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新幹線札幌駅の件

新幹線札幌駅のホームの位置が決まらないという.元々あった新幹線駅候補用地に商業ビルを建ててしまったからだという.

ここまでアホな案件も珍しいが,目先の利益に走ってしまったんだろう.どうしても現駅西側の用地に建てたいのか? なぜ? 今ひとつ合理的な説明はなされていないようである.

巨大商業ビルをどうしても建てたいのなら,新幹線駅ホームになる階は準備工事をしておいて壁をぶち破りさえすれば力学的に何の問題も無くホームにできるようにしておくべきだったが,そういう先見の明も無かったようである.

さて,駅とビルの間を詳しく見ると,現1番線,およびビルとの間の空間を活用すれば,線路1線とホームくらいは設置できそうである.じゃぁ,(1面1線)×2を狭い空間に作る地下鉄駅のように,垂直方向に縦に並べてしまえば(2階と3階)一応収まるんじゃないかな.

神戸市営地下鉄三宮駅とか,京都市営地下鉄御陵駅(ここは2面4線)とか,縦に積み上げている例はいくつかあるぞ.地上なら京急蒲田駅(ここは2面6線)とかもそうかな.

・現1番線線路は新幹線用の線路に転用
・1番2番ホームは2番専用ホームに
・新幹線1番線線路用に南側にホームだけ設置
・新幹線1番線線路上空に新幹線0番線線路を設置(*)
・新幹線1番線ホームの上空に0番線ホームを設置(*)

(*)新幹線1番線の上空は0番線ホーム,新幹線1番線ホーム上空を0番線線路にする方が建設は楽かも.

3階部分を造ると,駐車場棟から現駅屋上の駐車場に車が出入りできなくなるとか言いそうだが,鉄道会社が「クルマが…」と言い出したら,終わりである.

なお,桑園駅の南側も狭そうなので,ここも縦に積み上げてしまえばいいと思う.

#今月末に札幌に行くので,詳しく観察してこよう.

名阪間をまっすぐに…

最近発売になった雑誌の特集号を見ると,リニアの名古屋以西のルートに関し,鉄道会社のトップが”名阪間は真っ直ぐ”と言っている.

(1) じゃぁ,真に受けて,真っ直ぐ線を引いてみよう.こうなる.名古屋駅-新大阪駅間,135km.「奈良付近」は京田辺/新田辺あたり.

名阪最短135km

(2) 三大都市圏以外では1県1駅が原則らしいが,以前から滋賀県には駅はできるという話は聞いたことがないので,滋賀県域に入らないようにすると…名阪間138km.完全な直線に比べて+3km.余分にかかる時間は約20秒.まぁ,”誤差の範囲”か.「奈良付近」は祝園あたり.

名阪滋賀回避

(3) 京都駅をまわることは遠回りだという認識らしいが,経由させてみると…名阪間145km.完全直線+10km.余分にかかる時間は,通過する場合で72秒.まぁ,大したことない.停めると,さらに+数分.停めるか停めないかが大きそう.

名阪京都経由

(4) 南限は大和郡山を経由する場合で,名阪間は146km.京都経由とほぼ同じ.直線+11km.余分にかかる時間は通過する場合で,80秒.これもまぁ,大したことない.けど,これって,数字以上に結構大回に見えるな.

名阪郡山経由

(5) 名阪間をなるべく直線で結びながら,なるべく沿線府県数を減らすために京都府と滋賀県を通らないようにするとこんな感じか.名阪間143km.余分にかかる時間は58 秒.まぁ,大したことないな.「奈良付近」は平城山あたり.

名阪京都滋賀回避

ということで,真に受けて真っ直ぐ線を引くと奈良には寄らないことが判明(…って,昔から知られてることで,鉄道評論家の本にも京田辺駅が登場するけど).

それから,京都駅経由が遠回りなら大和郡山経由も遠回りだと言うことが判明.でも距離的にはどちらも大して遠くは無い.ということは京都駅を通すと停めざるを得なくなって通過させる自信が無い,ということかな.

(ま,京都駅はそのままにしておいて別駅を新設した方が自社沿線地域の面積が広がるのでウハウハ,とか思ってそうだけど,長期的には「アレぇ?こんなはずじゃぁ…」と思うことになりそう,その件は,またいずれ.)

本命は(2)か(5)あたりか?

 

 

クリップ留め

「クリップ留め」というと,通常は書類のことであるが,最近はこんなものもクリップ留めである.

この写真は,これから敷設されるコンクリートまくらぎ.長寿命で重量があるのでずれにくいため,保守低減に役立つとともに,高速運転にも役立つ.以前のものは中央部がくびれていたが,最近のものはズン胴である.レールの下になる部分が少し幅広になっている.

