鉄道で国づくり」カテゴリーアーカイブ

…というわけで,切符を買ってしまいました

…というわけで,切符を買ってしまいました.

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朝早く大阪を出て,着くのは12時間半後.所要時間は航空の倍! 函館まで鉄道往復したことはあるが,記録更新だな.もちろん,往路復路とも陸路だ!

たぶん,この次に鉄道で札幌まで行くのは北海道新幹線が札幌まで完成した時だと思う.

新幹線札幌駅の件

新幹線札幌駅のホームの位置が決まらないという.元々あった新幹線駅候補用地に商業ビルを建ててしまったからだという.

ここまでアホな案件も珍しいが,目先の利益に走ってしまったんだろう.どうしても現駅西側の用地に建てたいのか? なぜ? 今ひとつ合理的な説明はなされていないようである.

巨大商業ビルをどうしても建てたいのなら,新幹線駅ホームになる階は準備工事をしておいて壁をぶち破りさえすれば力学的に何の問題も無くホームにできるようにしておくべきだったが,そういう先見の明も無かったようである.

さて,駅とビルの間を詳しく見ると,現1番線,およびビルとの間の空間を活用すれば,線路1線とホームくらいは設置できそうである.じゃぁ,(1面1線)×2を狭い空間に作る地下鉄駅のように,垂直方向に縦に並べてしまえば(2階と3階)一応収まるんじゃないかな.

神戸市営地下鉄三宮駅とか,京都市営地下鉄御陵駅(ここは2面4線)とか,縦に積み上げている例はいくつかあるぞ.地上なら京急蒲田駅(ここは2面6線)とかもそうかな.

・現1番線線路は新幹線用の線路に転用
・1番2番ホームは2番専用ホームに
・新幹線1番線線路用に南側にホームだけ設置
・新幹線1番線線路上空に新幹線0番線線路を設置(*)
・新幹線1番線ホームの上空に0番線ホームを設置(*)

(*)新幹線1番線の上空は0番線ホーム,新幹線1番線ホーム上空を0番線線路にする方が建設は楽かも.

3階部分を造ると,駐車場棟から現駅屋上の駐車場に車が出入りできなくなるとか言いそうだが,鉄道会社が「クルマが…」と言い出したら,終わりである.

なお,桑園駅の南側も狭そうなので,ここも縦に積み上げてしまえばいいと思う.

#今月末に札幌に行くので,詳しく観察してこよう.

名阪間をまっすぐに…

最近発売になった雑誌の特集号を見ると,リニアの名古屋以西のルートに関し,鉄道会社のトップが”名阪間は真っ直ぐ”と言っている.

(1) じゃぁ,真に受けて,真っ直ぐ線を引いてみよう.こうなる.名古屋駅-新大阪駅間,135km.「奈良付近」は京田辺/新田辺あたり.

名阪最短135km

(2) 三大都市圏以外では1県1駅が原則らしいが,以前から滋賀県には駅はできるという話は聞いたことがないので,滋賀県域に入らないようにすると…名阪間138km.完全な直線に比べて+3km.余分にかかる時間は約20秒.まぁ,”誤差の範囲”か.「奈良付近」は祝園あたり.

名阪滋賀回避

(3) 京都駅をまわることは遠回りだという認識らしいが,経由させてみると…名阪間145km.完全直線+10km.余分にかかる時間は,通過する場合で72秒.まぁ,大したことない.停めると,さらに+数分.停めるか停めないかが大きそう.

名阪京都経由

(4) 南限は大和郡山を経由する場合で,名阪間は146km.京都経由とほぼ同じ.直線+11km.余分にかかる時間は通過する場合で,80秒.これもまぁ,大したことない.けど,これって,数字以上に結構大回に見えるな.

名阪郡山経由

(5) 名阪間をなるべく直線で結びながら,なるべく沿線府県数を減らすために京都府と滋賀県を通らないようにするとこんな感じか.名阪間143km.余分にかかる時間は58 秒.まぁ,大したことないな.「奈良付近」は平城山あたり.

名阪京都滋賀回避

ということで,真に受けて真っ直ぐ線を引くと奈良には寄らないことが判明(…って,昔から知られてることで,鉄道評論家の本にも京田辺駅が登場するけど).

