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東海道新幹線の雪落とし作業

#例のごとく与太話なので,あんまり真剣に読まないようにしましょう.

毎冬,雪が降ると東海道新幹線の関ヶ原前後の区間で速度を落として走行し,名古屋駅などで車体に付着した雪を落とす作業をしている.

恒例作業だが,恒例ならいっそ車庫にある洗車機みたいなので,床下を重点的にするような雪落とし機を設置しとけばいいんじゃないかと思うんだが.いかんのか?

#そこまでするほどの稼働率にはならないかも.

機関車の推進軸

電車のモーターは車輪のすぐそばにあるが,ディーゼル機関車のエンジンは車体そのものに収まっている.

そうすると,車体のエンジンから台車に回転力を伝える必要があるので,こういう太い丸棒でエンジンと台車とが結ばれることになる.

剛結すると役に立たないので,振動や台車の回転を吸収できるように継ぎ手が付いており,このおかげでこの丸棒が自由に回転できる.

なら電車もこういう方式にすれば,FGTのようなややこしい台車を若干簡単にできるわけだが,欠点もある.

この丸棒,整備不良でたまに線路に落っことして運行不能になったりする.運行不能になるだけならいいが,運が悪いとこの丸棒のおかげで車両が破損したり脱線転覆したりする可能性もある.

ちゅうことで,新幹線のような高速運転する電車にはあんまり向いておらず,FGT改良の切り札にはなかなかなりそうにない.

初夢鉄道2017(自動化編)

夢を見た.

20xx年,交通機関の自動化はかなり進んでいた.2010年代半ば以降注目された自動車の自動運転技術は,技術自体は完成するのは早かったものの,関連する法体系整備に時間がかかり,完全自動運転であるレベル4の自家用車への導入には思いの外時間がかかった.

その間,すでにATOという自動運転技術が導入されていた鉄道分野へは比較的早期に導入された.地下鉄を含む都市圏の通勤輸送では自動車の自動運転技術を応用した「新型ATO」の導入が行われており,ホーム柵の導入が終わった区間では「新型ATO」が稼働している.ただし完全に無人運転かというとそうでも無く,非常時の習熟目的という名目で運転席には乗務員が座っている.ドアの開け閉めの監視をするだけなので,実は運転士ではなく車掌相当の仕事しかしていない.もちろん,ドアの開け閉めそのものは「新型ATO」の機能の一部なので,本当に監視しているだけである.

地方部の鉄道でも閑散区向けの「新型ATO」が導入されている.こちらも乗務員がいるが乗務員の主な仕事は検札である.といっても大半はドア入り口のカードリーダー(というか,わざわざかざさなくてもカバンの底に入れたカードのチップを自動的に読み取ってくれる)で運賃収受は済んでいるので,本当の仕事はこちらも乗客の「監視」だけであり,客からはアテンダントと呼ばれている.

リニア新幹線は開業当初より自動化されているが,既存の新幹線にも「新型ATO」が導入されている.とはいっても東海道新幹線開業時点から自動ブレーキ装置であるATCが導入されており,2000年代半ば以降には定速運転装置も装備され始めたため,新幹線用「新型ATO」はドアの取り扱い機能と,従来からある近郊鉄道用のATO(2015年現在で既につくばエクスプレスで導入されているようなもの)の加速機能を追加しただけのようなものであった.(新幹線の運転士の目視力とそれに基づく判断は,初期の新幹線の段階で既に必然性を失っていた)

バスももちろん自動化されている.最初に導入されたバス路線は,ローカル鉄道線の廃止転換路線であり,専用道路を走行するものであった.例のごとく国土交通省が「自動運転の新型BRT」と称して宣伝したため,結構バス転換の話に乗る地方路線は多かった.実態としてはやはりバスであり,単に運転手がいないだけであったため,高速運転されるわけではなく,運賃が安価になるわけでもなく,サービスの改善自体はほとんど無く,後述する「新型自家用車」に対抗できるような交通機関にはなり得ていない.

