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乗車前の手荷物検査

日本では無いが,かつて列車テロのあったスペインでは,高速列車のAVEに乗る前には手荷物検査がある.X線検査装置をくぐらせるわけである.

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ただ,航空機と同じだけの念の入れ具合かというとそうでも無くて,航空なら絶対に持ち込ませてくれないペットボトル入りの液体は特に問題なく持ち込み可.ついでに言うと,列車の出発が迫ってきても列が捌けそうにないことがわかってくると「行け」と,スルーになることもしばしば.

…ということなので,手荷物検査さえすれば新幹線の安全が確保できるかというと,それだけではおぼつかない可能性あり.

脱線ポイント

珍しい分岐器をご紹介.

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脱線ポイントである.目的は,列車を脱線させること.もちろん事故を発生させることが目的なわけではない.

設置箇所はこんな感じ.

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この先,鉄橋を渡るとともに,鉄橋上で本線に合流するため,信号を無視して衝突する列車があると,事前に列車を故意に脱線させて小事故で済ませようという,そういう目的の装置である.まぁ,安全側線のようなもの.

(米国ポートランド)

踏切の感知センサー

踏切で良く見かけるセンサー.

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覗き込むとこんな感じ.横断する道路の向こう側の機器とセットで,道路上の物体を感知し,踏切が鳴っているにもかかわらず線路上に物体があると信号機を赤にしたり,専用の警告信号機を点灯させたりする.

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ただ,このセンサーは自動車程度の大きさのものの感知を前提に設計しているそうで,人がいても感知できないそうである.足腰の悪い老人などが取り残されても,感知できないらしい.

IMG_8783だが世の中探してみると人を感知するセンサーというのは存在していて,最近時々見かけるこの横断歩道マークの道路標識,下部にライトが仕込まれていて,歩行者の接近だけを感知して点灯する.自転車で通過したりクルマが来たりしても点灯しない.

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たぶん,精度の問題でまだ踏切には採用できないんだと思うが,将来的には踏切も人感センサーの設置が望まれるところである.

渡ったら死ぬで…

JR奈良線のとある小さな鉄橋のたもと.獣道のような小径が続いている.

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踏切?

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踏切ではないようだ.渡るなという立て看板.

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でもレールをよく見ると,ゴム靴底で踏んづけたような黒光りのあとがある.…と観察している間にも通行人が一人渡ってきた.IMG_8905

渡るなと書くくらいなら,柵で閉鎖すればいいのに,とは思うが,青道,赤道っていうんでしたっけ?

線路ができる前からの水路や通路は既成事実としての利用者の権利のようなものがあって,閉鎖したくてもなかなかできない事情があったと思う.

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でも,危ないよね.閉鎖できないなら警報器くらい付けてもいいかも.

暑さが原因?レールゆがむ

夏が近づくと,全国のどこかでほぼ必ず起こる事故である.

 30日午後3時30分頃、岐阜県七宗町中麻生のJR高山線の下麻生駅―上麻生駅間で、レールの一部がゆがんでいるのを、線路の点検をしていたJR東海の作業員が見つけた。 情報源: 暑さが原因?レールゆがむ…一時運転見合わせ

線路は砂利の上にまくら木を並べてそれにレールを固定するが,寒暖の差でレールが伸縮するのをレールとレールの継ぎ目の隙間で吸収するという話は有名.電車がガタンゴトンと音を立てるのは,この隙間のせいである.

さて,夏を迎えるにあたって,この隙間が安全な範囲に調整されてなかったり,想定外に暑かったりするとどうなるかというと,隙間が完全に埋まって,レール同士が押し合いへし合いするようになる.

押し合いへし合いしているだけならいいのだが,レールが完全に一直線なわけは無く,わずかにゆがんでいる.そうすると,そのゆがみをめがけて押し合いへし合いするものだから,まくら木ごと横に飛び出してしまう.(一種の座屈破壊やね)

この手の事故は,北海道などの冷涼な地域で良くあるが,たまにはそれ以外の所でも起こる.北海道では,確かレールの温度を下げるために水をまく貨車があったんじゃ無いかと思う.