それから,京都駅経由が遠回りなら大和郡山経由も遠回りだと言うことが判明.でも距離的にはどちらも大して遠くは無い.ということは京都駅を通すと停めざるを得なくなって通過させる自信が無い,ということかな.

(ま,京都駅はそのままにしておいて別駅を新設した方が自社沿線地域の面積が広がるのでウハウハ,とか思ってそうだけど,長期的には「アレぇ?こんなはずじゃぁ…」と思うことになりそう,その件は,またいずれ.)

本命は(2)か(5)あたりか?

 

 

クリップ留め

「クリップ留め」というと,通常は書類のことであるが,最近はこんなものもクリップ留めである.

この写真は,これから敷設されるコンクリートまくらぎ.長寿命で重量があるのでずれにくいため,保守低減に役立つとともに,高速運転にも役立つ.以前のものは中央部がくびれていたが,最近のものはズン胴である.レールの下になる部分が少し幅広になっている.

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マクラギとレールは,簡素なものなら犬釘だけで固定されるが,さすがにそんな簡素なものは最近は見ない.レールとの固定もバネつきの鉄製を使ってボルト留めのことが多い.

さて,上のズン胴のマクラギの敷設後の様子.緩衝材がマクラギとレールの間にはさまれ,固定そのものは巨大クリップである.

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拡大するとこんな感じ.パチンと留めて終わり.作業の簡素化.

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レールとマクラギを留める方法だけでも,こんなにある模様

準備工事?

インフラ整備の際,こっそりと準備工事なるものがされていることは多い.些細な仕様変更さえしておけば,後々関連施設が拡張される際に出戻り工事が不要になっている,という類である.評論家が好きなネタだね.針の穴ほどの話を膨らませて本を書いたりするやつ.

例えば有名どころでは新大阪駅の在来線ホームや地下鉄御堂筋線ホームには新幹線ホームを増設する際の橋脚が準備されていたり,上越新幹線の長岡駅には羽越新幹線用のホーム空間があったりとか,そんな感じである.

そこまでたいそうでなくても,地味な準備工事はあちこちで見かける.例えば,この道路が線路を越える陸橋.単線なら線路を通す穴はもう少し小さくても良さそうなものだが,線路をどちらかに寄せれば複線が通せそうなだけの大きさにしてあるように見える.

どうせ陸橋を作るなら,線路を越える部分の橋の長さが3〜4m伸びたところで,大して工事費は変わらない,ということだろう.

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ところが,準備工事実施時には想定していなかった事態が起こると対応させるのに苦慮することもある.上の写真の陸橋に近づくと…

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線路の上空の架線がちょっと変である.陸橋の下をくぐる部分だけ上空の電線が3本になっている.電線を通すには高さが足りないようで,ぎりぎりまで電線を低くしている.

電線を低くすると,電車側のパンタグラフの電線を押し上げる力が強くなる(基本的にはバネなので)ので,その力強くなってしまったパンタグラフに「対抗」するために電線側を3本にしてあるわけだ.

つまり,陸橋の下の空間は,複線化は想定していたものの,電化はあんまり考えていなかった,ということだろうか.

将来を見越してインフラ整備をする,っって,言うのは簡単だけど結構難しいね.

Park&Rail駅?

さらに電車で約1時間.終点.

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ここも…「Park & Rail」である.ここまでしないと乗ってくれないわけやね.

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こっちはさらに奥地なので,大阪方面の電車のピークは6時台である.福知山線の篠山口と福知山の間は単線であり,毎時片道あたり特急と普通が1本ずつが限界のはずの線路容量だが,大阪方面の一方通行状態のように線路を使って”限界突破”である.

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ということで,ここも周辺は駐車場だらけ.

https://www.google.co.jp/maps/@35.2962822,135.1182641,642m/data=!3m1!1e3

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やっぱりクルマ社会だね.

Park&Ride駅?

福知山線を大阪から福知山方向に1時間あまり乗ると篠山口駅に着く.

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駅のまわりをぐるっと見渡すと…

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駐車場,駐車場…

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そしてまた,駐車場.

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周辺の航空写真はこんな感じ.

https://www.google.co.jp/maps/@35.0560375,135.177101,471m/data=!3m1!1e3

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駅の周辺はほとんど駐車場で,小さな四角い点々はすべて自動車である.

しばしばLRTを導入する際,終点駅などにPark&Ride駐車場を設置するという話があるが,ここはまるでPark&Ride駅である(ただし,政策的に設置されたものじゃないけど).自動車社会だね.

