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「3.11」から5年経過

5年経過してしまった.

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復興「事業」は進んではいるものの,「復興」したとは聞かない.

阪神淡路大震災の時,インフラの復旧は,まぁ結構かかったが数年〜10年ほどで一応出来た.だが,ハードウェアを整備するのとは異なって,そこでの生活を元に戻すのは至難の業である.20年以上経過した今も,神戸がかつての輝きを取り戻したとは言い難い部分が多い.

「3.11」から5年,ハードウェアの復旧すらまだであるのに,生活を元に戻すにはどうすればいいんだろう.何か新しい仕事をつくり出すような事業がいるのかな.

さらには,今後やってくるであろう別の災厄への備えについても,進んだとは言い難い.悪夢うなされそうである.

トランジットモールの別の使い方

トランジットモールというと,路面電車やバスなどの公共交通と歩行者とが通行を許された街路である.

日本では,公共交通と歩行者とが接触事故を起こすのでは無いかという懸念から,さっぱり導入が進まないというものである.

…まぁ,日本人がそこまでウスノロだとは思わないが,警察の懸念は大きそうである.

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さて,実際に実施されているところにおける事故の話はちょっと横に置いといて,歩行者優先街路としての使い方以外の使い方の話である.

自家用車の進入が禁止されているので,トランジットモールは基本的にはたまに電車が走ってくる以外はスカスカのガラガラである.ということで,その空いた道路を使ってパトカーや救急車,あるいは消防車の「Express Way」として機能している姿がしばしば見られる.

あんまり「反対,反対」ばかり言ってないで,こういう積極的利用の側面も考慮してみてはどうだろうかねぇ.

現場到達時間て,緊急サービスの結構重要指標だよね.

亀の瀬

関西本線に乗っていると,大阪府と奈良県の府県境あたりで大和川を北側から南側へ,そして再び南側から北側へと横切る箇所がある.

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二度も鉄橋を渡らなくても,そのままトンネルでも掘れば良いのに,と思うような箇所だ.

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通称亀の瀬という地区である.

元々は鉄橋で二度も川を渡ることなく,大和川の北側(右岸)をトンネルで通過していたが,ここは有名な地滑り地帯であり,トンネルは地滑りとともに破壊されてしまった.

そんなわけで二度も川を渡って地滑り地帯を避けている.

 

大阪北部ばかりに集めて大丈夫か?

近年,大阪では梅田貨物駅跡地がまとまった土地として注目され,その開発の動向が注目されている.いわゆるウメキタ.

物販オフィスホテルインキュベータ等々いろんな整備がなされつつあり,大阪市の重心は梅田地区に移動しつつある.

梅田貨物線を走っていたのは「はるか」や「くろしお」などであったが,晴れてウメキタにも駅ができて,大阪外環状線(おおさか東線)の電車がそこまでやってくるかもしれない.

新幹線も新大阪じゃなくて,ウメキタに引き込めという意見もある.まぁ,平時ならなんの問題もない.

ところが,平時ではない事態を考えると,あまりこういった北部集中は手放しでは喜べない.

以前指摘したように,もしも全国的な新幹線ネットワークが原案どおり完成し,地図のとおりになった暁には,「新大阪駅」が一番のネックになる.ここが災害テロその他理由で使えなくなると,完全に東西間広域交通が分断される.

北部集中の弊害はそれだけではない.梅田地区は以前から大規模な津波に襲われた場合,浸水の可能性が指摘されている.新大阪も浸水が迫る.リンク先の図は大阪府の試算結果であるが,左上が新大阪駅,左中〜下が梅田地区である.いずれも安心とは言えない.その南も四つ橋筋よりも西は安全ではない.

えっ! 高層ビルに逃げ込めば大丈夫だって?

甘い甘い.大阪のような大都市は地下利用が広がっており,止水するとは思うが,一滴漏らさずに止水するのは難しいだろう.京都の京阪電車も大阪のJR東西線も(開業までだが)大雨で水没したことがある.

