モノレールというと日本では空港に行く乗り物というイメージが強いが,今から50年以上前には未来の交通の主役として期待されていたフシがある.海外ではいずれ200km/hを超える高速運転されるものとして期待されていたのでは無かろうか.エアロトランも一種のモノレールである.
カリフォルニアやフロリダの「夢の国」に行くと,園内あるいは園間を結ぶ交通としてモノレールが整備されている.東京の「夢の国」のまわりをぐるぐる回る交通機関がなぜモノレールなのかというと,このあたりに起因しているのではないだろうか.



その後に米国で開業したモノレール(シアトル)も遊園地行きの交通機関である.


子ども向けに夢を与える未来風の交通機関ではあるが,実際にはコンクリート上をゴムタイヤで走行する交通機関なので,走行性能には限界があったようだ.
「鉄道で国づくり」カテゴリーアーカイブ
どのレーンがもっともよく働いているか
どのレーンがもっともよく働いているか,という授業時によく学生に出すクイズである.

選択肢は3つ.
- 端っこのバス専用レーン
- 2車線ある道路
- 中央の路面軌道

答えは,まぁ見え見えだが,3の路面軌道.ここ(熊本)では,路面電車が走ってくると,30人くらいは乗っている.車道を走る自動車は1台に1-2人程度しか乗っていないので,奥まで数えても数十人くらいしか乗っていない.しかも動いていないので,実は運んでいない.つまり,路面電車が2-3両走ってくると逆転勝利.しかも,奥まで見渡す限りクリアな軌道…ということは効率よく運んでくれる.
バスについても,空いていても10人くらいは乗っているので,これだけ数珠つなぎにバスがやってくると,運んでいるふりをしている自動車よりもたくさん運んでいる.
ロングレールの継ぎ目
弾丸列車計画の駅選定とリニア計画
東海道新幹線計画の祖先こと弾丸列車計画.正式には「新幹線計画」と言ったらしいが,最近刊行された書籍を読んでいると,どの都市とどの都市を結ぶべきか,つまり駅選定の際に考慮した事項が載っている.
大きく,3つの事項が考慮されていることがわかる.
- 輸送的観点…発着旅客数や貨物量
- 社会事情的観点…下記参照
- 現在線急行列車の停車駅…まぁ,つまり当時の実績ですね
2つ目の社会事情的観点については以下の項目が列んでいる.
- 人口
- 経済事情…生産力,海運移出入
- 政治事情…選挙区,議員数,官庁の分布状況
- 文化事情…大学や専門学校の設置状況
- 観光…観光地の状況
- 軍事…師団や旅団の司令部等の配置
- 交通事情…接続路線や後背勢力圏など
軍事はともかく,他は幹線鉄道計画としては至極当然の項目が列んでおり,これらをもとに東京〜下関間で20駅が選定されている.当時の列車の想定速度は150km/hであった.戦後,この計画は200km/h運転の東海道新幹線プロジェクトに引き継がれ,原案が鈴鹿山脈越えであったものを米原経由に変更した上で建設されている.元の検討の前提条件は150km/h運転,実際には200km/h運転なので,概ね+30%である.
さて,リニア中央新幹線計画については,1973年に決められた250km/h運転を想定した中央新幹線計画のルートを踏襲している.引き継ぐにあたって速度が250→500km/hと+100%になっており,ほとんど別物の交通機関になっているのだが,基本的なルート選定については「1973年の基本計画に書いてあるから」で済ませてしまっている.ホントにそれでいいのか?
ちなみに,東海道新幹線開業直前のビジネス特急こだま号は110km/hなので,200km/h運転になることでほぼ倍.つまりリニア新幹線プロジェクトは東海道新幹線登場時と同程度の速度引き上げ比率なのだが,500km/hという超超高速運転の乗り物は日本国のどことどこをどこ経由で結ぶべきなのか,まともな議論はされていない.
250km/h運転想定の計画を,+30%程度の320km/h程度のプロジェクトとして引き継ぐのであれば,さほど問題はなかったんだけどね.倍半分だとさすがに誰でも気づくほど差があるよね.
PARK & RIDE (SKY TRAIN編)
SKY TRAIN
ミニ地下鉄
ミニ地下鉄という地下鉄がある.交通システムの教科書では,中量輸送機関に分類されている小型地下鉄である.
地下鉄は地下を掘るため工事費がかさむが,同じ掘るなら掘る用が少ないほど工事費が安くなる.少しでもトンネルのサイズを小さくするために,通常型の地下鉄でも,屋根上の集電装置ではなくて第三軌条という三本目のレールを使って集電している.

