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車両と構造物の”限界設計”

構造物の限界状態設計法のお話し,ではありません.
英国ロンドンの地下鉄は,ご存じの人も多いように変な形をしている.ここまで切り詰めれば,無駄なしという感じの形状で,まずトンネルあり,それに合わせて電車ありという断面である.特に屋根の形状が特徴的で,出入り口の上方は丸く湾曲している.
おそらく初期の路線で建設費を抑えること,電車がここまで大量輸送に使われることを想定していなかったことなどから,小型車両が使われ,その後,電車の大型化に伴ってトンネルぎりぎりまで大きくなったのではないかと思うが,何かあった場合には逃げ道は前後方向以外存在しないなとも思う物理形状である.
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日本では近年,工事費を抑えた地下鉄としてミニ地下鉄が建設される場合があるが,トンネル断面積ではこのロンドン地下鉄の方が小さい.ということは,日本でもここまで割り切ることが出来れば,さらに地下鉄の建設コストを下げることが出来る可能性はあるが,「安全性がー」と言う話になって,実現しないだろうなぁ.ロンドンで実用になっているのだから,日本でも問題ないと思うのだが.

レールだらけ(地下鉄編)

鉄道線路は左右のレールが1組になっている。わざわざ言わなくても、子供でも知っているお話。ちょっと詳しい子供なら、地下鉄には3本目のレールがあることを知っていることもある。
第三軌条(サードレール)と言って、地下鉄電車に電力を供給するためのレールで、その代わりに屋根上の架線が無い。架線が無いとその分だけトンネルを小さくできるので、建設費を安く抑えることができる。
じゃぁ、この地下鉄は? レールが4本ある。ロンドンの地下鉄。最も左のレールは電力供給用、左から2番目と最右端のレールは車輪が走行するためのレール。じゃぁ、中央のレールは?
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中央のレールも電力供給用。最も左のレールと中央のレールには碍子がついており、絶縁に気が使われていることがわかる。この2組でプラス極とマイナス極(厳密にはちょっと違うようだが)になっている。通常は走行用のレールをマイナス極と共用にするのだが、ここでは別にレールがわざわざ準備されている。
別にすることのメリットとしては、変電所に帰る電流が地中などを伝って思いもよらない箇所に電蝕…つまり一種の電気分解ですね…の影響を与えることを防いだり,電車のボディーとホームとの間に電位差が生じて乗客が感電したりすることを防げる(だったっけな)。

トラム変幻自在(地下鉄直通編)

アムステルダムのLRTというか,低床でもないので,ほぼ郊外電車.床が高い以外は外観も内装もほぼLRTで,市の郊外住宅地を走り,線路も路面併用軌道ではなくて専用の軌道が準備されている.
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これが都心方向にしばらく走ると,屋根上の集電装置(パンタグラフ)をたたんでしまう.そして,地下線区間へ.
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地下はちょっと車体が小さめの地下鉄として走行し,終点へ.パンタグラフはたたんだまま.
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車体が小さいので,ホームとの隙間は,こういった風に自動で埋められる.
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電気は地下線区間では台車横のシューから取り入れられている.
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こういった形態の乗り物は日本でもあっていいのだが,残念ながら存在しない.通常の架空線から電気を取り入れたり,第三軌条から電気を取り入れたりといった両対応の電車については,「開発費用が高くついてペイしない」というのが理由で実現していない.だが,彼らはその「高い」はずの開発コストの壁をずいぶん前に越えてるんだが,このままでは日本人は劣っているということを証明してしまっていることになるんじゃないかな.