近年,大阪では梅田貨物駅跡地がまとまった土地として注目され,その開発の動向が注目されている.いわゆるウメキタ.
物販オフィスホテルインキュベータ等々いろんな整備がなされつつあり,大阪市の重心は梅田地区に移動しつつある.
梅田貨物線を走っていたのは「はるか」や「くろしお」などであったが,晴れてウメキタにも駅ができて,大阪外環状線(おおさか東線)の電車がそこまでやってくるかもしれない.
新幹線も新大阪じゃなくて,ウメキタに引き込めという意見もある.まぁ,平時ならなんの問題もない.
ところが,平時ではない事態を考えると,あまりこういった北部集中は手放しでは喜べない.
以前指摘したように,もしも全国的な新幹線ネットワークが原案どおり完成し,地図のとおりになった暁には,「新大阪駅」が一番のネックになる.ここが災害テロその他理由で使えなくなると,完全に東西間広域交通が分断される.
北部集中の弊害はそれだけではない.梅田地区は以前から大規模な津波に襲われた場合,浸水の可能性が指摘されている.新大阪も浸水が迫る.リンク先の図は大阪府の試算結果であるが,左上が新大阪駅,左中〜下が梅田地区である.いずれも安心とは言えない.その南も四つ橋筋よりも西は安全ではない.
えっ! 高層ビルに逃げ込めば大丈夫だって?
甘い甘い.大阪のような大都市は地下利用が広がっており,止水するとは思うが,一滴漏らさずに止水するのは難しいだろう.京都の京阪電車も大阪のJR東西線も(開業までだが)大雨で水没したことがある.
それから,大都市は「電気なければ,タダのハコ」(…歳がバレる)状態である.電気の変電所がどこにあるか考えたことがあるだろうか.Googlemapで大阪市の中心部を表示させて置いて「関西電力 変電所」で検索してストリートビューや航空写真を見てみると面白い.変電所の場所として指し示されるのは,たいていビルである.つまりビルの地下.地上の変電所建屋が示されることもあるが,引き込まれているはずの超高圧電線も見えなければ鉄塔も見えない.電線はどこ?
大阪市内のメインストリートでは,街路に電柱がないところもある.ここも電線はどこか? 地下である.
地下変電所や地下埋設電力線に津波の塩水が流れ込んだらどうなるだろうか.ちなみに塩水は良導体である.
通信線も地下埋設されているよね.
とかく開発は平時に注目が行きがちであるが,異常時にも気を配ることができるかどうかで本当に良い開発計画が定まるのではないかと思う.
大阪の都市計画プランナーのセンスは,秀吉や徳川を超えられるか?
#なお,京橋周辺も危ない.