フォルダにあった,どこかで写したパネルの写真.どこで写したのか忘れたが,北海道だと思う.その内容は・・・宗谷海峡大橋,だと?
トンネルの案もあるようだ.
日ロ間については国境線が確定していない,ロシアの政治的問題,ロシアの鉄道が広軌で軌間が異なるなど数々の課題がある.だが,工事のしやすさを考えると対馬海峡にトンネルを掘るよりは距離が短く,サハリンと大陸間の間宮海峡も浅い海であるなど工事そのものはしやすそうであり,その気になれば意外と日韓トンネルよりは可能性が高いかも.
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KIX-エクスプレスのラフ検討
関西国際空港へアクセス鉄道としてリニアを整備せよ,という構想がある.おそらく上海のトランスラピッドに感化されたものだと思うが,果たして芽があるかどうか,ラフなフィージビリティスタディをしてみよう.起点を新大阪にすると,関空までの最短の鉄道延長は約50kmであるので,この数字を使ってみる.
最高速度を500km/h,加速度および減速度を山陽新幹線なみの2.5km/h/sとすると,加減速に要する時間は各200秒である.このとき,加減速時の平均速度は250km/hであることから,加減速時に要する走行距離は各々13.9kmと計算できる.残りの22.2kmが500km/hでの巡航となり,これに要する時間は160秒である.結局,合計560秒(=9.3分)が全区間の所要時間となり,特急はるかの48分と比べて38.7分の短縮である.建設費は東京-大阪間が約9兆円なら,1/10程度の距離なので9000億円といったところか.
次に,加減速度を阪神電車なみの4km/h/sにしてみると,加減速に要する時間は各125秒,加減速時に要する走行距離は8.7km,500km/hでの巡航距離は32.6km,走行時間235秒となり,合計485秒(=8.1分)が全区間の所要時間である.特急はるか比39.9分の短縮.
じゃぁ,通常タイプの新幹線ならどうだろうか. 最高速度を250km/h,加減速度を2.5km/h/sとすると(実際には速度が上がると加速度が落ちるが),加減速に要する時間は各100秒,加減速時に要する走行距離は3.5km,250km/hでの巡航距離は43km,走行時間619秒となり,合計819秒(=13.7分)が全区間の所要時間である.特急はるか比34.3分の短縮.建設費は最近の整備新幹線の見積である100億円/kmをもとにすると,5000億円か.
ついでなので,最高速度160km/hの在来線タイプならどうだろうか.加減速度を2.5km/h/sとすると,加減速には各64秒,その間の走行距離は1.4km,160km/hでの巡航距離は47.2km,走行時間1061秒となり,合計1189秒(=19.8分)である.特急はるか比28.2分の短縮.建設費はあんまり安くはならないので,5000億円程度か.
まとめると,こうなる.さて,どれを選ぶ?
建設費 | 所要時間 | 短縮 | △1分あたり | |
リニア新幹線500km/h | 9000億円 | 8.1分 | △39.9分 | 226億円/分 |
通常新幹線250km/h | 5000億円 | 13.7分 | △34.3分 | 146億円/分 |
在来線160km/h | 5000億円 | 19.8分 | △28.2分 | 177億円/分 |
どうしてできない新幹線(鉄道「政策」の上下分離を)
(ずいぶん昔だが)鉄道事業法が改正になって,線路の保有(第三種)と列車の運行(第二種)が別事業として実施できるようになった.もちろん,両方一体でもできる(第一種).いわゆる「上下分離」である.最近はLRT事業を睨んで,軌道事業でも似たようなスタイルが導入できるようになってきている.
ところで一方,トラック事業とかバス事業はどうだろうか.もちろん道路を運輸業者が自ら造って,その上でトラックとかバスを運行しても構わないのだが,通常はそんなことはせずに道路は公共(あるいは,それに近い事業体),走行する車両は事業者という分担が普通である.
さて本題である.鉄道の重要性が見直されていると言われている昨今だが,その割にはさっぱり整備が進まない.正便益不採算(*)が原因だとかなんだとかいろいろ言われているが,政策の上下分離ができていないことも原因ではないだろうか.経営の上下分離にあらず.
(*)社会的には事業実施した方がメリットが大きいことは明白なのだが,企業会計的には赤字になるので民間事業のような形態では成立させにくい,という話.
バス事業だと,インフラ部分の整備は公共で道路や街路などのインフラ整備部門のお仕事.その上は民間のバスが走り,これの管理・監督は公共の運輸部門のお仕事である.じゃぁ,同じようなシステムを鉄軌道にも導入したらどうだろうか.つまり,インフラ部分の整備は公共のお仕事なんだがインフラ整備専門部門のお仕事.その上を走行する車両等のシステム管理は,同じく公共のお仕事なんだが運輸システム専門部門のお仕事.
