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暫定整備計画の欠点

昨日の記事で取り上げた国会の質問中,「暫定整備で単線の新幹線を…」と言う旨の発言があったかと思うが,こういうことである.

現在,新幹線を整備する際に,フル規格高速新線を即座に整備しにくい場合には,ミニ新幹線やスーパー特急方式と言った「暫定整備計画」という手法が採用できることになっている.

ところが,この暫定整備計画は残念ながら欠陥だらけであり,はっきり言って役に立たない.

もちろん,フル規格新線の途中にごく短区間だけミニ新幹線区間がはさまるとか,フル規格新幹線から短い枝線を分岐させるとか,そういったものならば許せるのだが,距離が長くなるとその欠点が顕在化する.

ざっと整理すると,各手法には赤字で示した箇所のような欠点がある.

例え暫定であっても,なるべくフル規格新幹線に近いようなサービスレベルが確保できることが望まれるのだが,そういった手法が現時点では未開発なのだ.

この表の「本当のニーズ」を単線システムで実現できないだろうか,というのが国会での質問の背景であろう.

整備手法の課題と本当のニーズ

フル規格
新幹線

ミニ新幹線
(山形/秋田)

スーパー
特急方式

本当の
ニーズ

概要

複線の
高規格新線

軌間を
標準軌に

軌間以外は
新幹線準拠で
建設して,
後に新幹線化

???

速度

260km/h
以上

120km/h
程度

140〜
160km/h

260km/h
以上

片道
本数

15本/時
以上

1〜2本/時

複線区間は
多数運転

2本/時
くらい

費用

50〜100
億円/km

数億円/km
(激安)

50〜100
億円/km

なるべく安く

信頼

ほとんど
遅れない

普通列車・踏切
大雨・大雪

普通列車
貨物列車

ほとんど
遅れない

車両

新幹線(大型)
320km/h対応

新幹線(小型)
320km/h対応

在来線特急

「高速」新幹線
(サイズは不問)

直通

新幹線
直通

新幹線
直通

在来線
(乗換)

新幹線
直通

新規

既存

新規/既存

どちらでも

その他

費用の問題

建設期間短い
(改軌のみ)

新車開発して
200km/hまで

 未開発
手法

※ ”背景であろう” って書いてみたが,暫定整備計画の欠点を指摘してるのはどうやら私以外いなさそう.

なぜか出発信号機

快速電車も停まらない阪和線の小さな駅である和泉橋本.ホームも線路も2本だけ.

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たいていの場合は,こういう駅は単に線路上にホームが置かれただけの停留所のことが多く,快速電車が停まるような駅でもそういうことがある.

ところが,この駅の信号機は常時「赤」で,列車がやってくるときだけ「青」になる.

んんんん?

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んんんん? 信号機の横に「出発」と書いてある.

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どうやらこの駅は,単に線路上にホームが置かれただけの停留所じゃなくて,列車を出発させるかどうかの判断のできるちゃんとした駅のようだ(実際には列車の管制所の遠隔操作だろうけれども).

どうしてこの小駅が他の駅に比べて高度な機能を持っているのかはよくわからない.歴史的な経緯があるのかな?

 

折4両

JR学研都市線の電車は全て7両編成である.ところが,長尾駅のホームにはこういう目印がある.

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4用編成の電車が折り返す場合の停止位置の目印のようだ.

一時期(10分サイクル運転から15分サイクル運転に変更になった直後),京橋-四条畷駅間の区間運転便が4両編成だったことがある.しかし,すぐに止めてしまった(単純にその区間便を廃止する形で).

以後,かなり時間が経っており,こんな目印は不要のはずなのだが,しかも,このホーム,割と最近改装したのだが,目印は取り外されること無く健在である.

もしかして,だけれども,昼間の電車などを中心に7両編成から4両編成に短縮して運転するための準備か?

昼間の毎時8本(快速4本+普通4本)をバッサリ毎時4本まで減らした実績があるので,あながち的外れな勘ぐりではないかも.

(もしそうなら)後ろ向きの対策ばっかりだなぁ.

惜しいなぁ〜あと一歩

休日の京都嵐山.

一般車両の通行がかなり抑えられているのだが,完全に止め切れていない.

