投稿者「hatoko」のアーカイブ

新聞記事の精度(朝日新聞編)

朝日新聞のweb版にこういう記事がある.
香川)経団連、四国の新幹線構想に慎重姿勢:朝日新聞デジタル.
経団連の会長が四国の新幹線構想に関し,「4県都を結ぶルートでも1・5兆円。出来た道路にしろ、新幹線にしろメンテナンス費用がかかる」と指摘し,続けて「国の厳しい財政事情を考えると、他地域のプロジェクトに比べ、これだけメリットがあるとアピールすることが重要」と発言し,何となく否定的なイメージのコメントをしたことになっているのだが,ちょっと引っかかる内容である.
そもそも,「朝日新聞」の時点で,事実関係の伝聞の精度に問題がある可能性が高く,単なる記者の創作料理,じゃなかった創作記事の可能性があるのだが,いずれにせよはっきり言えるのは・・・

  • 完成した新幹線のメンテナンス費用を国が出すことはない

ということである.東海道山陽新幹線や東北新幹線に比べて客が少ないとしても,電気代や乗務員の人件費,線路の保守費などが出せないほどのレベルの新幹線はさすがに建設されない.市街地の一般道路は建設後の維持費は税金により賄われるのだが・・・

  • 新幹線の維持は運賃(と料金)により賄われる

ということを認識していない記事である.経済人が誤ったのか,記者が誤ったのかはこの記事だけでは判断できないが,いずれにせよレベルの低い記述で頭が痛い.
なお,この件に関する他社の書いた記事ではそういうネガティブなことは書かれていないようなので,印象操作を目的とした創作記事(あるいは,そういう意図がなくても正確な記事を書く能力が無くなってしまった記者が書いた記事)の可能性が高い.
多様な見地からの意見は大事であるが,事実関係が把握できていないと正しい結論には至らない.そろそろポジショントークは止めて,反対意見でもけっこうなので,正確に議論して欲しいものである.
(追伸)私が絵本以外で親に買ってもらった最初の本は「日本の鉄道」と「続・日本の鉄道」朝日新聞社刊である.今見ても,なかなかクオリティーが高い.

交通バリアフリー実施以前の認識

交通バリアフリー法が施行されて10年以上経過したが,同法制定前の認識はこんなものであった.
DSCN58422000年の最初のバリアフリー法では子ども連れはバリアフリー考慮の対象ではなかったが,現在有効な新法では対象に入っている.
少子化で日本の先行きが不透明なこの時代,「ベビーカーは他のお客様の迷惑」などと言っていてはこの先おぼつかない.電車の車両を設計する際も,車イススペースを設けるのと同様に,ベビーカースペースを考慮してもいいくらいなものだと思うのだが,どうだろ.

リニア新幹線整備の理由(名古屋以西編)

前にも書いたがと思うが,リニア新幹線建設の大きな理由は「南海トラフ大地震こわい」である.
災害復旧能力の高い日本といえども,大津波で新幹線の線路が流されたり,100キロ,200キロ単位で震度6−7地帯を通過すれば復旧に年単位を要する可能性がある.日本の国家運営に重大な影響を及ぼす可能性が非常に大きいほか,当の鉄道会社の経営も傾きかねない.
そこで,東京-名古屋間に別線で新幹線を建設する,それが中央新幹線である.バイパスである.
さて,「中央新幹線は東海道新幹線の災害対応のバイパス」のイメージが先行している関係で,全線にわたって新線を要していると思い込んでいる人が,専門家を含めて多いのだが,よく考えてみて欲しい.
南海トラフで年単位の不通区間を生じかねないのは「東京-名古屋間」である.名古屋から西は震度5−6弱の区間が続くので,被害皆無とは言わないが,バイパス新線をつくらないといけないほどの壊滅的被害を受ける可能性は低い.
名古屋以西のルートに関して,こっちを通ると断層が1本で,こっちだと2本,などと言う専門家もいるらしいが(そもそも,地震のリスクを断層の本数で云々と言っている時点で,真剣に考えているとは言い難いが),直下の地震で数ヶ月の不通があったとしても,数兆円掛けて新線を建設しなければならないほどの理由にはならない.今まで新幹線が地震で不通になった事例は数度あるが,いずれも復旧までの期間は3ヶ月程度以下である.
そういう観点からすると,リニア新幹線名古屋以西については名古屋以東とは異なる観点で建設の是非や方法について議論する必要がある.リスクヘッジだけの観点から言うと,鉄道会社にとっては名古屋以西の建設の意義はあまりなさそうである.その実,国や沿線,与党などから早期全線完成の働きかけがあっても反応が鈍い状況にある.資金計画などを見ても,本気で取りかかればもっと早期に完成しそうにも思えるが,「様子を見てから,名古屋から西側に取りかかろうかなぁ〜」という感じである.
※資金計画の分析については,また時間があるときにでも.
※災害対応を重視するのなら,主要ターミナルが海岸の近い低地の「品川駅」の地下,水害で水没しかねない「名古屋駅」の地下,河口に近い淀川付近で津波の指摘もある「新大阪駅」って,どうよ.災害の専門家なら,誰か突っ込んでも良さそうなもんだが,誰も突っ込まないのね.名古屋市営東山線て,こないだ名駅が水没しかかってたよね.

