投稿者「hatoko」のアーカイブ

新聞記事の精度:朝日新聞編(補足)

この話の補足である.

「(2)既設新幹線の譲渡収入の一部」は国鉄時代に建設した新幹線をJRが取得した際の対価であり,国鉄時代に建設した新幹線は運賃収入が原資だという話をした.

おそらく「国鉄時代に建設したのなら,28兆円の債務を残したまま国鉄は破綻し,結局は税金で埋めたことになっているから,やはり税金ではないか」との疑問が生じたかもしれない.今回はその部分の補足である.

国鉄の債務が膨らんだのは,鉄道路線を作り続けたことが原因であるとしばしば指摘されるが,それよりも,1)職員数が多すぎた,2)利率の高い資金調達をしてしまった,あたりの方が効いていたかと思う.職員数については,国鉄時代の40万人以上から,国鉄再建策を経てJR化までに概ね半減している.

利率の高い資金調達…て何だ,ということだが,確か資金源は財政投融資(財投)であったかと思う.財投の資金源は郵便貯金と厚生年金ではなかったか.つまり,国鉄は郵便貯金と厚生年金の焦げ付き案件であったわけだ.

通常の金融機関なら,融資案件がうまくいっていないのなら利率を下げるだとか,借り換えるであるとか,返済額を減じるとか,そういった再建策を出すのだろうと思うが,ここは違った.低成長時代に入っているのに利率は高いまま.借り換えも許さずに,貸し続けたわけだ.

郵便貯金の利率が民間銀行よりも高い時代が続いたことは比較的記憶に新しいところであるが,つまりのところ,郵貯や厚生年金を通じて国民に資金が流れたわけである.そういう観点からすると,貨物駅の広大な敷地を売却したり,新幹線をJRに譲渡したりしてもなおも残った借金を税金で穴埋めするというのは,さほど不合理な話でもないように思われる.

話を整理すると,国鉄時代の新幹線についても,一見,国鉄債務の税金による処理を通じての税金による建設負担のように見えるが,実は国鉄債務の税金による処理は財投の失敗による資金の国民への散逸が主たる原因であり,新幹線が税金で建設されたわけでは無い(つまり利用者負担である)ということである.

 

 

思い込みで記事を書く新聞は必要か(続新聞記事の精度:朝日新聞編)

昨日の朝日新聞の記事の件の関連である.あんまり他サイトの紹介はしないんだが,大事な話なので,以下のサイトも一読どうぞ.

「(朝日社説)北陸新幹線 大阪延伸は必要か」におけるウソ

朝日新聞社説「北陸新幹線 大阪延伸は必要か」批判

今日は定期試験の採点で疲労困憊なので,こんだけ.

#脳内ソースを元にテキトーに記事を書くだけの簡単なお仕事です.

 

新聞記事の精度:朝日新聞編

2016/2/7付けの朝日新聞の社説.相変わらず十分なリサーチせずに記事を書いている模様.(かなり以前に,お宅のネット記事,間違ってますよと指摘したら,こっそり記事削除してたという新聞社である.)

北陸新幹線 大阪延伸は必要か
http://www.asahi.com/paper/editorial.html

記事は毎日更新されているようなので,要点をかいつまんでツッコんでおこう.

この国にいま、新たな新幹線がどれだけ必要なのか。まずそこから考えるべきだ。

東海道新幹線建設時から,折に触れて噛みついている案件で実に立派である.東海道新幹線は不要といってたと思うが,50年経って感想はどうだろうか.

 北陸新幹線を福井県敦賀市から大阪市へ延ばす計画の早期着工論が、…(中略)… ちょっと待ってほしい。巨額の建設費はどう捻出するのか。国の財政難や人口減を考えたとき、大阪延伸は喫緊の課題といえるのか。疑問は尽きない。

いわゆる整備5線の中で最も客数が多い区間が北陸新幹線の西部区間だということを知らないんだろうな.さりげなく「巨額の建設費」と書いているが,例えば10年間で1兆円を支出して建設したとすると,その間の国家予算の累計は900兆円から1000兆円であり,0.1%程度しかないんだが.財政心配するのなら,クローズアップするところ間違ってますよ.(朝日新聞をはじめ,いくつかの新聞は数字に弱い傾向あり.)