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マクラギとレールは,簡素なものなら犬釘だけで固定されるが,さすがにそんな簡素なものは最近は見ない.レールとの固定もバネつきの鉄製を使ってボルト留めのことが多い.

さて,上のズン胴のマクラギの敷設後の様子.緩衝材がマクラギとレールの間にはさまれ,固定そのものは巨大クリップである.

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拡大するとこんな感じ.パチンと留めて終わり.作業の簡素化.

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レールとマクラギを留める方法だけでも,こんなにある模様

準備工事?

インフラ整備の際,こっそりと準備工事なるものがされていることは多い.些細な仕様変更さえしておけば,後々関連施設が拡張される際に出戻り工事が不要になっている,という類である.評論家が好きなネタだね.針の穴ほどの話を膨らませて本を書いたりするやつ.

例えば有名どころでは新大阪駅の在来線ホームや地下鉄御堂筋線ホームには新幹線ホームを増設する際の橋脚が準備されていたり,上越新幹線の長岡駅には羽越新幹線用のホーム空間があったりとか,そんな感じである.

そこまでたいそうでなくても,地味な準備工事はあちこちで見かける.例えば,この道路が線路を越える陸橋.単線なら線路を通す穴はもう少し小さくても良さそうなものだが,線路をどちらかに寄せれば複線が通せそうなだけの大きさにしてあるように見える.

どうせ陸橋を作るなら,線路を越える部分の橋の長さが3〜4m伸びたところで,大して工事費は変わらない,ということだろう.

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ところが,準備工事実施時には想定していなかった事態が起こると対応させるのに苦慮することもある.上の写真の陸橋に近づくと…

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線路の上空の架線がちょっと変である.陸橋の下をくぐる部分だけ上空の電線が3本になっている.電線を通すには高さが足りないようで,ぎりぎりまで電線を低くしている.

電線を低くすると,電車側のパンタグラフの電線を押し上げる力が強くなる(基本的にはバネなので)ので,その力強くなってしまったパンタグラフに「対抗」するために電線側を3本にしてあるわけだ.

つまり,陸橋の下の空間は,複線化は想定していたものの,電化はあんまり考えていなかった,ということだろうか.

将来を見越してインフラ整備をする,っって,言うのは簡単だけど結構難しいね.

「やりとかぶとで排除する!」奈良知事が京都けん制 リニア誘致巡り発言は敵対心あらわに – 産経WEST

こういう記事があった.

荒井正吾奈良県知事は25日、リニア中央新幹線の名古屋以西のルートを巡り、京都府内の自治体が誘致活動を続けていることを踏まえ「京都は『やり』と『かぶと』で排除する…情報源: 「やりとかぶとで排除する!」奈良知事が京都けん制 リニア誘致巡り発言は敵対心あらわに – 産経WEST

えーと,気持ちは分かるが,そろそろ次のステップに入ろうよ.空港建設や工場誘致と違って,鉄道は駅の前後に線路が必ずくっつく上に,広域交通インフラは単なる1都市の玄関口ではなくて,かなり駅勢圏が広くなるので,1地域単独ではあんまり良いインフラ整備が出来ないんだが.

リニアの整備計画格上げから数年,他の新幹線整備の話も進みつつあり,世の中,次のステップに進みつつありますよ…

剛体架線

近鉄に乗って名古屋から大阪へ.最大の難所が青山峠で,長いトンネルがある.かつては旧トンネルで大事故があったところだ.さて,そのトンネルを出たところで気付いたんだが…架線が変である.

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なんだか,一番下の電線が妙に太い.どうやら剛体架線だ.トンネル部分といえども,地下鉄でも無い限り通常の電線が張られるのが普通だが,ここは地下鉄と同じ剛体架線だ.

地下鉄の架線はこんな感じ.太い電線,というよりは鋼材1本で済むので,地下鉄でよく使われる.電線ではないので切れにくい.ただし「剛体」なのでパンタグラフには合わせてくれず,離線しやすい.そんなわけで地上を走ってきた電車が地下鉄線相当の路線に入る前にパンタグラフを追加で上げたりなんかする.それが近鉄では普通のトンネルで使われているようだ.

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この剛体架線,トンネルを出てすぐに普通の電線になるので,なかなか気付きにくい.
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なお,基本的には地下鉄くらいでしか見ない剛体架線だが,時速200km運転用のものも開発されつつあるようで,将来的には大深度地下トンネルを使うような新幹線が建設されるようになった場合には使われるのかもしれない.

 

 

新幹線の脱線した場所

九州新幹線の脱線現場は…さすがに手持ちの写真はないが,この写真のすぐその先,駅の南側の目と鼻の先のようだ.

