なんだか「中速鉄道」が日本の新幹線計画の救世主だという錯覚が蔓延しているらしい.新幹線の基本計画線沿線地域でそういう話を時折聞くようになった.
「200km/h未満の速度でもそこそこ便利じゃない?」的な発想であるが,たしかに欧州レベルなら便利である.欧州レベルなら.
欧州の「中速鉄道」こと「在来線の改良区間」では150-200km/h運転は当たり前である.それは,線路が真っ直ぐで踏切がほぼ皆無だからである.そういう状況なので,一部の曲線を改良しさえすれば「そこそこ高速運転」ができてしまう.
ところが,日本の「中速鉄道」の議論では,その辺を完全無視して,「160km/h運転すれば便利になるはず」と思いこんでいる.最高速度が160km/h運転で便利なら,北越急行線で十分であり,北陸新幹線は不要だったはずである.
このような曲線改良が効果を発揮するのは,踏切がほとんど無くて,一部の曲線以外は線路が真っ直ぐな路線だけである.例えばこんな区間.踏切も少なそう.
都市間の線路は基本的に田んぼを突っ切る真っ直ぐな線路であり,所々に方向を変える曲線が入るだけ.これなら曲線改良&少数の踏切のアンダーパス化などで十部効果が期待できる.
でも,こんな路線だと,そもそも「中速運転」ができない.
カントをつけて,風による転倒を防ぐための防風壁を設ければ既存の在来線の線路でも160km/h運転可能だという暴論も存在するが,防風壁で風が本当に防げるのなら,湖西線の運転休止は存在しないはずである.
こういう区間(振り子式車両が投入されているような区間)は,結局のところ真っ直ぐな新線を建設せざるを得ず,真っ直ぐな新線ならば速度を160km/hに抑えなければならない理屈も存在しない.暫定整備計画の「青函トンネル方式」になるだけである.
また,踏切についても「センサーを高性能化すればOK」みたいな論の展開をする人もいるが,高性能なセンサーを付けても,列車が通過する直前に踏切に侵入されれば何の効果も無い.
なお,本家中速鉄道のドイツの場合,在来線改良で150-200km/h運転しているような区間では,「中速列車」と「ローカル列車や貨物列車」の線路は分けられ,複々線化される方向で徐々に整備が進んでいるようなので念の為.
#3億円もかかったらしい中途半端な報告書を真に受けないようにしましょう.






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