なお,レールを溶接してしまったロングレールの区間では,そもそもレールの隙間が無いのでまくら木ごと横に飛び出してしまうのを防ぐために,重いレールと重いコンクリートのまくら木でがっちり押さえ込んでしまう.できれば「砂利+まくら木」ではなくて,高架橋上のコンクリート板にレールを直接がっちり固定してしまえばなお確実である.新幹線はこの形式だな.

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整備新幹線260KM/Hは「最高設計速度」

整備新幹線は260km/hでしか走れないという.

でも,よく考えてみよう.整備新幹線の260km/hは「最高設計速度」である.

構造物等を設計する際に,ある一定の車両が時速260キロ運転をすることを想定して力学的・物理的な諸元を設計しろと言っているに過ぎない.

つまり,整備新幹線の260km/hというのは「最高設計速度」という設計条件であって,「最高営業速度」に関する規制ではないということである.

営業速度は,本来は与えられた構造物(とシステム)に対して,安全に運転できる速度を別途考慮して設定されるはずなのだが,別途考慮が少々面倒なものだから,設計速度=営業速度に設定してしまっている(費用負担の再考問題も絡んでいる).

もしも「設計速度=営業速度」に設定しなければならないのならば,東海道新幹線をはじめとする整備新幹線以前の新幹線は,せいぜい時速250キロ運転しかしてはいけないことになってしまうが,現実はそうではない.

すでに完成している構造物に対して,構造物設計時とは異なっている現実の各種条件を考慮して再検討し,安全に運転できる速度を多角的に考え,その結果出てきた答えが285km/h運転であったり,300km/h運転であったり,320km/h運転だったりするわけである.

新幹線の速度向上は,新規整備に比べると安くて効果が大きいので,もっと前向きに検討しようよ.

#青函トンネル内の運転速度を貨物列車とすれ違わないようにして「260km/h」運転するらしいが,騒音の問題が発生するわけでも無いので,そこは「320km/h」でいいだろ.インフラの設計荷重も東北新幹線なみだろ?

285KM/H運転ののぞみ号に乗ってみた

スマホの速度計アプリで測ってみた.

東京から乗ってみて,わかったこと.(毎時10分発の列車)

  • 大半は時速260キロ台の運転で,ほとんど270キロにも達していないこと.
  • 三島くらいまでは250キロくらいしか出していないこと.
  • たまに時速280キロ越えてるが,ほとんど気付かないレベルだということ.
  • 本気出すのは,関ヶ原より西.でも本気出し続けるわけでもない.

かなり地味な改善やな.客の大半は気付いてないと思う.

285km/h運転を始めたというよりは,270km/hを越えても自動ブレーキ(ATC)が反応しないようにしました,というのが実態に近そう.まだまだ東海道新幹線には余力がありそうである.

削れっちゃってますねぇ

レールをよく見ると(…って,あんまりしないと思うけど),レールが削れてへこんでしまっているときがある.

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○→で場所がわかるようにしてある模様.電車が急ブレーキをかけると,電車の車輪がロックしてしまい,電車の車輪の一部が平らに削れてしまう.止まっている電車が急加速しようとすると,空回りして今度はレールが削れてしまう.雨の日が鬼門やね.

そのまま放置すると,バタンバタンと大きな音がしたり,傷に水が入り込んである日突然レールが折れたりする.信号機が変わらなくなって列車が発車できなくなるという事故の多くは,信号機械の故障だけでなくレールの破断のようである.

そんなわけで,予防的にレールが折れかねない箇所に横っ腹に板をあてがって急場をしのぐこともあるようだ.

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レールの継ぎ目でもないのに,継ぎ目板があてがわれている箇所にはレールの傷があることが多い.

