トランジットモールに限らず,路面電車の線路に車が入って欲しくないことがある.そんな時には…
その区間の入り口の舗装を外しておけばOK.ここは赤白ゼブラの棒を置いてあるだけだが,ここにローラーを設置してあるところもある.そこに知らないで進入したら,自力では脱出できないというトラップになってるわけだな.
タイトルが,それ自身,矛盾しているじゃぁ無いかという指摘は置いといて,海外のLRTについて調べているとしばしばお目にかかるのがこういう施設.
路面電車の地下線である.日本ではまずあり得ない.
なぜ日本ではあり得ないかというと,日本では原則として鉄道整備は独立採算であるからだ.つまり,地下線をつくったならば,その建設費を運賃で払わなければならない.
例えば1kmの地下線を100億円でつくったとしよう.この100億円を運賃で支払うとする.地下線に乗り入れてくる電車の客は,平均5km乗車して200円支払ったとすると,1kmならば40円分である.
100億円÷40円/人=2億5000万人
電車には毎便100人ずつ乗っていたとすると…
2億5000万人÷100人/便=250万便
往復計で5分ごと,朝6時から24時までの18時間運転されていたとして…
18時間×(60分÷5分/便)=216便/日
250万便÷216便/日=11574日=31.6年
運賃を全額建設費の支払いにまわしても30年以上かかる.車両費や電気代,保守費,人件費,利払い等々の入っていない段階でこれであるので,事実上,運賃で地下線の建設費を払うなんてのは不可能である.
そもそも,朝から晩まで5分ごとにほとんど満員のLRVが走ってくるとの設定に無理がある.
つまり,こういった「路面電車の地下線」は独立採算の下ではできない施設,ということになるわけだ.インフラ整備の根源的な考え方が違う,というお話.
電車の架線の電線をぴんと引っ張っておくには,どこかで引っ張っておかないといけない.でないと,だらりと垂れてくる.
架線の電線は無限に長いわけではなくて,一定長ごとに端っこがあり,その端っこにはバネが付いていたり,滑車を介しておもりがぶら下がっていたりする.
どちらもゴツい設備になりがちだが,おもり部分が架線柱に内蔵されているものもある.使われているのは,フランスのLRTであり,こんなところでもデザインが重視されている.
保津峡とよく似た雰囲気の別の駅.川の上にホームがあり,駅の両側がトンネルである.福知山線の武田尾駅.
なぜ似ているかというと,実は同じ主旨でつくられたからである.保津峡駅は京都市街と郊外の亀岡駅との間を走る山陰本線上にあり,元々は現在の嵯峨野観光鉄道の走っている線路であったが,単線の上,川沿いだったために速度が遅かった.そこで,複線電化するとともに渓谷部分はトンネルと橋梁で真っ直ぐに突っ切る線形に改良され,保津峡駅は橋の上の駅になった.おかげで亀岡では京都の郊外住宅都市開発が進んだ.
武田尾駅も同じく,武庫川沿いの曲がりくねった福知山線の単線線路をトンネルと橋梁で真っ直ぐ貫くことで路線改良し,おかげで三田が郊外住宅都市としての地位を手に入れた.その途中の駅が武田尾である.
駅を出て武庫川の上流方向に歩く.もちろん,道路は線路跡を舗装したものである.そんなわけで,トンネルも…鉄道トンネルそのものである.
現役だった頃は,こういう風に見えていたかも.
トンネルが転用されているのは途中までで,そこから先は軌道が撤去されているが,ほぼそのままである.
途中の明かり取り穴(?)から歩行者は横に出されて,自動車もトンネルの土手っ腹に開けられた穴から武庫川に架かる橋へと出される.
上流側探索ここまで.
海外の駅ですぐに気がつくのは,電光掲示板の表示のさせ方の違いである.
日本の電光掲示板は,路線別に表示されるのが標準であり,場合によっては路線の乗り場が違うと全く列車の出発の存在に気がつかない.例えば東京駅で京葉線の出発時刻を知りたければ,京葉線の乗り場まで行かないとわからない.
ところが海外の駅では,あらゆる路線のあらゆる列車がすべて出発時刻順に示されていることがほとんどである.分かれていたとしても,せいぜい近郊列車と長距離列車に分けて表示しているだけであり,路線ごと,などということはあまりない.
まぁ,つまりアレだ.空港と同じスタイルなわけだ.
便利な点は,とにかく列車の出発ホームと時刻がわかること.不便な点は,大きな駅だと表示されている列車の本数が多いので,乗る路線が決まっている場合は探すのが大変なこと.
日本でも長距離列車はこのスタイルでも良いかも,と思うこともある.