さて,自家用車の自動運転については法体系の整備によって普及が進んだが,同時にレンタカー会社,タクシー会社,バス会社などが共同事業として始めた無人運転タクシーが普及し,一部の金持ちのステータスをひけらかす目的の自動車以外は自動車を自家保有する必然性が低くなり,自動車保有率が下がってきている.ただし,そのまま「新型自家用車」や「無人運転タクシー」で目的地まで行ってしまう人が多いので,自動車保有率の低下が即公共交通の利用向上に繋がっているのかというと怪しい.新事業会社は無人運転タクシーをパーソナル公共交通と呼べと言っているが,公共交通って一体何なんだという,公共交通の定義についての議論が始まっている.

その他の産業面でも自動化が大幅に進み,雇用の問題が大きな問題になっている.自動化ロボットの導入が安いか,移民の導入の方が安いかといった議論を産業界でしているようだが,果たして人間社会はどうあるべきかという議論は置き去りにされている.20xx年の若者の多くがどういった仕事を通じて社会参加すべきかという深刻な悩みを抱え込むようになり,新たな社会不安を増大させている.

…というところで目が覚めた.

JR九州社長…軌道可変「お受けできない」

JR九州の青柳俊彦社長は記者会見で、九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)で導入予定のフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)の開発遅れについて、「安全性など運…

情報源: JR九州社長、長崎新幹線「フル規格」要請を示唆…軌道可変タイプは「お受けできない」

まぁ,そらそうなるよな.

国土交通省のFGT推進の現政策は,「未完成のものが設定した期日までに完成してほしい」という願望の上に成立っているからなぁ.

これまでの新幹線で採用された技術は,高速走行技術の要である台車ですら,50年前の時点ではBrandnewというわけではなかったらしい.東海道新幹線の開発というと,よく試験台での台車の試験中画像が映されるが,その当時のその台車,そもそもドイツの実績のあった台車をよく“研究して”設計されたものらしいので,一応200km/h程度の運転実績のある設計だった模様.

FGT台車はスペインの技術導入がされているらしいという話もあるが,確かあちらの台車は「機関車+客車」の無動力客車か,電車でもモーターは床下に置いて推進軸で駆動するタイプ(ディーゼルカーのエンジンをモーターにしたようなもので,推進軸の落下事故が多い)なので,日本のものとはずいぶん違う模様.

さすがに自社の列車を「試験列車」にして,客を人柱にするわけにはいかんわな.「新しいヘッドライトを試験導入してみました」とか「新しいエアコンを試験導入してみました」とか「新しいインバーター装置を試験導入してみました」とか,そういうレベルなら営業車でも可能だろうが,台車はさすがにヤバイ.

技術開発が完了してから導入を考えるべきだよね.ちゅうか,普通は低速走行列車で実績を積んでから高速列車に応用するのが筋だと思う.

レールブレーキ

ドイツのディーゼルローカル列車.

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こういう列車にも日本の車両ではあまり見かけない装置が付いている.

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レールブレーキだ.電磁石をレールに近づけ,レールに電流を生じさせてそのままレール内で熱に変えて列車の運動エネルギを削ぐ.

欧州の高速列車でよく見る装置だが,日本では軌道が座屈破壊するのではないかということで採用されていない.

なお,欧州のローカル列車は,こういった列車でも120-130km/h運転は当たり前であり,150-160km/h運転も珍しくない.

 

フリーゲージ長崎実験線?

再び,このお話.

九州新幹線長崎ルート(博多-長崎)に導入予定のフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)を巡り、国土交通省の水嶋智鉄道局次長は21日、佐賀県庁で副島良彦副知事…

情報源: フリーゲージ延期を報告 佐賀、長崎県に国交省

国土交通省は,あくまで平成34年(2022年)の時点で九州新幹線の長崎ルート開業時にフリーゲージトレインを入れたい意向だが,ちょっと待て.新技術の使用は机上のスケジュールで決めるのは危ないぞ.

