越えて大津市街に入ると路面軌道走行.山岳鉄道→路面軌道.
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そして,交差点を曲がって終点の浜大津駅到着.
DSCN9689地下鉄→郊外鉄道→山岳鉄道→路面軌道.走行形態だけならLRT.
あとは,相応の交通政策が組みあわされればいいんだが.

自動列車停止装置のご先祖

列車を安全に運行するには,保安装置が不可欠である.保安装置が高度で信頼性が高ければ時速300キロで走っても安全だが,保安装置がいい加減だともっと遅くても危なくてしょうがない.
列車は一定区間毎に信号機で管理されるのが基本だが,特には間違いで赤信号を無視して先に進んでしまって事故を起こす.事故を起こさないためには,保安装置で自動的に列車を停止させることになる.
最近はデジタル式だとか,速度のパターンを発生させて,とか,いろいろあるが,昔はもっと原始的であり,赤信号を無視して進んでしまうと,機械的にブレーキの非常弁を操作して非常ブレーキを掛けてしまうというものであった.バイクのキルスイッチみたいなものである.
下の写真は打子式という保安装置で,赤信号でなければ下の写真のようになっており・・・
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赤信号だと、次の写真のように白いレバーが立ち上がる.ここに列車がやってくると車輪付近にある非常弁が引っかかり,急ブレーキがかかるという至ってシンプルな装置.
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残念ながら現存するものは国内にはもうなかったと思うが,かつては名古屋市営東山線や営団丸ノ内線などにあった.保安装置の始祖鳥のような存在.これが発展して新幹線の自動列車制御装置などに発展した.
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PARK & RIDE (SKY TRAIN編)

バンクーバーのスカイトレインのお話し.
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川にスカイトレインの橋が架かっているが,その郊外側の河岸にある駅では・・・
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パークアンドライドが行われている.
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橋は渋滞しやすいので,ここに車を駐めて,あとはスカイトレインでね,ということである.都市交通政策と連動した駅であるが,2本の電車の駅には,ここまで割り切った,単目的型の駅はなかなか無い.
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パークアンドライド専用駅,日本にもあっていいと思うのだが.
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SKY TRAIN

Sky Trainという乗り物がある.
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運転席がない.つまり,自動運転である.
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本の自動運転新交通はゴムタイヤ式であるが,この乗り物は鉄輪式リニアである.
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鉄輪式リニアというと,こういうミニ地下鉄と同じくどう方式である.
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特徴は,かなりの急勾配を登坂する能力がある.
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もちろん,地下を走ってもいい.
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よく見ると,ホームドアもない.大阪の本のミニ地下鉄も自動化できる可能性がある,ということか?

ミニ地下鉄

ミニ地下鉄という地下鉄がある.交通システムの教科書では,中量輸送機関に分類されている小型地下鉄である.
地下鉄は地下を掘るため工事費がかさむが,同じ掘るなら掘る用が少ないほど工事費が安くなる.少しでもトンネルのサイズを小さくするために,通常型の地下鉄でも,屋根上の集電装置ではなくて第三軌条という三本目のレールを使って集電している.
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電車だけれども屋根上スッキリ.
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さらにトンネルを小さくするために,電車そのものを小さくし,床下の車輪も小さくするために通常のモーターでは無くて平べったいリニアモーターを使っている路線も多くなってきている.ホームの高さが低い.
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もちろんトンネル径も小さいのだが,ミニ地下鉄が建設されるのは通常型の地下鉄よりも深いところであり,割安ではあるものの,建設費の絶対額は余りやすくはなっていないのが悲しいところ.
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このミニ地下鉄はレール間のリアクションプレートが必要だが,レールは通常のレールなので,工夫すれば通常型の地下鉄路線への乗り入れもできるんじゃないかなとも思う.ホームの高さが通常のものとは違うので,ホームに段差をつけないといけないが,大阪市営地下鉄千日前線のように半分くらいホームが遊んでいる路線ならホームの前後で高さを変えればいいかも.集電装置が必要だが,通常型地下鉄と同じく,台車に付けてしまえば何とかなるかな.
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今里筋線を千日前線に入れてしまえ,という,いささか強引なお話し.

