あれは37年前,1978年の秋であった.それまでのディーゼル特急と比べるとピカピカの車体.何と言ってもサイドラインが美しかった.屋根にはパンタグラフ以外ほとんど何も無く,ボディそのものも屋根がやや低くて細身.新幹線を除くともっとも編成美がすばらしい列車ではなかったろうか.特に登場時の塗装がベストだった.…が,寄る年波には勝てず,いよいよ本当に終わりらしい.
予想通り,代役は北陸線からやってくるようである.
あれは37年前,1978年の秋であった.それまでのディーゼル特急と比べるとピカピカの車体.何と言ってもサイドラインが美しかった.屋根にはパンタグラフ以外ほとんど何も無く,ボディそのものも屋根がやや低くて細身.新幹線を除くともっとも編成美がすばらしい列車ではなかったろうか.特に登場時の塗装がベストだった.…が,寄る年波には勝てず,いよいよ本当に終わりらしい.
予想通り,代役は北陸線からやってくるようである.
その後,こういう記事があった.
JR西日本の野中雅志金沢支社長は27日の記者会見で、北陸新幹線が敦賀以西ルートで福井県小浜市を通る場合、JR小浜線がJRから経営分離される並行在来線に当たるかに…
情報源: 小浜線、経営分離か未定 北陸新幹線延伸でJR西支社長
あのーーーーーーーぉ,特急が走っているかどうかじゃなくて,新幹線の開業によって当該在来線から新幹線に客が移ってしまい,経営状態が悪くなる路線のことを並行在来線とするのが適当なんですけど.長距離客が小浜線にそんなにたくさんいらっしゃるんでしょうか? いらっしゃるのなら並行在来線問題として取り上げるべきだし,そうでないならローカル線問題.
野中支社長は会見で「並行在来線の定義は、知る限りでは特急の有無に言及していない」と述べた。
国土交通省の説明には「整備新幹線に加えて並行在来線を経営することは営業主体であるJRにとって過重な負担となる場合があるため…」とあり,新幹線の開業にともなって,当該在来線の経営がお荷物になるような路線であることを並行在来線の定義として採用している.
つまり,繰り返しになるが,新幹線に移転するような客がない路線は,そもそも新幹線が有ろうが無かろうが,営業状態に与える影響は新幹線の開業前後で変わらないので,国交省の想定する並行在来線の説明にあてはまらない.
…ちゅうか,並行在来線の定義は旧運輸省の頃から示されていたはずだけど.
もう言葉遊びは止めようよ.新幹線が有ろうが無かろうがお荷物だと思っているような路線の存廃問題は,並行在来線問題じゃ無くて単なるローカル線の存廃問題ですよ.新幹線に便乗せずに正面から向き合いましょう.
北陸新幹線が東側から延びてきて,富山や石川あたりを着工しようかというときにも,同じような話があった.
新幹線建設にともなう並行在来線というのは,以前にも指摘したように,特急列車が走らなくなる路線を指すのが適当である.
元々特急列車が走っていない路線は,そもそも長距離客が乗っていないので,新幹線が走ろうがそうでなかろうが,旅客動向に大きな変化はないはずなである.新幹線の有無と経営状態とは関係がない.小浜線に長距離旅客はそんなにたくさん乗っているんだろうか? 経営分離したいのなら,小浜線の長距離客の動向くらいは示した方がいいだろう.
かつても同様の議論があり,「枝線分離問題」と言われた.だが,枝線分離を並行在来線分離とこっそり言い換えて論じるべきではない.「便乗廃止」だ.はっきりと「ローカル線の経営なんか,めんどくさくて儲からないからやりたくない.新幹線以外は全部廃止したい.」と言えばいいではないか.経営姿勢がはっきりするではないか(もちろん,非難を受けるだろう).
ローカル線の経営をしないということは,地域独占を自ら放棄するということなので,幹線鉄道経営の参入自由の原則が日本でも議論されても文句言えないよね.
株式会社化されて,そして株主が国ではなくなった.確かに自由だ.だが,会社成立の経緯は消すことが出来ない.ローカル線の経営も含めて日本国の主要な鉄道の営業に責任を持つというのが,国鉄が解体されて民営化された際の原点ではなかったのだろうか.
#やる気の無いJRにローカル線を任せるよりは,いっそ経営分離された方が沿線は幸せではないか,と言う人もいる.
ちょっと前の時刻表だが,基本的には今も変わっていないと思う.
山形県の米沢駅のホーム上の時刻表である.福島駅方面への県境の峠部分を越えてゆく普通列車は,朝1本,昼1本,夕方2本,終電(20時台)の以上5本である.
「つばさ」が毎時1本ずつ走っているので,路線としては決して閑散路線ではないが,普通列車についてはこういう状況である.
新幹線が建設されようとする路線では,しばしば並行在来線の問題がクローズアップされるが,特に厳しい状況に置かれがちなのが県境部分である.日常的に人の往来が少ないので別々の県に分かれた,とも言える部分である.
新幹線化にあたって,こういった県境部分をどうするかは頭の痛い問題であり,例えば熊本-鹿児島県境部分や新潟-富山県境部分では,電車が走れる設備があるにもかかわらず,経費を最小化するためにわざわざ短い編成のディーゼル列車を運転しているし,青森-北海道部分ではずいぶん前から普通列車が無くなってしまっている.群馬-長野県境では,碓氷峠部分に特殊な機関車の維持が必要ということもあり,線路が無くなってしまってバス転換された.
だがまぁ,通しの列車が片道5本の米坂線が生き残っているんだから,方法はあるのかもしれないけどね.