そんなわけで,多数いる歩行者は依然として歩道上だけしか通行することができず,今一歩,のびのびできない.

休日の午後だけでいいから,完全にクルマ止めちゃえよ.(除くバス)

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連節バスと連結バス

例の「トラム代行バス」だが,よく見ると,「連節バス」で運転されているものと「連結バス」で運転されているものがあるようだ.意味不明なこと言うなって?

これは連節バス.

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これは連結バス.

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違いが分かっただろうか.

「連結バス」は通常のバスに運転席の無い客室だけの車両を牽引させているものである.いちいち運転席の横の運賃箱を通過させる日本では不可能な方式であり,信用乗車方式が導入されている都市だけで許される交通形式だ.

昔の東欧だけの交通かと思ったら,現代の「西」ドイツでも使われている模様.たぶん,臨時運行路線なので連節バスの台数が足りなくなったんだろうと思う.

日本でもこういう形式のバスが許可されるようになれば運転手不足が多少緩和できるかもしれないが,「各方面」の理解を得るのに時間がかかりそう.

#なお,「連結バス」はトレーラーバスというのが正式名称らしい.

 

連節バスはトラム代行バス?

ミュンヘンでトラム16番か17番に乗ろうとすると,工事で運休のようである.ありゃぁ.歩くにはちと遠いなぁ.とりあえず中心街用の3日券をゲットし,運休になっているトラム線に沿って歩くことにする.

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しばらく歩くと,どうやらその運休になっているトラムに沿って,運休になっている系統と同じ番号を掲げた連節バスが走っているではないか.

これはもしかして,「列車代行バス」ならぬ「トラム代行バス」か?

おそるおそる臨時停留所とおぼしきところから乗ってみる.もしあらぬ方向に曲がったら降りれば良い(都市交通の専門家であっても,バスに乗るのは勇気がいるという話はよく聞く).なんてったって「市内3日券」だ.トラムバス地下鉄等々乗降自由.

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一応スペック的には連節バスとトラムの車両サイズはほぼ同じなのだが,明らかに狭い.デカいスーツケースがかなり邪魔だ.

加減速,横方向Gもトラムに比べるとかなり乗り心地が悪い.やはり似て非なるものかな.数分乗って目的地とおぼしき停留所で降車.どうやらトラム代替便であっていたようである.

日本では連節バスのことを「BRT」などと呼んで「LRT」と混同させようとする作戦が進行中だが,本当に「BRT≒LRT」ならば,ミュンヘンではトラムの軌道が引きはがされて「BRT」とやらに変更されていても不思議ではないのだが,さにあらず.

せいぜい運休時の代替品程度の扱いのようである.

高速新線なのにローカル駅がある

ほとんど撮影に失敗しているが…ドイツ南部のニュルンベルクを過ぎてインゴルシュタットまでには高速新線がある.その高速新線をボーッと眺めていると小駅設置されているではないか.

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日本に例えると,「新幹線を走っていたら”保津峡駅みたいな駅”発見」レベルの違和感である.

調べてみると,ニュルンベルクからインゴルシュタットを経由してミュンヘンまでの区間には200km/h運転の快速電車が走っているようだ.

日本に例えると「米原から西明石まで新快速に乗ったら途中は新幹線の線路走ってた」レベルの感じである.

欧州の鉄道では(時々であるが)信じられない高水準のローカル列車に出くわすことがある.200km/h運転はさすがに例は少ないが,160km/h運転はごく当然のサービスだ.

快速電車の120km/hや130km/hで喜んでる場合ではないですよ.

 

じゃぁ,Inter City 「1」は?

Inter City 2」が実は快速列車の色塗り替えバージョン車両だという話をしたが,じゃぁ「1」はどうなのかというと,先頭車両はこんな感じ.

電車? いえいえ,制御客車というやつで,無理矢理に日本風電車的表現するならば「クハ」.電動車は反対側の機関車.ただし,そうすると編成全体では「クハ+サハ+サハ+サハ+サシ+サロ+サロ+クモ」という表現になるかな.

前回も書いたが,この古い車両の列車はなかなか侮れない.

