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北陸新幹線京都ルート桂川駅の何がマズイのか

えーと,なかなか話は進みませんが,京都市の駅として「桂川」が落とし所?などという話があるようだ.

「新大阪」がOKなら「桂川」でもいいじゃないかというノリは,わからんでもない.

だが,新大阪は大阪駅まで5分ほどという立地だけではなく,地下鉄御堂筋線で梅田,本町,なんば,天王寺etc…にそのままアクセスできる.最近はおおさか東線も乗り入れているので,東部の中小工場地帯へも行ける.

ところが桂川.京都駅までは確かに6分ほどだが,行けるのは京都駅だけであり,市内各地へのアクセスが絶望的に悪い.京都駅で乗り換えてようやくバス.これがネック.

京都駅から6分の距離ならば,山科駅のほうがマシである.なぜなら,山科駅からは地下鉄東西線を経由して蹴上,東山,中心部を経て二条城,太秦天神川etc…と,バスは不便だが地下鉄は割と便利である.(*)

新幹線桂川駅の長手方向を南北方向ではなくて東西方向にすれば,JR京都線だけでなく阪急京都線を市内中心部へのアクセス線にできるが,南北方向の計画だったよね.

それとも地下鉄東西線の太秦天神川-洛西ニュータウン-新幹線桂川駅という延伸ルートでもつくる?

北陸新幹線「京都駅付近の地上ルート」まとめ&リンク集

(*)山科駅案がなぜ存在しないか想像してみると,線形上,小浜方面からのトンネルが滋賀県に引っかかったり,あるいは大文字山を南北に縦貫したりといった新たな超難問が発生するからだと思う.

「中速鉄道」の適する条件

なんだか「中速鉄道」が日本の新幹線計画の救世主だという錯覚が蔓延しているらしい.新幹線の基本計画線沿線地域でそういう話を時折聞くようになった.

「200km/h未満の速度でもそこそこ便利じゃない?」的な発想であるが,たしかに欧州レベルなら便利である.欧州レベルなら.

欧州の「中速鉄道」こと「在来線の改良区間」では150-200km/h運転は当たり前である.それは,線路が真っ直ぐで踏切がほぼ皆無だからである.そういう状況なので,一部の曲線を改良しさえすれば「そこそこ高速運転」ができてしまう.

ところが,日本の「中速鉄道」の議論では,その辺を完全無視して,「160km/h運転すれば便利になるはず」と思いこんでいる.最高速度が160km/h運転で便利なら,北越急行線で十分であり,北陸新幹線は不要だったはずである.

このような曲線改良が効果を発揮するのは,踏切がほとんど無くて,一部の曲線以外は線路が真っ直ぐな路線だけである.例えばこんな区間.踏切も少なそう.

都市間の線路は基本的に田んぼを突っ切る真っ直ぐな線路であり,所々に方向を変える曲線が入るだけ.これなら曲線改良&少数の踏切のアンダーパス化などで十部効果が期待できる.

でも,こんな路線だと,そもそも「中速運転」ができない.

カントをつけて,風による転倒を防ぐための防風壁を設ければ既存の在来線の線路でも160km/h運転可能だという暴論も存在するが,防風壁で風が本当に防げるのなら,湖西線の運転休止は存在しないはずである.

こういう区間(振り子式車両が投入されているような区間)は,結局のところ真っ直ぐな新線を建設せざるを得ず,真っ直ぐな新線ならば速度を160km/hに抑えなければならない理屈も存在しない.暫定整備計画の「青函トンネル方式」になるだけである.

また,踏切についても「センサーを高性能化すればOK」みたいな論の展開をする人もいるが,高性能なセンサーを付けても,列車が通過する直前に踏切に侵入されれば何の効果も無い.

なお,本家中速鉄道のドイツの場合,在来線改良で150-200km/h運転しているような区間では,「中速列車」と「ローカル列車や貨物列車」の線路は分けられ,複々線化される方向で徐々に整備が進んでいるようなので念の為.