阪神尼崎駅の構内

下の写真は阪神尼崎駅の構内である.近鉄大和西大寺ほどではないが,けっこう複雑である.
DSCN5832
西大寺の醍醐味は線路の数の多さであるが,この駅の構内の醍醐味は変わった分岐器である.狭い駅構内で列車を各ホームに振り分けるために,複雑な分岐器を使わざるを得ないということであろう.(逆にJRの駅構内は広々しており,単純な分岐器の組合せで処理している.)
2方向から入ってきた列車をあらゆる組合せで2方向に分けるダブルスリップスイッチはまぁ序の口.
DSCN5838
最初の写真を拡大下物が下の写真である.まず,中央手前にクロスが見えるが,このクロスの右側にはスリップ用の曲線が併設されている.大きなシングルスリップスイッチ? でもシングルスリップスイッチはトングレールがクロスの菱形の内側なので(上の写真参考),これはシングルスリップスイッチではない.かといって,単純な片開き+クロスでは絶対に構成できない特注品であろう.
そのすぐ奧にはゴリゴリと線を横切るクロッシングが横たわっており,さらにその奧やや左には3方向分岐風の分岐器がある.だが,よく見ると一気に三方向に分岐しているわけではなく,Y字分岐に片開きをくっつけたような,特殊な分岐器が見える.
DSCN5834
メンテナンスが大変そうな駅構内である.
なお,現在は阪神と近鉄が直通運転するために,構内配線は上の写真とは変更されている.

日本のトランジット「寝ーる」

架かっている橋が電車専用なので,この通りにはあまり通過交通の自動車が入ってこない.なので,事実上,歩行者と電車の専用道路に近い使われ方になっている.トランジットモール,と言いたいところだが,法的にはそうはなっていない.でも,ワンコが寝てるくらい,自動車は少ない.
DSCN6079
この写真を見れば,だいたいどの辺か見当がつく人は多いはず.
DSCN6080
10年くらい前の写真で,乗降用の場所の舗装もいい加減である.今は緑色の舗装が塗り直されて,ちょっとだけ小ぎれいになっている.
DSCN6093
夕日がまぶしいぜ.
DSCN6095南側の大通りに線路を付け替えようかという話があるようだが,沿線の方のお話しでは署名活動してでもその話は阻止したいとのこと.どうもこの光景に愛着がある模様.こないだ,長時間カメラを持ってうろうろしていたので,たぶん不審者と思われて話しかけられた際に聞いたお話.

BEFORE & AFTER の写真を撮るのは大変

交通整備のBefore & After の写真を撮るのは大変である.Afterは完成してから祝賀ムードが一段落した頃に訪れればだいたいOKなのだが,Beforeはこれから発生することを予測しながら撮影しなければならないので,実は難しい.予測が外れることも多々ある.
今回はBeforeを撮ったつもりだが,空振りだった写真のギャラリーである.撮影は10年前である.
DSCN5468
DSCN5462
DSCN5463
DSCN5467
DSCN5470
DSCN5483
DSCN5484距離自体は大したことないんだけどねぇ.なかなかこじれると難しいねぇ.
このへん

地図データ ©2015 Google, ZENRIN

100 m

 

BEFORE & AFTER の写真を撮るのは大変

交通整備のBefore & After の写真を撮るのは大変である.Afterは完成してから祝賀ムードが一段落した頃に訪れればだいたいOKなのだが,Beforeはこれから発生することを予測しながら撮影しなければならないので,実は難しい.予測が外れることも多々ある.
今回はBeforeを撮ったつもりだが,空振りだった写真のギャラリーである.撮影は10年前である.
DSCN5468
DSCN5462
DSCN5463
DSCN5467
DSCN5470
DSCN5483
DSCN5484距離自体は大したことないんだけどねぇ.なかなかこじれると難しいねぇ.
このへん

地図データ ©2015 Google, ZENRIN

100 m

 

アンダーパス(建物の・・・)

日本でアンダーパスというと,線路 と道路がクロスする際,道路側を地下化する場合などについて「アンダーパス」と呼んだりする.
じゃぁ,このケースは?
DSCN5159
DSCN5283これ,よく見ると,ショッピングセンターの下を道路とLRT軌道が「アンダーパス」しているというものである.日本でもありそうな気がするが,・・・たぶん無いと思う.ビルを高速道路が突っ切っているのはあったと思う.ビルの1階部分が柱だけで,そこを道路が通過・・・と言うか,道路の上部空間を利用して店舗等になっている例もあったと思う.
上のは,ショッピングセンターの下をくぐっている.珍しいなと思うが,・・・そうでもないかな.

ラストNOステップ

日本に限らず,電車とホームの間には段差や隙間が残っており,交通バリアフリーで市街地も,駅の構内も段差が解消されつつあるのに,最後の1段がなかなか解消されないという話は折に触れてお話ししている.
DSCN5111じゃぁ,新設のLRT以外は望みが無いかというとそうでもなくて,上の写真はフランスパリの地下鉄であるが,電車とホームの間のギャップはエレベータなみである.
日本のバリアフリーもこのあたりを目標にして欲しいところ.