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新幹線との対面乗り換えが注目されて10年以上経過したんだが

九州新幹線が鹿児島付近の先っぽだけ営業していた時代,新八代で新幹線と在来線特急が対面で乗り換えできていたのは有名な話.これは便利だということで,同様の取り組みをしようと結構あちこちで盛り上がっていたんじゃないかと思うが,あれから約10年.大した設備ではないはずなのだが,1つも実現しない.

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システムの違う鉄道をホームの両側に乗り入れなければならないので,取り付け線の整備程度などはいるがフル規格新幹線建設などに比べて大幅に簡便なはずだったのだが…

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いや,べつに軌間可変装置を付けなければならないということはないんですよ.車両と装置が開発できたら後付けで付ければ良いだけで,FGTが実現するまで在来線と新幹線を接続してはいけないということはないんですよ.出来そうなところはやりましょうよ.

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長野駅から南方面とか,名古屋やリニア三重県駅から三重県南部とか,新大阪から日本海側各地とか和歌山とか,岡山を起点に各方面とか,小倉から大分・宮崎とか,鹿児島中央から宮崎とか・・・

新潟駅はいつ出来るんだったっけ?

#こういった小技についても,「整備計画」認定できるようにしようよ>国交省殿

北陸新幹線の設備を観察

Youtubeで北陸新幹線の運転席からの映像を見ることができるが,なかなか興味深い(画質がイマイチなのがちょっと残念).


まず長野駅を出発した直後(1:34)に差し掛かる分岐器である.長野駅は現時点では全列車停車であるので,長野駅構内の分岐器は高速運転仕様である必要はなく,他の新幹線路線でも全列車停車の駅は通常タイプの分岐器が標準である.ところが,長野駅の分岐器はわざわざノーズ可動式にしているように見える.分岐器を通過する際にも,ガタゴトという音は記録されていないようだ.将来的には長野駅通過列車が設定されることも考慮してあるのだろうか.しばらくして差し掛かる両渡りの分岐器(2:27)も高速通過対応である.車両基地への出入り口(4:48)は,もちろん高速通過対応の分岐器になっている.

トンネルに入ると,雪で見えなかった軌道構造がわかるが(6:40),九州新幹線あたりから採用されているローコストタイプの梯子形のようだ.映像だとずいぶんゆっくりに見えるが,長野-金沢間の映像が68分なので,ほぼ「かがやき」と同程度の運転のようだ.


飯山駅(10:38)は棒線駅でホームがあるだけ.そういえば,ずいぶん前に卒業生が,ただいま飯山駅付近軌道敷設中,と言ってたっけ.この附近は連続する急勾配があるが,特に遅くなるわけでもなく,淡々と走行.トンネル長いな.そして,East-iとすれ違い(14:27).

トンネルを出ると雪景色なのに軌道に雪は無く(16:33),このあたりは温水の融雪装置が付いているのかな.民家に近い区間では防音壁が一段高くなるが(17:37),透明で景色が見えるタイプ.これも九州新幹線にあったかと思う.


そして,新潟県知事が通過することを前提に設計していることについて激怒したという例の上越妙高駅にさしかかるが,駅の手前の両渡り分岐器は(17:51),もちろん高速通過に対応したものになっている.そして,通過後の片渡り(18:05)も高速対応.
そして再びトンネルだが,短い明かり区間は覆いで次のトンネルと連結されてしまっている(19:17).なぜか,断面が四角のトンネルと,丸のトンネルが接続されている(20:59).四角部分は雪覆いか?


糸魚川駅(27:01)も棒線駅.列車の運転本数が少なく,速達便を各停形が待避する必要が少ないため,設備の簡略化が行われているようだ.


トンネルを抜けて,黒部宇奈月温泉駅が近づくと,複線の軌道間の「谷」が深いようだ(34:56).ここに雪を貯める構造かな(貯まった雪はどうするんだろう).側壁が二重になっており,この間に雪を飛ばして下に落とす構造かな.そして高速通過対応の片渡り(36:23)を過ぎて,黒部宇奈月温泉駅を通過.ここも棒線駅.
しばらく走って入るトンネルの土被りが異様に浅い(38:21).


富山平野を突っ切って,富山駅へ.よく見ると,ちゃんと勾配標あるのね(43:35).それから,風速計(43:38).
新幹線にしては結構急な曲線をとおり(43:58)進路を南へ.減速しながら再び西へ.駅手前の分岐器はノーズ可動式ではなく(46:35),低速運転が前提のようであり,長野駅と違って通過は想定していないか,もしくは低速通過しかできないようである.富山駅を出た直後の分岐器には覆いがしてあるが,これは雪覆いというよりは左隣にマンションがあるため,分岐器や新幹線そのものに起因する騒音対策ではないかと思われる.富山駅の金沢方の両渡り(49:13)は長野や上越妙高とは異なり,フランジウェイのある切欠き付き通常タイプであり,高速走行は想定外.