確かに営業列車を使って新しい技術を確かめるという方法は存在する.ただし,それは新技術が「フェールセーフ」の時だけだ.つまり,予定通りの機能を発揮しなくても,安全な挙動を示すだけで致命的な結果には至らないような場合は営業車を使って試験してもかまわないだろう.

例えば,乗り心地を改善する装置なら乗り心地が低下するだけで走行そのものには問題が無いとか,エネルギー効率を改善する装置なら効率が低下したり機器が停止したりするだけで走行そのものは続けられるとかである.

ところが,フリーゲージトレインの新しい技術は走る装置そのものである台車である.走行中に台車が壊れれば,停まるだけ…なわけなく,脱線転覆レベルだ.フリーゲージトレインの開発において,走行中に台車が破損しても大丈夫なように多重系にしたとか,安全に停止できる装置を併設したという話は聞いたことが無い.とすれば,信頼性が一般の新幹線レベルの信頼性に達して初めて営業車に使うべき技術である.

このままだと,十分な走り込みもせずに九州新幹線長崎ルートに投入ということになりかねない.そうなったら,「フリーゲージ長崎実験線」だ.新幹線の安全性は「枯れた技術の投入」が原則ではなかったのか?

現実的な九州新幹線長崎ルートの解は,佐賀県下のフル規格新線建設か,もしくは新鳥栖-佐賀-武雄温泉間のミニ新幹線化(一部は三線軌化)であろう.フリーゲージ導入は,技術が確立されて以降に建設される新幹線からだ.

技術者倫理の観点から,決して「人柱」はしてはいけません.

 

駅の近くにいると聞こえてしまうもの

引っ越して10年以上経つが,たとえ快速電車が停まらなくても駅の至近は超便利である.どれくらい近いかというと,窓を開けて耳を澄ませば,駅の構内放送が聞こえるレベル.

何やら自動放送ではない,駅員が直接いろいろしゃべっているときは,たいてい電車が遅れている.また,寝る前に風呂に入って耳を澄ますと終電車の音が聞こえる.

パァーーーーーン,キキキキキキィィィィィィーーーー

これはろくでもないことが起こったときの音.ほとんどの場合は,駅のすぐ近くの踏切を電車が通る直前に誰かが横切ったときに聞こえる音.

1ヶ月ほど前,蒸し暑いので少し窓を開けて昼寝をしていたら…

グアァシャーン,,,パァーーーーーン,キキキキキキィーーーー

いつもの音と違う「ヤバイ音」.電車のフロントガラスの割れる音って,そういう音がするんだ…

 

FGT前提計画は未開発技術採用

かつて東海道新幹線が建設されたとき,一応,未開発の技術ではなく当時使用実績のあった技術を集めて開業に至った.

その後の整備新幹線は言わずもがな.

スーパー特急方式は,狭軌200キロ運転は実績がないが,160キロ運転程度なら試験列車の実績があった.

ミニ新幹線は,車両だけ狭軌広軌両用で,(細々とした部分はともかく)特に新規の技術はなかった.

リニア新幹線も技術開発が一定水準に達したことを確認してから建設することになった.

ところがFGTはというと,技術開発が現在進行形である.にもかかわらず,まだ完成していない技術を九州新幹線長崎ルートで使うことが予定されている.まるで実験線だね.一時期,北陸新幹線の敦賀以西でも使用が想定されていた.

なんか違和感あるなぁ.まだ実用になるのかどうか分からないので,FGT採用を前提とした路線計画は,技術開発が要求水準に達したことを確認してからあらためて立案した方がいいかも.

つまり現時点で路線計画をたてるのなら,これまでの例に倣うと,FGTの使用を前提とせずに計画した方が適切かも.などと思う今日この頃.