しばしばLRTのことを「都市の水平エレベータ」などと比喩するが,米国ポートランドなどには無料のストリートカーがあった.
日本でも,ごくごく限られたサービスであったが無料の路面電車が走っていた.
函館の電車で,1年弱の運行であり,1日数往復だけという”宝くじ状態”だった.
ショッピングセンターなどには無料の送迎バスがあったりするので,中心市街への無料の路面電車があってもいいのかも.
TPP参加で貿易が盛んになると,農業等は大変になると言うが運輸部門はどうだろうか.
一応,輸送されるものが多くなるので,貨物輸送は盛んになりそうである.
一方で旅客部門は?
投資がしやすくなるので,資産の割には株価が安いといわれている日本の鉄道会社は,片っ端から株式が買われまくって,資産を切り売りされて…という可能性が無いではない.西武鉄道が(あまり事業に理解のない株主で)大変なんだったっけ?
それから,無いとは思うが,整備新幹線は公設民営なので「どうして特定の会社に国は便宜を図っているんだ.オレにも高速鉄道事業させろ」と言ってきて,新幹線事業に外国の会社が参入してきて,LCCの新幹線版みたいなのを走らせようとするかもしれない.
もちろん,整備新幹線以前の既設新幹線も安泰では無いかもしれない.「独占事業だ! おかしい!」などと言われてしまう可能性無きにしもあらず.通信事業を見てみるといい.電話事業は元々NTTの独占だったが,「末端部分の電話線使わせろ」によって,あっという間に各社参入した.将来的には技術基準さえ合っていれば第三者への事業参入を認めざるを得なくなる可能性もある.
電力会社も発送電分離されてしまうが,鉄道会社も将来的にはインフラ部分と運行部分を半強制的に分離させられて,運営部分は多数の事業者が乱立する状況という未来が無いではない.欧州では一部ではそういう様相を見せ始めている.
精度の悪い記事のチェックはつづく.
情報源: 注目浴びる「路面電車」、実は非効率だった! | 鉄道最前線 | 東洋経済オンライン
4ページ目.次いで,営業に関する話が続く.
儲かっている限り、路面電車は安泰
もうかっているから今の路面電車が残っているのかというと,そうではない.比較的大きな都市で残っていることろは,地下鉄を作るだけの財力がなかったから残ったわけであり,そうじゃないところは路面電車の都市の装置としての価値が認められているから残っているのである.大もうけ出来るから路面電車が残っているわけではない.ついでに書くと,地下鉄やモノレールも,もうかるから建設されているわけではない.
新交通システムやモノレールでは営業利益を得られないとか、建設費を償却できないと見込まれたところが路面電車として存続を許されたのだと言える。
違うんだけど…もうちょっと勉強してね.上記参照.
5ページ目.営業に関する話は続く.
トロリーバスは3336人、…路面電車の旅客輸送密度が3000人を割り込むようであれば、バスに置き換えてもよいという厳しい局面を迎える。
なぜか,トロリーバス.アルペンルートしか日本にはないんだが.動力源が代わると何か変わるとでも思ってるんだろうか??? ジャーナリストなら,もうちょっと都市交通の基礎勉強した方がいいと思う.
続いて,電力消費の話が続く.
…にもかかわらず、路面電車はさらによくないのだから深刻な状況とも言える。全線が新設軌道の東京急行電鉄世田谷線では41・2キロワット時と好調であるため、繰り返しとなって恐縮ながら、このような状況を打破するには道路上を走らないようにするほかないのであろう。
「路面電車」が電力消費的に不利なのは,優先信号が実質的に機能していない,駅間が極端に短い,車両が古い,あたりが原因である.礼賛している世田谷線は駅間が路面電車の倍ほどあり,車両は何年か前に全部新型に取り替えている.
欧米のLRTは道路空間の一部を走りながら,この辺の問題はクリアしてますけど…
それから,エネルギーの議論をする際には,自動車との比較が不可欠であり,地下鉄や郊外電車,あるいはバスでは自家用車から客を奪えなかったので「LRT」が注目されてるんですけどね.その「LRT」を基軸に都市交通システムを作り替えて,エネルギー消費の多いライフスタイルそのものを転換しようとしているんですが,電力消費しか見てないのね.(電力需給が気になる東京にいる人の思考過程?)
