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Metzの3連節BRT(走行空間編)

日本の「BRT」とは異なり,ちゃんとした「BRT」は原則として専用走行空間が確保されている.郊外の専用道路の場合もあれば……

大学の敷地内の専用道路の場合もある.下の写真はソルシー大学の構内で,ぐるっと1周する「単線」の専用道路だ.

市街地内では元々あった道路をBRTの路線にしており,一般車両のレーンを制限しても専用のレーンを確保している.

元々あった街路なので,BRT用の2車線を十分に確保できない場合もある.そういう場合は信号機をつかって交互通行だ.

中心街部分は公共交通専用の通路と歩道の組合せ,つまり,いわゆるトランジットモールだ.ここは石畳になっている.残念ながらBRTの乗り心地はガタガタしており,あまり良くない.

中央駅前広場も一般車と区別されており,石畳の専用通路だ.

時には専用通路を確保することが難しい場合もある.そんなときには一般車両とレーンを共有することもある.下の写真は片方向は専用通路になっているが,反対方向は一般車とレーンが共通である.

十分な広さが確保できる場合は一般者用の道路と別に歩道やBRT専用道路が建設される.

日本の「BRT」って一般車に交じって運転されてるところがあるんだってねぇ.それって単なるバスだよね.

 

Metzの3連節BRT(停留所編)

Metzの3連節バスを使ったシステムが単なる「長いバス」でないのは,車両以外の部分がほぼ完全にLRTと同じシステムになっているからである.

例えばこれは停留所.両側の広告は近年日本でもおなじみになりつつある「JCDecaux」の文字が入っており,停留所の管理はこの会社の広告収入を原資にしていることがわかる.

設備的には,街灯,ゴミ箱,大きな屋根,椅子,切符類の券売機,駅名標,路線図,時刻表,電光掲示,プラットホームである.(メルシー病院前)

バスが到着するとこんな感じ.(ポンピドゥセンター前)

別の停留所でも,基本仕様は同じである.(ソルシー)

停留所に券売機があることからわかるように,事前に乗車券の購入が必要であり,車内には券売機類はなく,運転士も運賃収受には一切関与しない「信用乗車」が導入されている.

また,電光表示器があることからわかるように,バスの位置は管理されており,いつ来るかわからない,などということはない.

線路さえ敷けばLRTと寸分違わないシステムになっている.

ここまでするのなら「BRT」を名乗ってもいいかもしれないが,バスだけどこかから買ってきてきても,それは単なる「長いバス」である.画竜点睛を欠く.

 

国境を越える路面電車(2)

フランス東部のストラスブールの中央駅の地下から,D系統のトラムに乗って約30分.

ストラスブール市の郊外までやってくると,路面電車は橋を渡る.

 

橋を渡ったところはドイツのケールだ.

電停は多くの客で賑わっている.オレンジ色のはっぴのような服を着たおじさんは,どうやら券売機の操作方法を教えているようだ.まだ延伸開業して半年経過していないので,慣れない利用者が多いようだ.

この多くの客は何の目的でケールにやってきたのか不思議だったので,後をついて行ってみた…

しばらく歩くと,そこには,ケール市の中心商店街があった.

ここの「国際列車」は日常生活レベルでケール市とストラスブール市を結びつけたわけやね.

 

国境を越える路面電車(1)

日本ではあり得ないが,欧州の国境附近の都市が路面電車整備をして,その路面電車網を拡大させてゆくと端っこの方で国境を越えてしまうことがある.

割と古い方ではここ.

ドイツ西部のザールブリュッケン.市街を抜けると,ドイツ鉄道の線路を走り…

終点駅の手前に「RFF」の看板があり…

そして終点駅は…

フランスの駅だ.路面電車だが国際列車である.

元々は国鉄列車が走っていたような区間なので(実は本数は少ないが,まだ毎日数本は走っている),路面電車でありながらザールブリュッケンとサルグミヌ駅間はレールパスが有効だったりなんかする.

 

この踏切が閉まるのは列車通過の●分前

日本の大都市には「開かずの踏切」があり,何かと都市計画上の大きな門痔になったりなんかする.抜本的に解決するには,何百億円もかけて立体交差にするわけで,結構やっかいだ.

さて,ドイツのザールブリュッケンから郊外方向に近郊電車S1で15分ほど乗ると,Kleinblittersdorfという小さなまちの駅に達する.試しに降りてみる.

近郊電車と言っても路面電車がそのまま郊外鉄道線を走るTram-Trainだ.終点まで乗り続けると,国境を越えてフランスのサルグミヌまで行ってしまう.