地域の要望に応じ、新幹線をどんどん延ばせる時代ではないことを認識すべきだ。与党側には、夏の参院選で関西や北陸の有権者へのアピール材料になるとの思惑もあるようだが、「我田引鉄」などもってのほかだ。

高速道路や国道バイパスの話と混同してませんか? どんどんも伸びてないんですけど.件の区間は整備計画,つまり段取り済めば工事をしてもいいですよという状態で40年以上経過してしまっている区間なんですけどね.

ただ、新幹線建設費は原則として国民の税金でまかなわれる。国の借金が1千兆円を超す財政状況で、新規着工は努めて慎重に判断すべきだ。

新聞記事を何十年も書いていて,重要案件だと思うのなら,ちゃんと取材しましょう.少し前まで,この新聞社のwebサイトには,新幹線の建設費はJRが負担していると書いてありました(今は削除).現在は,公設民営ですので,一見,税金を大量に投入して建設………しているように見えますが,そんなことは財務省が許さないので,税金投入しているようなフリをして国庫への依存を最小限にするような工夫がされてましてね,知らないんでしょうね,取材してないから.

基本は,「国:地方=2:1」で建設して,完成後にJRがリース料を支払うというふうになっているんですが,負担者の項目を詳しく書くとこうなります.平成27年度事業費を例にしてみましょう.

(1)国(補助金):780億円
(2)既設新幹線の譲渡収入の一部:0億円
(3)借入金等(既設新幹線の譲渡収入の前倒し活用):0億円
(4)地方公共団体負担金:377億円
(5)貸付料等:468億円

このうち,「国:地方=2:1」の国扱い分にしているのが(1)〜(3)である.

さて,まずはわかりやすい部分から説明すると,「(5)貸付料等」とは,整備新幹線(東北新幹線の盛岡以北や九州新幹線など)の完成部分をJRに課すことで得られる収入であるので,税金ではなくて新幹線の利用者負担分である.なので「国民の税金」ではない.

次に「(4)地方公共団体負担金」については,ここの部分は税金である.地方負担分は交付財措置という国からの資金充当もあるが,いずれにせよ税金であることは確かである.

以下,段々とわかりにくくなってゆくが,次は「(2)既設新幹線の譲渡収入の一部」はこうである.国鉄時代に建設した新幹線(東海道.山陽,,東北,上越)は,JR発足後も国有資産のままであったため,これをJRが長期ローンで買い取った.ローン払いは2種に分けられて,そのうちの金額の大部分を占める部分は25年あまりのローンになっており,毎年JRが数千億円ずつ支払った.その支払いの大部分は旧国鉄債務の穴埋めに使われたが,毎年約700億円ほどが整備新幹線の建設費として使用された.つまり,国鉄時代の新幹線資産が形を変えたものだ.じゃぁ,国鉄時代の新幹線がどうやって建設されたかというと,これは税金ではなくて鉄道債券の発行とそれの償還つまり運賃収入が原資なので,つまりのところ,国鉄時代の利用者負担→初期の新幹線→JR買い取り→整備新幹線の資金という金の流れなので,実は利用者負担である.長期ローンは最近になって終了したので,今は0億円になっている.

「(3)借入金等(既設新幹線の譲渡収入の前倒し活用)」は,上の(2)を前借りするシステムのことなので,(2)そのものである.つまり,国鉄時代の利用者負担→…→整備新幹線の資金,つまり利用者負担である.