例の国際特急に乗った.日本では食堂車はどんどん廃止されているが欧州の特急列車では,食堂車が連結されているものが多く,無くても軽食の提供設備はほぼ必ずある.
ケルン→パリ間で乗ったThalysの場合は軽食の提供設備もあるが,一等車の場合は飛行機の機内食のようなものが出てくる.
出発してしばらくすると,各席に出される.味は機内食以上でも以下でも無く,それそのものである.
日本では事前に弁当を持ち込むか,車販で弁当を頼むしか手が無いが,都市間輸送における供食というのは,実は重要な要素なんじゃ無いかと思う.最近は,車販を省略する特急列車も多くなってきており,かといって駅の食堂等もショボく,メシをどこで食うかというのは長距離移動の大きな課題でもある.
欧州では,線路とその上の鉄道運行が基本的に上下分離されている.旅行者としてはICEやTGVをよく使うのでほとんどそのことを意識することはないのだが,最近,特にドイツなどでは比較的近距離の都市間連絡列車で,見かけない会社の列車を見かけることが多くなってきている.
例えば,この列車.
機関車は比較的最近の機関車で,確か発車時には「ドレミファソラシド…」という音を発したはず.けど,よく見るとかつては書かれていた「DB」の赤い文字が無い.
ハンブルグとケルンを結ぶ列車のようである.
車両は結構年季の入ったもので,元オーストリア国鉄? 土手っ腹には大きく「HKX」と書かれている.
ハンブルグとケルン間ならICE等を使って移動するのが通常の方法だが,同じ線路上を別のHKXという会社(私鉄)が列車を運行しており,ドイツ鉄道の列車に乗るよりも安価に移動できるようになっているようだ.
ただし,車両はお古の使い回しであり,とにかく安く,しかも早く移動したいというニーズを満たしているようである.
ユーレイルパスでも乗れるようだが,良い時間帯の発着時間は確保できていないようで,あまり便利では無い.しかもICEにも乗れるチケットでわざわざ選択するような列車では無い.
だが,地元の人にとってはこういった別の選択肢も準備されているのである.
日本では,都市内交通が自由化されている一方,新幹線を含む幹線鉄道および同じ線路上を走るローカル列車の運営は国鉄時代からの地域独占が継続しており,ユーザーの選択肢は限定的である.
古い欧州の時刻表を見ていると,パリ発ロンドン行きとかそういった列車が存在していることに気がつく.1990年代後半の話ではなく,1950年代とかそういった時代の話である.
パリ→鉄道→連絡船→鉄道→ロンドン
こういった乗り継ぎルートを「パリ発ロンドン行き」として一括表示しているのだと思っていたが,どうやらそうではなかった.本当に「パリ発ロンドン行き」という列車があったようである.
ミュールーズにある鉄道博物館の展示物にこういうものがあった.まずは,古い機関車.これは「パリ発ロンドン行き」に使われていたもののようである.
さらにこんな模型展示もあった.
なるほど,「パリ発ロンドン行き」である.日本にも鉄道連絡船は存在したが,基本は乗換であったかと思う.欧州では現在もデンマークがらみの列車の一部に,旅客列車をそのまま航送している列車が存在する.
スイスのバーゼル駅を8分遅れで出発したベルリン行きICE.フランクフルト方面への路線を走るのだが,残念ながらスイス付近は線形が悪く,ローカル列車のような走り方しかできない.川沿いに右へ左へと流れに沿って敷かれた線路をたどる.
…と,過去の記憶をたどればそうだったのだが,今回は途中で「本気」を出した.そして次の停車駅のフライブルクではなぜか定刻着.
本気を出した秘密は,以前は無かったこのトンネルのようである.トンネルなのでGPSが機能せず,正確な速度はわからないが,200km/hくらいか.8分遅れは確信犯だな.
元々の線路はトンネルの左側の川沿いの線路.独仏は訪れるたびに幹線鉄道の設備が更新されて行く.日本はどうなんだ?
ちょっと前に,こういう新聞記事があった.
JR東日本とJR西日本は、北陸新幹線にスキーや大型のスーツケースなどを置くことができる荷物置き場を設置すると発表した。
情報源: 北陸新幹線に荷物置き場…訪日観光客らに対応 : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
こんなことで新聞で話題になるとは,実は情けないお話.
もちろん,車端部にはこういったバゲージスペースがあることが多いのだが…
独仏あたりだと,こういうローカル列車でも…
そのまま,普通に頭上の荷棚に収まる.
というわけで,空港でもないのに,欧州の駅の客はスーツケースゴロゴロ転がしている人が多い.
いっぽう,日本の新幹線の荷棚は車体がデカい割に荷棚が小さく,小型のスーツケースしか荷棚には収まらない.車体の基本設計の問題やね.
またまたバーゼル駅である.この写真にヨーロッパの駅の独特の構内配線が写っている.便利でもあり,遅れの原因でもあり.
この線である.端っこから端っこまで斜めにゴリゴリと全線路を横切る渡り線.そして横切る際にはご丁寧に全箇所ダブルスリップスイッチ,つまりどちらから進入してもどちらにでも出て行けるという便利な分岐器が設置されている.この駅は左手前から右奥方向だけだが,駅によっては右手前から左奥方向にも設置されていることがある.
便利な分,高価であり,複雑である.そしてなによりも,これを使って端から端までゴリゴリと列車が駅に出入りしている最中は,他の路線の列車の発着が一切できなくなるので遅れの原因にもなる(高価でメンテが大変で遅れの原因になるので,日本ではまずやらない使い方らしい).
でも,これ見るとヨーロッパに来たなという実感があるよね.