尼崎列車事故から10年

尼崎の列車事故からちょうど10年である.このサイトの前身のサイトにも当時のことを記事として書いたが,今,内容を読み返してみてあんまり状況変わってないなぁと感じた.以下,その一部.


…ここの大学でも2名の学生が命を失い、10名近くがけがをした。件の列車は、事故がなければ私の自宅の横を午前10時に通過することになっていたのだが、来なかった。テレビには惨状が映し出されている。列車は確かに来ない。血の気が引いた。仕事柄、事故の規模は即座に察しがついた。それからしばらく、マスコミの方々から毎日のように取材の電話がかかってきたが、事故原因を説明させて、言葉尻を捕まえて「鉄道は危ない」と言わせたそうなものが多かった。結局、テレビ出演から記事や番組のコメント等々まで、すべて断ったのだが、鉄道事故の発生頻度についての基礎知識の少ない方が多そうであった。

自動車事故で亡くなる方は年間1万人前後である。2005年は飲酒運転の取り締まりなどが功を奏したのか、7,000人程度まで減ったようだが、それでも鉄道の乗客として事故死する方の数とは1~2桁違っている。運んでいる量が自動車の方が多いことを考慮してもかなり多い。(この大学でも毎年数名の学生が自動車やバイクの事故で命を失っている。事故でけがをする人数はもっと多くて、私のいる学科だけでも、各学年1~2人ずつ交通事故に遭っているようである。)マスコミの取材電話で、「今回の鉄道事故は確かに大惨事です。ですが、あなた方は、毎日毎日、新聞記事にもなっていない自動車事故が多数発生していることをご存じですよね? それでも鉄道の方が危ないですか?」と話すと、たいてい同意する。そして、つまらなさそうに電話を切る。確かにあれは大事故であって、まさに私が日々通勤に使っている電車(事故列車の運転士が運転する列車に私も日々乗っていたはず)が危険だったわけだが、だからといって電車通勤をやめて自動車で通勤しようというキャンペーンなど張っていただいては、かえって事故で死ぬ人の数が増えることになってしまう。100名以上の方が亡くなるような事故が発生したとしても、みんなが自動車に乗ればもっと事故死する人の数は増えてしまう。

だがやはり鉄道の事故は重大である。航空機や自動車は、鉄道に乗ることによって事故を避けることができる。だが、鉄道が危なくなっては、もはや代わりの交通機関がない。…


正しく安全面での規制が行われ,正しく設備投資していれば,防げた事故であった.後者は良く言われている話であるが,前者は今だ誰も指摘できていない.

北陸新幹線のバージョンアップ

北陸新幹線は,この先,金沢から福井方面に延伸されて敦賀までは約8年後に開業する.ルートはまだ決まっていないが,最終的には大阪に達する.

一方,速度については整備新幹線の最高速度は260km/hと法律に書かれてしまっているので,一応それにあわせて律儀に260km/h運転されているが,整備新幹線の基本的な線形は山陽新幹線などと同じく,半径4000メートルの曲線で構成されている.勾配は山陽新幹線などの15‰程度よりずいぶん急な30‰が採用されているが運転速度のネックになりやすいのは曲線である.

つまり,(一部の急勾配などを除き)北陸新幹線は山陽新幹線なみの速度(つまり300km/h)まで将来的にバージョンアップできるだけの基礎的な設計がされているとも言える.

山陽新幹線については実現はしなかったが,320km/h以上での運転が構想されていた時期もあることから,北陸新幹線についても320km/h運転というのはあながち夢物語ではない.

なお,この手の話をすると「北陸新幹線用車両は急勾配対応なので…」という話が出やすいが,ドイツのICE用の最近の高速新線では40‰の勾配に対応しながら300km/h運転しているところもあるので,それ用の車両を車両メーカに発注すればいいだけではないだろうかと思う.

#関係法令の改正,保安装置のバージョンアップ,架線設備の更新……が必要かな