電車だけれども屋根上スッキリ.


さらにトンネルを小さくするために,電車そのものを小さくし,床下の車輪も小さくするために通常のモーターでは無くて平べったいリニアモーターを使っている路線も多くなってきている.ホームの高さが低い.

もちろんトンネル径も小さいのだが,ミニ地下鉄が建設されるのは通常型の地下鉄よりも深いところであり,割安ではあるものの,建設費の絶対額は余りやすくはなっていないのが悲しいところ.


このミニ地下鉄はレール間のリアクションプレートが必要だが,レールは通常のレールなので,工夫すれば通常型の地下鉄路線への乗り入れもできるんじゃないかなとも思う.ホームの高さが通常のものとは違うので,ホームに段差をつけないといけないが,大阪市営地下鉄千日前線のように半分くらいホームが遊んでいる路線ならホームの前後で高さを変えればいいかも.集電装置が必要だが,通常型地下鉄と同じく,台車に付けてしまえば何とかなるかな.

今里筋線を千日前線に入れてしまえ,という,いささか強引なお話し.
LRT用電車の台車の秘密
知ってる人は知っているので,特別なことは無いLRT用電車の台車の秘密.低床式電車は左右の車輪の間に車軸が無く,各車輪がそれぞれごく短い車軸で支えられている.そういうわけで,駆動用のモーターを左右の車輪間に配置できないので前後の車輪間に設置して直角のギアで回転力を伝えている.

ブレーキは車輪に付いたディスクを挟み込むいわゆるディスクブレーキであるが,それとは別に非常用のレールブレーキも付いている.写真の車輪間に付いている長細いのがそれで,ドイツのICEなどの高速列車でも採用されている.

車輪は軸寄りの円盤と外側の輪っか部分では別パーツになっており,その間にゴムが挟まれている.ゴムを挟むことで騒音や振動を低減できるのだが,ドイツではこれを高速鉄道用のICE車両でも採用していた時期があり,これが原因で大事故を起こしたことがある.この構造では,そのままでは電気が通じないために駆動用の電流をレールに還すことができないため,内側と外側の間に短絡用の電線が付けられている.

車両のそこから車輪を見た様子.長い車軸が無い.

おかげで,車内の床面は低く,車輪自体はイスの下に収められている.

ちなみに,これらの写真はコンビーノである.
この踏切に引っかかると留年
ほんとかどうかは知らないが,この踏切に引っかかると留年したらしい.

大阪市立大学のすぐそばにあった,貨物線の踏切である.今はもう無い.滅多に列車が通らないので,その希有な列車に引っかかると留年する,という都市伝説があったらしい.

大阪から南に延びる阪和線と,東に延びる関西本線とを都心を迂回しながら結ぶ路線であった.南方面,つまり,和歌山方面の貨物列車が無くなった後は,回送列車がたまに走るくらい.その回送列車も天王寺駅構内に阪和線と関西本線とを結ぶ短絡線ができるとそちら経由になり,用が無くなって廃線になってしまった.
単線分しか用地は無いが,人口密集地帯を通っているので都市交通施設の用地として活用できそうである.LRTとして使えそうでもあるが,簡単に済ますなら,少なくとも日本式の自称BRTくらいの整備はできそうである.





















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