パリRERのE線

パリには地下鉄の他にSNCFが運行するRERという地下鉄道がある.東京の郊外鉄道が都心に地下鉄道として乗り入れたり,地下鉄と相互乗り入れしていることに刺激をうけて建設された路線のようだが,このうち,E線は北東方向からTGV等が発着する北駅や東駅付近に達している.その駅がこういう駅(Magenta駅)で・・・怪しい雰囲気である.日本ではまずあり得ない照明.
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さて,Magenta駅から都心に突っ込むはずが,次が終点.St.Lazare駅.SNCFの近郊線や北西方面への長距離線の発着駅になっており,E線はその地下に駅がある.いちおう,ここでE線は終点で完成のはずなのだが,気になるのでその先のトンネルを覗き込んでみると・・・
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ほんとうに終点なら立派な車止めをつくると思うんだが,簡素な上に,レールはその先にもしばらく続いて暗闇に消えている.まだまだ作る気かな.地上ホームに発着しているSNCF近郊線を地下化して乗り入れさせたり,すぐ近くに走っているA線と直通させたり,何らかの構想はあるのかもしれない.
こういう不思議な構造って,地下線には時々あるよね.

レールだらけ(モントリオールの地下鉄編)

パリ市の地下鉄も同じシステムなのだが,フランスの「離れ」であるカナダのケベック州モントリオールの変な地下鉄のお話し.
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クルマ社会のカナダであるが,トロントと並んで,モントリオールも都市公共交通が機能している.今回のお話しは,そのうちの地下鉄.いわゆるゴムタイヤ式であり,加減速はなかなかのものである.乗り心地はバスに近い感じもするがゆらゆらとしており,好みの分かれる乗り心地である.
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この地下鉄のゴムタイヤは主に加減速用のようであり走行路にはゴムタイヤの踏みしめる平面が存在する.それとは別に,荷重を支えたり進行方向を案内するのは従来式の左右二本のレールになっているようで,この2本のレールも存在する.さらに,電力供給用のレールもあり,結果として,その走行路はこんな感じになる.結構複雑な線路である.
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プレメトロ(どう見ても”ペイ”はしないけど)

日本では地平面を走るLRTの整備ですら「採算ガー」とかいう話になりがちでさっぱり話が進まないが,海外に行くと「採算ガー」と言うような視点では絶対に「ペイ」しないような交通システムが存在していたりする.
学生によくするどんぶり勘定である.
延長5kmのLRT路線を整備したとしよう.30億円/kmの整備費用がかかったとして30×5=150億円.この線路上をLRTが走る.(実際には難しいかもしれないが)金利が3%ほどで建設費を30年で返済したとしよう.そうすると総支払額は2倍あまりの350億円ほどとして,年間の支払いは,350億円÷30年=11.6億円/年.1日あたりにすると,11.6億円÷365日=320万円.朝6時から夜11までの17時間走ったとしよう.そうすると,18.8万円/時間.片道あたりだとその半分で9.4万円/時間/片道.5分毎に走ったとして,毎時12本なので,9.4万円÷12=7800円/列車.1人あたり200円払ったとして7800円÷200円/人=39人.朝から晩まで5分毎にやってくる電車は全て約40人乗っている・・・・全て運賃で賄うって厳しいねぇ.まだ電気代も,人件費も払ってないよぉ.
さて,ベルギーのアントワープ駅の地下にはLRTの発着場があり,地下鉄風だが走ってくるのはLRT用の小さな電車である.プレメトロという.
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和蘭のアムステルダムでも地下鉄かと思いきや,LRT風電車が2編成併結でやってきたりする.
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こういった地下線は,地平に線路を敷くよりも建設費がかなり高く,キロあたり100〜200億円くらいはする.そうすると,上に書いた計算式の数字はそれぞれ5倍くらいになり,おおよそLRT用の電車では運びきれない数字になってしまう.
つまり,こういう地下を走るLRTというのは,日本の「採算ガー」とかいう風土では絶対にあり得ない交通機関なのである.でも,ベルギーやオランダには存在するし,クルマ社会の米国サンフランシスコにもあったと思う.交通機関単体では「採算ガー」採れませんが,都市全体としてはこうした方が適切であるとの判断で導入されている交通機関であるとも言える.
日本の「採算ガー」・・・何とかなりませんかね.それにこだわって失ってるものがいろいろありそうです.