この駅からは,平日は朝6時台に5本,7時台に6本の快速電車で大阪駅周辺に客が送り込まれる.まさに,Park&Ride駅だね.

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「やりとかぶとで排除する!」奈良知事が京都けん制 リニア誘致巡り発言は敵対心あらわに – 産経WEST

こういう記事があった.

荒井正吾奈良県知事は25日、リニア中央新幹線の名古屋以西のルートを巡り、京都府内の自治体が誘致活動を続けていることを踏まえ「京都は『やり』と『かぶと』で排除する…情報源: 「やりとかぶとで排除する!」奈良知事が京都けん制 リニア誘致巡り発言は敵対心あらわに – 産経WEST

えーと,気持ちは分かるが,そろそろ次のステップに入ろうよ.空港建設や工場誘致と違って,鉄道は駅の前後に線路が必ずくっつく上に,広域交通インフラは単なる1都市の玄関口ではなくて,かなり駅勢圏が広くなるので,1地域単独ではあんまり良いインフラ整備が出来ないんだが.

リニアの整備計画格上げから数年,他の新幹線整備の話も進みつつあり,世の中,次のステップに進みつつありますよ…

どうして階段上がったり下がったり?

名古屋の地下鉄久屋大通駅の構内には,こういうスケルトン模型が置いてあった(今はどうだか知らない).

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地上には交差点とその上に歩道橋があり,これだけでも十分ダイナミックな空間の使い方だが,その下では地下鉄が十文字に立体交差しており,さらに地下通路や巨大配管類も通っている.

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オレンジ色の部分が地下通路だが,青色の配管類(電力線類や通信線類,上下水道に点検通路?)を避けるために一旦階段で配管類の下まで降りて再び昇っている.

地下鉄駅の連絡通路類では,しばしば何故昇ったり降りたりさせられるのかというと,こういう事情があるからである.配管類をもっと深くに通せばいいかというと,なかなかそういうわけにもいかない.配管類は沿道の建築物に引き込まれているので,深すぎると工事が大変である.

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さらに目線を降ろすと,これは地下鉄の駅の風景だね.地下鉄駅の天井が低くて重苦しいのは,頭上の隠された空間にこういったカラクリがあるからである.

設計下手だなぁ,などと言わないでね.

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さぁ,この平凡な地下鉄駅の写真の受け取り方が変わったかな?

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国政での新幹線の議論

静かすぎると仕事が出来ない性格なので,ラジオなどをかけながら仕事をしていることが多いが,音楽や雑談だと楽しくて仕事の方が身に入らなくて本末転倒である.そこで,最近は国会中継を聞いていることが多い.

大半の議論は聞き流しているが,それでもマスコミが取り上げない案件が多く,なかなか勉強になる.新幹線関係の議論もたまにあるが,残念ながら現状の計画の進み具合を担当大臣や担当部局に説明させて,それだけで終わっている方が多い.

たぶん,選挙の時に「ちゃんと新幹線のことも国会で議論しました」と言うことを目指してるんだろうなぁ,などと冷ややかな感想を持っている.突っ込みが甘すぎて,議論にすらなっていないことが多い.

さて,珍しく,と言っては何だが,久々に前向きな議論が聞けたのでリンクだけでも紹介しておこう.4/25日の参議院の決算委員会の一部.

http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

このサイトを開いて,(2016年の)4/25をクリックすると,その日に行われた会議の一覧が示されるので,「決算委員会」を選んで再生すると,JALの話に続いて新幹線のことが議論されている.

通常なら国土交通省鉄道局の局長が現況説明して終わってしまうことが多いのだが,国土交通大臣が整備新幹線の目的を再確認する答弁をするとともに,財務大臣の比較的前向きな話を引き出している.これだけで今後新幹線整備を取り巻く環境が大きく動くかどうかはまだわからないが,最近のやりとりの中では一番希望が持てそうだ.

雰囲気的に「この件,つづく…」かな.

なお麻生大臣が「ちまちました絵を描いて…」と指摘している部分は,私にはこう聞こえた.”ちまちました部分部分の議論をしていないで,国全体の新幹線のグランドデザインを示し直した方がいい時期に来ている.”

様子は,公式webサイト以外にもyoutubeでも見られる模様