「(1)国(補助金)」は,一見,純粋な国費(税金)に見えるが,これにもカラクリがある.上の(2)の長期ローンであるが,25年あまりの分の他に,60年払いの分もあり,これが毎年約724億円になっている.つまり,780億円のうちの724億円は実は利用者負担である.色を付けてもらった56億円が純然たる国費であり,税金分である.国民1人あたり税金としての新幹線の建設費負担は50円くらい.

ちょっと前の道路投資が10年で50兆円とかいうのと比べると,文字通り桁違い(3桁くらい違う)なので,これを理解せずに記事を書いているとすると,朝日新聞は数字に弱いという結論に至る.少なくとも,ドヤ顔で書いてそうな「新幹線建設費は原則として国民の税金でまかなわれる」は正確ではないですね.

敦賀―新大阪間は特急で1時間15分ほどだ。新幹線にすれば30~40分短縮できそうだが、巨費に見合う効果といえるか。

十分ですけど…東京-名古屋間の所要時間を60分短縮するために,5兆円以上投資しようというプロジェクトもありますが,そこは叩かないのかい(新聞広告の出稿が無くなるかもしれないけど).

与党と地元には、「早期着工ありき」ではない議論を望みたい。そうでなければ、多くの国民の理解は得られまい。

昨今の新幹線の整備で,国民に新幹線の重要性がますます浸透してきてますが…お宅もそれを拾って記事書いてますやん.

新聞各紙には,「反対ありき」ではない議論を望みたい。そうでなければ,多くの国民の理解は得られまい。

Google先生が大量の情報を教えてくれる時代だ.新聞記事は正確な情報収集と分析による記事のクオリティが命.反対論陣張るのも結構だが,まずは基礎情報の収集と理解を.

#こんだけ新幹線に反対しているんだから,当然朝日新聞の社員は新幹線なんてクソな乗り物には断じて乗らないんだよねw

大阪から庄内まで飛行機で往復した結果…

大阪空港から,「おいしい庄内空港」まで往復したわけだが…

往路:まず,ANAから搭乗日の朝にこういうメールが届く.

02月04日ANA397便
東京/羽田発 – 庄内着は
雪のため、運航に影響がないか15:10に天候状況の確認を行います。
結果は15:25頃までに決まり次第、メールおよびANAホームページにてご案内いたします。
次のご案内までお待ちください。

主に海外で搭乗便の欠航や大幅遅延による乗り継ぎ不良などに遭遇したことがあるので,実に心臓に悪い.「結果」がわかるのは大阪から羽田空港まで達した段階なので,とりあえず出発するしかない.

そして,羽田空港に着くなりこういうメールを受け取る.

02月04日ANA397便
東京/羽田発 – 庄内着は
庄内空港雪のため、天候状況を確認した結果、条件付きの運航となりました。
<結果>
庄内空港に着陸出来ない場合は東京/羽田空港に引き返す可能性がございます。あらかじめご了承ください。

あちゃぁ〜.「引き返す可能性」と言われても,他に手段があるわけでもないので,やはり乗らざるを得ない.そして実際,窓側席を確保して見ていると,着陸体制になっても地表が見えず,着陸の寸前になって地表が見えた.あのまま見えなければ着陸やり直して,それでもダメなら引き返したんだろうな.どうぞ,オーバーランしませんように.

復路:こういうメールが届く.

02月06日ANA398便
庄内12:50発 – 東京/羽田13:55着は
使用機到着遅れのため出発が遅れます。
<変更前>
庄内12:50発 – 東京/羽田13:55着
<変更後>
庄内13:15発 -東京/羽田14:20着

うーん.元々1時間以上の乗り継ぎ時間があるので,たぶん大丈夫だとは思うが,国際空港で乗り継ぎ先の長距離便に置いてけぼりを食らったことがあるので,やはり心臓に悪い.人間が乗り継げても,荷物が置いてけぼり,という目に遭ったこともある.