さらに西へ.新高岡駅(55:06)も棒線駅.この設備は何だ?保守基地?(56:30)
そして,富山石川県境へ.このトンネルは計画変更に伴って掘り直したトンネルだったっけ(59:00).入ってしばらくは雪覆い兼サイレンサーか?
ここも保守関係?(1:03:20)


長野から1時間あまり.金沢着.駅手前の両渡り分岐器(1:06:25)は,やはり通常タイプで高速通過は想定外.通過時にカカンカカンと音がする.

ここまで.おわり.
#(騒音対策の可能性もちょっとあるが)長野駅が通過列車を想定して設計されているのは意外であった.

…で,北陸新幹線の行き先表示はどうなってる?

今は九州新幹線は鹿児島中央から博多までつながっているが,新八代で乗換の時期が数年あり,その時期のか鹿児島中央駅の電光掲示は下のようであった.

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新幹線は鹿児島中央駅を出ると新八代まで運転し,そこで在来線特急に乗り換えであったが,客への案内上は「博多行き」であったというわけである.列車の側面の行き先表示も博多行きだったかと思う.列車の一体性を前面に押し出した方法であった.

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同じく,東海岸を走る特急にちりんであるが,宮崎空港駅から別府駅に向かう列車の側面の表示はこのようになっていた.

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別府で乗換だが,博多までは実質つながってますよ,ということである.

さて,北陸新幹線が開業し,JR西日本のサンダーバードは都市間連絡列車としては金沢までの運転となった.富山まで行く人は金沢で乗り換えることになるのだが,サンダーバードと北陸新幹線は客への案内上,つながっているだろうか.逆に,富山から西に向かう北陸新幹線は「金沢止まり」になってないか.

京都や大阪の人にとって「富山」は消滅してしまっていないか?
あるいは,富山の人にとって「京都」や「大阪」は消滅してしまっていないか?

気分の問題と言えばそれまでだが,けっこう重要かもしれない.

ラスト・ワン・ステップの克服

交通バリアフリー法が施行されて15年,街の中の段差は縮小され,駅にはエレベータ等も整備されて,ずいぶん段差は解消されてきた.ところが,最後の1段がなかなか解消されなかった.ホームと電車の床面との間の段差だ.この段差のために車イスの人は単独では乗車することが出来ず,駅員の手を必要とするか,介助が必要となるのである.

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解消されない理由は,電車の乗客が増えると車両が沈み込むので,そのために少し高くしておかなくてはならないのだ,という理由だった.だが,エアサス式の電車は,エアサスの高さが一定になるように空気量が調節されているので,客数によって車両が沈み込むことは基本的にはあり得ず,この説明は「方便」のようであり,車両メーカーや台車メーカの方からもその旨,裏はとれている.

つまり,旧式の電車はともかく,最近の電車だけが走っている路線では,その気になれば最後の一段の解消が可能なのである.

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中には上の写真のように特定の出入り口だけちょっとしたスロープを設置することで段差を解消してきた路線も存在する.(2005年撮影)

DSCN1980そして,最近になってようやく,交通バリアフリー法に基づくバリアフリー計画に,このラストワンステップの解消を一部の意識の高い鉄道会社が目指すようになってきている.

ラストワンステップがバリアだと認識されるまでに15年,かなり長かった.

【祝】北陸新幹線延伸…福井先行開業は?

開業おめでとう・・・っって,まだ2-3日早いか.大阪にとってはうれしさも半分なり金沢開業といったところであり,金沢以東が近畿圏とのつながりを離れ,首都圏に取り込まれる記念日でもある.

さて,その先,金沢から西,敦賀までは7年後ということになっているが,その途中の福井市まで先行開業できないかなという話が出ている.福井を終点にするには用地買収して車庫作って等という話もあるが,東北新幹線の八戸の話を参考までにご紹介.

今は東北新幹線は青森まで走り,もうすぐ北海道へと行こうとしているが,長らくの間は八戸で止まっていた.線路は八戸駅で止まっていたかというとそうではなくて,北方にしばらく続き,現在は本線となっている線路上には,実は車庫があった.

その写真がこれ.車庫には入り口が2つあって,大きな左側の方が現在の本線になっている部分である.

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延伸工事が始まると,この車庫は取り除かれて・・・

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車庫は小さい方だけ残してスリムになり,今は本線になって新幹線の営業列車が走っている.
DSCN6439ということで,まぁ,敦賀開業までの数年間のためにこういった設備を作るつもりがあるのならできないこともない,ということである.なお,福井駅から白山車両基地のある松任までは70kmほどなので,新幹線なら20分くらい.松任まで回送する気があるのなら別途の設備は不要ということになる.少なくとも金沢駅にいったん入線させれば松任の車庫には入ることはできる.

地下線区間の侵入者対策?

パリ市内には何カ所かにLRT路線があり,一部の駅は地下駅になっている.低床式電車が走っているので,地下駅といえどもホームは低く,そのまま軌道に出るのは簡単である.そうすると,悩ましいのが地下線に人が侵入してしまうことであろう.日本でもたまに地下鉄のトンネル内で人が保護されたり感電死していたりといったことが起こるので,招かれざる人は入れたくないものである.