写真には踏切が写っており,橋を渡った向こうの奥の教会はフランス.こっちはドイツ.そんな場所である.この踏切,警報器が付いているものの,音は一切発することなくいきなり赤ランプが点滅して遮断機が降りる.

さて,何がやってくるのかなぁ…私の乗る電車まではまだ6〜7分もあるのに.

何も起こらない.

2〜3分経過.

何も起こらない.

仕方がないので,電車に乗るべくホームに向かうと電車がやってきた.

そして,電車がホームに着くと,電車の後方に位置するあの踏切が上がった.

こんな場所で,数分も前から遮断機を下ろしているわけだな.んんん〜

 

BRTの乗り心地

あくまで個人的な乗り心地に関する感想だが…

LRT(*1) >日本の新交通システム > 連節バス(*2) ≒ TVRのバスモード(*3) > TVRのトラムモード(*4) ≒ トランスロール(*5) > 三連節バスの1両目(*6) > 同2両目 >> 同3両目

*1:ストラスブール,etc…多数
*2:ナントほか
*3:ナンシーの終点近くの末端部分
*4:ナンシーやカーンの中心街部分
*5:クレルモンフェランなど
*6:メスなど

形が似ていても,だいぶ違います.あくまで個人的経験に基づきます.

LRTが基本的には加減速時の前後方向の揺れが大きいのに対し,バス系が乗り心地が悪い理由はハンドル操作による左右方向の自由自在な動きによる揺れが加わること.

TVRやトランスロールの乗り心地が悪いのは,ガイドに案内されて走行しているので,同じ路面を踏みしめて路面が痛みやすいことと,車両のサスが悪いこと.

三連節バスは,バス系の基本的な揺れに加えて,後ろに行くに従って,なんだか上下動が増幅されているように感じであること.

見かけだけで「おんなじようなもの」と思わない方がいいです.

カールスルーエの「絶滅危惧種」Regio Bistro

カールスルーエには,かつて世にも珍しい「食堂車つき路面電車」が走っていた.何度か外から見かけたことがあったが,乗れず仕舞いで,近年は既に食堂車設備が廃止になって見かけなくなってしまっていた.

ところが…

こ,これは実物ではないか.急遽予定を変更し,このトラムの行き先も確認せずに乗車してみた.

これが「食堂車」の車内だ.

厨房はこんな様子だ.


厨房設備は,電子レンジ,流し台,コーヒーメーカか? 残念ながら営業はしていなかった.

座席にはテーブルがあり,なんとトイレ付きである.

どうやらこれら設備を撤去して,単なる座席に取り替えられている編成がほとんどのようだ.さようなら,幻の食堂車つき路面電車.営業中に乗ってみたかった.

ところで,日本には特急はおろか,新幹線にも食堂がないんだって?

 

マンハイム駅の駅前広場の使い方

マンハイム駅の駅前広場の夜景.

手前の大面積を占めているのは,路面電車乗り場兼バス乗り場.同じホームにトラムとバスがやってくる.バスはもちろん,長いバスである連節バスもある.あ,いや,国交省風にいえばBRTかw

奥はタクシー乗り場であるが,実は1/3くらいはバス乗り場である.ということで,”日本の国交省基準では”,広場の全面積が公共交通に割り当てられており,私的交通は駅前広場には入れない.

じゃぁ,一般車はどこに寄せるのかというと,この広場の地下が駐車場兼車寄せになっている.

上下移動のない一等地は公共交通というポリシー,見習いたいもんだねぇ.

 

市内交通「一日券」いろいろ

ヨーロッパに来てよく使うのが,市内交通の一日券.ところが若干都市によってクセがある.

主なポイントはこのあたり.

  • 買った瞬間から有効なものと,買ったあと,電車に乗る際にバリデーション(有効化)作業が必要なもの
  • 有効な期間中は持っているだけでいいものと,乗車の都度,検札機に通す必要があるものがある.
  • 買った瞬間もしくは有効化した瞬間から24時間有効なものと,その日の終電まで有効なものとがある.
  • 磁気カード方式か,ICカード方式か,はたまた単なる紙か.

だいたいの場合,細かな説明は現地語だけで,英語の解説のないことが多い.

時にはどうやら取扱が微妙に間違っていて,検札員に罰金を払えとまでは言われないものの説教されることもある.でも,わかんねぇよぉ.

カールスルーエ地下線建設進行中

あまりにも電車の本数が多かったので,カイザー通り(とマルクトプラッツから南下する通り)は地下化工事中である.

すでに地下線の出入り口は姿を現しており…

そう遠くないうちにこの風景も無くなる.
反対側の出口.