前にも書いたがと思うが,リニア新幹線建設の大きな理由は「南海トラフ大地震こわい」である.
災害復旧能力の高い日本といえども,大津波で新幹線の線路が流されたり,100キロ,200キロ単位で震度6−7地帯を通過すれば復旧に年単位を要する可能性がある.日本の国家運営に重大な影響を及ぼす可能性が非常に大きいほか,当の鉄道会社の経営も傾きかねない.
そこで,東京-名古屋間に別線で新幹線を建設する,それが中央新幹線である.バイパスである.
さて,「中央新幹線は東海道新幹線の災害対応のバイパス」のイメージが先行している関係で,全線にわたって新線を要していると思い込んでいる人が,専門家を含めて多いのだが,よく考えてみて欲しい.
南海トラフで年単位の不通区間を生じかねないのは「東京-名古屋間」である.名古屋から西は震度5−6弱の区間が続くので,被害皆無とは言わないが,バイパス新線をつくらないといけないほどの壊滅的被害を受ける可能性は低い.
名古屋以西のルートに関して,こっちを通ると断層が1本で,こっちだと2本,などと言う専門家もいるらしいが(そもそも,地震のリスクを断層の本数で云々と言っている時点で,真剣に考えているとは言い難いが),直下の地震で数ヶ月の不通があったとしても,数兆円掛けて新線を建設しなければならないほどの理由にはならない.今まで新幹線が地震で不通になった事例は数度あるが,いずれも復旧までの期間は3ヶ月程度以下である.
そういう観点からすると,リニア新幹線名古屋以西については名古屋以東とは異なる観点で建設の是非や方法について議論する必要がある.リスクヘッジだけの観点から言うと,鉄道会社にとっては名古屋以西の建設の意義はあまりなさそうである.その実,国や沿線,与党などから早期全線完成の働きかけがあっても反応が鈍い状況にある.資金計画などを見ても,本気で取りかかればもっと早期に完成しそうにも思えるが,「様子を見てから,名古屋から西側に取りかかろうかなぁ〜」という感じである.
※資金計画の分析については,また時間があるときにでも.
※災害対応を重視するのなら,主要ターミナルが海岸の近い低地の「品川駅」の地下,水害で水没しかねない「名古屋駅」の地下,河口に近い淀川付近で津波の指摘もある「新大阪駅」って,どうよ.災害の専門家なら,誰か突っ込んでも良さそうなもんだが,誰も突っ込まないのね.名古屋市営東山線て,こないだ名駅が水没しかかってたよね.
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【祝】整備新幹線開業前倒し(だが・・・)
まだ決まったわけではないのだが・・・整備新幹線(北海道,北陸,長崎)の完成時期を早めるべく,資金計画の練り直しがされつつある.
その点だけを取り上げれば「【祝】整備新幹線開業前倒し」なのだが,そう手放しでも喜べない.
新しい資金計画のポイントは,各整備新幹線が開業することによって発生することになっている将来のリース料収入を担保にして,借金をして建設資金に充当して完成を早めるというものである.新たな国庫財源を探すことなく建設時期を早められるということであるのだが,ちょっと待てよ・・・その案は,タコが自分の足食ってるに近いぞ.
確かに開業は早まり,発生する便益を早期に享受できる.そういう点では社会的便益は大きい.ところが,各整備新幹線が完成するに至った場合,新たに完成した新線のリース料収入は借金の返済に充てられ,リース料収入を財源とした新たな路線の建設はできないことになる.
つまり,どういうことかというと,「今着手している路線の建設が終わったら,新幹線の建設は終わり,終了」ということである.
1970年の全幹法成立直後の基本計画が,2010年代半ばの段階の観点において建設すべきか,せざるべきか,しないとするならば他の都市間鉄道サービス改善の代替案は存在するのか,等々の一切の検討をすることなく,「今着手している路線の建設が終わったら,新幹線の建設は終わり,終了」である.
この国には,幹線鉄道網計画全体を俯瞰できるリーダーは,残念ながら存在しないようである.ちゃんと財源探そうよ・・・
新幹線の線路際の信号機
東北新幹線(昔のかっこいいの)
「新幹線」は走っているが・・・
東京方面への「新幹線」は走っているのだが・・・
ここは田沢湖駅で,「新幹線」の駅である.ただし,「ミニ」なので,在来線列車と線路が共用でる.・・・というか,在来線そのものである.
さて,「新幹線」以外の在来線列車はどうかというと,時刻表は真っ赤っか.つまり,「新幹線」だらけで,それ以外の列車はほとんど走っていない.盛岡駅の隣の駅とほぼ事情は同じである.
「新幹線」の議論は多いが,ローカル列車をどう維持するのか,という議論は少ない.かといって,ローカル列車のために新幹線をはじめとする幹線鉄道をあきらめろ,という議論では将来の発展がないであろう.
新幹線用地?(札幌駅西側編)
札幌駅から西側に高架橋沿いに歩くと,ほぼ未利用の空き地がずっと続く.高架工事をする際には,側道が整備されることが多いのだが,側道というわけでは無いようである. 新幹線用地?
沿線のマンションも,この空間を避けて建てられている.この部分は遊歩道化されている.
用地は,鉄道会社の関連会社が管理しているようである.
隣の駅のすぐ横の建物も,複線の高架線路程度開けて建てられている.
このへん
なかなかできないFGT
大鳴門橋
今さらながらのお話しであるが,本州と淡路島を結ぶ明石海峡は,コストダウンのために道路単独になってしまい,鉄道を通す部分はない.
淡路島から四国への大鳴門橋については,瀬戸大橋と同じく,鉄道を通す空間が最初から作られており,若干の改良を施せば道路鉄道併用橋になる.
これは,その鉄道用の空間.新幹線が複線で通せるようになっている(ただし,実際に走る際には信号制御で同時に橋の上ですれ違わないようにするらしい).瀬戸大橋の空間と同じく,もったいない話である.通常なら会計検査院から大目玉の案件である.
これは横から見た様子.
四国新幹線用の空間であるが「四国新幹線をリニアで」という話があるのだが,もちろん,ここを通過することを想定していると思う・・・が,この鉄製の橋を磁石の塊であるリニアは果たして通れるんだろうか?
確か,リニア用の橋は普通の鉄製の橋ではなくて,いろいろと特殊だったと思うが.
宗谷海峡大橋,だと?
あれ?何かいた!?
大阪モノレールに乗っていると,大阪の鳥飼というところにある新幹線の車両基地のすぐ近くを通る.
古い写真なので,懐かしい車両が多い.はじめて270km/h運転をした300系,今やのぞみ号で出会うことも少なくなった700系,ゆったりしていて乗り心地がよかった100系,それから,なんだあれ?何かいた.
これだね.いたいた,ここにいた.今から13年前の風景.浜松の車両整備工場.
試験運転とはいえ,営業線でリニアに近い速度を出していた.東海道新幹線はリニア建設でスピードアップされるが,その他の新幹線はこういう速度を目指して速度向上してくれないかなぁ.東海道新幹線では無理でも,それ以外の路線は,線形だけは300km/hとか350km/hとかにも対応できるんだけどなぁ.
今,この車両は名港にある鉄道の博物館で見られるとともに,米原駅のすぐ南側の鉄道総研の敷地内にも飾られている.