朝の札幌駅.8時台で,発着列車の多い時間帯だ.5番線にゆくと8時39分発の函館行き特急の案内が出ている.
現在時刻は8時20分.その5番線には…すでに列車がスタンバイ.もちろん乗車して中でくつろぐことが可能.すでに何十人も乗り込んでいる.
えっ,,,まだ20分もあるんだけど.
待ち客には確かに優しいが,ホームの利用効率には厳しいだろ,この使い方.
昔々の長距離夜行列車の出発駅のような光景だね.
ええのか? これで?
例の出張の日になった.列車は東京駅を出る段階で全席完売の盛況ぶり.どうやら私は団体客の多い車両の空き席に収まってしまったようだ.完全に観光列車状態.チョコあげようかとか言われたりするワケだな,これが.
新青森を出ると北海道新幹線区間に入るが,どうも遮音壁が多くて景色があまりよろしくない.せっかくの車窓が,壁だらけ.
新青森から新函館北斗までは約1時間であり,概ね毎時1本運転されているので,この区間では2度新幹線とすれ違う.
中小国の信号場で在来線と合流する.
ここからしばらくは狭軌と標準軌の三線軌だ.残念ながら,速度はずいぶん遅い.在来線特急なら「がんばって走っている」レベルだが,新幹線としては「徐行?」というレベル.
車内放送でいくつかの小さなトンネルの後,青函トンネルに入ることが告げられた.その直後に「奥津軽今別」に停車したので,「あら,もう北海道? 早かったわね.」などと隣の席の観光のおばさま方がのたまわってらしたが,この直後,現実を体験することになる.
時速約140キロで青函トンネル突入.スピードはもちろんずっとそのまま.トンネルを通過するための所要時間は約25分.
例の観光おばさま方,「えっ! ・・・」・・・ゴォーーーーーーー
ゴォーーーーーー.竜飛海底駅と吉岡海底駅も非常用設備として稼働中の模様.
ゴォーーーーーー.トンネルの中では,新幹線と1回,貨物列車と1回すれ違った.
ゴォーーーーーー.30年ほど前に初めて快速「海峡」で通過した際には,全4名のうち2名は途中で意識不明.青函トンネル恐るべし.あの時は140キロも速度は出ていなかったので,40分近くかかったと思う.それを考えれば速くなったものだ.
ゴォーーーーーーッ.やっと出た.例のおばさま方「・・・・・・」
新幹線で北海道上陸!
木古内手前で在来線と分離して…
木古内からさらに15分ほど走って,新幹線の車庫が見えたら終点.
現時点では,ここが新幹線の北限.
今は撤去されてしまったが,以前は学研都市線の京田辺駅のホームの途中に信号機があった.もちろんホームに入る前にもホームからの出発用にも信号機があった.
今はこの信号機は無い.
なぜこの信号機があったかというと,京田辺駅前後が単線,つまり線路が1本しか無かったからだ.
単線区間では正面衝突を防ぐためにいくつかの安全策が講じられる.
まずは,一方の列車が駅に停車したことを確認して反対方向の列車を入線させれば衝突が防げる.単線区間で駅の手前で待たされることがあるのは,この方式のことが多い.
これだとロスの時間が多いので,何とか両方向から同時に列車を駅に入れたいところ.
そこで,駅に構内をとっても広く確保しておいて,ブレーキを多少かけ損なっても正面衝突しないようなほどホームを長〜〜〜〜〜〜〜〜〜くしておく方法.跨線橋の近くに停車してほしいのに,なぜかかなり手前で列車が停まって降りてから歩かされるような駅は,このタイプ.
もっと積極的に設備投資をするなら,安全側線という設備を導入する.ホーム部分の複線区間からホームの先で単線へと合流する直前にもう一基分機器を入れておいて,むやみに出発した場合はその挿入した分岐器であらぬ方向へと脱線させられるようになっているというもの,安全側線という名前がついているが,「大事故起こすくらいなら脱線した方が安全」という代物.
そういう安全側線が設置できない場合は,駅への進入速度を信号機で大幅に制限してゆっくり進入させる.この方式が昔の京田辺駅.つまり上の写真は速度を大幅に制限する表示をしているというわけだ.
さて,じゃぁ,信号機がなくなった今はどうなっているかというと,別の方法を採用している.保安装置(ATCやATS)を使って停止するまでの速度管理を厳重にすることで信号機がなくても良いことになっている.いわゆる新型ATS(P形)がこの駅に導入されて,速度管理が厳重になることで信号機が廃止された模様.
かつて,春日三球・照代という漫才師のネタで,「地下鉄の電車はどこから入れたんでしょうね? 考えると夜も寝られなくなっちゃう」というのがあった.
あらかじめ地面に埋めておいて線路を造って行くうちに掘り当てるとか,地下鉄の駅の階段から入れたとか,いくつかバリエーションがあったが…
どこかで地上に出る地下鉄なら,そこから入れればいいし,車庫はこっそり郊外や港湾地区の地上に造っている地下鉄もある.
でも,中には全線地下で,車庫も地下にあるような地下鉄があって,どこから入れたのか,ほんとにわからないのもある.端から端まで見張っているわけにはいかないので,よそ見している間にこっそり入れたに違いないが,どこから入れたんだろうか.
そう言えば,レールも長物なので,何年か経つと交換用のものをどこからか入れなければ交換できない.レールなら階段から入れられないこともなさそうだが,踊り場で困りそうだな.
そんな疑問の答えが…これか.この写真の鉄板は,その「地下鉄を入れた穴」なのか?
奧の幅広の鉄板を取り外すと電車が入れられるようになるらしい.交換用のレールは電車よりも長いので,レール搬入時には手前のやや小さな鉄板を奧の鉄板とともに取り外すらしい.
奧の鉄板の話はネットをググると書いてあるようだが,レールの件は他には書いて無さそうだ.ということで,レールの件は,”だまってよなぁ〜”.
さてさて,今晩はゆっくり寝られそうだ.
大都市から離れると,線路際でよくこういったスローガンを見かける.
日本全国で複線化や電化を目指している鉄道線は多い.
じゃぁ,(米国はダメダメだが)欧州はというと,余程でない限りローカル線であっても複線化や電化はほぼ実現されている.少なくとも特急や急行相当の列車が走っているようなところで単線非電化にはお目にかかったことが無い.
この差はどこから来るかというと,ほぼ「カネ」である.ちゃんと財源が確保されているということ.日本でいうところのガソリン税相当の税金がちゃんと公共交通に還元されており,ローカル線の複線化・電化・路線改良・新車購入といったインフラ投資にまわっているのはもちろんのこと,日々の運営費にも資金が投入されている.
一方,日本ではガソリン税は「自動車ユーザー」という名のニアリーイコール国民の利用する道路投資にまわされていた.その道路すら,今や一般会計を通して投資されるようになり,ガソリン税は単なる普通の税金になってしまった.
インフラ投資しないと,後々困るぞ.いつまでも使えると思うな,何とやら.
なお,JRに期待する声は多いが,近年JR各社が自ら進んでローカル線に単独投資した事例はほとんどない模様.