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さて,その地下駅をよく観察すると,(またまた意味不明な写真で恐縮だが)電車の走って行く先の軌道がちと変である.下の写真,保守用基地のピットのようだが,ピットなら照明装置などがありそうなものである.だが,そういう設備は無い.引き上げ線ではなく営業線である.これは侵入者対策ではなかろうか.P1030721

ホームの反対側の線路もピットのようになっており,レールの外側も谷のようになっており,曲がった並行する壁の上面にレールが敷設されているように見える.

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ちなみに,本物のピットはこんな感じ.

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劇的BEFORE&AFTER(ストラスブール駅編)

TGV用の高速新線(LGV)が出来る前のストラスブール駅・・・古い.

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そして6年後,TGVが乗り入れてきた後のストラスブール駅・・・すごい!今や世界指折りの美しい駅だ.

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種明かし.古い駅にガラスのドームを外側に付けたもの,こういうリニューアル方法もあるということやね.

IMG_5142まぁ,この方式は日本でもたまにあるけど.

LRTの電線はどこで支えているか

ヨーロッパ方面などに出かけた際,一緒に行った人からよく「変な写真ばっかりとっている」と言われる.たしかに.この写真もそうかもしれない.

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LRTを日本で整備する際に問題となるのが,架線の処理である.架線レストラムを導入するような話が多いが,地中埋め込み式はコスト高だし,バッテリ式はまだ実績が少ないし,なかなか悩ましいところである.

じゃぁ電線は仕方ないとして,電柱は何とかなるかというと,欧州の市街地では上の写真のような処理が多い.建物の壁で支えている.路面電車の通る街路に面した建物は,協力する義務があるそうで,当然ながらそれを前提とした構造になっているんだろうと思う.頭上の電線は残るが,電柱が無いとかなりうっとうしさは軽減できている.

じゃぁ,建物があまりないところはどうかというと・・・緑化電柱!

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電柱があっても,ビーム部分を含めて形状を工夫すると,さほど鬱陶しさがないのは,うまい処理と言うべきか.

 

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グリーン車と一等車

ヨーロッパに調査に出かけると,陸路移動はほとんど鉄道だ.ほとんど毎日乗るので,レールパスを使うが,長期間有効のパスは1等車しか設定がなかったりするので,移動はいつも1等車だ.(日本国内では余程のことが無い限りグリーン車には乗らないが)

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ドイツの列車はけっこう田舎のインターシティーでも必ず食堂車が付いていたりする.もちろんICEは食堂車付き.このへんが日本とサービス提供の根本的な思想の違いを感じる.日本は客を運びさえすりゃぁいいんだろ,みたいな感じが年々強くなって行くのが残念なところ.

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そして,標題のお話し.下の写真はフライブルク駅3番線を出発する列車の編成表であり,黄色が一等車,赤が食堂車,緑が二等車である.

DSCN0907概ね3種類の編成が使われていて,客車12両+機関車2両の初代ICE編成,8両×2のICE3編成,それから制御室客車付の8両+機関車1量のIC編成.あとは写真にはないが,夜行列車.

まず,さっき書いたように,必ず赤い食堂車が入っている.1等車に陣取れば席でオーダーすれば軽食は持ってきてくれる.

それから,気付くだろうか,1等車の比率が日本に比べてちょっと多い.列車によって微妙に違うが,初代ICE編成だと比率は1等車が4/12=33%,2等車が7/12=58%,食堂車が1/12=8%.ICE3編成でも,1等車が4/16=25%,2等車が11/16=69%,食堂車が1/16=6%.IC編成だと,1等車が1.5/8=19%,2等車が6/8=75%,食堂車が0.5/8=6%.

日本の新幹線だと,東海道新幹線16両は,グリーン車3/16=19%,普通車が13/16=81%,食堂車なし.東北新幹線だと,グランクラスとグリーン車で2/10=20%,普通車が8/10=80%,食堂車なし.

日本のグリーン車の方が希少性が高い感じ.実際にICEやICの1等車に乗ると,日本のグリーン車ほどの高級感はない.もちろん,2等車の座席が布張りに対して1等車は革張りだったり,差別化は図られている.だが,日本のグリーン車が「お金持ち」がターゲットな感じであるのに対して,ICEやICの1等車のターゲットは,ビジネスマン,長距離旅行者,どうしても静かな雰囲気で乗りたい人等々.カジュアルな服装で若い人が乗ってくることもしばしば.これはフランスのTGVにも共通している.

日本の新幹線は大都市間連絡列車なので,基本的にはビジネスマンが主ターゲットなのに,なぜか本当の意味でのビジネスマン向けの座席の設定がなく,高級席かエコノミークラスしかないというナゾ.

パリのLRTの踏切の処理

パリのLRT.といっても,この路線は専用軌道のみ(10年前).

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セーヌ川沿いの道路をつぶして軌道に敷き替えたことで有名なこの路線,基本的には60km/h制限で走る.写真は後ろ向き.

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元々道路なので,所々には元交差点の踏切がある.そして,この踏切部分だけ制限20km/h.

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さらに,この踏切には信号機も付いている.横断側道路でなくて,線路側.ここは赤色.

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こっちは青信号.これなら設備投資が少なくてもOKかも.

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