#3億円もかかったらしい中途半端な報告書を真に受けないようにしましょう.

高市政権が最初にすべきインフラ政策は「rの見直し」

積極財政の高市政権が発足したが,「鉄道政策の進展に期待する」「インフラ整備が進む」等々の期待の声が大きい.

ところが実は,1年ほど前に買って読んだ実質的な政策集と言われる本には,あんまりインフラのことは書かれていない.もう一冊買ってみたが,やはり同じで,セキュリティ関連やエネルギ政策は詳しいものの,インフラ関連は手薄に見える.

連立政権を組むうえで「大阪副首都構想」に賛意を示してはいるものの,これも日本国のBCPとしての首都機能のバックアップという観点の延長で,インフラ整備政策というよりはセキュリティ関連である.国土強靭化の観点にも触れられてはいるが,これもセキュリティの延長である.

内閣の布陣を見ると,手薄なところは詳しい人に任せる方針のようにも見えるので,特に心配はしていないが,インフラ関連で具体論に入る前に最初に手を付けるべき点は,「rの見直し」である.

「r」って何?…ということだが,社会的割引率(social discount rate)のrateの「r」である.

今のところ,日本で計画されるプロジェクトを事前評価する場合の社会的割引率は4%に設定されている.

年間換算レートみたいな数値であり,一応,授業や教科書では,「世の中,経済成長とかするので1年後の1万円は今年の1万円と価値が違うだろ? その変化率を社会的割引率といって例えば10%なら,来年の1万1千円と今年の1万円は同じ価値ということだ」みたいな説明をする.

この割引率という数値は,現金で持っているよりも公共投資をしたほうが社会的に有利だ,という指標計算に使う率なので,経済成長率とか,公定歩合(現在は基準割引率および基準貸付利率)とか,そういう値を設定するというのがセオリーである.事実,諸外国での計算上の社会的割引率はそうなっている.

ところが日本では平成初期の基準貸付利率に相当する「4%」のままである.30年以上前の社会に合わせた値のままである.今は「0.75%」であり,経済成長が「目標2%」で実際にはマイナス成長していることもあるかもしれない国が,である.

この「r」の値で,計算上の総費用は大きく変化するし,将来得られるメリット(便益)の総額も大きく変わるので,プロジェクトの事前評価結果も大きく変わる.例えば,ざっくりした計算ではこんな感じ.

交通インフラプロジェクトに限らず,すべてのインフラ整備にこの「r」が関係してくるので,具体的に何を作るのかという話を進めるのと合わせて,「rの見直し」が必須である.

# 実態に合わせるのなら,r=1%くらい.成長目標ベースとするにしてもr=2%くらいが妥当かな.

整備新幹線の地元負担問題の解決策(積極財政政権限定)

ネバネバした緊縮財政から,もしかしたら,かなり久しぶりの積極財政政権になりそうな気配が出てきたわけだが,もしも積極財政が実現したら整備新幹線の地元負担問題は解決するかも,と思っている.

現行の整備新幹線の建設スキームでは,新幹線の建設費のうち,アチコチやりくりした残りの額を「国:地方=2:1」の割合で負担することになっている.そんで,この見かけ上「1/3」負担を巡って,難色を示す自治体が少なくないわけだ.

「見かけ上」と書いたのは,新幹線の財源構成はかなり複雑で,わかりやすいのは福井県庁のこの図である.

建設費のうち,「国:地方=2:1」の対象にならない分が少なくなく,残り部分の地元1/3負担についても,半分くらいはこっそり国が穴埋めしてくれるというシステムになっている.この結果,実質負担は800億円÷1兆1200億円=約7.1%ということである.33%ではない.ホントはこのレベルだが,地元県民に向かって建設費の1/3(33%)だというような説明をする首長さんがいたりして,困ったもんである.