それから,大都市は「電気なければ,タダのハコ」(…歳がバレる)状態である.電気の変電所がどこにあるか考えたことがあるだろうか.Googlemapで大阪市の中心部を表示させて置いて「関西電力 変電所」で検索してストリートビューや航空写真を見てみると面白い.変電所の場所として指し示されるのは,たいていビルである.つまりビルの地下.地上の変電所建屋が示されることもあるが,引き込まれているはずの超高圧電線も見えなければ鉄塔も見えない.電線はどこ?

大阪市内のメインストリートでは,街路に電柱がないところもある.ここも電線はどこか? 地下である.

地下変電所や地下埋設電力線に津波の塩水が流れ込んだらどうなるだろうか.ちなみに塩水は良導体である.

通信線も地下埋設されているよね.

とかく開発は平時に注目が行きがちであるが,異常時にも気を配ることができるかどうかで本当に良い開発計画が定まるのではないかと思う.

大阪の都市計画プランナーのセンスは,秀吉や徳川を超えられるか?

#なお,京橋周辺も危ない.

九州新幹線も脱線ガード取り付け中

東海道新幹線で大地震に備えて脱線ガードを取り付ける工事が進行中なのは有名だ.

九州新幹線も,一部で脱線ガード取り付け中の模様.

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走行中の車内から線路を写すのは結構難しくてボケボケだが,これってそうだよね.

阪神淡路大震災から21年

阪神淡路大震災から21年.当時は首都機能移転が議論されていたが,その時期に大震災が発生して,六千数百人の方が命を落とした.東京どうする?という話が出た.

そして,のど元過ぎれば熱さ忘れる.

「阪神淡路」から16年が経過し,東日本大震災が発生.二万人近くの方が命を落としたり行方不明になったりした.再び,このままで東京大丈夫?という話が出て,首都機能バックアップ論が出た.

そして,もうすぐ「東日本」から5年.

のど元…… …  … ネズミと日本人,どっちが学習能力が高いだろうか.多少の機能分散の話は出てきたが,それでほんとに大丈夫か?

文字通り命をかけて仕事に励んでいらっしゃる東京勤務の皆様,文字通り命をかけてご家庭を守ってらっしゃる皆様,お疲れ様です.

初夢鉄道2016(西日本大震災編)

こんな夢を見た.

やはり起きてしまった.大中小の順番でやってくると言われている南海トラフ系の地震,今回は300年ぶりの「大」の番のようである.紀伊半島沖を震源として大規模な震源域がまず東に広がり,次いで東海地震が間髪を置かずして発生,M8クラス後半のようだ.そして数分後,揺れが収まりかけたその瞬間,今度は紀伊半島から西側へと震源域が広がり,さらに日向灘,沖縄方面へと岩盤破壊が進んだ.全部あわせてM9クラスか?紀伊半島の各市町村とは連絡が取れない.四国方面の太平洋岸も同じようだ.

何とか,リニアの東京-名古屋間は開業していたので,迂回ルートの確保はできた.だが,太平洋岸の発電所が停まっているところが多く,所定の本数が走らせられない.捌けない旅客は北陸新幹線経由で移動しているようだ.東海道新幹線は,やはり浜名湖付近の被害が大きい.砂地盤なので,津波と大振動のために地形そのものが変化してしまっている.こうなる可能性は1964年の新幹線開業時からだいたいわかっていたので,国鉄時代に無理をしてでも対策をしておけばという後悔があるが,今さら言っても仕方がない.

この西日本の震災発生から2ヶ月ほどして,何年か前から活発化していた富士山がついに噴火しそうである.大方の予想に反して山頂や宝永火口や南東の側火山ではなくて北東側の側火山が怪しい.リニアが通っている都留市付近まではやや距離はあるので火砕流は大丈夫だが,降灰がどの程度あるか楽観できるような状況ではない.多量の場合は火山灰除去のためにリニア求めなくてはならないかもしれない.

地域振興を裏目的として制定された副首都は結局大阪になっていた.震災前は順調に機能し,関西活性化に役立っていた.だが,今般の南海トラフ地震に伴う大津波は太平洋岸各地を襲うだけでなく,紀伊水道から大阪湾まで入り込み,淀川や大和川流域まで入ってきた.もちろん,大阪の中心街にも入ってきた.