九州新幹線全線開業 祝!九州縦断ウェーブ CMの,「祝!熊本」のテロップが出る少し前,小さなお堂の前の川沿いで人々が手を振り,旗と風車を持ったこども達が列車と併走するあたりのようだ.(3分版の1:02あたりから)

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J-SHISという地震リスクの計算結果を地図上で確認できるサイトを見てみると,熊本市およびその周辺自体が九州の中では比較的地震のリスクが高かった地域のようだ.

使い方は基本的には検索サイトなどで提供されている地図の閲覧サービスと同じなので,拡大してみると熊本駅のある地域とその南側とでは地震のリスクの段階が異なっており,南にゆくほどリスクが高そうだ.

サイトの画面の上の方に表示させる条件がいろいろ変えられるようになっているので変えてみると,概して熊本城とその周辺の城下町あたりは地震リスク低め,熊本駅はそれに比べるとややリスク高め,新幹線の線路に沿って南下すると,白川や緑川といった河川流域はかなりリスク高め.河川で運ばれてきた堆積物で出来た平野のようである.

わずか1分ほどの走行らしいが,その列車位置の差が原因で脱線してしまったのかもしれない.地盤は大事.駅の位置の選定や路線の位置の選定も大事,ということかな.

#なお,首都圏や京阪神圏あるいは太平洋岸などでは,今回の脱線現場と同程度の地震リスクの箇所をかなり長距離にわたって新幹線の線路が走っている.

阪堺電車あべの橋界隈の様子

大阪のあべの橋界隈(JRの駅は,天王寺,阪堺線の電停も天王寺駅前)で再開発が進んでいるが,阪堺電軌軌道の線路もリニューアルされつつある.

元々の電停は,こんな感じだが…

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(まだ出来ていないけど)こんな感じに.

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最も印象が変わるのは,やはり緑化軌道か

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ついに大阪にも緑化軌道がやってくるのか.

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元々の軌道の状態がこんな感じなので,その差は格段に大きい.

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さてさて,路面電車の軌道工事というのは滅多に見られないので,よく観察してみよう.緑化軌道の芝生は下の写真のような普通の線路の上にスポッとはめ込むような形で置かれているようだ.

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そんで,この軌道が作られる前はというと,整地された路盤.この上にインターロッキングを並べればそのまま歩道になりそうである.

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さらに,その整地された状態の前はというと,古い舗装の単なる道路.つまりこの状態から順に写真を上にたどって行くと,きれいな緑化軌道が出来上がるというわけだ.

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そんなに難しい工事でもないはずなので,もっと緑化軌道があってもいいなと思う.

 

相変わらず複雑な軌道だな

パリのメトロだが,相変わらず足下の軌道がにぎやかである.これもひとえにゴムタイヤが付いているせいだな.

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外側から順に給電用の第三軌条.ただし,日本の地下鉄の第三軌条はホームから離れた方だけの片側にしかないが,ここは両側にある.線路に落っこちて触れようものなら感電死か?

次は一番目立っている走行路.車両にはゴムタイヤが付いているので,ゴムタイヤが走る部分が必要だ.わざわざ鉄製の走行路をマクラギに取り付けてある.

さらに内側が,ようやく通常のレール.鉄輪もあるのがパリのメトロ.ゴムタイヤを付けた方が乗り心地が良くて加減速も良くなると言うのがこのシステムの特徴らしい.確かに加減速は割と良いようだが,ここまで複雑にするほどのメリットがあるのかな? 鉄輪だけで十分じゃないのかと,毎度思う.

地下鉄,というよりは,地下も走る一種の新交通システムだな.

 

関空本格ターミナル構想4施設目

こういう記事がある.

 関西国際空港に、本格的な新旅客ターミナルを設ける構想が浮上していることが30日分かった。インバウンド(訪日外国人)が今後も長期間増え続けると、既設と建設中の計三つのターミナルでは対応しきれないためだ。必要と判断すれば、4月1日から44年間、関空を運営する純民間会社、関西エアポートが整備する。実現すれば、訪日客の玄関口として関空の機能は大幅に強化される。【吉永康朗】

情報源: 関空:本格ターミナル構想…4施設目、大手増便に対応 – 毎日新聞

記事の図では,ここにターミナルを設けるということのようだが,これって元々の計画にあった第2ターミナルだよね.二十数年を経てようやく完成に近づくわけだね.あとはC滑走路か?

ところで,関空までやってきたJRの線路と南海電車の線路は,なぜか関空駅の南側で西の方に曲がっている.これは確か当初の第2ターミナルが完成したときにはこの曲がった部分を延伸して,乗り入れるはずじゃなかったかなと思う.

それとも新ターミナルは「新幹線乗り入れ対応」で作っとくか?