さて,積極財政権限定の解決策とは,ズバリ「全額国負担」である.現状でも地方負担は10%以下なので,この際,全額国負担でもいいじゃないかという話である.その方が合意形成的にもシンプルだ.

こういう話をすると,特に大都市圏から「受益者負担ガー」という声が出てきがちであるが,輸送は起点があって終点がある.片方の端だけが受益者ということはなく,もう一端も受益者である.その「もう一端」とはどこか.大都市圏にほかならない.

大都市圏はこれまで,1円の建設費負担もなしに新幹線の恩恵を受けてきている.東海道新幹線の地元負担はいくら払った? 山陽新幹線の地元負担はいくら払った? 東北・上越新幹線は?

じゃぁ,すでに開業した整備新幹線の沿線は払い損ではないかという話になる.整備新幹線の建設費は,(年次間のデフレータの操作はしていないが)以下の表のとおり.

億円 km 億円/km
北海道新幹線 新青森-新函館北斗 5,783 149 38.8
東北新幹線 八戸-新青森 4,547 81 56.1
盛岡-八戸 4,565 97 47.1
北陸新幹線 金沢-敦賀 16,779 125 134.2
長野-金沢 16,988 228 74.5
高崎-長野 8,282 117 70.8
九州新幹線 博多-新八代 8,794 121 72.7
新八代-鹿児島中央 6,401 126.1 50.8
西九州新幹線 武雄温泉-長崎 6,197 66 93.9

建設費を単純合計すると,約7.8兆円.単純に1/3にすると2.6兆円だが,上の「地元負担は実質7.1%」だとすると5,500億円.これくらいのオーダーの額なら,沿線に「返却」してもいいじゃないか.

単年度で返すのがしんどいなら,10年かけて返却なら年額550億円にしかならない.国の年間予算の0.05%レベルである.

ネバネバ政権では実現しそうに無い案だが,積極財政政権ならこれくらいはあってもいいんじゃないかな.

これで,西九州新幹線も,四国の新幹線も,北陸新幹線も,かなりやりやすくなるのでは?

米原ルート「実現難しい感触」

この話.

米原ルート「実現難しい感触」 北陸新幹線で京都維新代表

https://www.47news.jp/13219902.html

https://www.sankei.com/article/20250929-SWQE3TCXZFP5FJZO5KDJI3LSDA/

前原誠司代表は29日、北陸新幹線敦賀(福井県)―新大阪延伸を巡り、滋賀県を通る「米原ルート」は、「実現が難しい感触だ」との見解を示した。


選挙の公約に掲げる前に,ちょっと考えればわかる話なんですけどね.公約,軽いよね.

「…第3の案をまとめ、提示する取り組みに移りたい」と話した。

第3の案ありますよぉ〜.

北陸新幹線「京都駅付近の地上ルート」まとめ&リンク集

新幹線整備の地方定額負担案

現行の新幹線建設スキームでは,建設される路線の沿線で地方負担が発生し,(実態はかなり色々ややこしい財源構成になっているが,一応は)国:地方=2:1になっている.

ところが,山岳地帯ばかりで駅の設置もできないのに高額な請求書が来ることを警戒する動きが無きにしもあらず.

例えば,北陸新幹線の高崎-敦賀間は延長470.6kmに対し,新設された駅数が18駅(高崎駅除く)なので,平均駅間距離は26.1kmである.つまり26km分の建設費負担をすると1駅付いてくるということが期待されるわけだ.

ところが,今もめている北陸新幹線の敦賀ー新大阪間については,(小浜京都ルートの南北案だと)駅間距離は次のような感じ.

敦賀-小浜:35km,小浜-京都:63km
京都-松井山手:20km,松井山手-新大阪:27km

1区間以外は,概ね平均的な駅間だが,小浜-京都間が平均26kmの倍以上ある.しかも,(どういう割り振りするのか不明だが)都市部の地下線工事で異様に建設単価が高い.そりゃぁ「請求書」に警戒するのも頷ける.