もとより海抜の低かった大阪平野の海岸沿いでは浸水被害が大きく,大阪市内の主要な地下街は水没している.遮水対策はしていたが,全ての浸水経路を防ぎ切れていなかったため,当分地下施設は使えなさそうである.地下変電所もやられたので,大阪市内のかなりの部分で電気が使えない状態になっている.オフィスが機能しないので,市内に立地した副首都機能も満足に動いていない.地域活性化ばかりに目を奪われて,国土のリダンダンシーのことを後回しにしたツケが回ってきた.日本はぼろぼろの東京首都圏でなんとかしなくてはならなくなってしまった.

首都もぼろぼろ,主要国土軸もぼろぼろ,瀕死の状態になってしまった.国籍不明の偵察機が頻繁に上空を横切っているが,もはやそれをなんとかする力も残っていない.一寸先しか見ずに先見の明の無い指導者に導かれた結果がこれであった.

…というところで目が覚めた.

初夢鉄道2016(平成東京地震編)

こんな夢を見た.

東京オリンピックに浮かれていた熱もさめやらぬ20xx年,悪夢の一つ目が起きてしまった.首都直下地震である.大量の帰宅難民が出たことはもちろん,地盤の軟弱な密集市街地で発生した火災が猛威をふるい,大災害になってしまった.

比較的近年に建設したビルなどは持ちこたえたものの,首都東京には多数の古いビルや家屋があり,倒壊,火災等おびただしい.地震の規模は阪神淡路大震災程度あろうか.中心部の官庁街をはじめとするオフィス街そのものは助かったが,古くから更新されていなかったインフラ類——上下水道や初期の地下鉄・高架鉄道など——は倒壊したり致命的な破損が起きたりで使えなくなったものが多い.住宅を失った人も多く,仕事どころではない.住宅が残った人も通勤手段が限られていて,日々の生活が著しく非効率になってしまった.知人親類等が被災した人も多く,直接の被災を逃れた人々も仕事が手に着かない.

あれほど首都機能の移転やバックアップについて検討してきたものの,ほとんど実行されていないので日本全体が機能不全になってしまおうとしている.オリンピックに浮かれている場合ではなかった.今さら言っても仕方がないが.怪しい国籍不明の艦船や航空機が近海をウロウロしている.

東京駅へ達する在来線や地下鉄が機能しないので,東北上越北陸新幹線は大宮で折り返し運転である.東海道新幹線も小田原で本線を引き上げ線にしながら折り返している.リニアはかろうじて開通した直後で,インフラそのものは被害が少なかったが,電気系統や通信系統が不十分で満足に運転できない状態になっている.そもそも,アクセス交通が動いていない.

道路も首都高速の何カ所かで落橋があり—防止装置があったはずだが不良品があったようだ—ネットワークが十分機能していない.国道等の一般道は大渋滞だ.

結局,阪神淡路大震災の教訓はどれほど活かされただろうか.復旧復興作業に入り始めたその時,泣きっ面に蜂の事態が起きた.

専門家の大方の予想どおり,紀伊半島沖を…

ここで目が覚めた.

南海トラフ、超高層揺れ最大6m…長周期地震動

ほらね,センス無いだろ?

 内閣府の専門家検討会は17日、南海トラフ巨大地震が発生した場合、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の超高層ビルが、最大6メートル揺れる可能性があるなどとする予測を初めて公表した。

情報源: 南海トラフ、超高層揺れ最大6m…長周期地震動

いや,読売新聞の記事がセンス無いんじゃなくて,大阪の港湾地区の超高層ビルに大阪府庁の一部機能を移してしまったということ.よりによって,一番ひどい箇所に.

ONE OSAKAの都市計画・交通計画は妥当な案か(防災強化編)
大阪は副首都になれるか(用地確保編)
大阪は副首都になれるか(地盤編)

一部の政治家の方は,専門家の意見を無視するのがかっこいいと思い込んでいるようだが,重大事が起こって割を食うのは府民なので念のため.府庁が機能しないと,多くの死人が出ることもありますのでね.