そして,約30分遅れで出発し,羽田空港にも約30分遅れで到着.その段階でのメールはこうだ.

02月06日ANA31便
東京/羽田15:00発 – 大阪/伊丹16:05着は
搭乗口を変更しました。
<新しい搭乗口>
 63 
出発時刻の10分前までに搭乗口63へお越しください。

まぁ,これは大したことはないか.急いでなんとか搭乗開始に間に合ったものの,この乗り継ぎ時間内に軽食でもとろうと思っていたのは断念.

お土地柄,雪国であるのはもちろん,強風地帯のようである.結果として,大阪-庄内間は概ね予定通りに発着できたわけだが,毎度毎度こんな心配しながら搭乗しなければならないというのも気の毒な話である.

現地の方の感覚では,地上の鉄道は,冬場はさらに信頼性が低いらしい.

うーん.

駅のネーミング

「雪で欠航するかもしれない」とか「運行しても羽田に引き返すかもしれない」と,散々ANAからのメールに脅されながらたどり着いた.最後の心配は,どうぞオーバーランしませんように.

IMG_6804

さて,そのたどり着いた空港はここ.

IMG_6805

庄内空港.いえいえ,正式名称は「おいしい庄内空港」!.えっ???

最近は坂本龍馬だとか鬼太郎だとか,コウノトリだとかが空港の名称に付けられているが,ここは「おいしい」である.相当,うまいものには自信があるらしい.(実際,うまいので,減量中の体重のリバウンドが心配なレベル.)

さて,空港はこのように地域振興目的でいろんな名称を付ける傾向にあるが,べつに鉄道駅に付けても良いんじゃない? と思ったのは私だけ?

新大阪タコヤキ駅とか,京都おたべ駅とか,宇治抹茶駅とか,箕島ミカン駅とか……いまいちセンスが無いので,このへんで.

そう言えば,さくらんぼ東根駅って実在するような…これも山形か.うまいことやってるなぁ.というか,方針ぶれてないな.

(スペインのZaragoza市の高速列車が発着する駅はDelicias駅っていうんだが,「おいしいZaragoza駅」なんだろうか?)

路面軌道の歩道上敷設

トランジットモールというと,路面電車を敷設した道路について自動車等の乗り入れを禁止した形態である.

ところが,実際にはいろんな街路が実際にはあり,例えばこんな形式もある.

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中央は車道,両側に幅の広い歩道があり,その歩道上に路面電車の軌道が敷設されている.サイドリザベーションの一種ではあるが,もはやこれは軌道の歩道上敷設と言っても良いのではないかと思う.

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電車が走ってくると,こんな感じ.

LRTの電車は,車両の仲間というよりは歩行者の仲間という扱いである.

(フランスのマルセイユ)

タッチパネル券売機

最近増えているタッチパネル式券売機.

ペタンコの面しか無いので,目の不自由な人はどうするんだろうかと思っていたら,(昨日,鉄道会社の人に教えてもらった話だが)ちゃんと対応してあるそうな.

下の方に物理的なテンキーがあり,その「*」を押すと音声ガイドモードになり,そのテンキーで購入したい額面の数字を押すと発券されるようになっているらしい.

ということで,早速,教えてもらった日の帰りに押してみた.

なーるほど.確かに対応している.

へぇ〜

久宝寺駅という起終点

久宝寺駅と放出駅というと,おおさか東線の乗換駅である.その久宝寺駅だが…

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おおさか東線の電車が折り返すとともに…

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関西本線(大和路線)の快速電車と普通電車の追い越し駅でもあり,ホームが忙しい.路線の起終点駅にしては設備が簡素であり,どちらかというと分岐駅の雰囲気である.

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おおさか東線は現在は放出から新大阪(そしてウメキタ)へと工事中であり,日々工事が進行している.

久宝寺駅はいずれ起終点駅というよりは,「分岐駅」としてキタとミナミに電車を振り分ける駅になるんだろうか.