ちなみに,「路面電車」とバスとでは,エネルギー効率は2−3倍違う.
路面電車は新交通システムとバスとの間に収まる輸送規模に適した交通機関であるというと聞こえはよいものの、バスの輸送力が向上したり、少量の輸送人員でも採算ラインに乗る新交通システムが開発されたりすると、路面電車の存続は難しい。新たなLRTがなかなか現れない事情もどうやらこのあたりにあるようだ。
「鉄道ジャーナリスト」なら,軌道を含む鉄道がどのような機能を都市や地域の中で発揮しているかまで考えて記事を書くべきであり,こういった記事しか書けないのは浅薄な表面の数字しか見ずに記事を書く「経済ジャーナリスト」と何も変わらない.
最後に,「路面電車」の性能が低いことを騒ぎ立てて,別物の交通機関に近い「LRT」にどうして暗雲が立ちこめるんだい? このジャーナリストは「都市交通」「地域経済」「都市環境」「地域経営」とか,そういった勉強もした方がいいと思う.専業なんだよね?
精度の悪い記事のチェックはつづく.
情報源: 注目浴びる「路面電車」、実は非効率だった! | 鉄道最前線 | 東洋経済オンライン
2ページ目.「路面電車」が遅い原因についての説明が続く.
最高時速はわずか40キロ
まぁ,正しいんだけど,最高速度が遅いからAGT等より遅いわけではないのでね. AGTやモノレールはせいぜい50km/hなんだけどね.「路面電車」が遅いのは平均駅間距離が300m程度と短く,AGTやモノレール(あるいは地下鉄)が約1km間隔なのに比べて「最高速度」で走る距離が短いんだよね.その反省もあって,「LRT」は平均駅間を「路面電車」の倍程度に設定してるんだが,この「鉄道ジャーナリスト」は知らないんだろうな.
特に広島電鉄の時速8.8キロメートルなど、自転車が瞬間的に出す速度よりも遅く、渋滞に巻き込まれればさらに表定速度は下がるであろう。
広島は渋滞に巻き込まれないように,軌道敷内への乗り入れを厳しくしている都市で有名なんだけど…
3ページ目.さらに「路面電車」が遅い原因についての説明が続く.
スピードアップのためには列車が近づくと信号が青に変わるような方策が考えられるものの、他の交通との兼ね合いから完全には実施できない。
海外の「LRT」ではやってますが.自動車社会の権化である米国ですら,日本のPTPSより強力な優先信号が導入されているのを見たことがありますけど.
結局のところ、道路上を走らないようにすれば解決するのだ。
「LRT」がバリアフリーの観点で注目され,成功してるということを知らないんだろうな.地下や高架にしたり,繁華街から離れたところを走らせると,歩行者の利便が大きく損なわれるんだけど.東急世田谷線を褒めているが,あれと同じものを新規に整備しようとすると警察から「踏切の新設はまかり成らん」とか「高架か地下にしろ」になっちゃうんだけど.
事故1件当たりの列車キロは路面電車が33万2847キロメートルに対し、新交通システム、モノレールでは事故そのものが起きていない。さらには、JR旅客会社や大手民鉄、地下鉄と比べても事故が起きる頻度は高いと言える。
比べるなら,バスや自家用車と比べるべきじゃないかな?
路面電車の事故で最も多いのは、道路上の車両や歩行者と衝突または接触する道路障害事故だ。事故全体の77.7パーセントを占める56件が発生しており、解決策としてはやはり道路上を走らないようにするほかない。
地下鉄か高架にしろってか? それができないから「LRT」という話になってるんだが.道路障害事故の多くは自動車による進路妨害に起因するもの(路面電車は第2当事者)ではないでしょうかね.欧州では中心市街にそもそも自動車を近づけないような工夫がされていることが多いんだけどね.
鉄道ジャーナリストは,中心市街の路面は自動車に譲るべきだと考えているんだろうか.恐ろしいネガキャンだな.