整備新幹線で駅間距離が長い区間は実は他にもある.それは,北海道新幹線の奥津軽いまべつ−木古内間の74.8kmで,青函トンネルを含む区間だ.

じゃぁ,青函トンネルの建設費を青森県と北海道が折半したかというと…してない.建設時期が異なるし,整備新幹線計画が正式に動き出す前に建設開始されたので,地元負担の考え方がないので,全額国持ちということになる.もしも現行の「2:1」のスキームができた後でのトンネル建設だったなら,おそらく地元負担で揉めたであろう区間でもある.

ということで,青函トンネルを参考に,地形が険しくて駅が設置できないような区間については,国の負担を原則とするという方法は考えられる.

もっと簡単なルールにするなら,地元負担は「設置される駅1つにつき線路26km分」に設定するとういう方法もある.

(地下線など)難工事で工費が高くなる区間の沿線と,田畑に単純に線路を敷くだけの区間では同じkmの建設でも負担が異なる.だったら,工事単価にかかわらず,地元負担は駅1つと線路26km分の定額払いに設定するという方法もある.

稲田氏「ふざけているのか」

「ふざけているのか」予算増えず苛立ち

北陸新幹線の予算が増えていない現状に対し、会長の稲田朋美衆院議員(福井1区)が「ふざけているのか」と国土交通省側に不満をぶちまけた。

えっ,今頃気づいたんですか.

どうしてできない新幹線(「しない」シリーズ編)

整備新幹線地方負担分の出来高払い案

例えば佐賀県では整備新幹線なんぞ要らんと言っている.だが,開業すれば相応の利用増があり,利便も向上するはずで,メリットがあるなら受益者負担があってもいい.ゴネまくって払わずに着工してFree Ride出現はさすがにまずい.

ところが,おそらく,佐賀はそんな「メリットがあるはず」という不確実な話には応じたくないだろうと思う.

そこで,リスクヘッジ案.出来高払い案である.

九州新幹線(鹿児島ルート)沿線の熊本では,在来線時代比137%(博多‐熊本間)のようなので,(ちょっと丸めて) +40%なら満額負担.+20%なら半額負担,+10%なら1/4負担,+0%以下なら負担なし,(逆に,+60%なら1.5倍負担)でどうだろう.

もちろん,開業前には実績はわからないので,満額30年間の分割払いを基本(+40%の場合)として年々の負担額を決め,これを基準に毎年の支払額を増減させるってのはどうだろうか.

Pey per Ride方式.

「おっ,新幹線運賃に上乗せすればいいのか」と思ったあなた,それは違います.
地元負担の話です.

# 合意したものを守れと言っても,技術的に困難なものはできないよねぇ.

北陸新幹線米原ルート入門リンク集

北陸新幹線米原ルート推進の参議院議員さんが当選したようで,たぶん「米原ルート」を蒸し返す人多数と思われるため,(主な)リンク貼っておきますね.

「米原ルート」の開業時期(1)

「米原ルート」の開業時期(2)

「米原ルート」の開業時期(3)

北陸新幹線の建設費が2倍!? -新聞記事の精度- (その1)

北陸新幹線の建設費が2倍!? -新聞記事の精度- (その2)

北陸新幹線の建設費が2倍!? -米原ルート- (その3)

北陸新幹線の建設費が2倍!? – 米原ルートは早期開業か- (その4)

北陸新幹線の建設費が2倍!? – 北陸・中京新幹線- (その5)

北陸新幹線の建設費が2倍!? – B/CのBをup- (その6)

北陸新幹線の建設費が2倍!? – 有識者でも米原ルート推奨?- (その7)

「敦賀・新大阪間に関する説明」見っけ

 

あと,舞鶴ルートの件も.

北陸新幹線の敦賀-大阪間はなぜ「舞鶴経由」がマズイのか