#ガーガーがなり立てるトップの場合,いろいろと忠言したい人がいたとしても黙っちゃうよね.府庁にも(市役所にも)事情のわかった専門職がたくさんいるはずなんだけどね.

大阪は副首都になれるか(地盤編)

前々回は副首都の立地場所として,平常時における大阪は悪くないという話であった.前回はまとまった土地がどこにあるかの話であった.

今回は,大阪市および前回取り上げた地区の地震動の話である.副首都は地域振興策では無く,非常時—特に首都直下地震や南海トラフ地震—におけるバックアップ機能を果たすことが期待されるため,地震で機能停止するような場所には設けられない.首都直下地震と南海トラフ地震は事実上連動する可能性もあるので,東京以外ならOKというものでもない.首都が機能停止している間に南海トラフ地震が襲うという最悪シナリオであっても対応できるのが副首都の要件である.

さて,以前にも参照したこのファイルを見ながら話をしよう.昨今の建築・建設技術等の発達に伴い,震度5台では大きな都市災害は起こらなくなってきているので,震度6弱以上あるいは震度6強以上で見てみよう.詳しい震度については,こちらのサイトの方が便利かもしれない.

まずは大阪府下である.

【大阪市中心部&夢洲】
震度6弱以上で見ると,ほとんど真っ赤(30年以内確率26%以上),つまり大阪市の中心部には逃げ場が無い状態である.夢洲も同様.震度6強以上だと,地下鉄堺筋線と谷町線附近の南北に長い地域—すなわち上町台地が若干マシで30年以内確率3%以下になっている.つまり,大阪市内は対地震の観点では非常に心配だが,敢えて言えば上町台地がマシ,ということである.上町台地の庁舎を放棄して府庁を埋め立て地に,というのは災害リスクの観点では論外ということ.なお,30年以内に3%の確率で震度7に見舞われる地区は大阪市内では京橋駅北方や住之江区の一部のようであり,このへんは特に避けた方がよさそう.

【伊丹空港付近】
地震に関しては概ね大阪市内の上町台地と同程度のようである.ただし,大阪空港の西側の猪名川に近いあたりは大きな震度に遭遇する確率が高めのようであるので要注意.中国豊中インター付近も地震リスク高め.

【万博記念公園付近】
ここは伊丹空港付近に比べて,さらに半段〜一段,地震リスクが低くなる.震度6弱以上では伊丹空港付近と同程度だが,震度6強以上だと色が1段薄い.他の視点での結果も同様の傾向だ.

【陸上自衛隊信太山演習場附近】
ここは,地震のリスクに関しては万博記念公園付近と伊丹空港付近との中間的な度合いのようである.大阪市内よりはマシだが,決定的にリスクが低いわけでは無い.

…ということで,大阪市内は論外として,府下では万博記念公園あたりが無難そうに見える.続いて大阪府以外についてである.

【巨椋池跡地附近】
なんとなく予想はしていたが,大阪市内と同レベルの地震リスクである.上町台地の方がマシ.沼地の干拓地であるので,足下はズブズブということだろう.堆積物が厚く層をなしているのかもしれない.ここは開発はしやすそうだが,対災害を考えると重要拠点には向いていなさそう.

【陸上自衛隊祝園分屯地附近】
ここは万博記念公園と同程度のリスクのように見える.ただし,分屯地を超えて開発する場合は要注意で,東側の木津川方向は地震のリスクが急に大きくなる.逆に西側の京阪奈丘陵の地震リスクは大阪付近の開発可能な地域の中では低い部類である.

【陸上自衛隊長池演習場附近】
ここは祝園分屯地よりもさらに若干ではあるが地震リスクが低そう.京阪奈丘陵と同程度だろうか.

…ということで,大阪付近でまとまった土地があり,なおかつ地震のリスクが低めのところを探すと,万博記念公園付近か陸上自衛隊祝園分屯地附近の京阪奈丘陵,あるいは陸上自衛隊長池演習場附近あたりということになる.