(つづく)
こういう記事がある
都市の道路に敷設されたレールの上を颯爽と走る路面電車。その経済性について多角的データから分析する。
情報源: 注目浴びる「路面電車」、実は非効率だった! | 鉄道最前線 | 東洋経済オンライン
ここのオンライン記事,鉄道を良く取り上げるのだが,応援しているのか足を引っ張っているのか良くわからないことが多い.
今回の記事を書いているのは,専業の「鉄道ジャーナリスト」だが,うーん,ジャーナリストを名乗るには少々不勉強な感じがしてならない.有名な人なんだけどね.
じゃぁ,記事をチェックしてみよう.(いろいろ仕事が立て込んでいるので,ちょっとずつ)
まず,1ページ目.
近年になって路面電車をLRT(Light Rail Transit、低床式車両を活用した交通システム)へと転換させようとする動きも見られる。
LRTが「低床式路面電車」という認識は,10年ほど前,国土交通省があんまりLRTのことをよく理解していなかった時代に見られた記述である.低床式電車を使うことは確かに多いのだが,「LRT=低床式路面電車」ではない.
しかし、全体的な傾向としてみれば路面電車は旧態依然のままであり、21世紀の都市にふさわしい姿へと変化を遂げていない。
これは確かにそうだな.続いて「路面電車は自転車よりも遅い」という話題が続くのだが,それに関してこう書かれている.
…路面電車と同等の輸送力をもつ新交通システム(ゆりかもめなど)やモノレール、トロリーバスと比較しながら検証していこう。
LRT(ただし欧州で走っているようなものであって,富山タイプは標準よりもかなり小型)はAGTやモノレールと同等だが,旧態依然とした「路面電車」の輸送力はAGTやモノレールには及ばない.ましてや「トロリーバス」は輸送機関としては単なるバスであり,何か他の交通機関と混同して記述しているのかしら???
最初の検証項目は速達性だ。路面電車という乗り物は道路上をのんびりと進むというイメージをもつ。…新交通システムやモノレールと比べると著しく低い。
まぁ,確かに遅いが,それを以て,サブタイトルの「全国のLRT導入ムードに暗雲も」が出てくるのは意味不明である.路面電車の性能が低いから既存路面電車のLRT化が提案されているんだが,印象操作か? それとも目立てばいいという,それだけか?
(つづく)
ちょっと前の時刻表だが,基本的には今も変わっていないと思う.
山形県の米沢駅のホーム上の時刻表である.福島駅方面への県境の峠部分を越えてゆく普通列車は,朝1本,昼1本,夕方2本,終電(20時台)の以上5本である.
「つばさ」が毎時1本ずつ走っているので,路線としては決して閑散路線ではないが,普通列車についてはこういう状況である.
新幹線が建設されようとする路線では,しばしば並行在来線の問題がクローズアップされるが,特に厳しい状況に置かれがちなのが県境部分である.日常的に人の往来が少ないので別々の県に分かれた,とも言える部分である.
新幹線化にあたって,こういった県境部分をどうするかは頭の痛い問題であり,例えば熊本-鹿児島県境部分や新潟-富山県境部分では,電車が走れる設備があるにもかかわらず,経費を最小化するためにわざわざ短い編成のディーゼル列車を運転しているし,青森-北海道部分ではずいぶん前から普通列車が無くなってしまっている.群馬-長野県境では,碓氷峠部分に特殊な機関車の維持が必要ということもあり,線路が無くなってしまってバス転換された.
だがまぁ,通しの列車が片道5本の米坂線が生き残っているんだから,方法はあるのかもしれないけどね.
福知山駅前に置かれている機関車.C11といって,石炭を積載する部分が機関車と一体になっている小型機関車である.ぱっと見は小さくてかわいい,といった感じであるが,本線で特急列車を引っ張っていたC62や貨物列車を全国で牽いていたD51ほども人気があるとは思えない.
主な用途は短距離の短い編成の列車らしい.「らしい」と書いたのは,私の地元では貨物列車はD60,旅客列車はC58やC57が引っ張っていて,この小さな機関車の記憶は無い.(…確か,小学校入学前まではSLが走ってました.)
小さな機関車のなので,軽い.
