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東北に行ってみた(亘理→相馬編)

常磐線で行けるのは南側は広野までなので,いったんいわきまで戻り,磐越東線,新幹線を乗り継いで仙台へ.今度は北側からいけるところまで行ってみる.
まずは,仙台→亘理.本数は少ないながら特に問題なく到着.直接電車だけで行けるのはここまでで,ここからはいろいろ乗り継がなければならない.
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次は,亘理→相馬.この区間は不通区間なので,バス代行になっている.切符は仙台→原ノ町のものを持っているので,そのまま通しの切符を見せるだけで乗車.乗り継ぐ客は少なく,地元の人の多くはこの駅から先は自家用車で送迎というのが主流のようである.
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この区間が不通になっているのは,常磐線の線路が津波で破壊され,流されてしまったからであり,復旧にあたっては線路の位置そのものを内陸側に移設させることになっているようだ.下の写真は代行バスの坂元駅だが,「駅前」の空き地は新駅予定地のようだ.
元の駅位置はここ.

新駅はこの辺.

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新地駅の代行バス停駅の海側は,急に市街地が途切れて荒れ地が広がる.元の駅とともに市街地も消滅してしまったのだろうか.
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相馬駅着.自家用車に比べてかなり時間がかかり,亘理駅まで送迎が多いのはそういうことのようである.
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相馬→原ノ町は電車が運行中.線路の右側は原ノ町方面.左側の錆びているのは不通区間.2両編成が行ったり来たり.
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(2013年11月現在)

東北に行ってみた(南三陸町編)

南三陸町の様子.
写真は気仙沼線陸前戸倉駅があった箇所であるが,路盤も駅施設も破壊され,そこが駅であるといわれなければわからない状態になっていた.
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当面の路線復旧は難しいようで,赤いバスが「BRT」と称して運行されている.
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北隣の志津川駅は南三陸町の中心街にあった駅であるが,周辺の市街地もろとも破壊されている.
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下の1枚目は志津川駅ホームからの市街地の様子.ほとんど何も残っていない.2枚目は同じくホームから見た南三陸町の防災対策庁舎.
IMG_5012IMG_5004(2012年12月現在)

鉄道後進国ニッポン(ただいま遅延拡大中)

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去年の夏あたりに京大の藤井先生にメールで送った件で,SNSに書き込んでたみたいなので,すでに知っている人もいるかもしれない話.
毎度欧州に来るたびに思うが,高速鉄道の工事を見る機会が多い.明確な高速新線工事でなくても,在来線改良で200キロ運転対応工事なんてのもざらにあって,そういうところではローカル列車と特急列車の運転を分けるように,複々線化工事をしている.
改良工事であって,新線工事ではないので,当然,日本では気づいている人はほとんど居ない.けれども,欧州に来る度にだんだん所要時間が短くなってきているのは実感できる.空港から直接高速鉄道乗り,空港に直接高速鉄道で乗り付ける,なんてのも当たり前.
ローカル急行列車でも160キロ運転は当たり前,ぼろい客車列車でも200キロは出す.200キロ超運転の通勤電車まである.
ホテルでテレビつけてみると,中国から西ヨーロッパまでの貨物鉄道のお話しの番組が流れているし,ロシアの高速鉄道の話も流れている.
残念ながら,日本の鉄道行政は完全に遅れている.日本が鉄道先進国だというのは過去の話になった.ただいま,遅延拡大中.

リニア新幹線の開業日(オリンピック編)

リニア新幹線の目下の開業目標は2027年であるが,東海道新幹線が1959年着工で1964年開通,開通直後に東京オリンピックということを考えると,2020年の「平成の東京オリンピック」に間に合いそうな感じがしないでも無いが,そういう話にはなっていない.
そもそもリニア新幹線が2027年開業というのは,JRが東海道新幹線を国から買い取った額が概ね5兆円で,その長期ローンが2016-17年頃に終わるので,その気になれば再び5兆円の負債が出来ないわけでは無い.そうすると,2017年頃から本格的な工事をすれば,工期10年ほどでリニアが完成し,2027年頃開業…という話はずいぶん前にも書いた .国が金を出さないので,5兆円で出来る分というと名古屋まで,ということである.
基本的には資金計画の問題なので,じゃぁオリンピックがあるから資金を調達すれば2020年までにリニアが名古屋まででも完成するかというと,あちこち情報収集した結果,そう簡単では無いようだ.
東海道新幹線の場合,オリンピックに間に合わせるために突貫工事をするとともに,ルートの変更までしている.東海道新幹線は名古屋駅を出ると,乗客は西に向かっていると思っているが,新大阪行きの電車は実は北に進路を変え,鈴鹿山系を北に迂回して,米原経由,琵琶湖東岸に沿って京都に至っている.元々は名古屋を出るとそのまままっすぐ西進し,鈴鹿山系をトンネルで抜けて京都に至るルートが考えられており,地質調査も行われていたようである(ん? どこかで見たような経路だな).
当時は長いトンネルを短期で掘る技術が無く,オリンピックに間に合わせるためにはなるべく平地で建設するしかなかったようで,結果として今のようなルートになったようだ.大野伴睦氏が曲げたと言われているが,少なくとも公式にはこういう経緯のようである.この辺の話は,東海道新幹線の工事誌に公式に書かれている.
さて,リニア新幹線は長野県下を通過する部分で,諏訪方面を通るか,山岳を長大トンネルで抜けるか検討された結果,路線延長がなるべく短くなる長大トンネルが選択された.東海道新幹線では回避された「長大トンネル」が建設される方針になったわけであるが,ここがリニアの工期のネックになりそうである.
長大山岳トンネルといえば,スイスのLötschberg Base Tunnelは,延長34.6km,着工は1994年で共用開始は2007年,ということで工期13年.なんだか,リニアの工期と符合するといえば符合する.でも延長20kmのリニアのトンネルならば単純計算7〜8年の工期ということでもある.
海底トンネルでは抗口が原則2つになるので不可能なのだが,山岳トンネルでは工区の分割が可能であり,工期短縮が可能といえば可能.全長57キロあまりのゴッタルトベーストンネル(これもスイス)は,5工区に分けて,1998年に立坑掘削開始,1999年本工事開始,予定では2011年開業だが,実際にはまだ供用開始されていない感じ.
工区を分けるには,地表から地下に向けて立坑という穴を掘り,そこから左右にトンネルを掘ることで,縦坑1つあたり掘削面を2つ増やせるという仕組みだが,リニアの長大トンネルの場合,その立坑はあまりたくさん作れないということらしい.
立坑が作れない場合には,まず小断面の作業坑を先に掘削し(列車の通過する大断面のトンネルよりも作業速度が速いらしい),その作業坑を使ってはるか向こうの山の中から反対向きに掘って工期を短縮するという方法があるそうな.青函トンネルはこの方法.
岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩
作業坑作業坑作業坑作業坑作岩岩岩岩岩
岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩岩
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本本本岩岩岩岩岩本本本本本岩岩岩
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====岩岩岩岩岩=======岩岩岩
そんなことはトンネル掘削の検討している方々は百も承知だと思うので,結局の所,「結果として早く出来上がる可能性もあるし,運が悪いと2027年よりも遅くなるかもしれないし,地質がよくわからない部分が多いので,掘ってみないと何とも言えない.なので,オリンピックに間に合わせる約束は出来かねる.」というあたりが真実に近そうな感じではある.