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側面.この写真をクリックして拡大すると,車両下部に「200」「RIC」という文字が見える.国際列車にも使用できる高速対応客車だ.

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線形さえ良ければ,200km/hでかっ飛ばしてくれる.高速新線があれば,もちろんそこを走行する.なので,日本なら整備新幹線クラス相当の地方幹線はこの列車と路線改良だけでことが足りてしまうため,ドイツの鉄道網については「高速新線が少ないな」などと侮ってはいけない.

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長距離客が多いので,車内の「網棚」も通常サイズのスーツケースがそのまま載っかる.

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ちなみに,日本で通常サイズのスーツケースが載っかるのは新幹線の棚くらいで,関空快速の棚に写真のスーツケースを載っけようとしたら,半分くらいはみ出したので,すぐに降ろした(ダメじゃん).

Inter City 2 っって何だ?

ドイツ鉄道の車内雑誌には主要列車の使用車両が載っている.ICE,ICE2,ICE3,…見慣れない車両が載っている.この「Inter City 2」って何だろう?

その答えは翌日やってきた.DüsseldorfからMünsterまでInterCity,つまり長距離急行列車に乗ろうとした.通常はInterCityというと,機関車がこういう古い客車を引っ張ってくるんだが…

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そういうのを期待していたら,こんな列車が入ってきた.車内広報誌で見た「Inter City 2」だ.電車?

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白い色の二階建て車両だ.側面はこんな感じ.

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どこかで見たような,いや,乗ったことがあるような.反対側はこんな感じ.

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んんん? これはもしかして…

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…近距離急行列車,というか快速列車の色塗り替えバージョンじゃないか.RExxxxとか,そういう列車番号のやつね.格下列車の車両を使い回してるわけやね.昔のエーデル鳥取みたいなもんか?

なお,車内のイスは一応取り替えている模様,と思ってたら,よく見るとRExxxxの車両のイスも新しいのに交換してあるので,KeyPointはそこでは無さそう.

飲み物の車販があることと,車内にこういう表示器があることくらいしか違いが無さそう.

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一応160km/h運転するので,新幹線のこだま号程度のサービスレベルには達している.それから,一番最初の写真のInterCity用の古い車両は200km/h運転対応だったりするので,侮れない.

レールパスの有効範囲

ヨーロッパに行くとき,例えば「ユーレイルパス」などを買ってゆくと乗り降り自由で大変楽である.

グローバルパスが一番制約が少ないが,その分値段も高い.訪問国が少ないときには2−3カ国だけ有効なセレクトパスなどを使って費用を節約することもある.

さて,今回の欧州調査は英国とドイツが主な訪問国であるが,英国からドイツに行く場合でこういう行程だとどうなるだろう.

Birmingham(英)→London(英)→[仏]→Bruxsells(ベルギー)→Köln(独)→Düsseldorf(独)

ユーロスターは英国からベルギーに行く便の場合はフランスを通過する.それからベルギーからドイツまで行くには当然ベネルクスを通る.

ということで,普通なら英国,フランス,ベルギー,ドイツの計4カ国分のレールパスを準備するか,パスとは別に列車を手配する必要がある.

ところが実は,パスは英国のパス(ブリットレールパス)とドイツのパス(ジャーマンレールパス)で済む.

Birmingham(英)→London(英)…これはブリットレールパスで乗れる
London(英)→[仏]→Bruxsells(ベルギー)…これはブリットレールパスを持っていれば格安でユーロスターに乗れる
Bruxsells(ベルギー)→Köln(独)…ここがミソ
Köln(独)→Düsseldorf(独)…これはジャーマンレールパスで乗れる

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「ここがミソ」と書いている部分は,最近になって特定の列車に限りジャーマンレールパスで乗れるようになったようだ.つまり,Bruxsells発の「ICE」だけジャーマンレールパスが(最近)有効になったようだ.(広島工大の先生が「発見」)

これも上下分離の一種の恩恵か?

なお,ドイツまでしか有効でないパスを使ってデンマークまで夜行列車に乗ったこともあるので,ここ以外にもパスの有効範囲の例外はいくつかあるようである.

時間が有り余っている&体力に自信のある人はジャーマンレールパスだけを使ってロンドンからドイツまで旅行する方法もある.