かわいい機関車も,こういうアングルだと,迫力がある.
動輪もいいぞ.
後ろ姿も,なかなか.
…そんだけ.
続きである.
北陸新幹線の敦賀−大阪間のルートに関する試算結果については,これが比較的有名であり,国土交通省の方はルートが複数あることを認めただけで具体的な検討をしていないというのが実状である.
http://www.kouiki-kansai.jp/contents.php?id=1019
http://www.kouiki-kansai.jp/data_upload/1362710126.pdf
この試算結果については,建設費概算の合計額部分,つまり小浜ルートが9500億円,湖西ルートが7700億円,米原ルートが5100億円という部分が注目を浴びがちである.よく見ると,湖西ルートと米原ルートについては6200億円とか3600億円という数字も見える.
これは車庫線・回送線1500億円を建設費に入れるか入れないかで数字が変わるということである.
ところで,この車庫線・回送線がいったい何なのかについて正しく理解している人が少なそうなのが残念なところである.
ちょっと別のように聞こえるが,ヒントは東海道新幹線の品川駅である.品川駅が無かった頃,東海道新幹線の増発のネックは東京駅と車両基地の間を走行する回送列車だと言われた.回送列車が東海道新幹線の本線の列車容量を食ってしまい,わずかな区間の列車容量不足のために全線にわたって列車を走らせることが出来ない,というものであった.
そこで,回送列車が走らない位置,つまり品川に駅を作れば品川−大阪間に列車を増発できるようになる,というロジックであった.実際には保安装置の性能向上により,ごく希な例を除いて品川発着の新幹線は設定されていないが,一応,品川駅は列車容量増加策であった.
ところで,大阪側はというと同じような話がある.新大阪駅と鳥飼にある車両基地の間に回送列車が走っており,ここの線路容量がけっこう厳しい.品川駅設置が議論されていた時期に新大阪と鳥飼基地の容量が問題にならなかったのは,新大阪近辺の線路容量と東京駅近辺の線路容量が微妙に異なっていたからであった.
東京駅の線路容量は東京駅の品川寄りの分岐器の制限速度がネックになっている.新幹線の分岐器の制限速度は70km/hが原則であるが,東京駅構内については用地が手狭なことなどが影響して60km/h制限になっている.一方,新大阪駅の構内の分岐器については規格通りの70km/h制限なので,東京駅南西側の線路容量<新大阪駅東側の線路容量であり,品川駅のような話にはならなかった.
さて,話を北陸新幹線に戻すと,ルートの建設費の部分に書かれている1500億円というのは,新大阪と鳥飼基地の間の線路容量を緩和するための回送線の建設費のことである.北陸新幹線の電車を米原や京都から東海道新幹線に乗り入れさせようとすると,鳥飼車両基地の東側までは何とか走れるのだが,そこから先の線路容量が厳しい.
そこで,鳥飼基地に出入りする回送列車の一部を専用の回送線に逃してやることが出来れば,本線の線路容量が空くことになり,乗り入れが可能になる,というものである.北陸新幹線の電車の分の容量を稼ぎ出しさえすればいいので,回送線は単線でも充分である.(もちろん,リニアの大阪開業で東海道新幹線の容量自体に余裕が出来るのならば,この1500億円は要らない.)
あんまり理解されずに数字が勝手に独り歩きしているようなので,ご注意を.(特にマスコミで理解している人が少なそう.ちゃんと説明しているのを見たことが無いけど,当の広域連合も理解してるのかしら?)
なお,「北陸新幹線と東海道新幹線では運行システムが…」という意見は良く聞くが,「運行管理システムの改修費用<建設費の差分」ならば,やはりルートの検討は重要である.システム改修費用って数千億円もするのか?
あと,「電源の周波数ガー」「ATCの種類ガー」とかいう話もある.だが,電気系統については,そういう仕様で発注してくれれば何とでも,というのが車両メーカーの感触である.(そうだよねぇ,その程度で車両設計できなくなるレベルだと,電源電圧や周波数が何種類もあって,信号システムが統一されてるようでされていないし,車両限界も微妙に違う欧州ではビジネス出来ないよね.)
つづく