ちなみに現在の鉄道関係では,下物のインフラ整備部分も上物の運輸そのものの管理も同じセクションのお仕事.わが国でも交通基本法が導入され,通路概念に近いものが入ってきているので,通路確保のお仕事と,それを使って実際に運ぶお仕事を概念的に分離して,実際の政策も分離した方がいいのではないだろうか.
国土交通省が発足してもうすぐ15年.未だ何も変わらないというのでは,省庁再編の意味があったのか?
どうしてできない新幹線(「しない」シリーズ編)
- Question:これ,なーんだ?
- 政策立案しない
- 40年前の政策のまま.国土政策が大きく変わっているのに,鉄道政策はそのままでいいのか?
- 財源確保しない
- 特定財源無し.他の資金確保の案なし.新幹線建設の純粋な国費は公共事業支出の1%程度です(国家予算の1%ではありません).
- 予算確保しない
- 予算要求は前年度踏襲すればいい方で,工事が一段落することを理由に減額要求すらしかねない状況にある.国土強靱化のような「千載一遇のチャンス」も見す見す逃しつつある.
- ”ご説明”しない
- キーパーソンへの働きかけしない.国会答弁もしどろもどろで,よく聞いていても,主語と述語の対応関係もよくわからない状況.
- 主導権発揮しない
- イニシアチブとらないので,いろんな局面で姿が見えない.
- PRしない
- 本来は鉄道の社会的重要性の広報を率先してしなければならないはずだが,不十分.Webサイトは最近ちょっとマシになったが,まだ貧弱.
- 工夫しない
- 旧来の手法に凝り固まっており,新しい鉄道システムなどの工夫がほとんどない.
- 調査しない
- 自ら調査はせず,外郭団体や民間会社まかせ.
- 設計しない
- もちろん,設計も外郭団体や民間会社まかせ.
- 施工しない
- 当然だが,工事も外郭団体や民間会社まかせ.
- 運営しない
- まぁ,当たり前だが民間会社のお仕事なので.
- Hint:業界では「お公家様」と呼ばれているらしいです.
- #「しない」が入ってないけど,「鉄道に対する愛情がない」とか「国民の方を向いていない」とかも付け加えてもいいかも.管理するだけで,このすばらしいものを拡げよう,活用しようという姿勢が感じられないんだが.ここが活躍しなければ,他には該当するセクションがないんだが.
トラム変幻自在(新幹線とすれ違うトラム編)
ドイツのカールスルーエ市のというと,LRTのことを調べたことのある人なら必ず聞いたことのある都市であると思う.カールスルーエの場所はこの辺.
[map zoom=”10″]Karlsruhe, Deutschland[/map]
このまちのLRTは,市役所職員の話によると「質より量」の方針らしいが,この都市で有名になった「質」の面での工夫がある.カールスルーエ方式と呼ばれる郊外鉄道線と市内路面軌道線との直通運転がそれで,乗り換え無しで住宅地から中心市街まで行けるようになっている.郊外線はドイツ鉄道の線路なので,下の写真のように赤い近郊電車が走ってきたり,時には隣国から高速列車が乗り入れてきたりする.
その横の線路を黄色いLRT用の電車が走っており,タイミングが合えば日本の新幹線相当の電車と路面電車相当の電車がすれ違う,などということも生じる.下の写真は上の写真の3線部分の最も手前側の線路を黄色い路面電車が走ってきたところであるが,もちろん,2線しかないところでもICEとLRVのすれ違いはある.(…が,それを写真にとらえるのは至難の業)
3枚の写真は,この駅の構内で撮ったもの.
どうしてできない新幹線(基本計画フェードアウトの件)
さて,皆さん,新幹線の「基本計画図」を最近見たことがあるでしょうか.えぇっ,ググればすぐに見つかるって?
よく見てください,それは公式資料ですか? それは最近の資料ですか? よく見るとどこかに「昭和」って書いてませんか? 国のつくる公式書類で「基本計画図」を最近見たことありますか?
新幹線の基本計画線を整備計画に格上げしなければならない話とか,そこまで行かなくても在来線の改良を新幹線の暫定整備計画の枠組みでできないか,とかの話を政府担当某局に持って行くと,てきめん機嫌が悪くなると言うことは良く聞く.
加えて,インフラ整備がらみの話で「基本計画図」を参照したくなっても,最近は公式な図をとんと見かけなくなったという話も良く聞く.
もう「基本計画」は無かったことにしたいんだろうか? それならそれで,基本計画の廃止の手続きを法律に則ってすべきなのだが,それすら気配は無い.のらりくらりと,フェードアウトして忘却の彼方に過ぎ去ることを狙っているのだろうか?